2021年09月28日 (火曜日)

最高裁事務総局による報告事件の調査、情報公開請求に対して3回目の開示延長通知

今年の3月22日付けで最高裁事務総局に対して請求した情報公開請求で、9月27日、わたしは3回目の開示延長通知を受けた。この情報公開請求は、一部の元判事らが証言している「報告事件」の有無を調査することが目的だ。

「報告事件」とは、権力構造(省庁、大企業、マスコミなど)の崩壊にかかわるような事件で、現体制にとってダメージとなる判決の方向性が浮上すると、最高裁事務総局が判決の方向性を変えるために、裁判官を交代させる策略のことである。下級裁判所の書記官から、この種の裁判の審理情況を報告させて対策を打つことから、「報告事件」と呼ばれている。軍事裁判と同様に司法国家の恥部とされている。

今回、請求している情報公開の内容は次の通りである。

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大阪府の広報紙『府政だより』、10万部を水増し、印刷は毎日新聞社系の高速オフセット、堺市で「押し紙」の調査

大阪府の広報紙『府政だより』が大幅に水増しされ、廃棄されていることが分かった。

わたしは、全国の地方自治体を対象に、新聞折り込みで配布される広報紙が水増しされ、一定の部数が配達されずに廃棄されている問題を調査してきた。

この記事では、情報公開請求で明らかになった大阪府の『府政だより』のケースを紹介しよう。悪質な事例のひとつである。

大阪府は、広報紙『府政だより』(月刊)を発行している。配布方法は、大阪府のウェブサイトによると、「新聞折り込み(朝日、毎日、読売、産経、日経)」のほか、「府内の市区町村をはじめ、公立図書館、府政情報センター、情報プラザ(府内10カ所)などに配備」している。さらに「民間施設にも配架」しているという。

このうちわたしは大阪府に対して、新聞折り込みに割り当てられた部数を示す資料を、過去10年にさかのぼって開示するように申し立てた。その結果、6年分が開示された。

データを解析した結果、『府政だより』の新聞折り込み部数が、大阪府における日刊紙の流通部数をはるかに超えていることが分かった。ここでいう流通部数とは、日本ABC協会が定期的に公表している新聞の発行部数のことである。新聞社が販売店に搬入する部数だ。

次の表に示すのが、ABC部数(朝日、毎日、読売、産経、日経)と『府政だより』の折込枚数の比較である。いずれの調査ポイントでも、『府政だより』の部数が、新聞の流通部数を大きく上回っている。

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2021年09月23日 (木曜日)

楽天の基地局設置をめぐる係争、懸念されるマイクロ波の遺伝子毒性、地主が反対住民に、「損害賠償請求の検討に入った」

電話会社が空前の利益を上げている。NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI3社の2020年度の売り上げは、合計でゆうに15兆円を超えた。5Gの普及という国策と連動して、無線通信ビジネスはいまや花形産業にのぼりつめた。

しかし、その影では、通信基地局の設置をめぐる電話会社と住民のトラブルが多発している。なかには自宅から退去せざるを得なくなった人もいる。

基地局設置をめぐるトラブルの背景には、基地局から放射されるマイクロ波による人体影響が、否定できなくなってきた事情がある。とりわけ遺伝子毒性が、否定できなくなってきたのである。それが問題を深刻にしている。

わたし自身、2005年に埼玉県朝霞市岡の自宅マンションの真上に、NTTドコモとKDDIが基地局を設置する計画を打診する体験を持ったことがある。しかも、設置個所はわたしの書斎の天井を隔てた真上だった。幸いに設置は阻止したが、それ以来、わたしはこの問題を取材してきた。

これは、ある日突然にだれにでも降りかかってくる問題なのである。

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2021年09月22日 (水曜日)

新聞業界から高市早苗議員に対して政治献金、3年間で40万円

新聞関係者から自民党の高市早苗議員に対して、政治献金が提供されていることが判明した。2019年度の政治資金収支報告書によると、全国の新聞販売店で構成されている日販協政治連盟から、20万円の献金が高市氏が支部長を務める自由民主党奈良県第2選挙支部へ行われている。

