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新聞研究者の故・新井直之氏は、『ジャーナリズム』(東洋経済新報社)の中で、ある貴重な提言をしています。
「新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、『どのような記事を載せているか』ではなく、『どのような記事を載せていないか』なのである」
日本のマスコミは、重要なことを隠さずに伝えているでしょうか。環境汚染や政財界の汚職、それに国策の方向性など重要なニュースがあっても、それが自社の広告主を批判する結果を招いたり、国策に反するとデスクが判断すれば、執筆を自粛するケースが後をたちません。その結果、重要な事実が、国民にとっては「なかったこと」同然に。当然、世界の客観的な像の輪郭を把握することはできません。こうして気づかないうちに巧みな世論誘導に巻き込まれているのです。この構図は大罪です。。
報道の対象になるのは、記者クラブを通じて「役所」が発表したものが中心になります。いわゆる「発表ジャーナリズム」です。当然、役所に不都合なことは発表されない。それを記事にしても、まったくジャーナリズムの役割を果たしていることにはなりません。
このウエブマガジンでは、新井氏が指摘するように、どのような事実をマスコミが伝えていないかを見きわめながら、真に伝えなければならないニュースを提供します。また、その解説・評論も。さらにはメディアを読み解く視点を共有します。
重要度の高い事実を、国境の壁を越えて伝えていきます。
黒薮哲哉