1. 書評・出版物の紹介

書評・出版物の紹介に関連する記事

本日発売の『週刊金曜日』、産経新聞の内部資料を暴露、大阪府の広域における「押し紙」

4月21日に投票が行われた統一地方選挙の当日のことである。筆者のもとに2枚の写真がメール送信されてきた。写真に写っていたのは、新聞販売店の店舗に積み上げられた選挙公報である。各候補者の公約を掲載したもので、有権者が投票先を決める際の指標になる情報である・・・・・・

本日発売の『週刊金曜日』に、筆者の「腐敗臭を放つ新聞社の部数獲得策『押し紙』と『景品』」--『産経』では搬入部数の約6割しか配達しない販売店も 」というタイトルの記事が掲載された。

これは産経新聞の内部資料に基づくもので、大阪府の特定の広域における正確な「押し紙」部数を暴露したもの。新聞社の両輪は、「押し紙」と高価景品を使った拡販。その両輪が回転を速めて、坂道をばく進している。

続きを読む »

【書評】荻野晃也著『身の回りの電磁波被曝』、スマホで使われる電磁波にはなぜ遺伝子毒性があるのか?

荻野晃也氏の『身の回りの電磁波被曝』(緑風出版)が出版された。著者の荻野氏は、京都大学の元講師で、スリーマイル島原発事故(1979年)の調査が本格化した時期に、米国から日本へ電磁波問題を紹介した最初の研究者である。多数の著書があるが、本書は、電磁波による人体への影響をさまざまな角度から指摘している。

5Gの導入が世界規模で進むなか、皮肉にも電磁波が身体に及ぼす影響が否定できなくなっている。かつては、電磁波(放射線)の中でも、エネルギーがより高い原発のガンマ線やレントゲンのエックス線は危険だが、エネルギーの低い家電から放射される超低周波の電磁波は安全と考えてられてきた。しかし、現在ではエネルギーの大小には関係なく、遺伝子毒性があるとする説がほぼ定着している。

しかし、電磁波問題は、背後に電話会社、電機メーカー、自動車メーカー、それに軍事産業などの巨大利権が絡んでいるので、ほとんど報じられることはない。

本書が扱っているテーマは幅広く、すべてを紹介するわけにはいかないが、ここでは大半の人々が利用している携帯電話やスマホで使われるマイクロ波についての荻野氏の見解を紹介しよう。

続きを読む »

『紙の爆弾』滋賀医科大病院の事件を続報、冷酷な傍観者 ”厚生労働省”

本日発売の『紙の爆弾』に滋賀医科大医学部附属病院の事件を書いた。タイトルは、「不要な医療行為の被害も 滋賀医大病院の前立腺がん『治療妨害』

この記事は、患者会による厚生労働省と国会への申し入れを通じて、事件の性質を伝えたものである。一部を抜粋しておこう。

厚生労働省では、根本匠・厚生労働大臣に代って、北波孝・医政局総務課長が対応した。山口さんと木村さん(いずれもがん治療を拒否されている患者)が、直接に同省へ助けを求めたのはいうまでもない。北波課長は、
「出来ることと出来ないことがありますが、 こういう嘆願があったことは滋賀医科大病院へ伝えます」
 と、言った。この申し入れが人命救助の案件であることをよく理解していないような印象を、筆者は受けた。筆者は建前を優先する傍観者を連想した。ちなみに患者会は、厚生労働省に対して、滋賀医科大病院で発覚したカルタの不正閲覧事件の調査を要請するなど、何度も面談を重ねてきた。が、同省の方針は見えない。
なお、厚生労働省に先立って参議院議員会館で、正午から行われた国会議員に対する申し入れは、次の議員の秘書が患者会の四人に対応した。

こやり隆史・参議院議員(自民党)
足立信也・参議院議員(国民民主党)
山下芳生・参議院議員(共産党)
三ツ林裕也・衆議院議員(自民党)
櫻井周・衆議院議員(立憲民主党)

