1. 小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑のルーツは自民党の時代、輪郭を現す権力抗争

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2015年01月08日 (木曜日)

小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑のルーツは自民党の時代、輪郭を現す権力抗争

本サイトで繰り返し報じてきた検察審査会をめぐる2つの疑惑。小沢検審疑惑と鳩山検審疑惑の共通点について、解説しておこう。そこから検察審査会制度の闇、あるいはそれを牛耳っている最高裁事務総局の実態が輪郭を現してくる。

なお、2つの検審疑惑の詳細については、次の記事を参考にされたい。

「最高裁をただす市民の会」が小沢検審の架空議決疑惑で、会計検査院に調査を要請 

鳩山検審に裏金づくりの疑惑、同じ請求書が2枚あったことが情報公開資料の精査で判明

繰り返しになるが、検察審査会とは、「検察」の名を付しているものの、検察による不起訴決定の当否を審査する最高裁事務総局の組織である。従って検察審査会の不正は、裁判所の不正にあたる。

2つの検審疑惑を解明した『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏によると、この問題を考えるうえで、欠くことができないのは、2008年1月に最高裁がおこなったある「改革」である。

2008年1月21日、最高裁は、「全国に201カ所ある検察審査会のうち地方の50カ所を廃止し、9都市の大規模地裁管内で計14カ所を増設再編案を発表した」(日経新聞・2008年1月22日)のである。

このうち小沢検審と鳩山検審の舞台となった東京検察審査会(東京地裁内)は、「審査会を2カ所から6カ所へ増やす」ことになった。つまり従来は、第1検察審査会と第2検察審査会の2つだけだったが、これに第3、第4、第5、第6の検審を新たに設置することになったのだ。

事実、この計画は実施され、現在、東京地裁管内には、6つの検察審査会が置かれている。

◇なぜ、新設の検察審査会なのか?

小沢検審と鳩山検審は、どの検審に割り当てられたのだろうか?結論を先に言えば、小沢氏が第5検審で、鳩山氏が第4検審である。いずれも新設の検審が小沢事件・鳩山事件を担当することになったのだ。両人とも野に下ったばかりだった。(注:小沢氏の場合は、最初は第1検審、2回目で第5検審)。

なぜ、2人は新設に割り当てられたのか。答えは簡単で、検察審査員(補充員を含む)の任期は半年で、半年ごとに審査員の半数が入れ替わる制度になっているために、従来からある第1と第2では、架空審査員を設定することが出来ないからだ。

まったく新しい審査会であれば、架空審査員の設定と架空議決、さらには裏金づくりの舞台までを準備することが可能になるからだ。事実、小沢検審と鳩山検審には、本サイトで繰り返し述べてきた、根拠のある疑惑がかかっている。

◇第1次安倍内閣と検審の関係

志岐氏が指摘している2008年1月は、福田内閣の時代である。この時期に検察審査会の改編がおこなわれたわけだから、それ以前の内閣で改革案ができていたものと推測される。

当時は、小泉構造改革により社会的な格差が広がり、政権交代の世論が高まってきた時期である。多くの国民が新自由主義からの脱皮を求めたのである。

その結果、何が起こったか。改めて言うまでもなく民主党の台頭である。
安倍内閣に続く、福田・麻生の両政権は、やむなく構造改革=新自由主義の手直しをよぎなくされたが、それも失敗に終わり、民主党政権の成立が避けられなくなった。

そして実際に鳩山内閣が成立したのである。が、鳩山政権は、米国の圧力に屈した。鳩山氏の後任として、菅政権は構造改革=新自由主義への回帰をはかり、反新自由主義とまでは言えないまでも、民衆に一定のシンパシーを持っていた小沢氏は排除されたのである。

その後、鳩山氏は第4検審で、小沢氏は第5検審で、そろって議決を受けることになる。小沢氏が「起訴」で、鳩山氏が「不起訴」である。

が、現在、小沢検審と鳩山検審に本当に審査員がいたのかという根拠のある疑惑かかっているのである。

繰り返しになるが、新設の検察審査会は、自民党政権の時代に準備が整っていたのである。権力抗争と疑われても仕方がない。