橋下市長に握られた違憲安保法制の行方、テレビ局育成政治の危険性
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)
「政治家は僕の人生から終了です」。大阪都構想の住民投票に敗れ、政界引退を表明したはずの橋下徹・大阪市長が1か月もたたないうちに政治の表舞台に躍り出た。
安倍首相と夕食を共にした翌日から、民主との決別・野党共闘の否定とも取れる矢継ぎ早の意見表明。いろいろポーズを取りつつも最終的には与党単独採決を避ける方向で、安全保障法制の憲法違反問題で窮地に立つ安倍首相へ助け舟を出そうとしていることが見て取れる。
橋下氏の政治家転身への軌跡をたどるとき、憲法9条を実質なきものにし、この国を米国とともに世界で闘う国にしたいとのメディアを含めた勢力が見え隠れする。
その橋下氏が国の転換点とも言えるこの時期に再び登場。まともな憲法論議もないまま、戦後長く続いた国是をいとも簡単に変えるキャスティングボードを握るとしたら…。改めてテレビ局によって育成された政治家が操る今の政治の危うさを問う。