2015年06月30日 (火曜日)

橋下市長に握られた違憲安保法制の行方、テレビ局育成政治の危険性

吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)

「政治家は僕の人生から終了です」。大阪都構想の住民投票に敗れ、政界引退を表明したはずの橋下徹・大阪市長が1か月もたたないうちに政治の表舞台に躍り出た。

安倍首相と夕食を共にした翌日から、民主との決別・野党共闘の否定とも取れる矢継ぎ早の意見表明。いろいろポーズを取りつつも最終的には与党単独採決を避ける方向で、安全保障法制の憲法違反問題で窮地に立つ安倍首相へ助け舟を出そうとしていることが見て取れる。

橋下氏の政治家転身への軌跡をたどるとき、憲法9条を実質なきものにし、この国を米国とともに世界で闘う国にしたいとのメディアを含めた勢力が見え隠れする。

その橋下氏が国の転換点とも言えるこの時期に再び登場。まともな憲法論議もないまま、戦後長く続いた国是をいとも簡単に変えるキャスティングボードを握るとしたら…。改めてテレビ局によって育成された政治家が操る今の政治の危うさを問う。

 

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2015年06月29日 (月曜日)

KDDIが公開討論への不参加を表明、係争を理由に荻野博士との直接対決を避ける、大阪府高槻市の携帯基地局問題で

大阪府高槻市で起きている携帯電話の基地局設置をめぐるKDDIと住民のトラブルで、KDDI側は住民らが提案している公開討論への参加を見合わせる決定を下した。6月23日付けで同社が住民の共同代表に送付した通知で、明らかになった。

この問題の発端は、2014年6月に、KDDIと協和エクシスが、高槻市大和で「KDDI携帯電話用無線設備設置のお知らせ」と題するチラシを配布し、その後、実際に基地局を設置したことである。基地局の設置場所が民家の至近距離だったために、住民たちの間で電磁波の人体影響を懸念する声があがり係争になった。KDDIが、基地局を稼働できない状態が続いている。

両者は話し合いを続けてきたが、解決にはいたらず、住民側は膠着(こうちゃく)状態を打開すべく、2015年5月になって、KDDIに対し、専門家による公開討論の開催を呼びかけた。公開討論を通じて、多角的な視点から電磁波による人体影響について考えようと意図したのである。

住民側は発言者として、電磁波研究の第一人者である荻野晃也博士を人選した。荻野氏もそれを承諾。これに対してKDDI側は公開討論への不参加を表明した。

【youtube】参考:電磁波シンポジウム(2015 05 16)荻野晃也氏講演

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2015年06月26日 (金曜日)

特定秘密保護法違憲「東京」訴訟の原告団が、27日(土)に緊急集会

特定秘密保護法に対する違憲訴訟を提起しているフリーランスのジャーナリスト、編集者、映像作家からなる原告団は、6月27日(土)、明治大学で「秘密保護法、安保法制で、いよいよ戦争へ」と題する集会を開く。詳細は次の通り。

日時:2015年6月27日 13時30分~

開場、14:00開演、16:45終了

場所:明治大学駿河台キャンパス研究棟2F第9会議室

http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

※リバティータワーの裏。大学北側に隣接する「山の上ホテル」の前に木立ちが茂っているところがあり、そこの入り口から入ると便利です。わからなければ「研究棟第9会議室はどこか」と聞いてください。
入場:無料

共催:秘密保護法違憲訴訟原告団、マスコミ世論研究所(草の実アカデミー)

6月3日、特定秘密保護法違憲《東京》訴訟で原告の寺澤有氏と林克明氏に対する本人尋問が行われた。当日は、閉廷後に手短な報告しかできなかったので、改めて報告集会を開くことになった。

集会では、尋問内容とその意味を解説するほか、いま大問題になっている安保法制、盗聴法拡大や司法取引導入に見られる刑事訴訟法改悪、秘密保護法の悪の三点セットで日本が戦争に向かっている状況を訴える予定。

プログラムは次の通り。

尋問報告1「墨塗り文書も出なくなる、は本当だった」原告・林克明

尋問報告2「自衛隊・隊員家族カードの衝撃」原告:寺澤有

東京訴訟の今

秘密保護法・刑訴法改悪(盗聴拡大・司法取引ほか)・戦争法  原告関係者の誰かを予定

各地の裁判報告と次回口頭弁論案内

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2015年06月25日 (木曜日)

【「押し紙」70年②】昭和38年に店主らが「押し紙」をボイコット、公取への告発も

時代をさかのぼること半世紀、昭和30年代には、すでに「押し紙」が深刻な問題として浮上していた事実は、日販協(日本新聞販売協会)が発行してきた『日販協月報』にも記録されている。

1963年(昭和38年)11月25日付けの同紙は、日販協の全国理事会が「押し紙」排除を決議したことを伝えている。決議は次の通りである。

 新聞販売業界の安定と向上を阻害するものは「押し紙」「積み紙」である。われわれは「押し紙」「積み紙」を絶滅して明朗公正な取引の姿を実現するため発行本社および販売業者の自覚を強く要請する。

