2013年09月29日 (日曜日)

「原発問題で味わった悲しい経験を、二度と味わいたくない」電磁波問題の第一人者・荻野晃也氏に聞く

携帯電話が爆発的に普及するなか、日常生活で電磁波に被曝するリスクが増大し、韓国では先月から規制が強化された。日本では、人体への影響を考える際、原発の放射線と、携帯電話や送電線の電磁波とを区別する傾向があるが、欧米では両者を広義の電磁波問題と捉える。

チェルノブイリ事故の放射線被害と携帯基地局による電磁波被害は、癌以外にも免疫不全や精神錯乱など多数の共通項目が観察された。スリーマイル島の原発事故では周辺にタンポポの巨大な葉が出現したが、これは携帯基地局近くの奇形植物と同じ現象だ。原子核物理学の専門家として伊方原発訴訟(原審・松山地裁)の原告を全面支援し、携帯電話や送電線の電磁波による人体影響も研究領域とする荻野晃也氏は「原発の放射線も、携帯電話の電磁波も、生体への影響はよく似ている」「メディアと最高裁には責任がある」と電磁波問題の深刻さを訴える。

(続きはMyNewsJapan)

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2013年09月25日 (水曜日)

読売掲載の北岡伸一「安全保障議論・戦前と現代、同一視は不毛」を批判する?

9月22日付け読売新聞は、国際大学の学長で、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の座長を務める北岡伸一氏が、「戦前と現代、同一視は不毛」と題する評論を掲載している。

わたしはこの論文を読んだとき、やはり学者の大半は、現場に足を運び事実を検証した上で、みずからの主張を展開する姿勢が完全に欠落していると思った。これは我田引水の評論である。この程度の論考でよく国際大学の学長が務まるものだと驚いている。

北岡氏は、日本の軍事大国化を危惧する人々は、日本が太平洋戦争へと突き進んでいった時代に現在を重複させて自衛力の強化に不安を感じているとした上で、当時と現在の状況が5つの点で異なっていると論じている。それゆえに集団的自衛権の行使を可能にすることは、危惧するには値しないというのである。

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2013年09月20日 (金曜日)

秘密保全法の成立で、「押し紙」報道・新聞批判が出来なくなる可能性

秘密保全法が成立した場合、「押し紙」関連の取材はできるのだろうか。周知のように、秘密保全法案とは、安全保障に関する情報のうち行政機関の長や警察本部長などが、「特定秘密」に指定した情報を漏らした者に対して、最高で10年の懲役を課する法律である。情報提供を求めた側も、情報を提供した側も懲罰の対象となる。「特定秘密」とは、(1)外交(2)防衛(3)安全脅威活動の防止(4)テロ活動防止、に関するものとされている。

結論を先に言えば、取材できなくなる可能性が高い。と、いうのもほとんど知られていないが、日本の新聞店の業務が部分的に、警察の防犯活動とリンクしているからだ。従って上記の(3)と(4)に抵触する可能性が高い。

次に示すのは、読売新聞社の関連団体である読売防犯協力会が、販売店と連携することで防犯活動を推進するために、覚書を締結している都道府県警察のリストである。右は、締結の年月日である。

