新聞特殊指定に関する情報公開期限を延長、公取委が通知
2025年4月21日付けで筆者が公正取引委員会へ申し立てた新聞特殊指定に関する情報公開請求に対して、同委員会は、5月27日付けで「開示決定等の期限の延長について(通知)」と題する文書を筆者宛てに送付した。延長の期間は、開示請求があった日から60日以内である。延長の理由は、「行政文書の精査及び開示の可否の検討に時間を要するため」としている。
通知文書の全文は次の通りである。
公取委に対して情報公開請求、新聞社の「押し紙」政策に便宜を図った背景の解明へ、当時の公取委員長がプロ野球コミッショナーに
公正取引委員会に対して、4月21日付けで、送付した情報公開請求の申立書の中味を公開しておこう。この申立書は、1999年に公正取引委員会(公取委)が行った新聞特殊指定の改訂に関する内容である。
公取委と日本新聞協会の間で、「押し紙」対策の考案と策定にあたり、談合が行われた疑惑があり、全容を解明することが情報公開請求の目的である。
発端は、1997年に公取委が石川県の北國新聞社に対して行った「押し紙」の排除勧告である。勧告の際に公取委は、他の新聞社についても、「押し紙」が存在するとの情報を把握していることを根拠として、日本新聞協会に対しても「押し紙」問題を喚起した。
こうした状況の下で、公取委と日本新聞協会は、問題解決に向けて協議を重ね始める。ところが不思議なことに、話し合いの果実として公表された新聞特殊指定の改訂版(1999年)は、旧来のものよりもはるかに「押し紙」が自由にできる内容となっていた。
改訂前の新聞特殊指定の下では、「実配部数+予備紙2%」を超える部数は、原則的に「押し紙」と見なされていたが、改訂後は従来の「押し紙」を「予備紙」と言い換えることで、問題を放置したのである。残紙は、すべて販売店側が購入した「予備紙」と見なすようになったのだ。
その結果、今世紀に入るころから、残紙が爆発的に増えた。いくら残紙があっても、それを「予備紙」と見なすことで、法律の網の目を潜り抜けるようになったのだ。どのような経緯で、従来の「押し紙」を「予備紙」に変更したのかを解明することは不可欠である。
情報公開請求の申立書は次の通りである。
1999年の新聞特殊指定の改訂、「押し紙」容認への道を開く「策略」
渡邉恒雄氏の死に際して、次から次へと追悼記事が掲載されている。ここまで夥しく提灯記事が現れるとさすがに吐き気がする。ナベツネに「チンチンをしない犬」はいないのかと言いたくなる。
渡邉氏に関して、日本のマスコミが絶対にタッチしない一件がある。それは1999年に日本新聞協会の会長の座にあった渡邉氏が、新聞特殊指定改訂で果たした負の「役割」である。日本の新聞社にとって、計り知れない「貢献」をしたのだ。それは残紙の合法化である。残紙により大規模にABC部数をかさ上げするウルトラCを切り開いたのである
日本新聞協会と「押し紙」を放置する公正取引委員会の密約疑惑、1999年の謎
日本新聞協会と公正取引委員会の「押し紙」をめぐる密約疑惑をレポートした記事の転載である。出典は、『紙の爆弾』(6月7日号)。
裁判所は、弱者にとって「駆け込み寺」なのだろうか。こんな自問を誘う判決が、「押し紙」裁判で続いている。「押し紙」裁判とは、新聞社が販売店に対して課している新聞の仕入れ部数のノルマが独禁法の新聞特殊指定に違反するとして、販売店が損害賠償を求める裁判である。今世紀に入るころから急増したが、わたしが把握している限りでは、販売店が勝訴したケースは2件しかない。しかも、この2件は、政界に対する影響力が弱い地方紙を被告とした裁判である。朝日・読売・毎日・産経・日経の中央紙を被告とした裁判では、ことごとく新聞社が勝訴している。
「あなたがたが、わたしどもを訴えても絶対に勝てないですよ」
新聞社の担当員から、面と向かって釘を刺された販売店主もいる。が、それにもかかわらず「押し紙」裁判は絶えない。その背景に、販売店主たちが裁判官を水戸黄門と勘違いしている事情がある。しかし、裁判所は弱者を救済するための存在ではない。権力構造の維持を合法化するための機関にほかならない。
◆ブラックリストの野村武範・裁判官が大阪地裁へ
去る4月20日の朝、わたしは新幹線で東京から大阪へ向かった。元販売店主の濱中勇志さんが読売新聞大阪本社に対して、約1億2400万円の支払いを求めた裁判の判決がこの日の午後に予定されていたからだ。濱中さんの販売店では、搬入される新聞の約五〇%が、俗にいう「押し紙」になっていた。
『公明新聞』を印刷している新聞社系の印刷会社、毎日新聞グループの東日印刷など26社、新聞ジャーナリズムが機能しない客観的な原因に
公明党が自民党と連立して政権党に変身したのは、1999年、小渕恵三内閣の時代である。自民党単独では、安定した政権運営にかげりが兆し、公明党が自民党の補完勢力として、その存在感を発揮するようになったのである。
しかし、公明党と新聞業界の関係が、派手に報じられることはない。かつて問題になった安倍晋三と渡邉恒雄らマスコミ幹部の会食に象徴される両者の「情交関係」などは、公明党には無縁のような印象がある。
筆者はこのほど公明党の政治資金収支報告書(2020年度分)を出典として、公明党の機関紙『公明新聞』を印刷している新聞社系の印刷会社をリストアップした。その結果、複数に渡る新聞社系列の印刷会社が、『公明新聞』を印刷していることを確認した。公明党から総額で月額1億2000万円程度(2020年度6月度の実績)の印刷収入を得ている。次に示す表が、その内訳である。【続きはデジタル鹿砦社通信】
公取委が「押し紙」問題で中央紙を摘発しない本当の理由、背景にメディアコントロールの論理
警察、検察、公正取引委員、国会など企業や個人に対して特権をもった組織の方針が不透明きわまりない。森友学園事件で、安倍昭恵が何の取り調べも受けない異常が延々と続いている一方で、籠池泰典氏が自由を拘束され、留守になった自宅を競売にかけられようとしている。マネーロンダリングで不正な還付金を受け取った森裕子議員(自由党)に対する刑事告発が不起訴になる一方で、鉄道でキセル乗車をして逮捕されたひともいる。こちらは建造物侵入容疑である。不正な金銭という点では、森氏の方がはるかに高額で悪質だ。
一体、何を基準として物事が展開しているのかまったく分からない。
公正取引委員会の「押し紙」問題に対する取り組みも不透明だ。わけが分からない。中央紙に対しては、一切タッチしないという方針があるのかも知れない。「ゆさぶり」をかけても、最終的には放置する方針があるのかも知れない。
筆者は公取委に「押し紙」の証拠を提出した販売店主を何人も知っている。古い例では、1981年に北田敬一氏(読売新聞鶴舞直売所)が、自店の「押し紙」に関する資料を提出している。これを機に、国会でも「押し紙」問題が取り上げられたのである。
その後も「押し紙」に関する資料は続々と公取委に届いている。新聞社販売局の社員も内部告発のかたちで、「押し紙」に関する資料を届けたと聞いている。公取委は多量の「押し紙」に関する資料を所有しているはずだ。
それにもかかわらず中央紙の独禁法違反を摘発しない。販売店主の自殺が社会問題になっているにもかかわらず動こうとはしない。国家公務員の義務を果たさない人々とは、彼らのことである。