1. 裁判・黒薮

裁判・黒薮に関連する記事

「押し紙」認定の判例、2007年の対読売新聞裁判、PC上に架空の配達区

新聞販売店が起こした訴訟の中で、「押し紙」が認定されたケースは、これまでに3件ある。2006年の福岡地裁、2011年の岡山地裁、そして2020年の佐賀地裁である。

このうち福岡地裁のケースは、その後、2007年12月に最高裁で判決が確定した。福岡高裁の判決は有名で判例タイムズ(2008年6月1日)にも掲載されている。

真村裁判・福岡高裁判決

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しかし、真村裁判は「押し紙」の損害を求めた裁判ではなく、店主の地位保全を求めた裁判である。YC広川(福岡県)の真村久三さんが、2002年に読売新聞・西部本社を訴えた裁判である。

発端は、真村さんが読売本社から自店の営業地区の一部を、隣接するYCへ譲渡するように求められたことである。真村さんは理不尽な要求を断った。これに対して読売は、真村さんの店主としての地位を解任しようとした。そこで真村さんが地位保全を求めて提訴したのである。

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2018年12月21日 (金曜日)

対読売裁判の開始から11年、訴訟ビジネスの台頭と訴権の濫用の多発

12月21日は、筆者と読売新聞社の係争が始まった日である。今年で11年目にあたる。2007年のこの日、読売新聞(西部本社)の江崎徹志法務室長から、筆者のもとに一通の催告書がメールで送付されてきた。これが係争の発端で、以後、約1年半の間に読売は筆者に対して3件の裁判を起こした。その請求総額は約8000万円にもなった。次の裁判である。

著作権裁判:黒薮の完全勝訴

名誉毀損裁判:地裁・高裁は黒薮の勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴。

名誉毀損裁判:読売の完全勝訴

全体の流れを総括すると、前半は黒薮の連勝で、後半は読売の連勝という、不自然な結果になった。

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2018年10月16日 (火曜日)

日本新聞協会に記事の訂正を申し入れ、同協会が掲載した対読売裁判の記事

筆者は、15日、日本新聞協会に対して、同協会が『新聞協会報』に掲載し、その後、ウエブサイトに転載した、「読売への損害賠償、黒藪氏の請求棄却 福岡地裁」と題する記事の訂正を申し入れた。

6年前の2012年7月19日付け(ウエブサイト)の記事で、前日に知人から記事の存在を知らされ、内容を確認したところ、事実関係に誤りがあったからだ。少なくとも読者に誤解を招き、それが記録として残ってしまう懸念があったからだ。

交渉の結論を先に言えば、日本新聞協会は暫定的に筆者が指摘した記事を削除した。筆者から削除を求めたのではなく、編集部の判断で削除したのである。次の記事である。

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2017年12月23日 (土曜日)

自由人権協会代表理事の喜田村弁護士らが起こした2件目の裁判、「窃盗」という表現をめぐる攻防③

喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)らが、催告書の名義を「江崎」に偽って著作権裁判を起こしたのは、2008年2月25日だった。その2週間後の3月11日に、喜田村氏らは黒薮に対して2件目の裁判を起こした。メディア黒書の記事が読売と江崎氏ら3人の読売社員の名誉を毀損したとして、2200万円を請求してきたのである。このなかには喜田村氏が受け取る予定の弁護士費用200万円が含まれていた。

訴因は、メディア黒書の記事だった。この年の3月1日に、読売の江崎氏らは、久留米市のYC久留米文化センター前店を、事前の連絡もなく訪店して、対応にでた店主に対し同店との取引中止を宣告した。強制改廃である。その直後に、読売ISの社員が店内にあった折込広告(翌日に配布予定だった)を搬出した。

久留米の別の店主から連絡を受けたわたしは、メディア黒書で速報記事を流した。その記事の中で、折込広告の搬出を「窃盗」と表現した。

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2017年12月22日 (金曜日)