高知県警 2005年11月2日

福井県警 2005年11月9日

香川県警 2005年12月9日

岡山県警 2005年12月14日

警視庁 2005年12月26日

鳥取県警 2005年12月28日

愛媛県警 2006年1月16日

徳島県警 2006年1月31日

群馬県警 2006年2月14日

島根県警 2006年2月21日

宮城県警 2006年2月27日

静岡県警 2006年3月3日

広島県警 2006年3月13日

兵庫県警 2006年3月15日

栃木県警 2006年3月23日

和歌山県警 2006年5月1日

滋賀県警 2006年6月7日

福岡県警 2006年6月7日

山口県警 2006年6月12日

長崎県警 2006年6月13日

茨城県警 2006年6月14日

宮崎県警 2006年6月19日

熊本県警 2006年6月29日

京都府警 2006年6月30日

鹿児島県警 2006年7月6日

千葉県警 2006年7月12日

山梨県警 2006年7月12日

大分県警 2006年7月18日

長野県警 2006年7月31日

福島県警 2006年8月1日

佐賀県警 2006年8月1日

大阪府警 2006年8月4日

青森県警 2006年8月11日

秋田県警 2006年8月31日

神奈川県警 2006年9月1日

埼玉県警 2006年9月14日

山形県警 2006年9月27日

富山県警 2006年9月29日

岩手県警 2006年10月2日

石川県警 2006年10月10日

三重県警 2006年10月10日

愛知県警 2006年10月16日

岐阜県警 2006年10月17日

奈良県警 2006年10月17日

北海道警 2006年10月19日

新潟県警2003年3月26日

沖縄県警 2008年6月12日

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2013年09月19日 (木曜日)

危険な秘密保全法、成立すれば携帯基地局問題は取材が不可能に

秘密保全法が今秋の臨時国会で提出される見込みになっている。

秘密保全法案とは、安全保障に関する情報のうち行政機関の長や警察本部長などが、「特定秘密」に指定した情報を漏らした者に対して、最高で10年の懲役を課する法律である。情報提供を求めた側も、情報を提供した側も懲罰の対象となる。「特定秘密」とは、(1)外交(2)防衛(3)安全脅威活動の防止(4)テロ活動防止、に関するものとされている。

この法律が成立すると取材活動が出来なくなり、ジャーナリズムが完全に骨抜きにされる可能性がある。たとえばTPPの問題は、(1)の外交に該当する。自衛隊の批判は、(1)から(4)のすべてに該当する。憲法9条の改悪に向けて、メディアの口封じをしたいという安部首相の意図が露骨に現れている。

住民運動は、(3)(4)にこじつけることができる。

「特定秘密」の範囲はあいまいでどうにでも解釈できる。たとえば携帯電話の基地局の位置と機能、それに所有者である電話会社名は、現在でも非公開になっているが、その理由として総務省は「テロ行為」の防止をあげている。通信網が破壊されたら、国家の安全が脅かされるので、これらの情報は公開できないというのが、彼らの説明である。

かりに秘密保全法が成立すると携帯基地局の電磁波問題は取材できなくなる。基地局に関する情報を提供した者、あるいは取材した者は、処罰の対象になるだろう。こうして言論を封じて、あちこちに携帯基地局を設置し、ユビキタス社会へ突っ走るのだ。

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2013年09月18日 (水曜日)

バレンティン外野手のホームラン日本新記録は参考記録ではないか?  偽装球問題と新聞社

『デイリースポーツ』(電子版)によると、読売の渡邉恒雄会長がプロ野球の統一球について、次のように語っている。

【2011年9月27日付デイリースポーツ紙面より】巨人の渡辺恒雄球団会長が26日、都内で取材に応じ、本塁打の激減につながった統一球に激しくかみついた。今季、ペナントレースの行方については白旗を掲げたうえで「プロ野球の経営者としては統一球ってのはどうだ?コマーシャルベースで考えれば、空中戦のほうが面白い」と、疑問を投げかけた。?  首位ヤクルトと6ゲーム差の3位で、優勝は厳しい状況。4位の阪神にも2ゲーム差と迫られている現実に「下手したら4位にもなる。今年はダメだ。来年、どうやって立て直すか」とあきらめ口調の渡辺会長。少し間を空けた後、自ら統一球の話題を切り出した。?  「日本だけの野球だったら、何もあんな統一球にする必要ないんじゃないかね。フェンス間際でみんなホームランにならないでアウト。これで観客数が減ってんだよ」。

(出典=ここをクリック)

この発言内容が事実とすれば、16日にヤクルト・スワローズのバレンティン外野手が達成したホームランの日本新記録に疑問符が付くことになる。厳密に言えば、参考記録でしかない。

