2025年02月09日 (日曜日)

USAIDの内部資料で露呈した公権力とジャーナリズムの関係、だれがメディアに騙されてきたのか?

トランプ大統領が、UASID(アメリカ国際開発庁)を閉鎖した件が、国境を超えて注目度の高いニュースになっている。USAIDは、原則的に非軍事のかたちで海外諸国へ各種援助を行う政府機関である。設立は1961年。日本の新聞・テレビは極力報道を避けているが、USAIDの援助には、メディアを通じて親米世論を形成すためのプロジェクトも多数含まれている。

実際、親米世論を育てることを目的に、おもに敵対する左派政権の国々のメディアや市民団体に接近し、俗にいう「民主化運動」で混乱と無秩序を引き起し、最後にクーデターを起こして、親米政権を樹立する手口を常套手段としてきた。そのためのプロジェクトが、USAIDの方針に組み込まれてきたのである。

USAIDの閉鎖後に公開された内部資料によると、助成金を受けていたメディアの中には、米国のニューヨークタイムスや英国のBBSも含まれていた。これらのメディアをジャーナリズムの模範と考えてきたメディア研究者にとっては、衝撃的な事実ではないかと思う。

Columbia Journalism Review誌の報道によると、USAIDは少なくとも30カ国で活動する6,000人を超えるジャーナリスト、約700の独立系メディア、さらに約300の市民運動体に助成金を提供してきた。

ウクライナでは、報道機関の90%がUSAIDの資金に依存しており、一部のメディア企業では、助成金の額がかなりの高額になっているという。

トランプ大統領がUSAIDを閉鎖した正確な理由は不明だが、「小さな政府」を構築すると同時に、事業を民営化する新自由主義政策の一端ではないかと推測される。

その役割を担って入閣したのが、イーロン・マスク氏である。従ってUSAIDが閉鎖されたとはいえ、今後は、従来とは異なった形で、経済的に西側メディアを支配する政策が取られる可能性が極めて高い。本当に資金支援を打ち切れば、西側世界はスケールの大きい世論誘導装置を失うからだ。

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2025年02月02日 (日曜日)

横浜副流煙裁判を支援する会がカンパを呼び掛け

横浜副流煙裁判を支援する会は、今後の裁判に備えるために、カンパを呼び掛けている。それぞれ1月14日と22日に、判決があった裁判を控訴するほか、ネット上で藤井敦子さんに対する誹謗中傷が止まない場合は、新たな法的措置も検討する。カンパは弁護士費用や活動費にあてる。

最新の裁判報告(1月14日、22日に判決)については、次の記事を参考にしてほしい。

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2025年01月26日 (日曜日)

横浜副流煙裁判、カウンター裁判で藤井敦子さんらが敗訴、検証が不十分な作田医師交付の診断書

横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が、それぞれ1月14日と22日に言い渡された。裁判所は、いずれも原告(藤井敦子さん、他)の訴えを退けた。藤井さんは、判決を不服として控訴する。判決の全文は、文尾のPDFからダウンロード可。

時系列に沿った事件の概要と、判決内容は次の通りである。

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2025年01月18日 (土曜日)

西日本新聞押し紙裁判 控訴のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙―

福岡・佐賀押し紙弁護団弁護士 江上武幸(文責)2025年(令和7年)1月15日

令和6年12月24日の西日本新聞押し紙訴訟の福岡地裁敗訴判決について27日に福岡高裁に控訴しことを報告します。本稿は、判決を一読した私の個人的感想を述べさせて頂きます。

なお、「弁護士ドットコム・押し紙」で検索して戴ければ、判決内容が簡潔且つ的確に紹介されております。

* 弁護士ドットコムの読者の方の投稿に弁護士費用を心配されるむきありますが、法テラスの弁護士費用立替制度なども用意されていますので、地元弁護士会等の無料法律相談窓口など気軽に利用されることをお勧めします。

* 別の合議体に係属中の西日本新聞押し紙訴訟(原告は佐賀県販売店は、証拠調べを残すだけになっております。

 

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2024年12月31日 (火曜日)

1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策略」

渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気がする。ナベツネに「チンチンをしない犬」はいないのかと言いたくなる。

渡邉氏に関して、日本のマスコミが絶対にタッチしない一件がある。それは1999年に日本新聞協会の会長の座にあった渡邉氏が、新聞特殊指定改訂で果たした負の「役割」である。日本の新聞社にとって、計り知れない「貢献」をしたのだ。それは残紙の合法化である。残紙により大規模にABC部数をかさ上げするウルトラCを切り開いたのである

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2024年12月26日 (木曜日)

