『週刊ビッグコミックスピリッツ』の「美味しんぼ」で、主人公が鼻血を出す場面が批判の対象になっている。風評被害を引き起こすというのだ。風評被害というからには、放射能によるガンマ線と鼻血は関係がないという見解が前提になっているはずだが、果たして両者に因果関係はないのだろうか?
この点を曖昧にすると、言論弾圧が日常化しかねない。
『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)という旧ソ連の研究者たちによる報告書がある。とかく原発事故による人的被害といえば、甲状腺癌や白血病と関連づけて考える傾向があるが、同書は、放射線による癌以外の被害についても詳しく報告している。
次のPDFファイルの図は、「子どもの健康に関する自覚症状の一覧」である。
■「子どもの健康に関する自覚症状の一覧」
「重度汚染地域」と「低汚染地域」を症状別に比較したものである。報告されている症状は次の通りである。
健康状態に関する不調の訴え、虚弱、眩暈(めまい)、頭痛、失神、鼻血、疲労、心臓不整脈、腹痛、嘔吐、胸やけ、食欲不振、アレルギー。
特に着目すべき点は、1回目の調査では、すべての症状の発症率において、「重度汚染地域」が「低汚染地域」よりも高い数値を示していることである。3年後の調査では、例外的に「アレルギー」の発症率が、重度汚染地域よりも、低汚染地域の方が高くなっているのを除くと、やはり同じ傾向を示している。
注目すべきことに、「鼻血」が放射線による症状として、記録されている事実である。つまり「美味しんぼ」における鼻血の場面は、誇張ではなくて、十分な根拠があるといえる。
この程度の表現がバッシングの対象にされた事実は、言論統制が水面下でかなり進行している証といえるだろう。今やメールや電話の傍受は、あたりまえ。安倍内閣になってから、「先進国」とは思えない言論に対する嫌がらせが進行している。
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