1. 週刊新潮が横浜副流煙裁判を報道、この裁判の何が問題なのか?

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週刊新潮が横浜副流煙裁判を報道、この裁判の何が問題なのか?

本日(13日)発売の『週刊新潮』が、横浜・副流煙裁判について報じている。タイトルは、『「反たばこ訴訟」で認定された「禁煙学会理事長」の医師法違反』。日本禁煙学会の作田学医師の医療行為が医師法20条に違反していることが認定された経緯を伝えている。

ところでこの裁判は、原告による訴権の濫用である可能性がある。周知のように、原告が被告に請求した金額は4500万円だった。請求額としては極めて高額だ。しかし、高額訴訟であれば、特にめずらしくはない。わたしも読売新聞社から総額で約8000万円請求されたことがある。

横浜副流煙裁判で問題になるのは、訴因である。何を根拠に原告は高額請求に走ったのかという問題だ。結論を先に言えば、提訴の根拠となったのは医師の診断書である。医師の診断書を根拠にして、原告は被告に4500万円を請求したのだ。

ところがその診断書のうち、作田学医師が作成した1通は、直接に原告を診察せずに作成されたものだった。これは医師法20条が禁じている行為である。無診察による診断書であることは、山田弁護士も認識していた。(原告準備書面2)問題は、山田弁護士が医師法20条について知っていたか否かという点になるが、弁護士であるから知っていた可能性が高い。

つまり診断書の1通が不正なものであると認識した上で提訴に及び、高額な金銭請求を行った疑惑があるのだ。弁護士職務基本規定は、このような行為を禁じている。

第75条:弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

繰り返しになるが問題は、医師法20条について山田弁護士が知っていたか否かという点である。

敗訴した後も、反省の念が希薄なのか控訴した。しかし、控訴理由書は期限の1月31日が過ぎても提出されていない。

ちなみにこの事件の最初の報道は、マイニュースジャパンの次の記事である。

「タバコの副流煙で化学物質過敏症になった」と4500万円請求の訴訟に――神奈川県警まで動いた団地の近隣トラブル

わたしが執筆した記事である。執筆する前に、わたしは山田弁護士を取材した。ところが取材の翌日、マイニュースジャパンの編集部とわたし宛てに、この事件についての報道を控えるように通知がきた。もちろん、そんな要請には応じる道理がなく、断った。

報道を抑制する一方で、根拠のないことを根拠にして高額請求を行う。弁護士としての倫理観はどうなのか。スラップを抑制するために、いずれ日弁連にも相談してみたい。