2015年08月31日 (月曜日)
中央紙は安保関連法案に反対する12万人規模集会をどう報じたのか?
【サマリー】30日に安保関連法案に反対する集会が開かれ、主催者の発表で東京だけでも12万人が参加した。この大規模集会を中央紙はどう扱ったのだろうか。朝日、読売、毎日、産経を検証した。
結論を先に言えば、4紙とも一応は大規模集会を報じているが、別の問題もある。海外派兵に対して、一貫して警鐘を鳴らしてこなかったことである。
2015年08月31日 (月曜日)
【サマリー】30日に安保関連法案に反対する集会が開かれ、主催者の発表で東京だけでも12万人が参加した。この大規模集会を中央紙はどう扱ったのだろうか。朝日、読売、毎日、産経を検証した。
結論を先に言えば、4紙とも一応は大規模集会を報じているが、別の問題もある。海外派兵に対して、一貫して警鐘を鳴らしてこなかったことである。
【サマリー】汚職事件に関与したとされる中米グアテマラの現職大統領に対して、同国の最高裁は、「不逮捕特権」を取り上げる決定を下した。グアテマラでは、世界に先駆けて三権分立のあるべき理想を実践している。
これに先立つ2013年には、軍政時代の元将軍であり大統領であったリオス・モントに対して禁固80年を言い渡した。また、今年の1月には1982年にスペイン大使館焼き討ち事件を指示した元警察のトップに対して禁固90年の判決を下している。
三権分立が正しく機能した時、社会正義はどう実現されるのか。グアテマラは世界に先駆けて、その模範を示している。
【サマリー】 共産党の小池晃氏が暴露した防衛省の内部文書の情報公開を防衛省の中谷元防衛大臣に対して請求したところ、8月21日付けで受付が完了した旨を伝える通知が送られてきた。防衛省はこれを開示するか、それとも隠すか、同省の姿勢を観察する機会となった。
小池氏が指摘した内部文書の例でも明らかなように、このところ法案が成立していないのに、成立を前提に行動を起こす「見切り発車」が増えている。その背景に官僚による政治の復活があるのでは?
【サマリー】日本新聞販売協会が編集した『新聞販売百年史』によると、日露戦争の当時から「責任紙」と呼ばれる「押し紙」が存在した。しかし、それは表向きは契約によって取り決められたノルマにあたるために、「押し紙」には該当しないという論理の根拠でもあった。
問題は、こうしたゆがんだ論理が現在にまで受け継がれ、新聞販売店に配達されない新聞が多量に残っている事実があるにもかかわらず、「押し紙」とは見なされていないことだ。弁護士の中にも、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士のように読売には「押し紙」が存在しないという見解の者がいる。
【サマリー】2014年3月にフリーランスの出版関係者43名が提訴した特定秘密保護法違憲訴訟が、8月21日に結審した。結審に先立って黒薮が最終意見陳述を行った。
その中で、ジャーナリストが自衛隊の内部情報を暴露した場合、起訴されるのか、それともジャーナリズム活動として認められるのかを、寺澤有氏による「暴露」の具体例を示して、裁判長の見解を求めている。
また、俗に言う「イスラム国」で殺害された湯川遥菜氏が代表を務める民間軍事会社の活動実態が報じられない背景に、特定秘密保護法とメディアの萎縮がある可能性を指摘している。民間軍事会社に関する情報は、戦争の民営化を考える上で極めて重要なはずだが情報が乏しい。プライベートな立場とはいえ、紛争地帯で射撃演習をするのは、ただならぬことである。
【サマリー】今世紀に入って急激に「押し紙」率が上昇して、50%に達するケースも珍しくなくなった。2005年に、「押し紙」の実態を立証する毎日新聞の内部資料が外部へ流出する事件もあった。それによると搬入される新聞の36%が広義の「押し紙」だった。2007年には、70%という信じがたいケースも発覚した。
読売の「押し紙」も問題になったが、裁判所は「押し紙」とは認定しなかった。押し売りで生じた「押し紙」ではなく、「残紙」、あるいは「積紙」ということになった。
【サマリー】フリーランスの出版関係者が起こしている特定秘密保護法の第7回口頭弁論が8月21日に開かれる。この時期にわたしは、中谷防衛大臣宛てに共産党の小池晃議員が曝露した内部文書「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」を開示するように情報公開を請求した。
