【書評】歴史は山上徹也をどう裁くのか、鈴木エイトの『アンビバレント』を読む

ルポルタージュを読んでいて時々お目にかかるのが、まるで詳しい年表を読んでいるように味気ない作品である。とにかく情報が詰まっている。しかも、同じ密度で記述されているので、読み物としては単調になりがちである。
鈴木エイトの『アンビバレント』は、その対極にある作品である。巧みな構成により、ひとつの書籍の中で二つのドラマが並行して展開する。ひとつは、山上徹也被告の十五回にわたる公判から判決を経て、著者が拘置所で被告と接見するに至るドキュメンタリーである。単に裁判記録を紹介しているだけではなく、恐らく調書には残らない生の声も記録されている。たとえば、山上被告の母親が証言台に立った時の次の場面である。



















































