2014年04月30日 (水曜日)
折込広告「折り込め詐欺」から「中抜き詐欺」へ、253万枚のうち67万枚を秘密裏に「廃棄」、被害額約250万円、広告代理店・アルファトレンドが広告主に提訴され、全額賠償+弁護士費用で和解
折込チラシを水増しする手口が日常化するなか、新聞業界では、新たな騙しの手口が浮上している。折込チラシを「中抜き」する新しい手口である。もっとも「中抜き詐欺」は、かなり昔からあったとする説もある。
「中抜き詐欺」を一言で説明すると、折込チラシが販売店に到着する前の物流過程で、「押し紙」部数に相応した枚数の折込チラシを廃棄する手口である。 販売店に到着して、店舗で一時保存した後、古紙回収業者に引き渡していたのでは、「折り込め詐欺」が発覚するリスクが生じるから、新手口が登場したのだ。
過剰になった折込チラシを回収する場面をビデオ撮影され、インターネットで告発されたら、詐欺の実態が知れ渡る。そこで販売店に到着する前に、処理する。
次に示すPFDは、大阪府で発覚した「中抜き詐欺」で、クライアントの(株)バースデーが被った金銭被害の一覧表である。
上記の一覧表によると、2008年6月から2009年3月までの間に、(株)バースデーが発注した253万枚の折込チラシのうち、67万枚が中抜きされていた。このうちの少なくとも42万枚は、チラシの印刷すらも行われていなかった。
(株)バースデーが騙し取られていた額は、約250万円にもなった。
(株)バースデーは、折込チラシを扱っていた広告代理店・アルファトレンドに対して民事裁判を起こした。そして、不正な請求分と弁護士費用をアルファトレンドが(株)バースデーに支払うことで和解が成立した。その後、(株)バースデーは、アルファトレンドを刑事告訴している。
アルファトレンドは、読売新聞社の子会社・(株)読宣を通じて、(株)バースデーの折込チラシを新聞販売店に搬入していた。
アルファトレンドによる「中抜き詐欺」の特徴をまとめると、次の3点に集約できる。
1、折込チラシを「廃棄」するプロセスが、販売店よりも前の物流段階に設定されている。
2、「押し紙」部数に相応した折込チラシの一部が、印刷さていなかった。これにより広告代理店は、印刷費を節約できる。
3、「中抜き詐欺」を主導しているのは、新聞販売店ではなく、広告代理店・アルファトレンドである。