2016年12月31日 (土曜日)

博報堂事件の総括、取材対象が民間のアスカから省庁へ急拡大、内閣府ナンバー2の天下りも判明

博報堂事件の第1ステージ
テレビCMの「中抜き疑惑」
放送確認書の偽造
博報堂事件の第2ステージ
行政事業レビューシート
全省庁に対して情報公開の開示請求
通信社OBらの支援
報道の広がり
戸田裕一社長名で巨額請求を繰り返す

この一年、わたしは博報堂がかかわった事件と向き合った。

その糸口は2月に1本の電話を受けたことだった。化粧品などの通販会社・アスカコーポレーション(本社・福岡市)からの電話で、折込広告の水増し被害を受けた疑いがあるので、資料を検証して、アドバイスをもらえないかという申し入れだった。

断る理由はないので引き受けた。折込広告の詐欺は、わたし自身が取り組んできたテーマである。

数日後、アスカから郵送されてきた資料を精査したところ、確かにアスカが折込詐欺の被害を受けていた可能性があることが分かった。たとえば東京・町田市の新聞のABC部数が約13万部しかないのに、15万枚の折込広告が見積もられていた。新聞購読者にもれなく折込広告を配布しても、13万枚あれば十分で、2万枚が過剰になる計算になる。

もっとも、なにか別の目的で2万枚を余分に印刷したというのであれば、別問題だが。「折込詐欺」は水面下の社会問題になっているので、わたしは取材することにした。

たまたまこの時期にアスカが本拠地としている福岡市近郊の久留米市へ取材にいく予定があった。メディア黒書でも取り上げている佐賀新聞の「押し紙」裁判の取材である。

この機会を利用して、わたしは福岡市のアスカを訪問した。情報の提供会社に直接あって、相手が信頼できる企業かどうかを確かめておく必要があったからだ。

アスカの社員から直接事情を聞いてみると、折込広告に関する疑惑以外にも、テレビCMの「中抜き」疑惑や、嘘の視聴率を提示してCMの口頭契約を結ばされた疑惑など、問題が山積していることが分かった。

係争の相手が博報堂であることも意外だった。紳士的なイメージがあったからだ。ただ、大手広告代理店に対するタブーがあることも知っていた。日本のメディア企業の大半は、広告依存型のビジネスモデルなので、広告代理店を抜きにすると経営が成り立たなくなるからだ。

逆説的に見れば、ジャーナリズムの光があたらない業界は、内部が腐敗していることが多い。タブーの領域こそが最高の取材対象になるのだ。この矛盾がジャーナリズムの魅力でもある。

そこでわたしはアスカに対して、博報堂との過去の取引に関する全資料を提供してくれるようにお願いした。2週間後に、段ボールいっぱいの資料が送られてきた。全資料ではないが、アスカが疑惑を抱いている取引に関する記録である。こうして博報堂事件の第1ステージの取材が始まったのだ。大手広告代理店に対するタブーに挑戦することになったのだ。

ちなみに博報堂は、完全にわたしの取材を拒否した。

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2016年12月30日 (金曜日)

博報堂へ天下った阪本和道氏は元内閣府のナンバー2だった

内閣府から博報堂に再就職(広義の天下り)した阪本和道氏について、詳しいことが分かったので紹介しておこう。この人物は、内閣府の元審議官である。

審議官について、ウィキペディアは次のように説明している。

 内閣府の官僚においては内閣府事務次官に次いでナンバー2のポストであり、いわゆる次官級審議官職の一つ。現在の定員は2人。

経歴は次のようになっている。

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2016年12月29日 (木曜日)

内閣府の阪本和道・元審議官が博報堂へ天下り

メディア黒書では、博報堂が2012年ごろから内閣府へ送付してきた不自然な請求書について調査しているが、このほど阪本和道(元内閣府審議官)が退官後の2016年に博報堂に再就職(広義の天下り)していることが分かった。

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2016年12月29日 (木曜日)

電通、書類送検で石井社長が遂に引責辞任

執筆者:本間龍(作家)

28日、東京労働局は会社としての電通と、亡くなった高橋まつりさんの元上司と思われる社員一名を書類送検した。捜査は越年するとみられていたが、11月7日の強制捜査から僅か一ヶ月半という極めて異例の早さで進展した。