西日本新聞福岡地裁押し紙敗訴判決のお知らせ―モラル崩壊の元凶 押し紙―

  1. 福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月25日

昨日(24日)、午後1時15分から、福岡地裁本庁903号法廷で、西日本新聞販売店(長崎県)の押し紙裁判の判決が言い渡されました。傍聴席には西日本新聞社関係者が10名程度ばらばらに座っていましたが、相手方弁護士席には誰もいないので、一瞬、原告のSさんと「ひょっとしたら」という思いに囚われましたが、予期した通り敗訴判決でした。判決文は入手できていませんので、とりあえず結果を報告します。

合議体の三名の裁判官は、昨年4月1日にそれぞれ東京高裁・東京地裁・札幌地裁から福岡地裁に転勤してきた裁判官で、裁判長は司法研修所教官、右陪席は最高裁の局付の経歴の持ち主であり、いわゆるエリートコースを歩んできた裁判官達です。

合議体の裁判官全員が同時に交代する裁判を経験したのは弁護士生活48年で初めてであり、他の弁護士・弁護団が担当している各地の押し紙裁判でも、奇妙な裁判官人事が行われていることは承知していましたので、敗訴判決の危険性は常に感じながら訴訟を進行してきました。

最高裁事務総局による意図的な裁判官人事の問題については、福島重雄裁判官、宮本康昭裁判官、最近では瀬木比呂志裁判官、樋口英明裁判官、岡口基一裁判官ら(注・いずれも元裁判官)、多数の裁判官が著作を出版されており、最高裁事務総局内部の様々な動きを知ることができます。大変、ありがたいことです。

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2024年12月22日 (日曜日)

西日本新聞押し紙訴訟判決とオスプレイ搭乗記事の掲載について―モラル崩壊の元凶 押し紙―

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士・ 江上武幸(文責)2024年(令和6年)12月20日

11月28日(木)付西日本新聞の朝刊1面のトップに、「『国防の最前線』実感 屋久島沖墜落1年、オスプレイ搭乗ルポ」と題する記事が掲載されていました。

オスプレイは、ご承知のとおりアメリカでは「未亡人製造機」と呼ばれるほど墜落死亡事故の多い軍用機で、開発段階から昨年11月の鹿児島県屋久島沖墜落事故までに計63人が死亡しています。生産ラインは2026年に終了予定で、世界で唯一の輸入国である日本は、陸上自衛隊が17機を総額3600億円で購入し、来年6月に佐賀空港に配備する予定です。

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2024年12月21日 (土曜日)

関東地区新聞労連役員会における意見発表について -モラル崩壊の元凶「押し紙」-

福岡・佐賀押し紙弁護団・ 江 上 武 幸 (2024年「令和6年」12月19日)

去る11月29日(金)、ワークピア横浜で開催された関東地区新聞労連の役員会で、「新聞の過去・いま・将来」をテーマに意見発表する機会を得ましたのでご報告申し上げます。

私は、6月に、第8回横浜トリエンナーレを見学しましたが、メイン会場に足を踏み入れた途端、ミサイルが空気を切り裂く音を口真似で再現した映像作品に出合い、ウクライナやパレスチナで悲惨な戦争が続いている現実に引き戻されました。

2歳の孫を連れていましたので、大量破壊兵器を用いた無差別虐殺が行われていることが信じがたい反面、世界平和への強い政治的メッセージをもったアート作品を展示している横浜市民の皆さんの懐の深さに敬意を覚えました。

横浜は、日本で一番古い新聞が発行された街であること、熊本出身の宮崎滔天と中国の革命家孫文が出会った街であること、それに日本新聞協会が運営する日本新聞博物館があることを知りました。

京浜東北線の関内駅を下車し、日本新聞博物館に立ち寄ったところ、先生方に引率された小・中学生が社会科見学にきていました。国民の知る権利・表現の自由を保障するうえで新聞の果たしている役割の大きさが一目でわかるように全国の新聞が展示されていました。

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2024年12月18日 (水曜日)

動画で見る「押し紙」回収の現場

「押し紙」の回収現場を撮影した画像を紹介しよう。新聞社は、回収されている新聞は、「押し紙」ではないと主張してきた。彼らがその根拠としてきた論理は、「販売店が発行本社から補助金を騙し取ったり、折込チラシの水増しをするために、みずから注文した新聞部数なので、自分たちには責任がない」というものである。

しかし、新聞社が「押し紙」で莫大な利益を得ている事実は重い。「押し紙」がなければ、予算編成の規模も全く異なったものになる。新聞社は「押し紙」による不正取引を認識した上で、「押し紙」政策を続けてきたのである。

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2024年12月16日 (月曜日)

