1. 新聞販売店から再販制度の撤廃を訴える声、販売店淘汰の時代が本格化

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2021年11月16日 (火曜日)

新聞販売店から再販制度の撤廃を訴える声、販売店淘汰の時代が本格化

新聞の凋落が進むなかで、販売店主らは現在の情況をどう見ているのだろうか。ここひと月ほどの期間に、筆者が接触した店主らから次のような声が上がっている。

①「押し紙」を排除して、自由増減にすれば、まだ当分の間は販売店経営を維持することができる。

「押し紙」(広義の残紙)が経営の負担になっている。かつては折込広告の受注が多かったので、「押し紙」があっても、折込広告の水増し収入で、「押し紙」の損害を相殺できていた。「押し紙」に対する補助金もあったので、少なくとも損害を最小限にすることができた。

が、今は情況が一変している。「押し紙」が販売店にとって大きな負担になり、自分の預金を切り崩して、新聞の仕入代金を支払っている店主が後を絶たない。

問題は、このような「対症療法」の繰り返しが、やがて経営破綻を招くことを認識していない店主が多いことである。景気がよかった時代から、遊興を繰り返してきたために金銭感覚が麻痺している人が多い.。

②「押し紙」問題の解決方法として裁判の提起を考えている店主は少数。

大半の店主は、「押し紙」裁判の提起を非常にハードルが高いと思っている。また、新聞社に対して異議を申し立てることについて、強い抵抗を感じている人が多い。裁判という発想そのものがない。このような感覚は、退任後も変わらない。

③販売店経営の大きな障害になっているのが再販制度である。

再販制度があるために、各販売店が自分の創意工夫で拡販活動を展開することができない。拡販活動は、常に新聞社の指示のもとでおこなわざるを得なくなっている。これからの時代は、販売店相互が自由に競争しなければ共倒れになる。競争することで販売網を維持することができる。それ以外に新聞業界が生き残る方法はない。

販売店は、拡販のノウハウそのものは持っている。

④新聞社の担当員が士気を失っている。

担当員は、新しい発想に乏しい。機械的に業務をこなしているような印象を受ける。新聞業界が凋落の途上なので、やる気をなくしているのではないか。

⑤紙面の質がよければ、部数を増やすことは可能。  

紙面の質が悪いので販売店としても困っている。最近の新聞記者は取材などしていないのではないか。肝心な問題を取り上げない。しかも、新聞に掲載されるニュースは、インターネットにも掲載されることが多いので、「紙新聞」でしか読めない独自の情報がほとんどない。