喜田村弁護士に対する懲戒請求、第2東京弁護士会の秋山清人弁護士が書いた議決書の誤り②

 本稿の前編

喜田村洋一弁護士(自由人権協会)らが起こした黒薮に対する著作権裁判は、すでに述べたように、検証対象になった催告書に著作物性があるかどうかという著作権裁判の肝心な判断以前に、喜田村氏らが催告書の名義を偽って提訴していたとの判断に基づいて、棄却された。

念のために、喜田村氏らが著作物だと主張した文書と、それを削除するように求めた催告書を再掲載しておこう。2つの文書を並べるといかにデタラメかが判然とする。

【喜田村氏らが著作物だと主張した回答書】

前略  読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
    2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。当社販売局として、通常の訪店です。

【メディア黒書から回答書を削除するように求めた催告書】

冠省 貴殿が主宰するサイト「新聞販売黒書」に2007年12月21日付けでアップされた「読売がYC広川の訪店を再開」と題する記事には、真村氏の代理人である江上武幸弁護士に対する私の回答書の本文が全文掲載されています。

しかし、上記の回答書は特定の個人に宛てたものであり、未公表の著作物ですので、これを公表する権利は、著作者である私が専有しています(著作権法18条1項)。  貴殿が、この回答書を上記サイトにアップしてその内容を公表したことは、私が上記回答書について有する公表権を侵害する行為であり、民事上も刑事上も違法な行為です。

そして、このような違法行為に対して、著作権者である私は、差止請求権を有しています(同法112条1項)ので、貴殿に対し、本書面到達日3日以内に上記記事から私の回答を削除するように催告します。  

貴殿がこの催告に従わない場合は、相応の法的手段を採ることとなりますので、この旨を付言します。

なお、誤解を避けるためにあえて念を押しておくが、喜田村氏らが著作権裁判で削除を求めたのは、後者、つまり催告書の方である。催告書が読売・江崎法務室長の著作物であるから、著作者人格権に基ずいて、メディア黒書から削除するように求めたのである。しかし、東京地裁は著作物性の判断をする以前の問題として、喜田村氏らが催告書の名義を「江崎」と偽って、提訴していたとして、訴えを退けたのである。そもそも訴権などなかったのだ。

ただ、東京地裁は、参考までに、催告書に著作物性があるか否かの判断を示している。そして著作物性はないと判断した。

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2017年12月21日 (木曜日)

喜田村洋一弁護士らによる著作権裁判提起から10年、問題文書の名義を偽って黒薮を提訴、日弁連はおとがめなし①

10年前の2007年12月21日、わたしはメディア黒書(当時は新聞販売黒書)に、一通の催告書を掲載した。読売(西部本社)の江崎徹志法務室長から、わたしに宛てた催告書である。

この催告書は「江崎」の名前で作成されているが、後になって、実は喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)が作成していた高い可能性が、東京地裁と知財高裁で認定される。つまり名義を偽った文書だったのである。それがどのような意味を持つのかを説明する前に、まず、事件の全体像を紹介しておこう。

 

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2016年02月08日 (月曜日)

報道・出版活動に大きな支障をきたしていた可能性も、読売・江崎法務室長による著作権裁判8周年②

読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長が、2008年に起こした著作権裁判の検証の2回目である。この裁判では、江崎氏が書いた次の文章が著作物であると述べた催告書が争点になった。

前略  読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
    2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。当社販売局として、通常の訪店です。

催告書は、この文章が著作物であると述べているのだが、裁判所は催告書の内容自体を争点にしなかった。わたしの弁護団は書かれた内容を問題視したが、裁判所は争点にしなかった。

争点になったのは催告書の方である。次の文面である。

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2016年02月05日 (金曜日)

喜田村洋一弁護士が作成したとされる催告書に見る訴権の濫用、読売・江崎法務室長による著作権裁判8周年①

2008年2月25日に読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長が、東京地方裁判所にわたしを提訴してから、今年で8年になる。この裁判は、わたしが「新聞販売黒書」(現MEDIA KOKUSYO)に掲載した江崎氏名義のある催告書の削除を求めて起こされた著作権裁判だった。

