2026年05月20日 (水曜日)
「公開されない裁判」への違和感――外国人記者が見た日本司法の閉鎖性

本稿は19日付メディア黒書の続編である。浅野氏の講演に先立って行われた西村カリン氏の話のうち、特にわたしの印象に残った箇所を紹介する。19日付記事については、次のURLからアクセスできる。
浅野健一氏の「『石ころを石礫に』講演会で見えた元大学教授の本音」
西村カリン氏は、山上徹也裁判の公判を初回から判決まで傍聴した唯一の外国人記者である。外国人の視点から、日本の裁判制度がどのように見えるかを語った。(なお、以下の内容は『世界』〈2026年4月号〉に西村氏が執筆した記事と重なるため、より正確な記述にするため同誌も参考にした。)
2026年05月19日 (火曜日)
浅野健一氏の「『石ころを石礫に』講演会で見えた元大学教授の本音

浅野健一氏の新刊書『石ころを石礫に』の出版を記念する講座が、5月16日に東京の神保町界隈で開かれた。山上徹也事件の裁判員裁判を初回から判決まで傍聴した浅野健一氏と、フランスのジャーナリストでやはりこの裁判を最初から最後まで傍聴した西村カリン氏が講演した。浅野氏は、これまでの自身の仕事や新刊書について語った。西村氏は、傍聴を通じて感じた日本の裁判の在り方などを批判した。後者については示唆に富む内容だったので、20日付の「メディア黒書」で改めて紹介したい。
2026年05月18日 (月曜日)
そして言論の自由?

執筆者:ロベルト・トロバホ・エルナンデス
「オンライン」にすると、数秒のうちにアルゴリズムが完璧にパッケージ化された「現実」を提供してくる。ある人々には国家を救う大統領が見え、別の人々には制度を破壊する暴君が見える。同じニュースなのに、まったく正反対の二つの真実が存在する。ようこそ、21世紀のグローバル化した世界へ。そこでは報道の自由は、制服を着た検閲官や殺し屋だけでなく、物語を操作する経済的・技術的権力とも対峙している。
国境なき記者団(RSF)の「世界報道自由指数 2025/2026」によれば、この25年間で状況はかつてないほど悪化している。初めて、世界の半数以上の国々がジャーナリズムにとって「困難」または「極めて深刻」な状況にあると分類された。経済指標は歴史的低水準に達しており、メディアは貧困化し、強大な広告主やトラフィックをもたらすプラットフォームへの依存を深めている。
2026年05月08日 (金曜日)
「5・3護憲集会」を海外メディアはどう報じたか? 中国メディアが突出、ベネズエラのメディアも

5月3日、東京都江東区の東京臨海広域防災公園で、5万人が参加する護憲集会が開かれた。海外メディアはこの集会をどのように報じたのか。インターネット上の記事を調べたところ、中国メディアが圧倒的に大きくこのニュースを扱っていることが分かった。
たとえば、新華社通信は「5万人が平和憲法改正に反対して集会」と題して詳細に報道した。CGTN(中国グローバルテレビジョンネットワーク)や中国系英字メディアのGlobal Timesも大きく報じている。
2026年05月01日 (金曜日)
報道の自由度ランキングの実像――「国境なき記者団」と資金・政治の関係を検証する

国際NGO「国境なき記者団」は、4月30日に2025年度の「報道の自由度ランキング」を発表した。世界180の国と地域を対象に報道の自由度を評価・序列化したものである。日本は66位だった。上位5か国と下位5か国は次の通りである。
■上位5か国
1 ノルウェー
2 エストニア
3 オランダ
4 スウェーデン
5 フィンランド
■下位5か国
176位 イラン
177位 シリア
178位 中国
179位 北朝鮮
180位 エリトリア
2026年04月28日 (火曜日)
ゴーストライター原稿をめぐる著作権問題、浅野VS辻井、過去には「現代のベートーベン」佐村河内守の事件でクローズアップ

『石ころの慟哭 山上徹也・奈良地裁裁判の私記』(辻井彩子著、あけび書房)の出版差し止めをめぐる事件の続報である。この事件の争点は、同志社大学の元教授でジャーナリストの浅野健一氏が、2人のアシスタント(編集者とゴーストライター)の協力を得て制作した原稿の著作権が誰に帰属するかという点にある。浅野氏は出版を取りやめた後、ゴーストライターは、原稿を改編して、あけび書房から自らの名義で出版した。これに対して浅野氏は、出版差し止めの仮処分を裁判所に求めた。
一方で浅野氏は、同じテーマの本を三一書房から出版する予定である。タイトルは『石ころを石礫に 安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』。4月末には書店に並ぶ見込みだ。この本に、ゴーストライターの辻井彩子氏が執筆した原稿(以下、「元原稿」)の一部が使用されている可能性は、次の記述からも読み取れる。
2026年04月27日 (月曜日)
ゴーストライターと共同著作権―『石ころの慟哭』事件の論点整理

