1. 検察審査会

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2015年03月04日 (水曜日)

小沢一郎検審の架空検審疑惑を追及する「市民」を東京地裁が強制退去させる、質問の答えは「秘密」

小沢一郎検審(東京第5検察審査会、2010年9月14日に起訴相当議決)が架空であった疑惑を調査してきた志岐武彦氏(『最高裁の罠』の著者)と石川克子氏(市民オンブズマンいばらき)が、2月27日に、東京地裁の中にある東京検察審査会の事務所から、警備員により強制的に退去させられていたことが分かった。

志岐氏からの告発を受けて、わたしが聞き取ったところ、次のことが分かった。

まず、志岐氏が東京検察審査会を訪問した目的は、以前、同氏が情報公開請求により開示を受けた検察審査員名簿に不可解な点が発見されたので、それについて質問することだった。

一方、石川氏は、情報公開請求の手続きを踏んで入手できることになった検察審査会のハンドブックとリーフレットの配布先一覧の開示を受けるためだった。

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2015年01月09日 (金曜日)

ブログ「一市民が斬る」が鳩山検審裏金疑惑の裏付け資料を公開、問われる最高裁事務総局の責任

最高裁事務総局の組織である検察審査会の裏金疑惑を追及している志岐武彦氏が主宰するブログ「一市民が斬る」が、8日付けで、鳩山検審における裏金作りを証拠だてる主要な資料を公開した。

鳩山検審の主要な資料PDF

裏金作りの手口は、架空と思われる審査員の日当と旅費を、偽の請求書で支出させ、銀行口座に振り込むという古典的なものだった。しかし、裏金作りの首謀者が、偽の請求書に誤った金額やシリアル番号などを書き込んでいた足跡が、情報公開資料の精査によって発覚した。

偽の審査員の名前も間違っていた可能性が極めて高いが、情報公開資料にあるこの箇所が黒塗りにされているので、確実なことは言えない。

鳩山検審における裏金作りの手口は次の通りである。

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

志岐氏が解明した2つの検審事件-小沢検審と鳩山検審-のうち後者には、確証がある。実在する審査員が自分で請求書を作成したのであれば、絶対に起こりえない記入ミスを犯し、それに捺印(情報公開資料では、黒塗り)しているからだ。

なぜ、裁判所の不正が重大問題なのだろうか?

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2015年01月08日 (木曜日)

小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑のルーツは自民党の時代、輪郭を現す権力抗争

本サイトで繰り返し報じてきた検察審査会をめぐる2つの疑惑。小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑の共通点について、解説しておこう。そこから検察審査会制度の闇、あるいはそれを牛耳っている最高裁事務総局の実態が輪郭を現してくる。

なお、2つの検審疑惑の詳細については、次の記事を参考にされたい。

「最高裁をただす市民の会」が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

繰り返しになるが、検察審査会とは、「検察」の名を付しているものの、検察による不起訴決定の当否を審査する最高裁事務総局の組織である。従って検察審査会の不正は、裁判所の不正にあたる。

2つの検審疑惑を解明した『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏によると、この問題を考えるうえで、欠くことができないのは、2008年1月に最高裁がおこなったある「改革」である。

2008年1月21日、最高裁は、「全国に201カ所ある検察審査会のうち地方の50カ所を廃止し、9都市の大規模地裁管内で計14カ所を増設再編案を発表した」(日経新聞・2008年1月22日)のである。

このうち小沢検審と鳩山検審の舞台となった東京検察審査会(東京地裁内)は、「審査会を2カ所から6カ所へ増やす」ことになった。つまり従来は、第1検察審査会と第2検察審査会の2つだけだったが、これに第3、第4、第5、第6の検審を新たに設置することになったのだ。

事実、この計画は実施され、現在、東京地裁管内には、6つの検察審査会が置かれている。

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2014年09月02日 (火曜日)

検察審査会法の41条の解釈変更、報道されないうちに変更されていた、だれもが簡単に刑事被告人になるリスクの到来

国家公務員たちが、わがもの顔に憲法や法律の解釈を変更する風潮が生まれている。改めていうまでもなく、「憲法」解釈の変更といえば、安倍内閣の面々を連想する。が、刑事事件の行方を左右する検察審査会法の解釈が大きく変更されていた恐ろしい事実は、ほとんど知られていないのではないか?

検察審査会を牛耳る最高裁事務総局が、変更を告知したかどうかも不明だ。今後、調査する必要がある。

検察審査会法の解釈変更について説明する前に、この「改悪」を発見した人物を紹介しておこう。発見に至るプロセスをたどると、偶然に偶然が重なっており、神仏に冷淡なわたしでさえも、「もしかすると、最高裁事務総局の闇を糾弾する神が、この人物に憑いているのかも知れない」と本気で考えてしまった。

7月18日の午後1時10分。わたしは前参院議員の森裕子氏が、『最高裁の闇』の著者で、旭化成を退職した後に執筆活動を始めた志岐武彦氏に対して500万円のお金と、言論活動の一部禁止を求めた名誉毀損裁判の判決を聞いた。法廷には志岐氏もいた。

判決は、MEDIA KOKUSYOで既報したように志岐氏の勝訴、森氏の敗訴だった。

その後、われわれ支援者は東京地裁のロビーに降りた。と、志岐氏が玄関の前で、足を止めてスタンドに置かれていた「検察審査会Q&A」と題するリーフレットに手を延ばして、

「2、3冊もらっていこうか」

と、言って手に取った。

この2、3冊のリーフレットは表紙は同じだが、たまたま「新版」の中に「旧版」が紛れ込んでいたのだ。

結論を先に言えば、「旧版」と「新版」を照合すれば、最高裁事務総局がやったある恐ろしい事実が見えてくる。それを解明する役割を、「最高裁の闇」を追及してきた志岐氏が、裁判勝訴の日に担ってしまったのである。

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2014年08月01日 (金曜日)

東京第五検察審査会が、東電の元経営陣に対して起訴相当の議決、くじ引きソフトの疑惑は晴れたのか?

