1. KDDIが公開討論への不参加を表明、係争を理由に荻野博士との直接対決を避ける、大阪府高槻市の携帯基地局問題で

携帯電話の基地局問題に関連する記事

2015年06月29日 (月曜日)

KDDIが公開討論への不参加を表明、係争を理由に荻野博士との直接対決を避ける、大阪府高槻市の携帯基地局問題で

大阪府高槻市で起きている携帯電話の基地局設置をめぐるKDDIと住民のトラブルで、KDDI側は住民らが提案している公開討論への参加を見合わせる決定を下した。6月23日付けで同社が住民の共同代表に送付した通知で、明らかになった。

この問題の発端は、2014年6月に、KDDIと協和エクシスが、高槻市大和で「KDDI携帯電話用無線設備設置のお知らせ」と題するチラシを配布し、その後、実際に基地局を設置したことである。基地局の設置場所が民家の至近距離だったために、住民たちの間で電磁波の人体影響を懸念する声があがり係争になった。KDDIが、基地局を稼働できない状態が続いている。

両者は話し合いを続けてきたが、解決にはいたらず、住民側は膠着(こうちゃく)状態を打開すべく、2015年5月になって、KDDIに対し、専門家による公開討論の開催を呼びかけた。公開討論を通じて、多角的な視点から電磁波による人体影響について考えようと意図したのである。

住民側は発言者として、電磁波研究の第一人者である荻野晃也博士を人選した。荻野氏もそれを承諾。これに対してKDDI側は公開討論への不参加を表明した。

【youtube】参考:電磁波シンポジウム(2015 05 16)荻野晃也氏講演

 

◇KDDIは不参加を表明

KDDI側が不参加を決めた理由は、住民らが人選した荻野氏が宮崎県延岡市で2009年に起こされたKDDI基地局の操業停止を求める住民訴訟(現在は、最高裁で継続中)の原告側証人として出廷した経緯があるために、「法廷の場以外で、直接対面し、議論することは控え」たいというもの。

公開討論には参加しないが、引き続き、住民との話し合いを続けていくとしている。

ちなみに延岡市の住民訴訟は、原告住民が地裁と高裁で敗訴したとはいえ、KDDI基地局の周辺で健康被害が発生している事実そのものは認定している。ただ、その原因が「ノセボ」効果(思い込みによる人体の変調)によるものとしている。

◇公開討論は予定どおり開催

KDDIが公開討論に参加しないとはいえ、公開討論そのものは予定通りに開かれる。荻野氏ひとりが住民の質問に回答するかたちになる。公開討論のスケジュールは次の通りである。

日時:2015年7月5日(日) 午後2時より

場所:高槻市大和ネオポリス自治会集会所

討論者:荻野晃也氏(電磁波環境研究所所長・理学博士)

住民側からの事前質問は、次の通りである。

携帯各社の電磁波の種類は違うのですか?

電磁波の強さは、各社の出している電磁波の総和になるのですか?
つまり、どの携帯でも良くつながる場所というのは、一社しかつながらない場所の数倍の電磁波強度だということですか?

今後携帯会社がさらに増えたら、さらに強い電磁波にさらされるということですか?

今回、大和2丁目のアンテナはauのLTE回線のためのものということですが、それは従来のものとどう違うのですか?

電磁波の単位について教えてください。

LTE回線の基地局ができたら防災連絡に役立つという人がいますが、ほんとうでしょうか。

基地局を減らすための方法はありますか。

フランスなどヨーロッパで電波の規制が厳しくなってきていることについてどうお考えになりますか。

大和2丁目地区はドコモの携帯電話はよく繋がって会話もできるが、auの携帯電話は繋がり難いし会話が途切れやすいと聞きます。そこでお尋ねしますが、ドコモ程度の電磁波であれば、既に数年の実績があり、健康障害が起こらないことが実証されているとも考えられますのでauの場合もドコモ並の弱い電磁波を発信していただくことができないのでしょうか(発信機を山側に向けるとか、出力を小さくする等で)