2018年07月31日 (火曜日)

【書評】『敗れざる者たち』、元オリオンズ榎本喜八の悲劇、あふれる「異端者」への敬意

プロスポーツの選手は、肉体の衰えにともない、老年に達する前に第2の人生に踏み出すことを強いられる。栄光の舞台を降りた後、彼らはどのような人生を体験したのだろうか。

『敗れざる者たち』は、6人のスポーツ選手に焦点をあてた6編の中編ノンフィクションを収録している。ボクシングの世界で卓越した才能に恵まれながら、優しさゆえに世界王者になれなかったカシアス内藤、東京五輪のマラソンで3位に入賞し、メキシコ五輪で金メダルを期待されながら自ら命を絶った円谷幸吉・・・・。

6編の中でとりわけ印象深いのは、プロ野球の元オリオンズ・E選手の悲劇を描いた『さらば 宝石』だ。Eは、引退後はさっぱり表舞台に現れなかったが、現役時代には長島茂雄にほとんど劣らない成績を残している。

【安打数】
長島:2471本
E:2314本

【打率】
長島:0.305
E:0.298

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2018年07月30日 (月曜日)

6月度の新聞のABC部数、読売は年間約36万部の減、朝日は約31万部の減、新聞産業の衰退に歯止めかからず

2018年6月度の新聞のABC部数が明らかになった。ABC部数の激減傾向にまったく歯止めがかかっていないことが分かった。年間で朝日は約31万部を、読売は約36万部を失った。もともとABC部数が少ない毎日も、年間で約20万部を減らしている。

中央紙のABC部数の詳細は次の通りである。

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2018年07月28日 (土曜日)

種子法の廃止で、日本に危険な遺伝子組み換え作物が溢れる

故新井直之氏は言う。

 新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、「どのような記事を載せているか」ではなく、「どのような記事を載せていないか」なのである

森友学園や加計学園の事件、カジノ法案をめぐる攻防、それに赤坂自民亭などメディアが一応は伝える国会の動きの裏側で、皆無とはいえないまでも、ほとんど報じられない重大な問題がままある。その結果、国民が知らないうちに、とんでもない法律が可決されたりする。

次に紹介するのは、食の安全にかかわる種子法の廃止についての記事(2018年1月10日)である。

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2018年07月27日 (金曜日)

内閣府向けの手作りの請求書が4年間で約64億円分の異常、電通とは別の顔、児玉誉士夫と博報堂の闇を検証する

広告代理店・博報堂の体質が徐々に輪郭を現してきた。広告代理店の問題といえば、最大手の電通による事業の寡占化が問題視されることが多いが、業界2位の博報堂は、それとは異なる性質の問題を内包しているようだ。それに焦点をあてる前に、博報堂が巻き込まれた最新のトラブルを一件紹介しておこう。

博報堂の嘱託社員が、地位保全を求めて、福岡地裁で裁判を起こしていることが朝日新聞の報道で分かった。

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2018年07月26日 (木曜日)

「保守速報」の広告はがし事件、筆者のもとに再び協力要請、心を規制する愚策

保守速報というウエブサイトがある。これは作家の李信恵氏から名誉毀損裁判を起こされているサイトである。1審と2審は原告の李氏が勝訴し、現在、係争は最高裁に属している。

メディア黒書で既報したように、この保守速報に対して、「広告はがし」の動きがあり、同サイトから既に全広告が消えている。残っているのは、筆者が窓口になっている「NO残紙(「押し紙」)キャンペーン」のバナーだけだが、これは広告ではない。保守速報が自主的に張り付けたものである。

去る22日(日曜日)に、筆者のところに、おそらく「広告はがし」運動を展開している人物から、次のようなメールが送付されてきた。全文を紹介しよう。

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2018年07月25日 (水曜日)

【訂正記事】カジノの是非を問うNHKの世論調査と円グラフ、ネット上の情報は事実

 昨日(24日) 付けメディア黒書の記事に事実の誤りがあった。記事のタイトルは、「NHKの円グラフ改ざん問題、反NHKの視聴者によるフェイクニュースの可能性も?」。記事を掲載した後、NHKが円グラフの作成ミスを認めていることが分かった。記事を削除すると同時に、「改ざん」の事実を掘り起こした方と読者にお詫びしたい。

この問題は、NHK大阪放送局が7月20日に放送した「関西にカジノ!?~IRの光と影」の中で提示された円グラフに誤りがあった件である。

IR(カジノ)の誘致について、NHKが大阪府民を対象に世論調査を行った結果、「賛成」が17%、「反対」が42%、「どちらともいえない」が34%となった。ところがこれらのパーセンテージを基に作成された円グラフでは、円グラフの占有割合が誤っていたのである。

左が誤った円グラフで、右が正しい円グラフである。

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2018年07月23日 (月曜日)

M君リンチ事件の控訴審、23日から大阪高裁で、最大の争点は作家・李信恵氏の関与の有無

メディア黒書でたびたび報じてきたM君リンチ事件の控訴審が、23日に大阪高裁で始まる。開廷は14:30。別館7階74号法廷である。1時40分から別館で傍聴の抽選が行われる見込みだ。

この事件は、高い関心を集めているわりには、ほとんど報道されていない。報道すると一部の人々にとって不都合な要素を内包しているからだろう。

事件が発生したのは2014年の暮れである。「カウンター」、あるいは広義の「しばき隊」と称するグループのメンバーらが、大学院生のMさんに暴言と暴力で襲いかかり、ひん死の重症を負わせた事件である。原因は金銭をめぐる組織内の問題だった。メンバーの一部が右翼から、金銭を受け取ったという話が広がり、その原因を作ったとされるM君が、深夜の酒場に謝罪に呼び出され、暴行を受けたというのが事件の概略だ。

現場には5人のメンバーがいた。M君は、身の危険を感じて、ポケットに隠し持っていたレコーダーを「ON」にしていた。そのために暴言や「しばき音」が鮮明に記録されている。

・「かかってこいや!へたれ!」
・「訴えるもんなら、訴えてみい!」
・「エル金さんの代わりに殴っていいか?」(のあとに「パーン」)
・「殺されるから(店に)はいってきたんちゃう?」
・「京都朝鮮学校の弁護団?お前の味方になってもらえると思うか?」
・「朝鮮学校のガキらの前で言えるんかこら!」
・「めっちゃ不細工やわ(笑)」(M氏の腫れ上がった顔を見て)

筆者は、この事件には3つの重要ポインがあると考えている。

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