2018年03月30日 (金曜日)

日本年金機構のデータ入力事件、過去に博報堂が起こした郵政事件の構図と類似

日本年金機構がデータ入力を外部の会社に委託して、大量の入力ミスを発生させた事件が発覚した。データ入力を請け負っていたのは、SAY企画という会社である。大量の入力ミスを発生させた原因は、SAY企画が入力業務を中国の会社に再委託していたからである。ある経営コンサルタントは、次のように話す。

「日本で入力すれば1件、最低でも80円ぐらいのコストがかかりますが、中国で入力すれば5円ぐらいです。75円が丸儲けという構図になっています」

このSAY企画に関してはさまざまな情報が飛び交っているが、実体はよく分からない。マスコミがなぜか詳しい報道を避けているからだ

実は、この事件とよくにた手口の事件が過去にも発生していたのを、読者はご存じだろうか。心身障害者用の「低料第3種郵便物の割引制度」を悪用した事件で、2008年10月に朝日新聞のスクープによって明らかになった。

手口は単純で、企業がPR活動などの手段として利用するダイレクトメール(広告の一種)を、心身障害者用の「低料第3種郵便物の割引制度」を使って、低料金で発送して、経費を削減するというものだった。もちろん企業は、心身障害者ではないので、この制度の利用は違法行為である。

驚くべきことに、この事業の営業には広告代理店・博報堂の子会社が関与していた。

なぜ、広告代理店が関与していたのか、ある種、不思議な気もするが、それに先だって、大がかりな裏工作が郵政と博報堂の間で進行していたことが、当時の総務省の文書に残っている。

 

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2018年03月29日 (木曜日)

多発するスラップ訴訟、対策は名誉毀損裁判を多発する弁護士のブラックリストの共有

最近、司法の世界ですっかり定着した言葉のひとつに「スラップ」がある。
日本では、「いやがらせ裁判」とか、「訴権の濫用」というニュアンスで使われているが、この言葉の発祥国である米国では、「公的な活動参加に対する戦略的な訴訟」(Strategic Lawsuit Against Public Participation)という意味である。従って、日米では、スラップの意味が若干異なっている。

たとえば左巻健男氏の次のツィートである。

ニセ科学はすぐにスラップ訴訟を言い出す傾向がある。いや、賢いニセ科学は批判されてもスルーする。批判を相手にするよりは、ずっと多数の信じる人らに買って貰えばいいからだ。焦っている、凋落している、可笑しげな顧問や関係者がいるニセ科学がスラップ訴訟を言ったりやる傾向を感じる。

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2018年03月28日 (水曜日)

新聞販売網再編の前夜、新聞社が「押し紙」を排除しはじめた本当の理由

このところ顕著になっているのが、新聞のABC部数の減部数である。坂道を転げ落ちるように、新聞の公称部数が下降線をたどっている。しかし、新聞部数の激減を単純に読者離れと解釈することはできない。結論を先に言えば、読者数は微減で、激減しているのは「押し紙」である。

ABC部数の中には多量の「押し紙」が含まれているので、ABC部数の減少が読者数の減少と錯覚してしまうのだ。

下記、青の数字は2017年11月のABC部数で、()内の赤の数字は10年前、つまり2007年11月のABC部数である。

朝日 6,136,337(8,010,922)
毎日 2,942,247(3,882,063)
読売 8,713,985(9,983,032)
日経 2,702,584(2,882,495)
産経 1,519,645(2,167,187)

この10年間で、朝日新聞は約187万部、読売新聞は約127万部、毎日新聞は約94万部の減部数となった。

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2018年03月27日 (火曜日)

広義の「しばき隊事件」の大阪地裁判決が認定した事実、暴力は客観的な事実

広義の「しばき隊」事件。差別と闘っているグループの中で、2014年12月、集団暴力があったとされる事件である。被害者のMさんが、刑事処分のあと、民事裁判で損害賠償を求めた裁判の判決が、19日に大阪地裁で下された。現場にいた5人のうち、3人に対して損害賠償命令が下された。

この裁判は客観的にみれば原告の勝訴である。しかし、原告・被告とも判決内容には不服があるようだ。双方が控訴することはまず、まちがいない。

ところでメディア黒書で既報したように、判決が下った19日の夜、被告の李信恵氏の代理人を務めている神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)が、次のようなツィートを投稿した。

「しばき隊リンチ事件」「主水事件」「M君事件」等と称された事件に判決が下りた。結論は、共謀なし。李信恵さんの責任はなし。一部に誤った認定はあったが、原告のストーリーは全て否定された。「しばき隊がリンチ事件を起こした」等とデマに踊った人々は猛省すべきである。今後、誹謗中傷は許さない

