2015年08月12日 (水曜日)
志岐武彦氏が新刊『最高裁の黒い闇』(鹿砦社)を出版、小沢検審架空説の根拠を示す
【サマリー】小沢検審にかかっている疑惑を調査してきた志岐武彦氏が新刊『最高裁の黒い闇-国家の謀略を追った2000日の記録』(鹿砦社)を出版した。元参院議員・森裕子氏が志岐氏を訴えた裁判の経緯をたどりながら、小沢検審が「架空検審」であった根拠を提示している。その柱となるのが、「7つの根拠」である。
志岐氏が対森裕子裁判に勝訴してまもなく1年。検察審査会の問題は極めて公益性が高く、本来であれば名誉毀損であるか否かとは別の次元で、検証されなければならない問題である。志岐氏は書籍の出版によりその目的を達した。
検察審査会が起訴相当議決を下して小沢一郎氏を法廷に立たせた事件ついて、検証するに値する2つの謀略説がある。捏造報告書によって検察が小沢一郎氏のイメージダウンをはかり、審査員を起訴相当議決へ誘導したとする説と、検察審査会の上部組織である最高裁事務総局が小沢検審そのものを審査員がいない「架空審査会」に設定して、みずから起訴相当議決を下したとする説である。
前者の立場を取ってきたのは元参院議員の森裕子氏である。大半のマスコミもこの説に追随してきた。
これに対して後者の立場を取ってきたのは志岐武彦氏と市民オンブズマンいばらぎの石川克子氏である。
森・志岐の両氏はそれぞれ『検察の罠』(日本文芸社)、『最高裁の罠』(K&Kプレス)というよく似た表題の本を出版している。両者の対立は、2013年、森氏が志岐氏に対して言論活動の一部禁止と500万円の金銭などを請求する裁判を起こす事態にまでエスカレートした。
この裁判については志岐氏の勝訴が確定している。このほど志岐氏が出版した『最高裁の黒い闇-国家の謀略を追った2000日の記録』(鹿砦社)には、対森裁判の経緯は言うまでもなく、その根底にある最高裁事務総局による謀略説が詳しく記述されている。
本書の中で小沢検審を「架空検審」と結論づけた根拠として、志岐氏は次の7点を指摘している。
①新聞報道に見る不自然な記述。
新聞が「審査が本格化する見通し」と報じた6日後に議決が下された事実がある。しかも、議決が下された日は、小沢氏が立候補していた民主党代表選の当日でもあった。
②検察官による議決前の意見表明が行われなかった疑惑。
審査会が議決を下す前には、検察官が検審に参加して、みずからの意見を述べる規則になっている。さもなければ議決は有効にはならない。しかし、担当検察官が検審へ足を運んだことを示す出張記録が不在になっている。さらに検察官が小沢検審に出席しなかったとする関係者の証言も存在する。
③ニセの審査員旅費請求書が多量に作成されていた形跡。
検審を「開催」したにもかかわらず、一部の請求書は存在しないことも裏付けられている。
④会計検査院が、小沢検審の〝審査員実在確認〝を故意に外した事実。
志岐氏らが会計検査院に調査をやり直すように求めても応じていない。
⑤審査員の平均年齢を3度も訂正している事実。
これについては、森裕子氏の『検察の罠』にも詳しい。
⑥最高裁が、審査員候補者名簿にない人を審査員に「抜擢」できる「くじ引きソフト」を作成していた事実。
これについても、森裕子氏の『検察の罠』が指摘している。森氏が議員の職権を使って調査した結果である。
⑦最高裁事務総局が新設した検察審査会に小沢検審が割り振られていた事実。
本書は①~⑦の例題を詳しく検証している。もちろん志岐氏の主張は推論であるが、推論を十分に裏付けるための文書を提示しているので、小沢検審を「架空検審」と結論づけたプロセスが明快に理解できる。
「志岐VS森」が終わって一年に満たないこの時期に、志岐氏が本書を執筆した背景には、単に勝訴で得た勢いが追い風になったというだけではなく、元国会議員が起こした裁判によって言論を封じられそうになったことに対する怒りがあるのは間違いない。
検察審査会の問題は極めて公益性が高く、本来であれば名誉毀損であるか否かとは別の次元で、検証されなければならない問題である。志岐氏は書籍の出版によりその目的を達した。
※本書は既に一部の書店への配本は完了している。20日ぐらいに配本が完了する予定。