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2013年09月15日 (日曜日)

公共事業は諸悪の根源? ジャーナリズムでなくなった朝日 

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

2020年、東京五輪の開催が決まりました。前回の五輪では、戦後復興の希望に燃える多くの若者がいました。しかし、今は閉塞感、内向き志向が強まっています。それを外に向け敵対心に変えてみても、何の進歩もありません。世界の人々と友情を育み、未来に向かってこの国の立ち位置を探る……。そんな若者を育てるためには、五輪は良い機会です。私は、東京五輪そのものに水を差すつもりはありません。

しかし、「新しい五輪」なら「新しい革袋」にです。五輪のインフラに期待。投入される税金の何割かをかすめ取ろうと言う政治家、官僚、古い体質の経営者の食い物にされ、借金が溜まるだけの五輪なら、止めたほうがましです。 衰えたとは言え、この国の民間企業には、まだまだ多くの蓄えと技術力があります。

五輪は、その日本の技術力を世界に宣伝するいい機会です。民間資金で、必要なインフラを整備。誇示した技術力でビジネスチャンスを見つけ、出資した企業は投資した資金を回収する。私はそんな新しいタイプの経営者が参加する「完全民営化五輪」を提案します。官に頼り、分け前を手に入れようとする姑息な経営者は、もうこの国に必要ないのです。

◇ジャーナリズムの役割は権力の監視

「公共事業は諸悪の根源」のこのシリーズ、今回で6回目です。前回までで官僚がいかに腐敗し、自らの利権のために無駄な公共事業を進めていたか、皆さんにお分かり戴けたと思います。この国を壊した責任は彼らにあります。口が裂けても、彼らを「国を支えて来た優秀な集団」などと呼ぶ訳にはいきません。しかし、監視するジャーナリズムがしっかりしていれば、何とか歯止めが出来ます。でも、残念ながら、そのジャーナリズムも壊れていたのです。

記者の仕事は、「論」より「事実」の報告です。長良川河口堰報道を朝日がどう止めたか。「今更」との読者のご批判も覚悟の上、恥も顧みず、私が具体的経過を書くのは、ジャーナリズムが監視役を放棄した場合、何が起こったかを後世に記録として残して置かねばならないと思ったからです。

既成メディアは、この朝日による長良川河口堰報道弾圧を教訓に、ジャーナリズム本来の精神を取り戻し、五輪報道では権力監視の役割を誠実に果たして行って欲しいと、私は切に願っています。

今回は、私が数々の建設省極秘資料を入手、完全に証拠固めが終わっている河口堰報道を、社会部長から「転勤だから、後輩に引き継げ」などと訳の分からない理由で1行も記事に出来ないまま止められ、1990年9月、名古屋本社社会部から、東京本社政治部に異動してからの話です。

◇朝日4本社にも序列が

朝日には、東京、大阪、名古屋、西部(九州)の4つの本社があります。新聞社が言う「本社」とは、一般会社のそれとは少し意味合いが違います。紙面の編集権を持っているところを「本社」と呼ぶのです。

ニュースは起きたところに近い程、関心が高くなります。遠いと関心は薄く、ニュース価値も小さいのです。全国紙だからと言って、全国一律の紙面を作っていては、読者の関心と一致しません。全国に散らばっている朝日記者は、自分の持ち場に応じた原稿を書きます。編集権を持つそれぞれの本社では、地域のニュース価値に応じ、記者の書いた原稿を取捨選択、見出しの大小も判断し、一つの紙面に作っていきます。

しかし、「本社」と名がついていても、それぞれに社長がいて、対等と言う訳ではないのです。朝日では、社長が常駐する東京が「本社」、発祥地である大阪が「準本社」、名古屋と西部は「支社」と言う位置付けです。