記者会見した労働局幹部は「一刻も早くやらなければと全力を挙げた。これで終わりではなく、捜査を続行して他にも送検すべき対象がいれば今後も訴追する。12月25日の高橋さんの命日も意識した」と語った。

これを受け電通は19時から記者会見を開き、石井直社長の1月引責辞任を発表した。石井氏は「高橋さんが亡くなったことは慚愧に耐えない。不退転の決意で改革を実行する」などと沈痛な表情で語った。

この記者会見を私はネット中継を見ていたのだが、実に不思議な光景だった。電通側登壇者は石井社長、中本副社長、越智人事局長の3名で、相当大きな会場なのに、集まったメディアは20人に満たないほどに見えた。まるで大きな体育館で、僅かな出席者が一カ所に集まって集会を開いているかのようだった。

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2016年12月28日 (水曜日)

「押し紙」問題の様相に変化、 折込広告の「中抜き詐欺」が急増か?

最近、新聞販売関係者から折込広告の搬入枚数が激減しているという話をよく聞くようになった。とはいえ、広告主(スポンサー)が減っているという意味ではない。かつては「押し紙」部数に相当する折込広告が販売店に搬入されていたが、今はそれが搬入されないケースが増えているというのだ。

メディア黒書では、日本の新聞販売制度(新聞社のビジネスモデル)のからくりについて、「押し紙」の負担を折込広告の水増しと新聞社からの補助金で相殺する仕組みになっていると説明してきた。しかし、現在は徐々にこの説明が成り立たなくなっている。

「押し紙」の損害を相殺する道具である水増しされた折込広告と補助金が減ったり、無くなったりして、相殺システムが機能しなくなっているのだ。その結果、全ての負担が販売店の肩にのしかかってくる。

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2016年12月27日 (火曜日)

電通のブラック企業大賞受賞をNHKが異例の報道、民放との際立つ差

執筆者:本間龍(作家)

12月23日、今年のブラック企業大賞に電通が選定された。ブラック企業大賞とは、過労死問題に取り組む弁護士やNPO、ジャーナリストなどが中心となって、その年に労務問題等で話題になった企業を選ぶもので、今年で5回目となる。初回は東電、昨年はセブンイレブンジャパンが大賞に選ばれていた。

毎年ネットなどではそれなりに話題になっていたのだが、大手メディアはあまり報じていなかった。ところが今年はなんとNHKが速報を流し、さらに夜7時のニュースでも大々的に取り上げるという異例の展開となった。ブラック企業大賞実行委員会の弁護士らの間でも驚きの声が上がっている。

NHKが昼12時、夜7時のニュースで取り上げる意味は非常に大きい。注目度が非常に大きいだけでなく、そこで扱われたネタは、その後の時間帯のニュースや、様々な番組で繰り返し取り上げられるからだ。

しかもそれらのほとんど全てが全国放送だから、その拡散力は民放の比ではない。さらにNHKは25日、自殺した高橋まつりさんの母親の手記も夜7時のニュース等で大々的に報じた。この原稿を書いている26日夕方のニュース番組でもコーナーを作って報じている。イメージ悪化に歯止めをかけたい電通にとっては大打撃であり、NHKがここまで一企業に関するニュースを継続して報道するのは極めて異例だ。

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2016年12月26日 (月曜日)

博報堂が内閣府に対して起こした請求書の4年分を入手、いずれも契約額を大幅に超過、見積書は存在せず

不透明な取引としてメディア黒書で報じてきた内閣府と博報堂のプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広告実施業務等」。

このプロジェクトに関する情報開示資料は、平成27年度分しか筆者の手もとになかったが、このほど、他年度の4年分を入手した。それを検証したところ、複数年度に渡って同じ疑惑があることがわかった

今回入手したのは、平成23年度分(2011年度分)から平成26年度分(2014年度分)である。平成27年度分(2015年度分)については、すでに8月に入手している。

■平成27年度分(契約書・請求書)

平成27年度分で不可解な点が発見されたので、過去にさかのぼって同じプロジェクトの関係資料の開示を求めたのである。次に紹介するのは、平成24年度、平成25年度、それに平成26年度の資料である。以下のPDFは、それぞれ契約書・請求書の順になっている。見積書はもともと存在しない。

■平成24年度(契約書・請求書)--準備中

■平成25年度(契約書・請求書)

■平成26年度(契約書・請求書)--準備中

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