1. 日本新聞協会に記事の訂正を申し入れ、同協会が掲載した対読売裁判の記事

裁判・黒薮に関連する記事

2018年10月16日 (火曜日)

日本新聞協会に記事の訂正を申し入れ、同協会が掲載した対読売裁判の記事

筆者は、15日、日本新聞協会に対して、同協会が『新聞協会報』に掲載し、その後、ウエブサイトに転載した、「読売への損害賠償、黒藪氏の請求棄却 福岡地裁」と題する記事の訂正を申し入れた。

6年前の2012年7月19日付け(ウエブサイト)の記事で、前日に知人から記事の存在を知らされ、内容を確認したところ、事実関係に誤りがあったからだ。少なくとも読者に誤解を招き、それが記録として残ってしまう懸念があったからだ。

交渉の結論を先に言えば、日本新聞協会は暫定的に筆者が指摘した記事を削除した。筆者から削除を求めたのではなく、編集部の判断で削除したのである。次の記事である。

 フリージャーナリストの黒藪哲哉氏が言論抑圧を目的に不当に裁判を起こされたなどとして、読売の東京・大阪・西部各本社などに損害賠償を求めた訴訟の判決が7月19日、福岡地裁であった。田中哲朗裁判長は、「紛争の解決を裁判所に求めるのは法治国家の根幹で、訴えを提起するのが違法行為になることはない」として請求を退けた。

 黒藪氏は2007年、自身のウェブサイトに西部本社法務室からの文書を掲載。これに対し読売西部は削除を求め、削除しない場合は法的手段をとると文書で通知した。黒藪氏は文書によって脅迫を受けたなどと主張した。
                     
 読売側は、法的手段をとるとの記載を通常、脅迫と受け取ることはないと反論していた。

 読売新聞グループ本社広報部は「当方の主張が全面的に認められており、妥当な判決と考える」とのコメントを出した。

◇「一連一体の言論弾圧」

読売との係争は、記事の通り2007年に始まった。読売の江崎法務室長が筆者に対して、メディア黒書(当時は新聞販売黒書)に掲載した読売の内容証明文書(名義は江崎氏)の削除を求めてきたのが発端だ。その後、この事件は著作権裁判にエスカレートした。

ちなみに筆者は、この著作権裁判を皮切りに読売から、約1年半の間に3件の裁判を起こされた。請求額は総計で約8000万円。本来であれば、廃業に追い込まれていたが、福岡県の江上武幸弁護士らが弁護団を結成して、全くの無報酬で、東京地裁や埼玉地裁まで支援に来てくれて、危機を乗り切ったのである。

読売が仕掛けてきた3件の裁判の結果は次の通りだった。

1,著作権裁判:地裁から最高裁まで筆者の勝訴

2,名誉毀損裁判(メディア黒書の記事):地裁、高裁は筆者の勝訴。最高裁で読売が逆転勝訴。

3,名誉毀損裁判(週刊新潮の記事):地裁から最高裁まで読売の勝訴。

これら3件の裁判に対して、筆者は、「一連一体の言論弾圧」という観点から、読売3社を提訴したのである。

◇内容証明文書の名義を偽って黒薮を提訴

筆者が問題とした新聞協会の記事で事実関係が誤っているのは、第2段である。再度、引用しておこう。

黒藪氏は2007年、自身のウェブサイトに西部本社法務室からの文書を掲載。これに対し読売西部は削除を求め、削除しない場合は法的手段をとると文書で通知した。黒藪氏は文書によって脅迫を受けたなどと主張した。

この段落は、著作権裁判についての記述である。「黒藪氏は文書によって脅迫を受けたなどと主張した」と書かれているが、私が恫喝だと主張したのは、読売による3件の「一連一体裁判」に対してである。

著作権裁判で筆者が問題にしたのは、「恫喝」や「脅迫」ではなく、読売が虚偽の事実を前提に裁判を起こしたことである。

読売の江崎法務室長は、メディア黒書に筆者が掲載した文書(筆者あての内容証明文書)は、自分が書いたみずからの著作物であるから、削除するように求めてきたのである。(厳密に言えば、著作者人格権を理由に文書の削除を主張したのである。)

ところが裁判の中で、問題の内容証明文書は、江崎氏が執筆したものではなく、読売の代理人の喜田村洋一自由人権協会代表理事の執筆である高い可能性が認定されたのだ。それを根拠に、門前払いのかたちで江崎氏らは敗訴したのである。江崎氏が著作者人格権の所有者ではないので、もともと、著作者人格権を根拠とした提訴権はなかったのだ。

著作権裁判で筆者が脅迫を受けたと感じたかどうかは、枝葉末節であって本質的なことではない。筆者の主張は、内容証明文書の作成者が江崎氏であるという虚偽の事実を前提に裁判を起こした行為を断罪すべきだというものだった。そのための「反訴」だったのだ。

著作権裁判で地裁判決が出た後、筆者の弁護団が発表した声明を再度紹介しておこう。江崎氏や喜田村氏が何をやったかがよく分かる。

弁護団声明

知財高裁の判決

◇弁護士懲戒請求

その後、喜田村弁護士に対して弁護士懲戒請求を行った。次のような内容である。

懲戒請求の準備書面(2)

【参考記事喜田村洋一弁護士らによる著作権裁判提起から10年、問題文書の名義を偽って黒薮を提訴、日弁連はおとがめなし①

【参考記事】喜田村弁護士に対する懲戒請求、第2東京弁護士会の秋山清人弁護士が書いた議決書の誤り②