 右決議する。

 昭和三十八年十一月二十七日 

                           社団法人 日本新聞販売協会全国理事会

■出典:日販協月報PDF

この理事会には、大分県四日市で新聞販売店を経営する柚園要蔵さんという店主が上京して、飛び入りのかたちで理事会に参加している。柚園氏は、翌28日には、公正取引委員会を訪問して、「追起訴の打ち合わせを開始した」という。同氏は、これに先立ち、すでに公正取引委員会へ「押し紙」を告発していたのである。

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2015年06月24日 (水曜日)

格差化の進行、百貨店が好調な理由、アベノミックスで富裕層の市場が出現

共同通信社が20日と21日に行った世論調査は、安倍内閣の支持率47.4%(5月は49.9%)という数字を示した。また、朝日新聞がやはり20日と21日に行った調査によると、内閣支持率は39%(前回調査の5月16日、17日は、45%だった)だった。いずれも低落傾向が現れている。

もっともマスコミが権力構造に組み込まれている状況下で、メディア企業が実施している世論調査をどの程度まで信用してもいいのかという疑問は残るが。

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2015年06月23日 (火曜日)

警察関係者の取材に大きな支障、菅生事件再現の危険性も、秘密保護法違憲訴訟・本人尋問、寺澤有氏の証言②

6月3日に実施された特定秘密保護法違憲訴訟の原告本人尋問で、林克明氏に続いて、警察取材のスペシャリスト・寺澤有氏が証言台に立った。林氏がおもに情報公開や官庁の直接取材を試みる際に受けた特定秘密保護法の悪影響について証言したのに対して、寺澤氏は、「潜入」を含む非公式なルートを使った取材の際に受けた悪影響について証言した。

その中で寺澤氏は、2009年、栃木県小山市で起こった強盗事件を例に特定秘密保護法の危険な一面を指摘した。これは、パチンコ店の経営者で朝鮮総連の幹部でもあった男性の豪邸に「強奪犯」が入ったものの、次々と警察に逮捕された事件である。主犯とされた人物から逮捕直後に手紙を受け取った寺澤氏は、独自の取材に着手した。

寺澤氏の証言によると逮捕された容疑者らは、ある人物から強奪の芝居をするように依頼されていたという。目的は、北朝鮮への送金がらみの税対策という理由だったらしい。

この「策略」をもちかけて来たのは、マツダと称する人物。ところがマツダは、「犯行現場」にはいたものの、姿をくらませてしまったという。寺澤氏は、証言の中でマツダについて次のように述べている。

「その方は公安警察官か,公安警察官OBか,少なくとも協力者,スパイであることは間違いないと。」

かりにマツダが本当に警察関係者であれば、ジャーナリストとして寺澤氏がマツダの行方や素性を調査する行為が特定秘密保護法に抵触する可能性が出てくる。取材活動に支障が生じるのである。

寺澤氏は、この事件に菅生事件の構図がある可能性を指摘した。菅生事件とは、1952年に日本共産党を弾圧するために公安警察が共産党員に扮して、駐在所を爆破させた自作自演の冤罪事件である。ジャーナリストの故斎藤茂男氏により明らかにされた。

寺澤氏に対する尋問の詳細は次の通りである。尋問調書中の小見出しは、編集段階で便宜上、挿入した。

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2015年06月22日 (月曜日)

イスラム国関係の公文書はすでに特定秘密に指定か? 特定秘密法違憲訴訟・本人尋問、林克明氏の証言①

フリーランスのジャーナリストや編集者、それに映像作家などが起こしている特定秘密保護法違憲訴訟の第6回口頭弁論が去る6月3日に行われ、原告に対する本人尋問が行われた。原告から林克明氏と、寺澤有氏が尋問に応じた。

このうち最初に証言台に立った林克明氏は、実際に取材をする際に、特定秘密保護法により、どのような負の影響を受けたかについて詳しく証言した。

たとえば林氏は、情報公開制度を利用して、外務省と内閣府に対し、後藤健二さんらの人質事件に関する文書類と、安倍首相が海外で表明したイスラム国絡みの人道援助に関する文書類の開示を請求した。

これに対して、内閣府からは、文書そのものが存在しないという答えが返ってきた。これについて林氏は次のように証言した。

・・・・これまでの私の経験では,不開示の場合はその部分を墨塗りにして一連の文書が出されるということになっていました。ただ,今回の場合は文書不存在という一言で,全く文書が存在しないということですから,これはあり得ないことだと思いました

外務省からは、いまだに開示通知が届いていない。そこで外務省に対して質問状を送り、電話で回答を求めたところ、「内閣府に聞いてくださいと言われました。」という。つまり内閣府は、林氏に対して文書類の不存在を明言していながら、実際には、情報公開の請求対象文書を保有している可能性が高い。

常識的に考えても、広義のイスラム国関連の公文書が存在しないなどということなどありえない。

それにもかかわらず請求文書を開示しない背景には、イスラム国関係の公文書については、特定秘密保護法を根拠に情報開示を禁じている可能性が極めて高い。

林氏に対する尋問の詳細は次の通りである。尋問調書中の小見出しは、編集段階で便宜上、挿入した。(寺澤氏に対する尋問調書は、23日に紹介する予定。)

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