1. 【バックナンバー】新聞の世論調査報道のウソ、『新聞を読む』83%は第3者による調査ではなかった

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2018年12月01日 (土曜日)

【バックナンバー】新聞の世論調査報道のウソ、『新聞を読む』83%は第3者による調査ではなかった

新聞の没落ぶりは、なにも部数減に歯止めがかからないことだけではない。報道内容そのものにウソが多い。その典型例は、世論調査報道による印象操作である。

次に紹介するバックナンバー記事、「新聞協会が発表した『新聞を読む』83%、世論調査を実施したのは時事通信社と親密な中央調査会」は、世論調査が実は身内による調査で、第3者によるものではなかったことを暴露したものである。ある種のフェイクニュースである。

2014年の記事だが、実態はいまも同じではないかと推測する。

日本人(子供を除く)の83%が「新聞を読む」習慣があるという日本新聞協会の調査結果を、読者の皆さんはどう感じるだろうか?

同協会は18日、自らが主催した「全国メディア接触・評価調査」の結果を公表した。ところがこの調査は、厳密にいえば新聞協会とは無関係の第三者に依頼して実施したものではないことが分かった。本来、「身内」以外に発注するのが常識なのだが。

調査は、新聞協会の会員社である時事通信の西澤豊社長が会長を務める中央調査社が実施したものである。西澤氏は、少なくとも昨年の1月までは、新聞協会の監事だった。

この調査の結果を伝える新聞協会のウェブサイトをご覧いただきたい。調査概要の最終項目に「実査・レターヘッド:中央調査社」と、明記されている。これが実際に調査を行った組織である。

■http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/rep/

つまりこの調査では、意図的な情報操作をおこなうことができる余地があったのだ。新聞を読む習慣がある人が83%を占めるという信じがたい数字が出たゆえんではないか。

かりにこの数字が、新聞の公称部数と同様にまったく実態を反映していないとした場合、情報操作の背景に、新聞に対する消費税の軽減税率の適用を勝ち取りたいという新聞経営社(以下、新聞人)の思惑があるのではないか。

◇実態と離れた感覚

調査結果は、読売や毎日の紙面とウェブサイトなどでも紹介された。次のような結果だった。

日本新聞協会広告委員会は「2013年全国メディア接触・評価調査」の結果を発表した。新聞を読んでいる人は83.6%だった。電子版の新聞を読んでいる人は7.7%で、紙と電子版を併読している人は6.3%だった。新聞社が発行する電子版の認知度は49.2%で、半数が「知っている」と答えた。(毎日新聞)

データを要約すると次のようになる。

新聞を読んでいる人:83.6%

電子版の新聞を読んでいる人:7.7%

紙と電子版を併読している人:6.3%

新聞社が発行する電子版の認知度:49.2%

わたしの予想とはかけ離れていた。わたしは次のように予想していた。

新聞を読んでいる人:50%

電子版の新聞を読んでいる人:70%

紙と電子版を併読している人:80%

新聞社が発行する電子版の認知度:90%

ちなみに読売の渡邉恒雄会長は、今年の読売賀詞交換会で新聞離れについて次のように述べている。渡邉氏の推測では、新聞を読んでいる人は50%である。

もうひとつの悲観要因は活字離れです。東京23区の無購読者層は約5割です。日本の中心の23区で新聞を読まない世帯が50%近いということは、新聞界の将来に響く大きな問題です。

◇新聞に対する消費税軽減税率の適用を問う調査でも・・

実は、日本新聞協会は、今回とまったく同じ手口の世論調査を過去にも行っている。新聞に対する減税率適用の是非を問う世論調査を主催するさいに、やはり中央調査社に調査を発注している。これについては、昨年の1月にMyNewsJapanで実態を明らかにしたので、掲載記事のリードの部分を紹介しておこう。

新聞社が新聞に対する消費税の軽減税率適用を求めて紙面を使ったPRを展開している。その根拠として記事などに引用しているのが、日本新聞協会が実施したとされる世論調査の結果で、実に、国民の8割が生活必需品に対する軽減税率適用を求め、新聞・書籍に対しても、その4分の3が賛成している、というものだ。

ところが、実際にこの調査を行ったのは、中立な第三者どころか、新聞協会の監事・西澤豊氏が会長を務める中央調査社。しかも、実際に面接調査をしたのは、4000人の候補者のうち1210名だけで、新聞の定期購読率が極めて高いと思われる層のみに聞いた“イカサマ調査”といえる。

新聞と書籍をごちゃ混ぜにして質問するなど、質問内容にも結果を誘導した跡がある。新聞業界は「押し紙」分まで増税されてしまうことを極端に警戒し、世論調査・世論誘導すべくしゃかりきに走り出した。

■MyNewsJapanの記事全文

◇住所も電話も同じ

新聞協会がアンケート調査を発注してきた中央調査社と、新聞協会の会員社である時事通信の親密な関係は否定のしようがない。

中央調査社の地方事務所の所在地を調査したところ、大阪事業所、名古屋事業所、広島事業所の住所がいずれも、時事通信の支社と一致することが分かった。以下のとおりである。

時事通信大阪支社: 大阪市中央区備後町4-1-3(御堂筋三井ビルディング6F)

中央調査社大阪支社:大阪府大阪市中央区備後町4-1-3 御堂筋三井ビル6F

時事通信名古屋支社:名古屋市中区錦2-2-13(センタービル8F)

中央調査社名古屋支社:名古屋市中区錦2-2-13 センタービル

時事通信広島支社:広島市中区基町5-44(商工会議所ビル5F)

中央調査社広島支社:広島市中区基町5-44 商工会議所ビル

また、大阪事業所の電話番号(6231-6340)と時事通信大阪支社・調査部の電話番号(6231-6340)が同じであることも分かった。