共産・小池氏が指摘した防衛省の内部文書に対する情報公開請求、9月24日までの回答を防衛省が通知
【サマリー】 共産党の小池晃氏が暴露した防衛省の内部文書の情報公開を防衛省の中谷元防衛大臣に対して請求したところ、8月21日付けで受付が完了した旨を伝える通知が送られてきた。防衛省はこれを開示するか、それとも隠すか、同省の姿勢を観察する機会となった。
小池氏が指摘した内部文書の例でも明らかなように、このところ法案が成立していないのに、成立を前提に行動を起こす「見切り発車」が増えている。その背景に官僚による政治の復活があるのでは?
8月11日に参議院安全保障特別委員会で共産党の小池晃氏が暴露した防衛省の内部文書「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」の情報公開を防衛庁の中谷元防衛大臣に対して請求したところ、8月21日付けで受付が完了した旨を伝える通知が送られてきた。
同封されてきた通知によると、「開示・不開示の決定は原則として30日以内に行われて、書面で通知される」という。期限は9月24日である。
ちなみに請求者が具体的に特定している公文書の開示をするのに、なぜ、ひと月もの日数がかかるのかよく分からない。民間企業であれば、この程度の手続きであれば、半日もあれば十分だ。
ジャーナリズムはスピードが勝負だから、このような「牛歩」戦術をと取られると取材に支障が生じる。
とはいえ特定秘密保護法が施行されている状況の下で、防衛省の内部文書に対して情報公開請求を行う試みそのものは大きな意義がある。防衛省の姿勢を観察する恰好の機会になるからだ。
ちなみに、防衛省の黒江哲郎防衛政策局長は、この文書について「秘密にあたるものではないが、流出したことは遺憾だ」と述べており、情報開示を拒否する理由はない。
◇官僚主義の復活
法案が成立していない段階で、法案が成立することを前提に、自衛隊が活動していることは周知の事実である。たとえば、特定秘密保護法違憲訴訟の中でも、ジャーナリストの寺澤有氏が、自衛隊員の死傷を想定して自衛隊が隊員に隊員家族連絡カードの記入を求めていた事実を暴露した。
さらに自衛隊が米軍と協同で敵地への上陸演習を繰り返していることも周知の事実となっている。
こうした状況が生まれている背景には、官僚が再び日本の政治を動かす体制が復活してきた証ではないか。規制緩和や官僚主義の打破を求めて小沢一郎氏らがイニシアティブと取った構造改革だったが、結局、新自由主義と軍事大国化の国策を進める官僚に作り替えられただけに過ぎなかったようだ。