1. 新聞ばなれ

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2023年01月03日 (火曜日)

新聞を情報源とする学生は1%未満、「日本人の61%が新聞購読者」とする新聞通信調査会の調査結果と整合せず

公益財団法人・新聞通信調査会が実施した新聞に関する世論調査によると、2020年の段階で、新聞購読率は61・3%だった。(左グラフを参照)日本人の半数以上が新聞を購読していることになる。

実感としては信じがたい数字である。読者はどう感じるだろうか。筆者が住んでいる集合住宅のポストを覗いてみても、新聞が投函されているポストはほとんどない。日本人の6割が新聞を購読しているという実感は筆者にはない。

1月1日、ヤフーニュースはジャーナリスト・亀松太郎氏が執筆した「1年で200万部減『新聞離れ』は止まらず 『一般紙』は15年後に消える勢い」と題する記事を掲載した。その中に、新聞離れの実態を示す次のような記述がある。

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2021年11月16日 (火曜日)

新聞販売店から再販制度の撤廃を訴える声、販売店淘汰の時代が本格化

新聞の凋落が進むなかで、販売店主らは現在の情況をどう見ているのだろうか。ここひと月ほどの期間に、筆者が接触した店主らから次のような声が上がっている。

①「押し紙」を排除して、自由増減にすれば、まだ当分の間は販売店経営を維持することができる。

「押し紙」(広義の残紙)が経営の負担になっている。かつては折込広告の受注が多かったので、「押し紙」があっても、折込広告の水増し収入で、「押し紙」の損害を相殺できていた。「押し紙」に対する補助金もあったので、少なくとも損害を最小限にすることができた。

が、今は情況が一変している。「押し紙」が販売店にとって大きな負担になり、自分の預金を切り崩して、新聞の仕入代金を支払っている店主が後を絶たない。

問題は、このような「対症療法」の繰り返しが、やがて経営破綻を招くことを認識していない店主が多いことである。景気がよかった時代から、遊興を繰り返してきたために金銭感覚が麻痺している人が多い.。

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四半世紀で中央紙は1000万部減、東京新聞社25社分の部数が消えた、急増する新聞を読まない人々、電車の車両内で調査 

新聞崩壊が急速に進んでいる。1995年から2021年8月までの中央紙の発行部数(新聞販売店へ搬入された部数)の変化を調べたところ、この約26年のあいだに1000万部ほど新聞の部数が減ったことが分かった。これは発行部数が約40万部の東京新聞社が25社消えたに等しい。中央紙は、坂を転げ落ちるよう衰退している。

特に2015年ごろから、発行部数は激減している。かつて「読売1000万部」、「朝日800万部」などと言われていたが、今年8月の時点で、朝日新聞は約460万部、読売新聞は約700万部に落ち込んでいる。毎日新聞と日経新聞は、200万部を切り、産経新聞はまもなく100万部のラインを割り込む可能性が濃厚になっている。次に示すのは、中央紙の5年ごとの部数(日本ABC協会が発表する新聞の公称部数)と、2021年8月の部数である。

 

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20代、1日のインターネットの利用時間は4時間、新聞は1分、総務省がメディアの利用状況を調査、「押し紙」が増える背景?

総務省は、今年の8月にメディアに関する調査結果を発表した。タイトルは、「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」である。

内容は主要なメディア(新聞・テレビ・雑誌・インターネットなど)の年代別の利用状況や信頼度を、調査員による訪問アンケートによって調べたものである。調査対象は、13歳から69歳までの男女1,500人。

総務省の報告によると、新聞を活用していないひとが激減していて、若い世代ではほとんどが新聞と無縁であることが分かった。

たとえば、平日における「主なメディアの平均利用時間」は、20代の場合、インターネットが1日に4時間を超えているのに対して、新聞は1分7秒である。50代でも12分5秒である。これは新聞がほとんど読まれていないことを意味している。

「押し紙」が増えている要因でもある。

次に示すのが、総務省が公表した「主なメディアの平均利用時間」を示すグラフである。(→が新聞)

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2020年09月28日 (月曜日)

新潟日報が露骨な再販制度違反?「学割」を発行して学生向けに新聞の値引き販売、3400円が2000円に

新潟日報が学生向けに新聞購読料の大幅な割引をはじめたことが分かった。同紙の価格は、朝刊が3400円。「朝刊・おとなプラス」のセットは4300円である。

ところが同社は、学生に対しては朝刊を2000円に、「朝刊・おとなプラス」のセット版を2500円に割り引きする。しかし、独禁法の新聞特殊指定は、再販制度の下で新聞の値引き販売を禁止している。

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ホテルで無料配布される新聞の購読料、「一度も集金したことはない」と元新聞販売店員、ABC部数の不正なかさ上げと残紙対策が目的か?

ホテルで無料配布される新聞の購読料、「一度も集金したことはない」と元新聞販売店員、ABC部数の不正なかさ上げと残紙対策が目的か?