サラリーマン経験のある人なら、その「悲哀」は、お分かり戴けるでしょう。「支社」である名古屋では、幹部の人事権は東京が握っています。東京の「本社」からおかしな人物を幹部に送り込まれると、彼らは自分に都合のいいように「本社」に報告します。地方採用が多い名古屋では、そんな幹部に取り入って、身の安泰を図る人もいます。そんなこんなで、幹部の横暴をなかなか名古屋で止めることは出来ません。

朝日の人事制度は後述しますが、一応、いわゆるキャリア採用の端くれだった私は、とっくの昔に東京本社に異動してもおかしくはなかったのです。でも、前回のこの欄にも書いた通り、当時、名古屋の編集局長や本社代表を歴任した経営幹部との対立で異動が見送られ、40歳を前に初めての「本社」勤務です。

でも、本社なら様々に派閥が拮抗しています。そうそう名古屋のように一人の幹部による横暴は通じません。東京で名古屋社会部長の所業を訴えれば、そのうち潰された河口堰報道も復活出来るに違いないと、私は秘めた思いを持ちつつ上京しました。

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2013年09月13日 (金曜日)

携帯電話の基地局設置後、周辺でナスビ、キュウリ、ヒマワリなど奇形植物が続々と出現 電磁波と複合汚染の懸念 人類に対する「警鐘」

携帯電話の基地局設置後、周辺で奇形植物が続々と出現 電磁波と複合汚染の懸念

携帯電話の基地局周辺で奇形植物が出現している――そんな住民からの情報をもとに、長野県の木曽町と伊那市の現地に赴き取材すると、ナスビやヒマワリ、クローバ、キュウリ、タンポポなどに奇形が現れていることが分かった。

地元紙『信濃毎日新聞』には読者からの奇形植物の写真が多数投稿され、「公害」の認識がないまま「珍現象」として紹介されていることも分かった。生態系破壊の原因を基地局の電磁波だけに限定することは出来ないが、木曽町の学童保育所に勤める鈴木真美さんは「基地局が設置された後、あまりにも集中して奇形植物が現れた事実は重い」と証言する。

木曽町と伊那市では、基地局設置と連動して奇形が出現しており、因果関係がある可能性は高い。WHO傘下の国際癌研究機関が2011年に携帯電磁波(高周波電磁波)の発癌可能性を認定しており、「基地局リスク」は否定できなくなっている。自然界が発する人類への「警鐘」を報告する。(続きはMyNewsJapan) 

 

?【参考資料】  NTTドコモは、携帯電磁波のリスクについて、「当社グループは積極的に無線通信の安全性を確認しようと努めておりますが、更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。」と述べている。以下の記述である。

 (12)無線通信による健康への悪影響に対する懸念が広まることがあり得ること?

世界保健機関(WHO)やその他の組織団体等、及び各種メディアの報告書によると、無線通信端末とその他の無線機器が発する電波は、補聴器やペースメーカーなどを含む、医用電気機器の使用に障害を引き起こすこと、ガンや視覚障害を引き起こし、携帯電話の使用者と周囲の人間に健康上悪影響を与える可能性を完全に拭い切れないとの意見が出ております。?? 無線電気通信機器が使用者にもたらす、もしくはもたらすと考えられる健康上のリスクは、既存契約者の解約数の増加や新規契約者の獲得数の減少、利用量の減少、新たな規制や制限並びに訴訟などを通して、当社グループの企業イメージ及び当社グループの財政状態や経営成績に悪影響を与える可能性もあります。?? また、いくつかの移動通信事業者や端末メーカーが、電波により起こり得る健康上のリスクについての警告を無線通信端末のラベル上に表示していることで、無線機器に対する不安感は高められているかもしれません。研究や調査が進むなか、当社グループは積極的に無線通信の安全性を確認しようと努めておりますが、更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。

(出典=ここをクリック)?