「押し紙」関連資料の閲覧制限、問われる弁護士の職業倫理、黒塗り書面は墓場へ持参しろ

「押し紙」裁判を取材するなかで、わたしは裁判書面に目を通す機会に接してきた。弁護士から直接書面を入手したり、あるいは裁判所の閲覧室へ足を運んで、訴状や準備書面、それに判決などの閲覧を請求し、その内容を確認してきた。

しかし、最近は、新聞社が書面に閲覧制限をかけていることが多い。書面の一部が黒塗りになっているのだ

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2024年12月13日 (金曜日)

「香害、すなわち化学物質過敏症」の誤り、1月に2つの判決、横浜副流煙事件

別稿・事件の概要

来年2025年の1月に、横浜副流煙事件に関連した2つの裁判の判決が下される。詳細は次の通りである。

■作田学医師らに対する「反スラップ」裁判

判決の日時:1月14日(火)13時10分

法廷:横浜地裁609号法廷

原告:藤井敦子、藤井将登(代理人弁護士・古川健三弁護士)

被告:作田学、A夫(係争中に死去したために、現在は請求対象にはなっていない)、A妻、A娘

 

作田学医師に対する名誉毀損裁判

判決の日時:1月22日(水)13時10分

法廷:東京地裁806号法廷

原告:藤井敦子、酒井久男(山下幸夫弁護士)

被告:作田学

 これら2つの裁判の経緯は、2016年まで遡って、別稿で詳しく説明しているので、参考にしてほしい。事件の全容をコンパクトにまとめている。

■別稿・事件の概要

香害=化学物資過敏症という従来の考え方の誤り

 この事件で中心的な位置を占めている藤井将登さんが、隣人家族から、「煙草の副流煙により健康を害したとして、約4500万円を請求する裁判を起こされたのは、2017年の11月だった。筆者がこの事件にかかわるようになったのは、その1年後である。マイニュースジャパンから記事化を依頼されて、取材したのが最初である。

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2024年11月20日 (水曜日)

作田医師が法廷で患者に対して、「うさんくさい患者」、「会計にも行ってないと思います」、患者が検察審査会に審査を申し立て、横浜副流煙事件の刑事告訴

横浜地裁の法廷で医師から、「うさんくさい患者」で「会計にも行ってないと思います」などと名指しで罵倒された患者が、医師の証言は事実無根で名誉を毀損されたとして、神奈川県警・青葉警察署に刑事告訴した事件に展開があった。青葉署はこの案件を横浜地検へ書類送検したが、地検は不起訴に。これに対して患者は、10月30日、横浜検察審査会へ処分の審査を申し立てた。

🚯審査申立書の全文

検察審査会制度とは、不起訴処分になった事件の妥当性を審査する組織で、処分に対して、事件の当事者を含む一般市民から不服の申し立てがあった場合、一般市民から選ばれた11人の検察審査員が、処分の妥当性を審査する制度である。

医師の証言の中で、患者が病院の「会計にも行ってない」ことを前提事実として、「うさんくさい患者」と人物評価を下したのだが、会計に行った証拠があった。診療報酬を支払ったことを示す領収書が残っていたのだ。

患者が検察審査会に提出した審査申立書の文面からは、尋問の場で医師がいかに根拠のない証言をしたかが、浮かび上がってくる。事実に基づいた患者の人物評価であれば、その内容が他人の名誉を毀損していても、法的な責任を免責されるが、事実とはかけ離れたことに基づいた人物評価は、たとえ法廷の場であっても、刑事責任を問われることがある。

なお、この事件の概要は、下記の通りである。事件の概要を把握している読者は、概要をスキップして、「証言は事実とは異なる?」の節に入っても、内容が理解できる。

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2024年11月02日 (土曜日)

国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に

インターネットのポータルサイトにニュースが溢れている。衆院選挙後の政界の動きから大谷翔平選手の活躍まで話題が尽きない。これらのニュースを、メディアリテラシーを知らない人々は、鵜呑みにしている。その情報が脳に蓄積して、個々人の価値観や世界観を形成する。人間の意識は、体内の分泌物ではないので、外かいから入ってくる情報が意識を形成する上で決定的に左右する。

その意味で、メディアを支配することは人間の意識をコントロールすることに外ならない。国家を牛耳っている層が、それを効果的に行う最良の方法は、新聞社(とテレビ局)を権力構造の歯車に組み入れることである。実際、公権力を持つ層は、新聞社に経済的な優遇措置を施すことで、新聞ジャーナリズムを世論誘導の道具に変質させている。

「押し紙」が生み出す不正な販売収入が業界全体で年間に、少なくとも932億円になる試算は、9月27日付けのメディア黒書で報じたとおりである。

■「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、年間932億円の不正な販売収入、公権力によるメディアコントロールの温床に

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