筆者が取材メモを取っていると、突然、椅子の脚が床を引っ掻くようなギィーという鋭い音が耳に入った。音の方へ目をやると、ひとりの女性秘書が途中退席するところだった。昼休みの時間帯が残り少なくなっていたとはいえ、筆者はあぜんとした。(全文は、『紙の爆弾』で)

続きを読む »

2019年04月03日 (水曜日)

【書評】遠藤周作著『海と毒薬』、大学病院における人体実験を通じて日本人のメンタリティーを描く

子供のころから立ち回りが巧みで、学業に秀でている点を除くと、特に卓越した個性もなく、順調に階段を昇って大学病院の医局に入った助士。医師としての脚光を浴びたくて、出世競争の裏工作に奔走する教授。家族の不和を体験して、自立して生きるために病院に就職した看護婦。遠藤周作の『海と毒薬』(新潮文庫)に登場する人物は、だれも凡人である。どこにでもいる「普通の人々」、あえて違いを言えば知的な人々にほかならない。

が、これら普通の人間が権威により秩序を保つ村社会に投げ込まれると、何の呵責もなく、入院患者をだまして人体実験を繰り返す。あげくの果てに、軍部からの要請に応じて、米国人捕虜を使った生体人体実験にまで及んでしまう。それも「業務」の一端に過ぎない。

続きを読む »

2019年01月16日 (水曜日)

【書評】『大暗黒時代の大学』,警察の派出所が設置された同志社、大学ビジネスの立命館

大学が学問の自由を保障して、公権力の介入を許さないという考えは、国境を超えて常識となってきた。少なくとも建前としては、大学の自治権を保障する合意があった。たとえばラテンアメリカでは、大学名にあえて「自治」という言葉を付している公立大学が少なくない。メキシコ自治国立大学(Universidad Nacional Autonoma de Mexico)のように。

2013年4月、京都市の同志社大学のキャンパスに警察の派出所が設置された。従来の常識が完全に覆ったのである。その2年後には、村田晃嗣学長が衆院平和安全法制特別委員会の場にしゃしゃりでて、戦争推進法に賛成する意見を述べた。個人として意見を述べるのは自由であるが、同志社大学学長の肩書きで、危険な持論を展開したのだ。

続きを読む »

2018年11月24日 (土曜日)

【書評】ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』、カリフォルニアに移動する1930年代の農民キャラバン

1933年から、米国中部のオクラホマ州やテキサス州をトルネードと呼ばれる猛烈な砂嵐が繰り返し襲来した。農地は砂漠と化し、農民たちはトラックに家財道具を積み込み、新天地を求めてカリフォルニアへ移動しはじめた。現在のホンジュラス問題とよく似た状況が米国でも起こっていたのだ。

しかし、新天地に到着してみると、そこには農園での過酷な労働が待っていた。『怒りの葡萄』は、歴史的な事件をベースにしたジョン・スタインベックの代表作である。

続きを読む »

2018年07月31日 (火曜日)

【書評】『敗れざる者たち』、元オリオンズ榎本喜八の悲劇、あふれる「異端者」への敬意

プロスポーツの選手は、肉体の衰えにともない、老年に達する前に第2の人生に踏み出すことを強いられる。栄光の舞台を降りた後、彼らはどのような人生を体験したのだろうか。

『敗れざる者たち』は、6人のスポーツ選手に焦点をあてた6編の中編ノンフィクションを収録している。ボクシングの世界で卓越した才能に恵まれながら、優しさゆえに世界王者になれなかったカシアス内藤、東京五輪のマラソンで3位に入賞し、メキシコ五輪で金メダルを期待されながら自ら命を絶った円谷幸吉・・・・。

6編の中でとりわけ印象深いのは、プロ野球の元オリオンズ・E選手の悲劇を描いた『さらば 宝石』だ。Eは、引退後はさっぱり表舞台に現れなかったが、現役時代には長島茂雄にほとんど劣らない成績を残している。

【安打数】
長島:2471本
E:2314本

【打率】
長島:0.305
E:0.298

続きを読む »