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2013年09月11日 (水曜日)

携帯基地局の電磁波、基準値を守っていれば安全なのか?デタラメな数値の裏事情

携帯電話の基地局問題を取材してきた関係で、電磁波の安全性についての電話会社の説明に2つのタイプがあることが分かった。

1、「電波防護指針(安全基準)を守って操業しますから安全です」

2、「電波防護指針(安全基準)を守って操業します・・・・」

同じ答弁のように感じられるかも知れないが、実はかなり異なる。1は文字通り、「国の安全基準を守って基地局を操業するので、電磁波による人体影響はない」という意味である。ほかの意味はない。

これに対して2は、「国の安全基準を守って基地局を操業するので、後年、電磁波の人体影響が生じても、われわれには責任がありません」という意味である。

わたしの個人的な印象であるが、近年、2の説明をおなう電話会社の社員が増えている。「安全」とは口が裂けても言わない。「国の安全基準を順守します」とだけ言う。おそらくマニュアルがそんなふうに指示しているのではないかと思う。

本サイトでも繰り返し言及してきたように、日本の電波防護指針は、他国に比べて極めて緩やかに設定されている。

日本 1000μW/cm2

スイス 4μW/cm2

イタリア 10μW/cm2

ロシア 2.4μW/cm2

中国 6.6μW/cm2

ICNIRP 450μW/cm2

ブリュッセル 2.4μW/cm2

ザルツブルグ 0.0001μW/cm2 (目標値)

EU 0.1μW/cm2(屋外提言値)0.01(屋内)

また、バイオイニシアティブ・ワーキング・グループ(著名な14名からなる電磁波の人体影響の研究や公衆衛生の政策に関する専門家の集まり)は、2013年、従来の勧告値(0.1μW/?)よりも更に低い、0.0003〜0.0006μW/cm2という厳しい値を勧告した。

日本の基準値は、1000μW/cm2 であるから、他の地域とは比較にならないほど高い。

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2013年09月09日 (月曜日)

オリンピック報道に見る「スタンピード現象」 武田恆利会長が東京都知事に補助金27億円を請求していた

スタンピード(Stampede)現象という言葉を御存じだろうか? ウエブサイト「Klugクルーク」の用語説明は、スタンピード現象を次にように定義している。

もともとの意味は、牛の群れなどが、銃声などのきっかけでどっと一方向に逃げ出すこと。転じて、相場の世界では、参加者が群集心理として一つの方向に一気に流れていく現象を指す。

この言葉を頻繁に使って日本のマスメディアの体質を批判していたのは、元共同通信記者で故人の斉藤茂男氏だった。あるテーマをひとつのメディアが追い始めると、他のメディアも、これに乗り遅れまいとして、羊の群れのように同じ方向へ突進していく。このような状況は、昔から変わらない。

9月8日に東京オリンピックの招致が決定すると、テレビも新聞も一斉にオリンピック報道へ走りはじめた。テレビはどのチャンネルもオリンピック一色である。8日の午後には、インターネット上に早くもJALやコカコーラなどのオリンピック便乗広告やCMが登場している。

しかし、オリンピック招致に疑問を呈する声も、インターネット上では広がっている。今後、利権をむさぼり、ぼろもうけに走る土建屋と広告代理店に対する不信感を表明したもの。多額の税金がオリンピックの準備に投入されることへの疑問を呈したもの。さまざまなオリンピック批判の視点があるが、マスコミ報道にはこれらの視点がほとんど不在になっている。その筆頭はNHKである。

参考までに、ウエブサイトに掲載された元毎日新聞・運動部記者の大野晃氏の論評を紹介しよう。実に冷静で客観的な分析である。

(参考記事:五輪を利した安倍首相の暴走許すまじ)  

オリンピックの是非は別として、オリンピックを批判する観点に立ったマスメディアが皆無という実態は異常だ。たったの1社もない。これが典型的なスタンピード現象である。逆説的に見れば、現在のオリンピック報道を注意深く観察してみると、日本のマスメディアの本質、あるいはマスメディアによる世論誘導のノウハウが見えてくる。

