1. 日本の政治

日本の政治に関連する記事

2015年12月09日 (水曜日)

「反自民」よりも「反共」で共闘か? 民主党と維新の党が統一会派

民主党と維新の党が統一会派を結成することで合意した。このニュースを聞いた時、わたしは1990年代から2大政党制を前提として繰り返されてきた野党の再編劇を連想した。正直、「またか?」と思った。

野党再編劇の構図は、複雑なようで実は極めて単純だ。自民党政治に対する不満を、自民党とあまり変わらないもう一つの保守勢力が受け皿になって、財界が望む新自由主義=構造改革を持続する騙(だま)しの構図である。

これまでの野党再編と同様に、今回の民主・維新の統一会派結成も「反自民」よりも、むしろ「反共」という意思統一があるようだ。事実、民主党の岡田党首は、共産党とは連立政権を組めないと言っている。この発言を突き詰めると、自民党とならば場合によっては連立政権を組んでもいいが、共産党とは絶対に組めないということになりそうだ。

おそらく民主・維新は、共産党とは選挙協力もしないのではないかと思う。むしろ共産党を抜きにして、野党の選挙協力を目指しているのではないか。

もし、その推測が正しいとすれば、両党は自民党政治によって国民の生活が危機的に置かれている状況下でも、選挙で自民党を助けることになりそうだ。

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2015年11月25日 (水曜日)

「大阪維新の会」圧勝の背景に、東京に対する大阪人の劣等感と対抗意識、それに公務員に対する妬(ねた)み

大阪維新の会が22日に投票が行われた府知事選と大阪市長選で圧勝した。知事選では、現職の松井一郎知事が64%の得票率を得た。大阪市長選でも新人の吉村洋文氏が56%を占めた。他党はまったく歯が立たなかった。

選挙になると候補者は得票率を伸ばすための戦略を練る。大きな選挙になると、世論誘導の専門家を広告代理店から招聘(しょうへい)することも珍しくない。

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2015年11月09日 (月曜日)

前最高裁長官の竹崎博允氏が受けた大綬章、選考したのは内閣府賞勲局

前最高裁長官の竹崎博允氏が、大綬章を受けた。毎日新聞(11月5日付け)は「<秋の叙勲>皇居で大綬章授与式 竹崎前最高裁長官ら」というタイトルでこのニュースを報じた。

秋の叙勲の大綬章授与式が5日、皇居・宮殿「松の間」で行われた。桐花大綬章の竹崎博允前最高裁長官(71)ら日本人9人と、イタリアのマリオ・モンティ元首相(72)ら外国人2人に、天皇陛下が勲章を手渡された。

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2015年10月07日 (水曜日)

発展途上国におけるインフラ整備の裏面、行き着く先は積極的平和主義=海外派兵による治安維持

【サマリー】9月17日に成立した安保関連法案に対して財界が歓迎の意を表明している。経済同友会と経団連がそろって談話を発表した。

最近、マスコミは発展途上国における日本によるインフラ整備をPRするようになったが、インフラ整備の先には、多国籍企業の進出がある。そのためのインフラ整備の側面が強い。さらにその先には、海外派兵によって、進出先の国の「治安」を維持し、多国籍企業がぼろもうけできる体制の維持という青写真がある。

安倍内閣の積極的平和主義とは、海外派兵によって多国籍企業の権益を守る行為にすぎない。グローバリゼーションや新自由主義=構造改革を歓迎しているリベラル右派が、結局、安保関連法案に本気で反対できないのも、このあたりに事情がある。

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2015年09月16日 (水曜日)

小池晃議員が暴露した統合幕僚監部が作成した資料の情報公開請求、防衛大臣が決定期間を30日延長、

【サマリー】防衛省に対して申し立てていた内部資料の開示請求に対する回答が15日に届いた。結果は、決定期間を30日延長するというものだった。わたしが開示請求した文書は、共産党の小池晃議員が国会で取り上げた統合幕僚監部が作成した資料である。

タイトルは「日米防衛協力指針(ガイドライン)および安全保障関連法案を受けた今後の方向性」。

この資料の存在は、防衛省も認めているうえに、すでに小池氏により公にされているわけだから、決定期間を延長する正当な理由はないはずだが・・・

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2015年09月04日 (金曜日)

「仕掛け人」の世代交代、小沢一郎氏から橋下徹氏へ、野党再編の茶番劇20年の中身とは?