ジャーナリストで元同志社大学教授の浅野健一氏が、『石ころの慟哭 山上徹也・奈良地裁裁判の私記』(辻井彩子著、あけび書房)の出版差し止めを求めて裁判所に仮処分を申し立てた事件の続報である。浅野氏は先週、申立書をメディア向けに公開した。
それによると、事件の概要は次の通りである。あけび書房にも自社の主張があると推測されるが、ここでは浅野氏側の経緯説明を要約する。
まず、浅野氏とあけび書房は「 安 倍 晋 三 元首 相 銃 撃 ・ 山 上 徹 也 さ ん 裁 判 聴 記 」を出版することで合意した。これを受けて浅野氏は書籍の制作に取り掛かったが、二人の女性がアシスタントとして制作に加わった。二人は、フリーランスの編集者A氏と、ゴーストライターなどの業務を担当する辻井彩子氏である。辻井氏は、後に『石ころの慟哭』の著者になる。
浅野氏は、安倍殺害事件に関して書いた記事などを編集者Aに提出し、「赤入れ作業」を依頼した。それをあけび書房が入力した。完成後、これらの記述物を辻井氏へ渡し、辻井氏は書籍の制作に取りかかった。その際、辻井氏は新聞やインターネット上の記事も参照して執筆した。(推測になるが、浅野氏が提出した記事だけでは単行本としての分量が不十分だったためだろう。)
次に、浅野氏は辻井氏が作成した草案の修正を行った。特に、辻井氏が心情などを加筆した部分はすべて削除し、全体を再構成したうえでさらに加筆を行い、「最終原稿」とした。
その後、浅野氏はあけび書房に対して出版を撤回し、訴外の三一書房から、恐らく修正した原稿を出版した。
以上が申立書の概要である。念のため、原文の中から事件の経緯に関する重要部分を引用しておく。そのうえで、私見を述べたい。
2026年04月21日 (火曜日)
著名なメディア研究者による法的措置拡大へ、浅野健一氏による言論への法的対抗は妥当か

ジャーナリストで元同志社大学教授の浅野健一氏が、『石ころの慟哭 山上徹也・奈良地裁裁判の私記』(辻井彩子著、あけび書房)の出版差し止めの仮処分を裁判所に申し立てた件で、新しい動きがあった。浅野氏が、20日、みずからのフェイスブックで、この件についてSNSなどで意見を述べた人々に対して、「法的、道義的責任」を問うと投稿したのだ。筆者も含まれている。次の箇所である。
2026年04月16日 (木曜日)
「高市内閣の支持率71%」、メディアと公権力の癒着、わたしたちはなぜ世論調査を鵜呑みにするのか?

4月4日と5日にJNNが実施した世論調査によると、高市内閣の支持率は71.5%で、不支持率は23.7%だった。一方、高市首相が所属する自民党の支持率は35.0%だった。これら2つのデータは、実態と整合していないと感じる人も多いのではないか。
このところ自民党離れが進んでいることは、地方自治体の選挙結果を見れば一目瞭然だ。東京の清瀬市で共産党の市長が誕生したのに続いて、東京の練馬区でも共産党が自主支援した候補が区長に当選した。福井県知事選や石川県知事選でも、自民党が推薦した候補が敗北した。
2026年04月13日 (月曜日)
報じられない米国・イランの停戦交渉の裏面、ドル決済から人民元決済への流れ、アルジャジーラが報道

3月10日、パキスタンの首都・イスラマバードで、イランと米国による停戦交渉が行われた。この交渉の争点や、そもそも米軍によるイラン空爆が行われた背景を考える際、西側報道が十分に伝えていない重要なテーマがある。
それは、石油取引の決済通貨が米ドルから人民元へと移行する流れが、グローバルサウス(旧第3世界)で急速に広がっている点である。そして、その動きが米軍による軍事介入の一因となった可能性が高い、という問題である。
なお、筆者はベネズエラへの米軍の軍事介入についても、同じ背景があったと見てみる。
この石油の決済通過について、アルジャジーラが的確な報道を行っているので紹介したい。記事のタイトルは「ホルムズ海峡で、イランと中国が米ドルの覇権に照準を合わせる」、サブタイトルは「テヘランと北京は、中国人民元の地位を高めることで双方に利益がもたらされる」である。以下、その記事の大部分をIA翻訳で紹介する。
ちなみに、西側メディアが報じた交渉の柱(米国の提案)は、次の10項目であった。
2026年04月09日 (木曜日)
「何が報じられないのか」──徴兵制度への道、予備自衛官法案が示す日本メディアの盲点

報道を検証する際には、何を報じているかよりも、何を報じていないかに着目する必要がある。新聞研究者の故・新井直之氏が、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で述べたこの提言を参考にして、8日の新聞報道を検証すると、ある具体的な事例が浮かび上がる。
それは4月3日に高市内閣が予備自衛官等兼業特例法案を国会に提出したニュースである。公務員が予備自衛官になるための手続きを簡素化する法案である。予備自衛官とは非常勤の自衛官のことであり、緊急時に召集される。徴兵制度への最初のステップとなる可能性も指摘されている。いわば国民を戦争に動員する制度に関わる法案である。その意味で、ニュースとしての価値は高い。
2026年04月08日 (水曜日)
英国BBCのイラン担当記者・ベテラン記者が、反体制活動家、CIAとの関わりも、米国のGrayzonenewsが暴露

巨大メディアが権力構造の中に組み込まれて、広報やプロパガンダの役割を果たしている実態は、日本以外の西側諸国にもある。米国に本部を置く独立系メディアGrayzonenewsは、4月7日、「BBCのイラン担当・ベテラン記者が、反体制活動家であることが明らかになった」と題する記事を掲載した。
BBCのベテラン記者が、イランへの核攻撃を容認する発言を報じたことで激しい非難を浴びた後、CIAによって設立されたプロパガンダ・ネットワークを出発点としてキャリアを築いた、熱心な政権交代活動家であることが明らかになった。BBCの編集プロセスには、依然として深刻な疑問が残されている。
