「押し紙」の経理処理は粉飾決算ではないか?、年間で1000億円規模、背景に税務関係者の天下りも
「押し紙」の経理処理が粉飾決算に該当するのではないかという指摘はかなり以前からあった。実際には販売していない「押し紙」が生む利益を、新聞社の収入として計上し、収入規模を大きく見せているのだから、常識的に考えれば粉飾決算ということになるだろう。
もう20年ぐらい前になるが、この点に関して「押し紙」裁判の原告だった販売店主に質問したところ、トラブルになった時は、●●さん(税務署の関係者)と話せば適切に処理してくれると発行本社から指示されていると説明した。そういえば税務関係者の天下りを受け入れている新聞社もある。
当時、「押し紙」問題に取り組んでいた沢田治さんも、この点に疑問を呈していた。
◆◆
日本全国で印刷される一般日刊紙の朝刊発行部数は、2021年度の日本新聞協会による統計によると、2590万部である。このうちの20%にあたる518万部が「押し紙」と想定し、新聞1部の卸卸価格を1500円(月額)と仮定する。この場合、「押し紙」による被害額は77億7000万円(月額)になる。この金額を1年に換算すると、約932億円になる。
「押し紙」率が30%であれば、年間で1165億となる。
実際には売れていない新聞の収入を、年間で1000億単位で収入として計上しているのである。その「押し紙」の買い取り資金の一部は、補助金として新聞社が支払っている。
このような経理処理に対して、半世紀に渡ってメスが入らない事実は、それ自体が重大だ。新聞社が権力構造の「PR部隊」として組み込まれている証ではないか。巧みな洗脳の背景に「押し紙」問題がある。