また、2018年度には、10万円が自由民主党奈良県支部連合に献金されている。自由民主党奈良県支部連合の住所は、奈良県大和郡山市筒井町940-1となっており、高市氏の事務所の住所と一致している。これは献金の受け取り人が高市氏であることを示している。

さらに2017年度にも10万円の献金を受けている。

献金の目的は不明だが、新聞に対する軽減税率適用の継続、再販制度の継続、学習指導要領に新聞の使用を義務付ける方針の継続などである可能性が高い。

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2021年09月18日 (土曜日)

西日本新聞の「押し紙」裁判、裁判官が「和解に応じることはありますか」、4月と10月に過重な「押し紙」、その背景に広告営業の戦略

西日本新聞の元販売店主・下條松治郎さんが起こした「押し紙」裁判の第1回口頭弁論が、9月16日に福岡地裁で開かれた。被告の西日本新聞社は、擬制陳述を行った。

※擬制陳述:第1回の口頭弁論に限って、答弁書の提出を条件に、被告の出廷が免除される制度

出廷した原告弁護団によると、裁判長は原告の主張を確認した後、和解に関する弁護団の方針について意思を確認したという。

「裁判官から和解に応じることはありますかと聞かれ、ハイと答えたところ、『和解が有りなら裁判の体制が単独になるかも知れません、もちろん合議制になるかも知れませんが』と言われました」

第1回口頭弁論で、裁判官が和解に関する当事者の考えを確認するのは異例だ。その背景に、司法関係者が「押し紙」問題の本質を理解しはじめた事情があるのかも知れない。

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2021年09月15日 (水曜日)

2021年7月度のABC部数、茨城新聞を除く全紙で減部数、東京新聞の販売店向け部数は40万部を割る

2021年7月度のABC部数が明らかになった。それによると読売新聞は、前年同月差で約41万部減った。朝日新聞は、約35万部減った。

地方紙を含む全国の日刊紙のうち、前年同月差でプラスに転じたのは、茨城新聞だけで、他の新聞は、すべて減部数となった。東京新聞の販売店向け部数は、40万部を切った。

新聞の長期没落傾向には、まったく歯止めがかかっていない。背景にインターネットの普及のほか、紙面の劣化、公権力の「広報部」としての新聞「茶番劇」が露呈し始めたことなどがあるようだ。

中央紙の部数は、次の通りである。( )内は前年同月比。

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朝日新聞の「押し紙」、広域でノルマ部数設定の疑惑、丸亀市では7500部を3年間にわたりロック 

現在、日本ABC協会が採用している部数の公表方法のひとつは、区・市・郡単位の部数を半年ごとに表示するものである。4月と10月に『新聞発行社レポート』と題する冊子で公表する。しかし、この表示方法では時系列の部数の変化がビジュアルに確認できない。たとえば4月号を見れば、4月の区・市・郡単位の部数は、新聞社ごとに確認できるが、10月にそれがどう変化したかを知るためには、10月号に掲載されたデータを照合しなくてはならない。冊子の号をまたいだ照合になるので、厄介な作業になる。

そこでわたしは、各号に掲載された区・市・郡単位の部数を時系列で、エクセルに入力することで、長期間の部数変化をビジュアルに確認することにしたのである。

かりにある新聞のABC部数に1部の増減も起きていない区・市・郡があれば、それは区・市・郡単位で部数をロックしていることを意味する。ABC部数は新聞の仕入部数を反映したものであるから、その地区にある販売店に対して、ノルマ部数が課せられている可能性が高くなる。

新聞は「日替わり商品」なので、販売店には残紙を在庫にする発想はない。正常な商取引の下では、読者の増減に応じて、毎月、場合によっては日単位で注文部数を調節する。販売予定のない新聞を好んで仕入れる店主は、原則的には存在しない。