黒江哲郎防衛政策局長は、この文書について、「秘密にあたるものではないが、流出したことは遺憾だ」と答弁しており、特定秘密保護法の下で、防衛省がどのような対応をするのかが注目される。
2015年08月19日 (水曜日)
【サマリー】今年の7月、東京第5検察審査会が東電の元経営陣3人に対して起訴を相当とする決議を下した。意外に知られていないが、こうした決定の背景に『財界にいがた』のある報道が影響した可能性がある。
同誌は小沢検審を担当した第5検審に「架空審査会」の疑惑があった過去を暴露すると同時に、東電の元経営者に対する起訴が相当か否かを審議する役割が第5検審に委ねられている事実を知らせた。世論を喚起するためである。
東電幹部の起訴により、検察審査会のイメージがよくなっても、過去の事実が消えるわけではない。
【サマリー】2015年4月から6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は前期と比べて1・6%減となり、安倍政権が進める新自由主義の失敗が明らかになった。新自由主義は、地球規模で世界を支配しているが、ラテンアメリカについては例外である。すでに新自由主義からの脱皮に向かい、公平な社会へ確実に近づいている。
2013年にグアテマラの裁判所は、80年代に大統領職にあり、先住民に対する虐殺を繰り返した元グアテマラ軍の将軍リオス・モントに対して禁固80年の判決を下した。さらに2015年の1月には、やはり80年代にスペイン大使館の焼き討ち事件などを起こした元警察のトップ、ペドロ・ガルシア・アルマンドに対して禁固90年の判決を下した。
これらの裁判の様子は、法廷内に持ち込まれたビデオカメラで世界へ配信された。日本では考えられないことである。同時代史の中で、ラテンアメリカはより先進的な社会へ近づいている。
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)
戦後70年、安倍談話が発表された。「侵略」や「おわび」の言葉は確かに入った。でも、自らの心からの言葉とは思えない空虚さが漂う。
そんな中で国会では、「核ミサイルも毒ガス兵器も自衛隊が輸送することは法文上可能だ」との安全保障法制を巡る中谷防衛相の答弁が波紋を呼んでいる。安倍首相は非核三原則を理由に「自衛隊が核兵器を輸送することは120%あり得ない」と火消しに懸命だ。
しかし、核ミサイル運搬が出来るように、こっそり安保法制の法文に忍ばせたのは、実は安倍政権なのだ。だから、この言葉も本心からとは思えない。
非核3原則は本当に守られるのか、国民はどう監視するのか、出来るのか。安倍政権の核兵器を含む米軍と一体になった戦争推進策に対し、集団的自衛権のみならず、最近下火になった特定秘密保護法の違憲性についても改めて論議を深める必要がある。
【サマリー】1980年代に入ると国会質問の場で共産・公明・社会の3党が超党派で、景品を使った違法な新聞拡販や「押し紙」問題などを追及した。質問回数は、1980年3月5日から1985年4月13日までの期間、総計で16回である。
当然、「押し紙」問題も取り上げられた。共産党の瀬崎博義議員は、読売新聞・鶴舞直配所の内部資料を暴露した「北田資料」を根拠に、「押し紙」(広義の残紙)を取り上げた。
2015年08月12日 (水曜日)
【サマリー】小沢検審にかかっている疑惑を調査してきた志岐武彦氏が新刊『最高裁の黒い闇-国家の謀略を追った2000日の記録』(鹿砦社)を出版した。元参院議員・森裕子氏が志岐氏を訴えた裁判の経緯をたどりながら、小沢検審が「架空検審」であった根拠を提示している。その柱となるのが、「7つの根拠」である。
志岐氏が対森裕子裁判に勝訴してまもなく1年。検察審査会の問題は極めて公益性が高く、本来であれば名誉毀損であるか否かとは別の次元で、検証されなければならない問題である。志岐氏は書籍の出版によりその目的を達した。
【サマリー】新聞に対する軽減税率の適用問題で、読売の渡辺恒雄氏が政界工作の必要性を語っている。しかし、新聞の本来の役割は、政界工作など公権力を監視することである。新聞人みずからが政界工作の先頭に立っていては話にならない。
こうした状況になっているのは、新聞社の収益構造が国の政策に左右される体質であるからだ。軽減税率問題の他に、「押し紙」問題や再版制度の問題でも、同様の収益構造の問題がある。
安保法制の問題と軽減税率の問題がセットで登場しているのも、背景にメディアコントロールの力学が働いているからにほかならない。