1. 東京目白の元国有地を私的な不動産ビジネスに使用、1963年に大蔵省から約7億5000万円で譲渡 

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2017年04月18日 (火曜日)

東京目白の元国有地を私的な不動産ビジネスに使用、1963年に大蔵省から約7億5000万円で譲渡 

森友学園や加計学園の事件を通じて、国有地の払い下げの在り方が社会問題として浮上してきた。国有地の払い下げ問題には、政界との癒着だけではなくさまざまな側面がある。単に安価で土地を提供するケースだけではない。別の問題もある。

それは譲り受けた土地を、一定の期間を経たあと、大型の不動産開発を進める例である。もちろん、国有地が私有の土地になったわけだから、再開発が違法行為とはいえないが、倫理上の問題を考える必要がある。

東京豊島区にある学習院大学に隣接して巨大なマンションが建っている。「超」が着く高級マンションで、ロビーはホテルなみに受付嬢が配置されている。セキュリテーも厳重で、インターホンで受付嬢とコンタクトを取り、開錠してもらうルールになっている。

このマンションの敷地が元国有地だったという情報を得て、筆者はこの不動産に関する登記簿類を調査した。その結果、マンションが建つまえは、日本造船技術研究センターがあったことが判明した。同センターのウエブサイトによると沿革は以下の通りである。

■日本造船技術研究センターの沿革

沿革から需要な部分を抜粋してみよう。

大正5年(1916)   前身である逓信省管船局船用品検査所発足

昭和20年(1945)   運輸省船舶試験所に改称

昭和25年(1950)   運輸省運輸技術研究所発足

昭和38年(1963)   運輸省船舶技術研究所発足

昭和42年(1967)   (財)日本造船技術センター設立。運輸省船舶技術研究所より試験水槽及び技術を承継し、水槽試験等の推進性能試験業務、基本設計等の船舶設計・調査等の業務並びに技術研修及び技術指導業務を開始

平成16年(2004)   本部を目白から飯田橋に移転

平成20年(2008)   本部を吉祥寺に移転

船舶技術を発展させる団体のようだ。

◇エスエフ目白開発特定会社

もともと国の機関であったものが、1967年(昭和42年)に財団法人になった。その翌年、1963年、日本造船技術センターは約7億5000万円で大蔵省からこの土地を譲り受けている。

その後、エスエフ目白開発特定会社という企業がマンションを建設して、日本造船技術研究センターは他の場所へ移転している。

1963年当時の売買価格約7億5000万円が適正なのかどうかは不明だが、元々は国の土地だったものが、民間の手に渡り、しかも、そこで公益とはあまり関係のない不動産ビジネスに利用されている実態がある。

森友学園や加計学園の場合は学校であるから、一応の公益性はある。売買のプロセスが正当に行われていれば問題はない。が、目白のケースのように、合法であっても、最終的には私的なビジネスに使われているのは倫理上の問題があるのではないか。