1. 種子法の廃止で、日本に危険な遺伝子組み換え作物が溢れる

日本の政治に関連する記事

2018年07月28日 (土曜日)

種子法の廃止で、日本に危険な遺伝子組み換え作物が溢れる

故新井直之氏は言う。

新聞社や放送局の性格を見て行くためには、ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる。ジャーナリズムを批評するときに欠くことができない視点は、「どのような記事を載せているか」ではなく、「どのような記事を載せていないか」なのである。

森友学園や加計学園の事件、カジノ法案をめぐる攻防、それに赤坂自民亭などメディアが一応は伝える国会の動きの裏側で、皆無とはいえないまでも、ほとんど報じられない重大な問題がままある。その結果、国民が知らないうちに、とんでもない法律が可決されたりする。

次に紹介するのは、食の安全にかかわる種子法の廃止についての記事(2018年1月10日)である。

 

【バックナンバー】種子法の廃止で、日本に危険な遺伝子組み換え作物が溢れる、恐ろしく無知な安倍内閣の政策

今年の3月末で種子法(主要農作物種子法)が廃止される。安倍内閣の下では、特定秘密保護法や共謀罪など言論の自由を抑制するための法の整備が際だった暴挙のような印象があるが、実は日本人の生命にかかわる「食」に関する法の改悪も進んでいる。そのひとつが種子法の廃止だ。あまりなじみがない法律だが、廃止により重大なことが起こりかねない。

この法律の廃止は、先の通常国会で決まった。共謀罪法案への関心が高まる中で、ほとんど報道されることもなく、廃止が決まってしまった。

種子法廃止の何が問題なのだろうか。結論を先に言えば、日本の農業が多国籍企業(米国のモンサント社など)に市場を開くことになり、その結果、日本中に危険な遺伝子組み換え食品が溢れかねない。

この法律の下で、日本の主要な農作物(具体的には、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆)は、国の管理下で品種改良などを行い、種の保存と普及が推進されてきた。戦後の食糧難の時代を乗り切るために、このような方法が取られたのだ。

ところが1990年代から本格化したグローバリゼーションとそれに伴う新自由主義=構造改革の流れの中で、企業活動の国境が事実上、消滅した。とりわけ小泉内閣の時代から、多国籍企業が日本に進出しやすい法体系の整備が行われた。たとえば司法制度改革なども、そのひとつである。国際法務に強い弁護士の育成が行われたのである。

こうした流れの中で、種子法を廃止して、米国の種会社などに日本市場を開放することになったのである。

◇カーン大学の実験で危険性は立証済み

ところが米国の種会社は、遺伝子組み換え作物の開発を、大きな企業目標のひとつにしている。遺伝子組み換え作物が、人体に有害でなければ、食の安全という観点だけに限れば問題ないが、遺伝子組み換え作物は有害という説が有力になっているのだから、「なぜ、あえて市場開放なのか?」という疑問が残る。

遺伝子組み換え作物が危険な理由は複数ある。たとえば遺伝子組み換えにより、除草剤をかけても、枯れない作物を開発できれば、どんどん除草剤を使って、除草剤にまみれた作物が収穫されるからだ。それを食すれば、まず第1に除草剤が体内に入る。これは環境ホルモンなので、極めて微量でも人体に深刻な影響を及ぼす。第2に作物そのものが除草剤に対する耐性を備えているから、作物そのものにも毒性がある可能性が高い。

実際、フランスのカーン大学が行ったラットを使った実験により、遺伝子組み換え作物の危険性が指摘されている。2年の実験期間だったが、早くも4カ月目からラットに腫瘍などが現れはじめたのである。(冒頭の写真参照)

それに生態系の破壊という別の問題もある。

◇誰のための政府か?

遺伝子組み換え作物は、米国ではすでに危険が指摘され、住民運動の努力で縮小の方向性が現れはじめている。その結果、種産業を海外へ「輸出」する戦略が取られている可能性が高い。それに協力しているのが日本政府なのだ。

安倍内閣の大罪は、米国のための兵器購入だけではない。一体、誰の利益のために働いているのだろうか。恐ろしい内閣としか言いようがない。