販売店に搬入される総部数のうち、何パーセントが「押し紙」になっているかはこの調査では判明しないが、ノルマ部数と「押し紙」を前提とした販売政策が敷かれているかどうかを見極めるひとつのデータになる。

従前は、販売店の内部資料が外部に暴露されるまでは、「押し紙」の実態は分からなかったが、この新手法で新聞社による「押し紙」政策の有無を地域ごとに判断できるようになる。

ちなみに「押し紙」は独禁法違反である。

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2021年09月10日 (金曜日)

新聞・テレビの世論調査、第3者によるデータ検証をスルー、歯止めがかからない自民党のPR

現在進行してる壮大な世論誘導のひとつに、自民党総裁選の報道がある。テレビ・新聞はいうまでもなく、雑誌やインターネット・メディアも盛んに自民党総裁を報じている。たとえば候補者の「お人柄」や人脈を紹介する。その先鋒を務めているのは、田崎史郎、鈴木哲夫、東国原英夫といった人々である。

しかし、大半の視聴者・読者は総裁選報道がメディアによる世論誘導であることに気付いていない。おそらく報道現場にいる人々も、自分たちがやっている「ジャーナリズム」活動が、自民党の支持率回復に、重要な役割を果たしていることを認識していない。悪気なく、無邪気にやっているのだ。世論誘導の構図とはそういうものなのだ。無知が、その根底にある。

 

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読売新聞の仕入部数「ロック」の実態、約5年にわたり3132部に固定、ノルマ部数の疑惑、「押し紙」裁判で明るみに

新聞の没落現象を読み解く指標のひとつにABC部数の増減がある。これは日本ABC協会が定期的に発表している新聞の「公称部数」である。多くの新聞研究者は、ABC部数の増減を指標にして、新聞社経営が好転したとか悪化したとかを論じる。

最近、そのABC部数が全く信用するに値しないものであることを示す証拠が明らかになってきた。その引き金となったのが、読売新聞西部本社を被告とするある「押し紙」裁判である。

◆「押し紙」と「積み紙」

「押し紙」裁判とは、「押し紙(販売店に対するノルマ部数)」によって販売店が受けた損害の賠償を求める裁判である。販売店サイドからの新聞の押し売りに対する法的措置である。

とはいえ新聞社も簡単に請求に応じるわけではない。販売店主が「押し紙」だと主張する残紙は、店主が自主的に注文した部数であるから損害賠償の対象にはならないと抗弁する。「押し紙」の存在を絶対に認めず、店舗に余った残紙をあえて「積み紙」と呼んでいる。

つまり「押し紙」裁判では、残紙の性質が「押し紙」なのか、「積み紙」なのかが争点になる。下の写真は、東京都江戸川区にある読売新聞販売店で撮影された残紙である。「押し紙」なのか、「積み紙」なのかは不明だが、膨大な残紙が確認できる。

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2021年09月04日 (土曜日)

高市早苗・元総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、自身の政党支部へ自身で総額約1620万を寄付、約485万円の還付金を受け取る

 この記事は2017年3月14日に、メディア黒書に掲載したものである。高市早苗議員(当時、総務大臣)のマネーロンダリングを解説した。この事件で市民運動家と志岐武彦市とわたしが高市氏を刑事告発して、奈良地検が受理した事件である。高市氏は不起訴になったが、倫理上の問題があるのは明白だ。

 以下、記事を再掲載する。タイトルは変更した。

高市総務大臣に対する刑事告発が受理された。

高市氏による「マネーロンダリング」の手口を、奈良地検は受理したのである。。

なぜ、「マネーロンダリング」なのか?具体的な資料を示しながら、それを解説しておこう。

高市氏がやっていた不正は還付金制度を悪用したものである。次のような仕組みだ。

議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。

高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ自分で献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり議員がこれをやれば違法行為である。それが地検の見解だ。

高市氏は、「投資資金」の一部を、自身の政党支部から調達していたのである。つまり資金を還流させ、その還流のプロセスで還付金を受けていたのだ。計画性があって極めて悪質といえよう。

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