その後、読売はわずか1年半の間にわたしに対して、さらに2件の裁判を起こし、これに対抗してわたしの方も読売に対して、立て続けの提訴により「一連一体の言論弾圧」を受けたとして、約5500万円の損害賠償を求める裁判を起こしたのである。さらにこれらの係争に加え、読売の代理人・喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)に対する懲戒請求を申し立てたのである。

喜田村氏は4件の裁判のいずれにもかかわった。

提訴8周年をむかえる著作権裁判は、対読売裁判の最初のラウンドだった。

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2015年12月21日 (月曜日)

読売・江崎法務室長による著作権裁判、「戦後処理」係争開始から8年、事件と喜田村弁護士に対する懲戒請求を再検証する

読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長が、喜田村洋一・自由人権協会代表理事を代理人として、わたしに対して著作権裁判を起こして8年が過ぎた。「戦後検証」は、係争の発端から8年目に入る。2007年12月21日、江崎氏はEメールでわたしに対してある催告書を送りつけてきた。(判決文、弁護士懲戒請求・準備書面のダウンロード可)

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2014年03月20日 (木曜日)

5件の対読売裁判が終了 疑問が残る裁判の公平性と自由人権協会代表理事による改憲派・読売支援

最高裁は12日、わたしが2009年に提起した読売に対する損害賠償訴訟(原告・黒薮哲哉、被告・読売3社、江崎徹志)の上告を棄却した。これにより読売との間で起きた5件の係争は、すべておわった。残っている係争は、読売の代理人、喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求だけになった。

13日付けの読売新聞(ネットは12日付け)は、「黒薮氏の上告を棄却、読売側の勝訴が確定」 と、題する記事を掲載している。しかし、情報が乏しく著しく客観性を欠いた記事なので、補足しておきた。

この裁判は読売がわたしに対して、1年半あまりの間に起こした4件の訴訟(賠償請求額は約8000万円)が、「一連一体」の言論弾圧にあたるとして、約5500万円の損害賠償を求めたものである。

4件の裁判の勝敗は次の通りである。改めて言うまでもなく、原告はいずれも読売、あるいは読売の社員である。

1、著作権裁判の仮処分申立:読売の勝訴

2、著作権裁判:地裁、高裁、最高裁で黒薮が勝訴

3、名誉毀損裁判1:地裁、高裁は黒薮の勝訴 最高裁で読売が逆転勝訴

4、名誉毀損裁判2:地裁、高裁、最高裁で読売が勝訴

勝敗は、5勝5敗である。わたしが5連勝した後、5連敗に転じた。

わたしはこれら4件(実質的には、「1」と「2」は継続性があるので3件)の提訴が、スラップに該当するとして、読売に損害賠償を求めたのである。

それぞれの裁判の判決について、わたしは独自の見解をもっているが、詳細を語るには、スペースに限界があるので、関心があるかたは、拙著『新聞の危機と偽装部数』(花伝社)を読んでほしい。

ただ、結果についてひとつだけコメントすれば、名誉毀損裁判ではわたしが敗訴したとはいえ、著作権裁判では勝訴しており、しかも、読売側のあるまじき行為が司法認定されたにもかかわらず、それに対する賠償が認められなかったのは、不当だと考えていることを付け加えておきたい。「読売側のあるまじき行為」については、次の記事を参考にしてほしい。

■読売・江崎法務室長による著作権裁判6周年 「反訴」は最高裁で、喜田村弁護士に対する懲戒請求は日弁連で継続

これが不当訴訟に該当しないとなれば、司法の秩序は崩壊する。

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2014年03月05日 (水曜日)

