1. 安保法制案の根拠になっている砂川裁判の再審へ向け、18日に弁護団らが記者会見

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2015年06月18日 (木曜日)

安保法制案の根拠になっている砂川裁判の再審へ向け、18日に弁護団らが記者会見

6月18日、砂川事件の再審を求めている弁護士らが、国会の議員会館で記者会見を行う。

憲法学者らが安保法制案を違憲と解釈しているのに対して、安倍政権は依然として「合憲」を主張している。その根拠となっているのが、砂川事件の判例である。その砂川事件の再審を求める動きが活発になっている。

◇砂川事件とは?

砂川事件とは、1957年にアメリカ軍の立川基地を拡張する計画に反対する7人の住民が、立ち入り禁止の境界柵を突破して、基地内に侵入したとして起訴された事件である。

しかし、東京地裁の伊達秋雄裁判長は、1959年3月30日、「日本政府がアメリカ軍の駐留を許容した」こと自体が「憲法第9条2項前段によって禁止される戦力の保持にあたり違憲である」との解釈に基づき、7人全員に無罪を言い渡した。

ところが問題は、その後の経過である。日本は3審制の国であるから、地裁判決に不服があれば、高裁での審理を求めることができる。さらに高裁判決に不服があれば、最高裁での審理を求めることができる。

ところが砂川裁判で敗訴した検察は、高裁を飛び越えて最高裁へ上告した。これを受けて最高裁の田中耕太郎長官(写真)は、地裁判決を原審の裁判所へ差し戻した。判決の差し戻しは、判決を変更しなさいという指示に等しい。(わたしも、対読売裁判で最高裁が判決を差し戻して、読売に逆転敗訴したことがある)。

砂川事件で、最高裁が判決を差し戻した表向きの理由は、

「憲法第9条は日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず、同条が禁止する戦力とは日本国が指揮・管理できる戦力のことであるから、外国の軍隊は戦力にあたらない。したがって、アメリカ軍の駐留は憲法及び前文の趣旨に反しない。他方で、日米安全保障条約のように高度な政治性をもつ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない。」

と、言うものだった。

地裁は審理をやり直した。そして1961年3月27日、7人を有罪にし、罰金2000円の支払いを命じる判決を言い渡したのである。被告側は上告したが、1963年12月7日、最高裁は上告を棄却し判決を確定した。

以上が砂川事件の経緯である。

◇特定の有力者が圧力

ところが2011年になって予期せぬことが起きる。米国で閲覧制限が解かれた公文書により、当時、砂川裁判の扱いについて、マッカーサーが田中長官に対して、伊達判決の誤りを主張し、判決を見直すように指示していたことが判明したのである。判事でもない特定の有力者が、田中長官に圧力をかけて、判決を変更させたのである。

元被告らが再審を請求するゆえんにほかならない。

再審が認められ、不正裁判に対する批判の世論の広がれば、判決が変更される可能性もある。

その時、安倍内閣による安保法制の根拠も崩壊する。