なぜスタンピード現象を起こすのだろうか? 答えは簡単で、祝賀ムードに水を差すと、視聴率が減ったり、新聞の販売部数が減るからだ。ジャーナリズム活動を「お金儲け」の方法としか考えていないからだ。

◇武田恆利会長が都知事に27億円の補助金を請求  

東京都は、今回の招致活動にどの程度の金額を支出したのだろうか?実は、わたしは今年に入ってから、この問題を調査している。調査が完了していないので、記事化は控えていたが、入手した資料の一部を紹介しておこう。

次に示すのは、招致委員会の武田恆利氏が東京都知事に対して請求した補助金の明細である。

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2013年09月06日 (金曜日)

NTTドコモが自社のウエブサイトで、携帯電磁波の健康リスクを指摘  基地局の周辺住民はモルモット

NTTドコモのウエブサイトに次のような記述がある。おそらく同社の株主を対象とした情報ではないかと思うが、誰でもアクセスできる。

(12)無線通信による健康への悪影響に対する懸念が広まることがあり得ること

世界保健機関(WHO)やその他の組織団体等、及び各種メディアの報告書によると、無線通信端末とその他の無線機器が発する電波は、補聴器やペースメーカーなどを含む、医用電気機器の使用に障害を引き起こすこと、ガンや視覚障害を引き起こし、携帯電話の使用者と周囲の人間に健康上悪影響を与える可能性を完全に拭い切れないとの意見が出ております。

無線電気通信機器が使用者にもたらす、もしくはもたらすと考えられる健康上のリスクは、既存契約者の解約数の増加や新規契約者の獲得数の減少、利用量の減少、新たな規制や制限並びに訴訟などを通して、当社グループの企業イメージ及び当社グループの財政状態や経営成績に悪影響を与える可能性もあります。

また、いくつかの移動通信事業者や端末メーカーが、電波により起こり得る健康上のリスクについての警告を無線通信端末のラベル上に表示していることで、無線機器に対する不安感は高められているかもしれません。研究や調査が進むなか、当社グループは積極的に無線通信の安全性を確認しようと努めておりますが、更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。

(アクセス先=ここをクリック)

引用した記述の最後の部分に注目してほしい。「更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。」と述べている。少し回りくどい表現だが、端的に言えば、「今後、電磁波による人体影響に関する調査や研究が進めば、両者の関連性を示す証拠が明らかになる可能性がある」と、言うことである。

NTTドコモは、なぜ、携帯電話やアイフォンの販売にマイナス要因として働く情報を、自社のウエブサイトで公表しているのだろうか。この記述の存在に気付くひとは、ほんの一握りではないかと思うが、それでも明確にマイクロ波による健康リスクを明記しているのである。その理由として考え得るのは、訴訟対策である。

欧米では、携帯電話と脳腫瘍の関連性が指摘されている。疫学調査では、ほぼ関連性が否定できないレベルにまで調査が進んでいる。当然、日本でも訴訟のリスクは高まっていく。

裁判になったとき、自社のウエブサイトでリスクを明記していれば、携帯電話の危険性に警告を発してきたという一応の「アリバイ」になる。こうした事情を考慮して、マイクロ波のリスクを公表しているのではないだろうか。

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2013年09月05日 (木曜日)

喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求 第2東京弁護士会が黒薮の訴えを棄却 日弁連への異議申立てを決定

第二東京弁護士会は、9月2日付けで、2010年1月にわたしが喜田村洋一弁護士に対して申し立てた弁護士懲戒請求を棄却する決定を下した。主文は次の通りである。

対象弁護士につき、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当と認める。

この懲戒請求事件を担当したのは、第二東京弁護士会・綱紀委員会第2部会の秋山清人弁護士らである。

わたしが懲戒対象にした喜田村弁護士は、ロス疑惑事件の三浦和義被告や薬害エイズ裁判の安部英被告を無罪にした人権派弁護士として有名だ。日本を代表する人権擁護団体である自由人権協会の代表理事も務める。また、読売新聞社の販売政策を一貫して支援して来ており、同社に「押し紙(新聞の偽装部数)」は1部も存在しないと主張している。

