1. 小沢一郎検審の架空検審疑惑を追及する「市民」を東京地裁が強制退去させる、質問の答えは「秘密」

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2015年03月04日 (水曜日)

小沢一郎検審の架空検審疑惑を追及する「市民」を東京地裁が強制退去させる、質問の答えは「秘密」

小沢一郎検審(東京第5検察審査会、2010年9月14日に起訴相当議決)が架空であった疑惑を調査してきた志岐武彦氏(『最高裁の罠』の著者)と石川克子氏(市民オンブズマンいばらき)が、2月27日に、東京地裁の中にある東京検察審査会の事務所から、警備員により強制的に退去させられていたことが分かった。

志岐氏からの告発を受けて、わたしが聞き取ったところ、次のことが分かった。

まず、志岐氏が東京検察審査会を訪問した目的は、以前、同氏が情報公開請求により開示を受けた検察審査員名簿に不可解な点が発見されたので、それについて質問することだった。

一方、石川氏は、情報公開請求の手続きを踏んで入手できることになった検察審査会のハンドブックとリーフレットの配布先一覧の開示を受けるためだった。

◇杉崎課長が志岐氏の同伴を拒否

両氏が検察審査会の事務所に到着したのは、午後1時30分ごろ。最初に石川氏の件について対応を求めた。石川氏と志岐氏は協同で調査をしてきたこともあって、石川名義で情報開示請求をしていたが、実質的には、両人による開示請求であった。

そこで石川氏は、電話で事前に検察審査会の杉崎課長に志岐氏の同席予定を伝えていた。その際、志岐氏の同伴は認めないと言われたので、その理由を書面で提出するように申し入れた。以前は、同席が認められたからだ。

ところが27日の面談時に、杉崎課長は志岐氏の同伴を断ったうえに、石川氏が要求していた理由書も準備していなかった。このために志岐氏の同席をめぐって、両者の間に問答が続いたのである。結局、結論には至らず、第2の議題に入った。

◇質問の答えは秘密に

第2の議題は、志岐氏が以前に情報公開請求して入手していた検察審査員名簿に不可解な点が発見されたので、それについての質問をすることだった。その内容は、複雑なので省略するが、以前、『週刊ポスト』で報じられた疑惑である。次の記事を参考にしてほしい。

■週刊ポスト2013年4月5日号記事 

志岐氏は、27日の面談にそなえて、事前に検察審査会に質問状を持参していた。

しかし、検察審査会の杉崎課長は志岐氏の質問には一切答えず、質問状も受け取らず、押し問答の末に警備員(隊)を呼んだのである。

■志岐氏の質問状

この時の様子を志岐氏は、ブログ「一市民が斬る」で次のように述べている。
 警備員が部屋に入ってくる。

市民  :(警備員の長に向かって)「地裁総務課長さんを呼んで下さい」
警備長 :「強要するようなことがあれば出て行っていただきます」
市民  :「呼んで下さいと言ったのは強要ではありませんよ」
警備長 :「話しは済んでいるから、お帰り下さい」
市民  :「話しは済んでないですよ。」
警備長 :「構外退去を命じます。」

 2人の周りを数人の警備員が取り囲んだ。
私はここで騒げば拘束されると思った。警備員が私達二人を押した。石川氏が「触らないでください」というと一端離れるが、また押してくる。廊下まで押し出された。

  廊下に出るとさらに多くの警備員が取り囲んだ。10人ぐらいいただろうか。3階の廊下を警備員に押されながら進んだ。

  一般用のエレベーターまで来たので「このエレベーターに乗らないのか」と聞いたが、さらに先に進めという。廊下の突き当りの左に、通常使われないエレベーターがあった。やっと理解した。人目につかない通路から退去させるのだ。

◇検察審査会側の言い分

一方、わたしは検察審査会側の言い分も明らかにするために、電話取材を試みた。しかし、「質問にはいっさい答えません」との一点張りだった。コミュニケーションそのものが成立しなかった。

一方、検察審査会がある東京地裁は、今回の件に関して、事実関係を把握しているとした上で、両者の押し問答が1時間半にも及んだので、東京地方裁判所の所長の権限で業務に支障があると判断し、退去命令を出したと話している。

厳密に言えば、今回の件は、警務課長が所長の代理として退去命令を発令したとのことだった。

検察審査会に関する疑惑に関しては、「質問にはいっさい答えません」で処理されることが許されるなら、検察審査会はブラックボックスになってしまう。問題の本質は、検察審査会が情報開示請求者に対して、真摯に対応しなかったことにある。

ちなみに志岐氏の質問が特定秘密保護法に抵触している可能性もある。だから検察審査会は、一切答えなかったのでは。何でもこじつけで秘密にできる時代である。その秘密の中身は一切口外できない。