武富士から新聞社へ、「押し紙」代金の取り立て、問われる新聞人の人権意識
新聞販売店の強制改廃が後を絶たない。新聞社は、販売店の廃業に際して、店主に対し新聞の卸代金の未払い金を請求する。しかし、それには「押し紙」が含まれているので、請求額は尋常ではない。3000万円とか4000万円のレベルになることもある。ある店主に尋ねてみた。
「廃業後にどうやって未払い金を返済するのですか?」
「他の販売店で従業員として雇用してもらい、月に5万円とか7万円を新聞社に入金している人がかなりいます」
月に5万円。年間で60万円。10年で600万円。3000万円も4000万円も借金がある元店主、生涯、新聞社の奴隷として生きるしか選択肢がない。戦前のように前近代的な制度である。
ある意味ではサラ金や商工ローンの取り立てよりも残酷だ。ジャーナリズムの看板を上げた新聞社がこの実態であるから問題は深刻だ。しかし、新聞社は日本の権力構造に組み込まれているので、公正取引委員会も裁判所も、「押し紙」問題にはメスを入れない。「押し紙」を放置することで、新聞社に恩を売って、「世論誘導」の役割を担当させているのである。
新聞記者は「押し紙」問題はから逃げてしまう。それが処世術であることを子供のころから脳裏に叩き込まれているのだろう。