このようなある種の詭弁を裁判所が認定したことで、裁判に敗訴し、人生を狂わされてしまった販売店主やその家族も複数いる。

第二東京弁護士会の秋山弁護士らが下した決定の評価については、内容を再検証した上で、後日、わたしの見解を明らかにするが、以下、議決書を読んだ率直な感想を述べてみた。従って公式の見解ではない。

事件の概要につては、次の記事を参考にしてほしい。

http://www.kokusyo.jp/?p=2593

◇ 読売の販売政策を支えてきた喜田村弁護士

第2東京弁護士会が下した議決書によると、同会が喜田村弁護士を懲戒請求から救済した根拠としたものは、わたしと読売の間で続いてきた裁判の判決である。両者の間には、2008年から次の裁判があった。???の裁判は、読売が原告で、わたしが被告である。(ただし?については、『週刊新潮』も被告)?はわたしが原告で、読売が被告だった。

?著作権裁判:地裁、高裁、最高裁でわたしの勝訴。

?名誉毀損裁判1:地裁と高裁でわたしが勝訴。最高裁では、裁判所が全員一致で読売を逆転勝訴させる。

?名誉毀損裁判2:地裁、高裁、最高裁で読売が勝訴。

?損害賠償裁判:地裁と高裁で読売が勝訴。現在、最高裁で継続中。

?の損害賠償裁判は、読売が提起した???の裁判が、わたしが続けてきた「押し紙」報道などに対する「一連一体の言論弾圧」という観点から、損害賠償を求めたものである。メディアであれば、言論で対抗するのが当たり前だが、読売は、裁判攻勢をかけて、総額約8000万円の損害賠償を求めてのである。

これらの裁判に、読売の代理人としてかかわってきたのが、喜田村洋一弁護士である。

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2013年09月04日 (水曜日)

公共事業は諸悪の根源? ジャーナリズムでなくなった朝日 その1(後編)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

新部長が赴任したのは、7月1日です。私は、「完全に、建設省のウソは解明した。証拠も万全だ。説明したい。早く検討会を開いて、報道開始のゴーサインを出して欲しい」と、デスクを通じ即座に申し入れました。

しかし、部長は「とにかく今は忙しい。しばらく待て」の一点張りなのです。確かに新しい部長が来ると、直後は各方面の役所や団体などへの挨拶回りで、多忙な日程が組まれます。しかし、新聞社は何と言っても、報道・記事が大事です。重要な報道が正念場を迎えていたなら、何を差し置いても、そのことから優先的に進めていくのは、これまでの部長なら誰でもしていたことです。

◇「その話なら、おめぃの激励会も兼ねて・・」

「どうも様子がおかしい」と、思い始めたのは、その時からです。ただ、部長が「忙しい」と言う以上、待つしかありません。もう赴任して半月余りが経った頃です。やっと部長から私に「話がある。社に戻れ」と連絡がありました。

「やっと検討会を開いてくれる気になったのか」と、私は勇んで戻りました。でも、「ちょっと内緒で」と、別室に呼び込まれました。部長はうやうやしく「君には、9月から東京本社政治部に行ってもらうことになりました」と、言い渡しました。

もちろんこの話は前にもこの欄で書いたように、その年の正月前後に前部長から聞かされていたことです。だから私は、何とか早く河口堰を記事にしなければと、急いでいたのです。でも、部長はさも自分の努力の結果かのように、人事に恩を売る口ぶりでした。

9月転勤が本決まりなら、連載を実現するまでには、なおさら時間はありません。私は、人事の話はそそくさに、「とにかく、前からお願いしている河口堰報道の打ち合わせを」と、迫りました。

しかし、部長は「その話なら、そのうちゆっくり聞く。そうだ。今月末に人事発表の部会がある。そのあと、おめぃの激励会も兼ねて、飯を食いながらでも聞こうじゃないか」と、言ってきました。

