1. 『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)に記録された原発事故と鼻血の関係、「美味しんぼ」問題にみる村社会の体質

原発に関連する記事

2014年05月20日 (火曜日)

『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)に記録された原発事故と鼻血の関係、「美味しんぼ」問題にみる村社会の体質

『週刊ビッグコミックスピリッツ』の「美味しんぼ」で、主人公が鼻血を出す場面が批判の対象になっている。風評被害を引き起こすというのだ。風評被害というからには、放射能によるガンマ線と鼻血は関係がないという見解が前提になっているはずだが、果たして両者に因果関係はないのだろうか?

この点を曖昧にすると、言論弾圧が日常化しかねない。

『チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店)という旧ソ連の研究者たちによる報告書がある。とかく原発事故による人的被害といえば、甲状腺癌や白血病と関連づけて考える傾向があるが、同書は、放射線による癌以外の被害についても詳しく報告している。

次のPDFファイルの図は、「子どもの健康に関する自覚症状の一覧」である。

■「子どもの健康に関する自覚症状の一覧」

「重度汚染地域」と「低汚染地域」を症状別に比較したものである。報告されている症状は次の通りである。

健康状態に関する不調の訴え、虚弱、眩暈(めまい)、頭痛、失神、鼻血、疲労、心臓不整脈、腹痛、嘔吐、胸やけ、食欲不振、アレルギー。

特に着目すべき点は、1回目の調査では、すべての症状の発症率において、「重度汚染地域」が「低汚染地域」よりも高い数値を示していることである。3年後の調査では、例外的に「アレルギー」の発症率が、重度汚染地域よりも、低汚染地域の方が高くなっているのを除くと、やはり同じ傾向を示している。

注目すべきことに、「鼻血」が放射線による症状として、記録されている事実である。つまり「美味しんぼ」における鼻血の場面は、誇張ではなくて、十分な根拠があるといえる。

この程度の表現がバッシングの対象にされた事実は、言論統制が水面下でかなり進行している証といえるだろう。今やメールや電話の傍受は、あたりまえ。安倍内閣になってから、「先進国」とは思えない言論に対する嫌がらせが進行している。

◇携帯基地局と鼻血の症例

あまり知られていないが、携帯基地局の近辺でも、鼻血の症例が多数報告されている。たとえば4年前、MyNewsJapanにわたしが執筆した次の記事。延岡市のKDDI基地局の周辺で、鼻血を訴える住民が増えていることを報告したものである。

■KDDIケータイ基地局公害訴訟 原告に聞く健康被害の実態

最近、電磁波はガンマ線からマイクロ波、さらに極低周波まですべて毒性があるとする説が有力になっている。これに関して電磁波問題の第一人者である荻野晃也氏は、『携帯電話基地局の真実』の中で次のように述べている。

これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:ガンマ線やX線)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。

福島で鼻血の症例が観察される事実。携帯基地局の周辺でも鼻血の症例が多数観察される事実。これらは電磁波が人体に及ぼす影響という観点からすると、整合性があるのだ。