MEDIA KOKUSYOで、疑惑の「デパート」として繰り返し報じてきた東京第5検察審査会(以下、第5検審)が、福島原発訴訟に「介入」している。
福島原発訴訟の不起訴に対して、原告ら約6000人が不起訴撤回を求めておこなった「審査申立」を、疑惑の第5検審が担当している事実をご存知だろうか。
◇検察審査会の「闇」
検察審査会というのは、「検察」の名前を付しているが、最高裁事務総局が管轄する機関である。役割は、検察が不起訴にした事件で、異議が申し立てられたときに、起訴が相当かどうかを審査し、結論を出す機関である。
審査員は、有権者から「くじ引き」で選ばれる。
起訴相当の判断が下された場合は、検察が容疑者を再調査する。その結果、再び不起訴という結論になれば、申したてを行った者は、再度、検察審査会に審査を申したてることが認められている。そして審査委員たちが2度めの起訴相当の判断を下した場合、検察の方針とは無関係に、容疑者は強制起訴される。
その典型例が小沢一郎氏である。小沢氏は、陸山会事件で検察の取り調べを受けた後、不起訴になったが、検察審査会への審査の申したてがあり、第5検審が担当した。そして「審査員」らが2度にわたって起訴相当との判断を下したために、強制起訴されたのである。
ところが起訴が決定した日と、小沢氏が立候補していた民主党代表選の日(2010年9月14日)が重なったために不信感をいだいた志岐武彦氏(『最高裁の罠』の著者)らが、情報公開制度を利用して、膨大な内部資料を入手し、第5検審の実態を調べたところ、帳簿上でしか審査員が存在しなかった疑惑が浮上したのである。
情報公開された資料の整合性を専門家をまじえ、綿密に検証する中で、「架空の審査会」であったことを推論するに十分な証拠が浮かび上がったのだ。
審査員が存在しなかったということは、最高裁事務総局か、検察審査会の事務局が自分で、起訴か不起訴を決めて容疑者を法廷に立たせ、裁判官が判決を書くという茶番劇がまかり通ることになる。戦後民主主義の評価にかかわる大問題が浮上したのである。
第5検審にかかっている重大疑惑の詳細については、後述するとして、福島原発訴訟が第5検審に割り当てられるまでの経緯を簡単にたどってみよう。
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