1. 博報堂が内閣府に対して起こした請求書の4年分を入手、いずれも契約額を大幅に超過、見積書は存在せず

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2016年12月26日 (月曜日)

博報堂が内閣府に対して起こした請求書の4年分を入手、いずれも契約額を大幅に超過、見積書は存在せず

不透明な取引としてメディア黒書で報じてきた内閣府と博報堂のプロジェクト「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広告実施業務等」。

このプロジェクトに関する情報開示資料は、平成27年度分しか筆者の手もとになかったが、このほど、多年度分を入手した。それを検証したところ、複数年度に渡って同じ疑惑があることがわかった

今回入手したのは、平成23年度分(2011年度分)から平成26年度分(2014年度分)である。平成27年度分(2015年度分)については、すでに8月に入手している。

■平成27年度分(契約書・請求書)

平成27年度分で不可解な点が発見されたので、過去にさかのぼって同じプロジェクトの関係資料の開示を求めたのである。次に紹介するのは、平成24年度、平成25年度、それに平成26年度の資料である。以下のPDFは、それぞれ契約書・請求書の順になっている。見積書はもともと存在しない。

■平成24年度(契約書・請求書)--準備中

■平成25年度(契約書・請求書)

■平成26年度(契約書・請求書)--準備中

◇請求金額が契約金額を大きくオーバー

平成27年度分の請求書と同様に、他年度の請求書も多くの部分が黒塗りになっている。契約書の肝心な部分、納税者が最も知りたがっている部分、たとえば新聞広告の単価は全て黒塗りになっており、個々の新聞社に国から支払われた「公費」の額は分からない。これでは特定のメディアに配慮した措置であるとの批判を免れない。

プロジェクトの契約額と新聞広告の請求総額は、次の通りである。

■平成24年度:
契約金額:3980万円
新聞広告に対する請求額:11億430万円

■平成25年度:
契約金額:約4600万円
新聞広告に対する請求額:10億870万円(日経は黒塗りのため含まれてない)

■平成26年度
契約金額:約6670万円
新聞広告に対する請求額:13億5090万円

※テレビCM、雑誌広告などは別途

いずれの年度も、請求金額が契約金額を大きく上回っている。これについて内閣府は、契約額はプロジェクトの「構想」費であって、具体的なPR業務については、それが発生するたびに請求対象になる方式なので、請求額が契約額を大きく上回っても、問題はないと説明している。

しかし、PR業務の内容と予算を示す見積書は存在しない。口頭とメモで博報堂に指示して、PR活動の内容と価格を決めていたのだという。

◇「構想」費とは何か?

内閣府の説明でまず不可解なのは、契約額に該当する「構想」費の中身である。成果物が何であるのかが分からない。さらに「構想」費が年々高くなり、平成26年度には7000万円近くにまで達している。

さらに内閣府の説明でおかしいのは次の点だ。プロジェクトの契約が1年なので、契約が終了した後、博報堂は請求書をまとめて内閣府へ送ってくるという説明なのだが、平成24年度から27年度までの請求書に刻印されている受領印は、当該年度の契約が終了した後の日付けにはなっていない。広告を掲載した数カ月後の日付けになっている。

契約が完了してから、請求書を送るのが公式な事務処理なので、内閣府の説明は正しいが、実際に受領印の日付けを見るとそうはなっていない。契約が終わらないうちに、支払いが行われたことになっている。

ただしその振込み先がどこなのかは分からない。

年度を問わず「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広告実施業務等」で博報堂が請求の根拠にしている業務内容は、ブラックボックスの中だ。見積書が存在しないので、どのような業務に対して、請求を起こし、億単位の収入を得ているのかよく分からない。

今後は、それぞれの請求書に対応する具体的な成果物の情報開示を求めていくことになるだろう。