読売・江崎法務室長による著作権裁判6周年 「反訴」は最高裁で、喜田村弁護士に対する懲戒請求は日弁連で継続

読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長が、わたしに対して著作権裁判を起こして6年が過ぎた。先月25日は、提訴6周年である。読売が提訴した目的が何だったのか、わたしは今も検証を続けている。

周知のように、この裁判は既にわたしの勝訴が確定している。地裁、高裁、最高裁とすべてわたしの勝訴だった。勝訴を受けて現在、わたしは2つの「戦後処理」を行っている。

まず第一は、江崎氏と読売に対する損害賠償請求訴訟である。しかし、残念ながら地裁、高裁ではわたしの訴えは認められず、現在は最高裁で裁判を継続している。読売は、やはり裁判にはめっぽう強い。

「戦後処理」の第二は、江崎氏の代理人を務めた喜田村洋一・自由人権協会代表理事に対する弁護士懲戒請求の申し立てである。これは、現在、日弁連が審理している。

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2013年06月25日 (火曜日)

最高裁に新たに情報公開請求 YC広川の元店主・真村氏解任の根拠とされた「情報」「資料」とは何か?

6月24日付けで、最高裁判所に対して新たに2件の情報公開請求を申し立てた。いずれも6月18日に最高裁が上告棄却を決定した第2次真村裁判に関するものである。

【1】 上告人・真村久三と読売新聞西部の裁判(平成24年(オ)1604号・平成24年(受)1987号)で、2013年6月18日に、上告を棄却するに至る手続き、議論などのプロセスの内容を示す全文書を公開せよ。

【2】 上告人・真村久三と読売新聞西部の裁判(平成24年(オ)1604号・平成24年(受)1987号)で、貴裁判所が2013年6月18日に、上告を棄却することで認定した福岡高裁判例(平成23年[ネ]第390号)について。 同判決の中に、上告人真村と彼の代理人弁護士らが「黒薮の取材に応じ、情報や資料の提供を行ったことは明白」(33項)という記載がある。ここで言及している「情報」「資料」に該当する証拠をすべて公開せよ。

第2次真村裁判は、YC広川の元店主・真村久三さんが店主としての地位保全を求めて起こした裁判である。しかし、18日に最高裁が上告を棄却したことで、真村氏の敗訴が決定した。

最高裁が認定したのは、福岡高裁の木村元昭裁判官が執筆した判決である。その中で木村裁判官は、真村さんと彼の弁護団がわたしの取材に応じて、「情報」や「資料」を提供したことが真村さんの解任理由として妥当との判断を示した。

しかし、木村裁判官は判決の中で「情報」「資料」の中味を明記していない。そこで読売が証拠として裁判所へ提出したはずの「情報」「資料」のうち、木村裁判官が解任理由の根拠としたものの開示を求めたのである。

やぶからぼうに「黒薮の取材に応じ、情報や資料の提供を行ったことは明白であり、控訴人(真村)は、少なくとも、黒薮の上記記事等の掲載を幇助した」 (福岡高裁判決)と、言われても、具体的にどの「情報」「資料」を指しているのか分からない。

わたしが記憶している限りでは、裁判所の閲覧室で一般公開されている資料だったはずだが・・・。

最高裁の岡部喜代子、大谷剛彦、寺田逸郎、大橋正春の4判事は、木村裁判官が執筆した福岡高裁判決を検証した上で、上告を棄却したわけだから、当然、「情報」「資料」の中味を知っているはずだ。

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2013年05月15日 (水曜日)

読売VS新潮の「押し紙」裁判、訴状を全面公開、執筆は自由人権協会の弁護士2名

次にPDFで紹介するのは、読売VS新潮社(+黒薮)の裁判で、読売側の訴状である。作成したのは、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士と事務局長の藤原家康弁護士である。この裁判では、自由人権協会の代表理事と事務局長が改憲論の先鋒・読売を擁護したのである。

(訴状=ここをクリック)

「第2請求の原因(2)」の箇所では、エリート意識と他人に対する蔑視を露呈している。受験教育の弊害かも知れない。

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