ツィートの出典

神原弁護士は、「原告のストーリーは全て否定された」と述べている。わたしは真意を確かめるために、同弁護士に取材を申し入れたが、現時点では返事がない。わたしが、「原告のストーリーは全て否定された」という記述に違和感を感じたのは、判決の中で裁判所が認定した事実を確認したところ、暴行の事実が複数認定されていたからだ。

神原弁護士は、「李信恵さんの責任はなし」と述べているが、判決文の事実認定は次のようになっている。Mさんが事件の現場となった居酒屋に到着した直後の状況である。

(ア)被告普鉉が原告を迎えに出て、同月17日午前2時頃、原告及び被告普鉉が本件店舗内に入ったところ、出入口に最も近い席に坐っていた被告信恵が、原告に対して「なんやのお前」などと言いながら、原告に詰め寄り、その胸倉をつかんだ。これに対し、被告普鉉が、直ちに「まあまあまあ、リンダさん、ごめんな。」と言い、被告金も「店やし、店やし。」などと言いながら、被告信恵を制止して、原告から引き離した。

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2018年03月26日 (月曜日)

東京都の迷惑防止条例改正、言論規制の道具に、考察が必要な「差別者」批判の方法

東京都の警察消防委員会で、22日に、「東京都迷惑防止条例」の改正案があっさりと成立した。この改正案は、警視庁から提出されたもので、共産党を除く会派が賛成した。

改正された条例によると、電子メールやSNSなどによる「つきまとい行為」や、「住居等の付近をみだりにうろつく」行為、さらに「名誉を害する事項を告げること」なども条例に抵触することになる。また、写真撮影の容認範囲も著しく限定された。そのためか、東京都版の共謀罪ではないかとの声も上がっている。

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2018年03月24日 (土曜日)

「しばき隊事件」の大阪地裁判決を検証する、神原元弁護士は何を根拠に「原告のストーリーは全て否定された」とコメントしたのか? 暴行現場の録音記録との著しいギャップ

2014年に起きた「カウンター」、あるいは「しばき隊」と称するグループのメンバーが、大学院生のMさんに暴言と暴力で襲いかかり、ひん死の重症を負わせた事件で、司法判断が下った。この事件では、刑事処分のあと、Mさんが損害賠償を求めた民事訴訟が行われている。その第1審の判決が19日に下されたのだ。大阪地裁が下した判決の概要は次の通りである。

(1)被告エル金および被告伊藤大介は原告に対し、79万9,740円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(2)被告凡は、原告に対し、1万円及びこれに対する平成26年12月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。

(3)原告の被告エル金に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

(4)原告の被告凡に対するその余の主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。

(5)原告の被告伊藤に対するその余の請求をいずれも棄却する。

(6)原告の李信恵及び松本英一に対する請求をいずれも棄却する。

(7)被告伊藤及び松本の反訴をいずれも棄却する。

(8)訴訟費用は、被告エル金に生じた費用の11分の4及び原告に生じた費用47分の1を被告エル金の負担とし、被告凡に生じた費用の220分の1と原告に生じた費用の188分の1を被告凡の負担とし、被告松本に生じた費用の5分の3と原告に生じた費用の188分の33を被告松本の負担とし、被告伊藤に生じた費用の188分の53を被告伊藤の負担とし、その余を原告の負担とする。

(9)この判決は第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

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2018年03月22日 (木曜日)

多発する著名人による名誉毀損裁判、辛淑玉氏のケースを考える、言論統制を招く危険性

名誉毀損裁判(刑事)の起訴数が安倍内閣になってから急に増えているというデータがある。

データの出典

グラフを見れば分かるように、安倍内閣が成立した2012年あたりから、急激に上昇しているのである。しかも、刑事事件としての名誉毀損裁判である。

通常、名誉毀損で提訴する場合、刑事ではなく、民事で訴える。刑事事件として訴えるケースは少ない。その名誉毀損の刑事裁判が増えているということは、それ以上に民事事件が増えている可能性が高い。

実際、筆者が情報収集した範囲だけでも、「またか」とあきれるほど名誉毀損裁判が多発している。しかも、言論人や社会的な影響力がある人が原告となるケースが増えているのだ。

最近(3月16日)も、社会運動家であり文筆家の辛淑玉氏が、フリージャーナリストの石井孝明氏に550万円の損害賠償を求める名誉毀損裁判を起こした。そして、おそらくは知人である神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)が、ツイッター上で次のように呟いている。

辛淑玉さんの隣にいる俺は、連中がやったことのあまりの酷さに怒り、被害者である辛さんの話に涙をこらえた。いい加減にしろ日本!

東京MXテレビ:沖縄番組「ニュース女子」 BPO、人権侵害認定 再発防止勧告 - 毎日新聞

出典

「いい加減にしろ日本!」の意味は不明瞭だが、辛淑玉氏の名誉を毀損した責任が日本にあるというのであれば論理が飛躍している。右派の人々に揚げ足を取られるだろう。

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