1. 差別表現をめぐる部落解放同盟との論争、『紙の爆弾』(12月号)

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2020年11月11日 (水曜日)

差別表現をめぐる部落解放同盟との論争、『紙の爆弾』(12月号)

『紙の爆弾』(2020年12月)の最新号は、筆者が寄稿した「徒(いたずら)に『差別者』を発掘してはならない」と題する一文を掲載した。内容については、同誌で確認してほしい。

この寄稿は、『紙の爆弾』の先月号から始まった「『士農工商ルポライター』は『差別を助長する』のか?」と題する連載企画の第2回の原稿である。

企画の発端は、同誌9月号が掲載した昼間たかし氏のルポの中で、昼間氏が使った次の表現に対して、部落解放同盟が鹿砦社側に釈明を求めたことである。

「『もうこのジャンルは書き終えたからやらない』と格好よく言いたいところだが、士農工商ルポライター家業。襤褸をまといあばやら暮らしもおぼつかない。だから、請われれば書いて、いま追いかけているテーマの取材費の足しにする」

この表現が、「差別を助長」するというのが、部落解放同盟の言い分である。これを受けて鹿砦社の松岡社長は、部落解放同盟に『紙の爆弾』誌上での論争を申し入れた。部落解放同盟もそれを承諾して、この企画が実現したのである。

タブー視されている差別表現についての論争である。本来であれば、朝日新聞あたりが取り上げなければならないテーマであるが、『紙の爆弾』が先陣を切ることになった。

なお、「士農工商」の後に職業を加えたレトリックは、昔から使われてきた。そのたびに部落解放同盟は、版元に釈明を求めてきた経緯がある。釈明を求められた側は、筒井康孝氏を除いて、謝罪してきた。