ホテルやファミレスで無料配布されている新聞の卸代金が、少なくとも一部の地域では、無料になっていることが、新聞販売店の元専従の話で分かった。この元専従は、東京都内の販売店に勤務して、朝夕刊の配達を担当していた。

東京・江戸川区内にあるホテルに、朝刊45部、スポーツ報知5部、夕刊30部を配達していたという。ところが集金については、次のように話している。

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2020年05月12日 (火曜日)

NIE(Newspaper in Educationの間違いについて、子供の頭に慣用句を詰め込む弊害、教材に「押し紙」の可能性も

NIE(Newspaper in Education)をご存じだろうか。これは簡単に言えば、教育活動の中で新聞を教材として使う運動である。日本新聞協会が中心になって実施しているプログラムである。同協会のウェブサイトは、NIEを次のように説明している。若干長いが全文を引用してみよう。

NIE(Newspaper in Education=「エヌ・アイ・イー」と読みます)は、学校などで新聞を教材として活用することです。1930年代にアメリカで始まり、日本では85年、静岡で開かれた新聞大会で提唱されました。その後、教育界と新聞界が協力し、社会性豊かな青少年の育成や活字文化と民主主義社会の発展などを目的に掲げて、全国で展開しています。

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2018年12月17日 (月曜日)

仲良しこよしの朝日と読売、読売が購読料を4400円に値上げ、朝日も追随する動き、販売店サイドでは談合の噂も

新聞業界が大きな転換期をむかえようとしている。

読売新聞が来年の1月から、朝刊・夕刊の「セット版」を4400円(税込み)に値上げする。25年ぶりの値上げだ。現在の価格が4037円(税込)なので、400円近い大幅値上げとなる。

1部売りも現在の130円から150円に値上げする。

朝刊・夕刊の「セット版」の価格改定にあわせて、「朝刊だけ」の購読料もあがるが、価格については販売店サイドで決めるらしい。今のところ「朝刊だけ」の価格は、4200円になるのではないかとする見方が有力だ。【続きはウェブマガジン】

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2018年12月01日 (土曜日)

【バックナンバー】新聞の世論調査報道のウソ、『新聞を読む』83%は第3者による調査ではなかった

新聞の没落ぶりは、なにも部数減に歯止めがかからないことだけではない。報道内容そのものにウソが多い。その典型例は、世論調査報道による印象操作である。

次に紹介するバックナンバー記事、「新聞協会が発表した『新聞を読む』83%、世論調査を実施したのは時事通信社と親密な中央調査会」は、世論調査が実は身内による調査で、第3者によるものではなかったことを暴露したものである。ある種のフェイクニュースである。

2014年の記事だが、実態はいまも同じではないかと推測する。

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2018年08月22日 (水曜日)

新聞奨学生、かつての3分の1に激減、縮小がとまらない新聞販売業界

新聞販売業界の衰退がいちじるしい。次に示す数値は、2001年と2017年の従業員数の全国総合計である。

日本新聞協会のデータである。

《総数》
2001年:46万4827人
2017年:30万909人

《専業(男子)》
2001年:6万3488人
2017年:3万7860人人

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2018年06月27日 (水曜日)

新聞の発行部数、2000年から約900万部減、生存できるメディアはインターネットと書籍出版だけ?

新聞ばなれに歯止めがかからない。日本新聞協会のデータによると、2000年の一般紙の発行部数は、4740万部だった。これが2017年には、3876万部にまで落ち込んでいる。864万部の減部数だ。

しかも、新聞協会のデータには、「押し紙」が含まれているから、それを差し引くと実際に新聞を読んでいる人の数は、さらに少なくなる。

朝刊と夕刊のセット版の発行部数に至っては、もっと顕著に凋落ぶりが観察できる。2000年には1818万部だったが、2017年には970万部に減った。夕刊を廃止した新聞社が多いことがその主要な原因である。夕刊はメディアとしての価値がほとんどないから、読まないのである。

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2014年03月26日 (水曜日)

新聞協会が発表した「新聞を読む」83%、世論調査を実施したのは時事通信社と親密な中央調査会

日本人(子供を除く)の83%が「新聞を読む」習慣があるという日本新聞協会の調査結果を、読者の皆さんはどう感じるだろうか?

同協会は18日、自らが主催した「全国メディア接触・評価調査」の結果を公表した。ところがこの調査は、厳密にいえば新聞協会とは無関係の第三者に依頼して実施したものではないことが分かった。本来、「身内」以外に発注するのが常識なのだが。

調査は、新聞協会の会員社である時事通信の西澤豊社長が会長を務める中央調査社が実施したものである。西澤氏は、少なくとも昨年の1月までは、新聞協会の監事だった。

この調査の結果を伝える新聞協会のウェブサイトをご覧いただきたい。調査概要の最終項目に「実査・レターヘッド:中央調査社」と、明記されている。これが実際に調査を行った組織である。

■http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/rep/

つまりこの調査では、意図的な情報操作をおこなうことができる余地があったのだ。新聞を読む習慣がある人が83%を占めるという信じがたい数字が出たゆえんではないか。

かりにこの数字が、新聞の公称部数と同様にまったく実態を反映していないとした場合、情報操作の背景に、新聞に対する消費税の軽減税率の適用を勝ち取りたいという新聞経営社(以下、新聞人)の思惑があるのではないか。

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