東京第5検察審査会は、7月23日、東電の旧経営陣である勝俣恒久(元会長)、武藤栄(元副社長)、それに武黒一郎(元副社長)の3氏に対して「起訴相当」の決議を下した。残りの3氏については、起訴しないことが相当とする判断を下した。

検察審査会というのは、「検察」の名前を付しているが、検察が不起訴にした事件につき、その正当性を検証する組織で、最高裁事務総局の管轄下にある。検察の組織ではない。裁判員裁判の裁判員と同様に、検察審査員は有権者の中からくじ引きで選ばれる。定員は11名で、半年ごとに半数が交代する。

検察審査会が「起訴相当」の判断を下すと、検察は対象事件を再捜査して、
再び起訴するか、不起訴にするかを決める。不起訴と結論づけた場合、有権者は再度、検察審査会に審査の申し立を行うことができる。

そして2度目の「起訴相当」決議が下された場合、容疑者は強制的に法廷に立たされることになる。このようなプロセスを経て、刑事裁判に発展した例としては、小沢事件が有名だ。

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2014年06月13日 (金曜日)

最高裁における情報開示の怪、法律を無視して役人の裁量で判断する「開示」と「非開示」

いまや民主国家では常識になっているのが情報公開制度である。これは、役所が保持する文書(たとえば、自治体の経理関係資料、議会の議事録など)の開示を住民が求めた場合、プライバシーや個人情報など若干の項目に抵触しない限りは、原則的に全面開示に応じる制度である。

■参考:情報公開法

情報公開請求は、国民の権利として法律で認められているのである。

ところが情報公開のルールが、裁量により堂々と踏みにじられているという声が上がっている。しかも、開示を請求してから、実際に役所が資料を開示するまでにかなりの時間を要す場合がままある。わたしも最高裁に対して、繰り返して情報公開を請求してきたが、開示まで半年ぐらいを要す。

民間企業であれば、1日で片づける作業を、のらりくらりと半年、あるいはそれ以上の時間を費やしてやっているようだ。しかも、肝心な情報を隠してしまう例が後を絶たない。

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2014年06月10日 (火曜日)

東京第5検察審査会の「闇」、第5検審による疑惑だらけの小沢起訴議決の次は福島原発訴訟の審査

MEDIA KOKUSYOで、疑惑の「デパート」として繰り返し報じてきた東京第5検察審査会(以下、第5検審)が、福島原発訴訟に「介入」している。

福島原発訴訟の不起訴に対して、原告ら約6000人が不起訴撤回を求めておこなった「審査申立」を、疑惑の第5検審が担当している事実をご存知だろうか。

◇検察審査会の「闇」

検察審査会というのは、「検察」の名前を付しているが、最高裁事務総局が管轄する機関である。役割は、検察が不起訴にした事件で、異議が申し立てられたときに、起訴が相当かどうかを審査し、結論を出す機関である。

審査員は、有権者から「くじ引き」で選ばれる。

起訴相当の判断が下された場合は、検察が容疑者を再調査する。その結果、再び不起訴という結論になれば、申したてを行った者は、再度、検察審査会に審査を申したてることが認められている。そして審査委員たちが2度めの起訴相当の判断を下した場合、検察の方針とは無関係に、容疑者は強制起訴される。

その典型例が小沢一郎氏である。小沢氏は、陸山会事件で検察の取り調べを受けた後、不起訴になったが、検察審査会への審査の申したてがあり、第5検審が担当した。そして「審査員」らが2度にわたって起訴相当との判断を下したために、強制起訴されたのである。

ところが起訴が決定した日と、小沢氏が立候補していた民主党代表選の日(2010年9月14日)が重なったために不信感をいだいた志岐武彦氏(『最高裁の罠』の著者)らが、情報公開制度を利用して、膨大な内部資料を入手し、第5検審の実態を調べたところ、帳簿上でしか審査員が存在しなかった疑惑が浮上したのである。

情報公開された資料の整合性を専門家をまじえ、綿密に検証する中で、「架空の審査会」であったことを推論するに十分な証拠が浮かび上がったのだ。

審査員が存在しなかったということは、最高裁事務総局か、検察審査会の事務局が自分で、起訴か不起訴を決めて容疑者を法廷に立たせ、裁判官が判決を書くという茶番劇がまかり通ることになる。戦後民主主義の評価にかかわる大問題が浮上したのである。

第5検審にかかっている重大疑惑の詳細については、後述するとして、福島原発訴訟が第5検審に割り当てられるまでの経緯を簡単にたどってみよう。

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