最初はうやうやしく私に「君」を使いました。しかし、この部長は、もともと部下のことを「おめぃ」呼ばわりすることでも、社内で有名でした。新聞記者の言葉遣いは、私も含めて決して褒められたものではありません。しかし、朝日広しと言えども、部下に「おめぃ」呼ばわりする部長は、他にはいませんでした。

「なるほど、社内の評判通りだった」と、内心思いましたが、そんな言葉に腹を立てている余裕はありません。「それでは遅い。建設省にもかなり当たっています。一刻も早く、記事にしたい。調査報道のプロなら、いかにタイミングが大事か、お分かりでしょう」と、説得はしました。しかし、「今は忙しい」の一点張りです。

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2013年09月02日 (月曜日)

公共事業は諸悪の根源? ジャーナリズムでなくなった朝日 その1(前編)

◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者)

いよいよ来年度の予算編成作業が始まりました。参院選で自民が圧勝。恐れていた通り、概算要求では各省庁に上限を示さず、青天井です。一応、公共事業は今年度、10%削減とされてはいます。でも、「新しい日本のための優先課題枠」と言う特別枠が設けられ、3.5兆円まで要求が認められます。

震災被災地への復興費までいろいろ名目を考え出し、流用したのがこの国の官僚です。特別枠に見合う名目など難なく見つけ、公共事業の大復活が目に見えています。来年度、予定通り消費税を増税しても、4.5兆円。その大半が公共事業に食い潰され、借金減らしに回らないまま、また増税と言うことになりかねません。

◇「水害から住民の命を守る」というウソ

これまで4回にわたりこの欄で、多額の税金を注ぎ込み、官僚・政治家が利権目当てに進める大型公共事業の内実がいかなるものだったのか、私が解明しながら朝日が記事を止めたことで、読者・世間の皆さんに伝えることが出来なかった長良川河口堰事業の「真実」について書いてきました。

当時の建設省は水余りの中、もともと利水目的が主だった河口堰事業を、1976年9月の長良川安八・墨俣水害を格好の理由づけに、「水害から住民の命を守る」として推し進めました。でも、この水害での最高水位は、堤防下2メートルに建設省が定めた安全ライン(計画高水位)より、さらに1メートル以上も下。堤防上からは3メートル以上下にしか水は来ていなかったのです。

このことを手掛かりに、実は治水上も堰は必要ないのではないかと考え、建設省の数々の極秘資料を入手。同省の行政マニュアル『河川砂防技術基準〈案〉』通りの結果を打ち出すウソ発見器のパソコンを完成させ、解明を進めました。

その結果、90年に1度(90年確率)の毎秒7500トン(計画高水量)の大水でも、堤防の安全ライン以下しか水が来ないのを、建設省は十分承知しながら公表していなかったのです。しかも、私の取材に気付き、川底の摩擦の値(粗度係数)まで改ざん、長良川を「水害の危険のある川」との偽装工作までしていました。

朝日が明文化している記者に求める仕事の第1は、「権力監視」です。それに何より、ジャーナリズムの基本中の基本は、国民の「知る権利」に応えることです。応えないジャーナリズムはジャーナリズムではないのです。

例え、利権に目がくらんだ官僚・政治家が無駄な公共事業をしようとしても、ジャーナリズムが健全で権力監視の役割りを果たせば、歯止めが出来ます。事実を知らせていけば、やがて国民・住民による自浄作用が働くはずです。

ジャーナリズムが腐敗、監視の役割を放棄すれば権力は野放し、やりたい放題です。実際、長良川河口堰では、朝日は恣意的に記事を止め、「権力の陰謀」を知らすことが出来ませんでした。その結果、工事に「待った」がかからず、その後のバブル崩壊で、「不況対策」の名の下に無駄な公共事業が際限なく続きました。この国が1000兆円を超える借金を抱え、今日の苦境に迎えたのも、そのためだと言えなくもないのです。

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