1. 対読売裁判の開始から11年、訴訟ビジネスの台頭と訴権の濫用の多発

横浜・副流煙裁判に関連する記事

2018年12月21日 (金曜日)

対読売裁判の開始から11年、訴訟ビジネスの台頭と訴権の濫用の多発

12月21日は、筆者と読売新聞社の係争が始まった日である。今年で11年目にあたる。2007年のこの日、読売新聞(西部本社)の江崎徹志法務室長から、筆者のもとに一通の催告書がメールで送付されてきた。これが係争の発端で、以後、約1年半の間に読売は筆者に対して3件の裁判を起こした。その請求総額は約8000万円にもなった。次の裁判である。

著作権裁判:黒薮の完全勝訴

名誉毀損裁判:地裁・高裁は黒薮の勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴。

名誉毀損裁判:読売の完全勝訴

全体の流れを総括すると、前半は黒薮の連勝で、後半は読売の連勝という、不自然な結果になった。

それぞれの裁判には個別の着目点がある。詳細については、次の3本の記事を参照にしてほしい。

【参考記事】 

喜田村洋一弁護士らによる著作権裁判提起から10年、問題文書の名義を偽って黒薮を提訴、日弁連はおとがめなし①

喜田村弁護士に対する懲戒請求、第2東京弁護士会の秋山清人弁護士が書いた議決書の誤り②

自由人権協会代表理事の喜田村弁護士らが起こした2件目の裁判、「窃盗」という表現をめぐる攻防③

 

◆虚偽の事実を前提に提訴

さて、①の著作権裁判を例に訴権の濫用に言及してみよう。この裁判は、江崎法務室長が筆者に送付した催告書を、筆者がメディア黒書に掲載したところ、江崎氏が削除を求めた事件である。削除を求めた理由は、催告書が自分の著作物であるから、筆者には公表権がないというものだった。

この裁判では、前代未聞のスキャンダルが発覚する。

江崎氏は、催告書が自分の著作物であると主張したのだが、判決の中で、催告書を作成したのは、江崎氏ではなく、彼の代理人を務めていた喜田村洋一・自由人権協会代表理事である高い可能性が認定されたのである。

著作権法では、執筆者が著作権者であって、この権利は他人に譲渡できない。(著作者人格権)しかし、江崎氏は喜田村弁護士が執筆した催告書を自分の著作物だと偽って裁判を起こしたのだ。著作権者は喜田村弁護士であるから、江崎氏が著作者人格権を根拠に、催告書の削除を求める資格はない。

それにもかかわらず虚偽を前提として筆者を提訴したのだ。これに関して、筆者の弁護団は、次のような声明を出している。

■弁護団声明

 

◆煙草の副流煙をめぐる裁判

虚偽を前提として裁判を起こすケースは、どの程度発生しているのだろうか。当時、筆者は著作権裁判の判決を大量にコピーして司法関係者に配布し、感想を取材したが、言語道断という答えが多かった。それにもかかわらず第2東京弁護士会は、3年の歳月を要して喜田村弁護士に対する懲戒請求を棄却したのだ。

「喜田村弁護士は、なぜこんな失敗をしたのだろうか?」

と、感想をもらす人もいた。

 「こうした裁判を起こさないようにクライアントを説得するのが弁護士の役割です」

と、言う人もいた。

それから約10年、筆者はこの裁判のケースと類似した裁判に遭遇した。メディア黒書でも取りあげてきた裁判で、煙草の副流煙が原因で化学物質過敏症になったので、4500万円の金銭を支払えという内容である。この裁判では、原告の男性が提訴の2年前まで、喫煙者であったことが、提訴後に判明した。

もちろん元喫煙者が副流煙の影響で化学物質過敏症になったとする主張が絶対に間違っている確証はないが、社会通念からすれば、自分が吸っていた煙草による影響の方が、副流煙よりも人体影響を誘発しやすい。

ところが隣人の副流煙が、自分が化学物質過敏症になった原因だと主張しているのだ。

原告の診断書(作田学医師が作成)には、「受動喫煙レベルⅢ」と記されている。原告の指示するとおりに、作田医師が診断書を作成したということではないだろうか。

 

◆デュプロによるABC部数の改ざん工作

小泉構造改革の中で、日弁連の協力を得て行われた司法制度改革は、やたらと高額訴訟を増やし、訴訟をビジネスに変えた。約10年前には、前代未聞とされた裁判の構図と同じ裁判が、筆者がたまたま取材している事件でも浮上しているのである。

他にも類似した裁判が多発している可能性が高い。

最近は判事も劣化していて、最高裁事務総局による「報告事件」ではないかと疑われる判決が増えている。「報告事件」とは、最高裁事務総局が書記官に「報告」を求める裁判のことで、最高裁事務総局が影の裁判官となる。

対読売の係争開始から、11年目の検証に入る。一連の裁判の後半における黒薮連敗については、納得していないので再取材する必要がある。③の名誉毀損裁判の中では、読売の宮本友丘専務が一度も「押し紙」をしたことがないと証言しており、これについても再検証を要する。筆者のところに残紙の写真が大量に送付されてきているからだ。

対読売裁判が、「押し紙」問題の原点で、それから10年を経て、デュプロによるABC部数の改ざん工作の事実を掴んだ。これに関しては、近々に公正取引委員会に告発する予定だ。