【サマリー】野党再編の仕掛け人が、小沢一郎氏から橋下徹氏に交代しようとしている。これまで野党再編の場に常に登場してきたのが小沢氏である。小沢氏は自民党政治に不満を持つ人々の受け皿になりながら、政策の中身は自民党と基本的に変わらない構造改革=新自由主義の路線を支持してきた人物である。

安倍政権が危機に立たされるなか、同じような役割を担って登場してきたのが橋下徹氏である。しかし、橋下新党は、自民党に不満を持つ有権者の受け皿となっても、中身は基本的に同じだ。結局、自民党延命装置として機能する可能性が高い。

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2015年09月03日 (木曜日)

懸念される安保関連法と特定秘密保護法の「複合汚染」、核兵器の運搬を支援物資の運搬と偽ることも可能に

【サマリー】安保関連法と特定秘密保護法は、相乗効果によりとんでもない事態を招きかねない。たとえば自衛隊から戦死者が出た場合、戦死者に関する情報を特定秘密に指定してしまえば、だれがどのような状況で戦死したのか、誰も知ることができない。核兵器を運搬しても、それに関する作業を特定秘密に指定しておけば、「支援物資を運んだ」で通用してしまう。

特定秘密保護法は広義の安保関連法である。特定秘密保護法を廃止に追い込めば、ジャーナリズム活動により戦争の実態を伝え、安保関連法も廃止に追い込むことができるが、同法への関心は薄れはじめているようだ。

今、日本では安保関連法の「複合汚染」が始まろうとしている。

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2015年09月02日 (水曜日)

海外派兵の新スタイルとは?旧日本軍の侵略・占領スタイルとは何が異なり、何が問題なのか

【サマリー】30日の安保関連法案に反対する東京集会の場に、右翼の街宣車が「出征兵士を送る歌」を流しながらやってきた。しかし、法案が成立した後に本当に、徴兵制が敷かれるのだろうか。答えは、NOである。

想定されているのは、米軍と同様に世界の紛争地帯へピンポイントで兵力を投入する体制である。投入される兵士は、ジャーナリスト寺澤有氏の取材で判明した「隊員家族連絡カード」などを参照に選任される可能性が高い。

実際に想定されいる海外派兵のスタイルとは何か?右翼が考えている旧日本軍のスタイルとは何が異なるのか?海外派兵の実態を客観視する。

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2015年08月10日 (月曜日)

埼玉県知事選挙にみる自民党の大敗ぶり、安倍内閣に対する不信感をそのまま反映

【サマリー】埼玉県知事選挙の投票が9日に行われ、非自民保守系の上田清司氏が圧勝した。安倍政権の強引な国会運営の下、自民党の支持を受けた塚田桂祐氏の得票率が注目されたが、上田氏の58%に対して塚田氏は28%だった。自民党の大敗だった。

一方、共産党系の柴田やすひこ氏は、前回知事選の共産党系候補に比べて得票率(14%)を大きく伸ばした。埼玉知事選は、国政の構図がそのまま反映するかたちになった。

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2015年08月06日 (木曜日)

民間軍事会社による傭兵募集に現実味、後藤・湯川の両氏に関する情報が特定秘密に指定されている理由、徴兵制は「幻想」の可能性が高い

【サマリー安保法制が成立した後、次の段階として徴兵制が導入されるのではないかという懸念が広がっている。わたしは徴兵制よりも、民間軍事会社により傭兵部隊を組織する戦略が浮上する可能性の方が高いと考えている。その先駆けが、
ISに処刑された(株)民間軍事会社の設立者・湯川遥菜氏のシリアでの動きだった。

後藤・湯川の両氏に関する情報が特定秘密に指定されているのも、このあたりに理由があるのではないか?

傭兵に戦争を肩代わりさせる戦略は、1980年代の中米紛争で米軍が採用した歴史がある。米国は派兵先の国の若者に代理戦争をさせたのである。それにより米国内の反戦意識を抑制したのだ。

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2015年07月17日 (金曜日)

安保関連法案の衆議院通過で露呈した小選挙区制の矛盾、民意を反映しない議席配分

【サマリー】各種の世論調査によると、安保関連法案に反対する意見が圧倒的に多い。しかし、自公政権は、安保関連法案を強行採決した。この問題の根底には、現在の小選挙区制が民意を反映しないかたちで、議席を配分している実態がある。

小選挙区制の導入に努めた小沢一郎氏の責任は重大だ。小選挙区制を改めない限り、今後も民意とはかけ離れたところで政治が行われ、改憲、徴兵制へと進んでいく可能性が高い。

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2015年07月16日 (木曜日)

安保関連法案の報道で何が隠されているのか?左派メディアも伝えない本質とは、多国籍企業の防衛作戦としての海外派兵、前例はラテンアメリカ

【サマリー】安保関連法案の本質について隠されている重要な点がある。それは企業の多国籍化と海外派兵の関係である。安倍内閣が目指しているのは、旧日本軍式の軍事大国ではない。海外進出企業の権益を政変などから守るための自衛隊の派兵である。こうした観点は、前世期までのラテンアメリカと米国の関係を検証すると明確になる。

特に中米では、米国のフルーツ会社の権益を政変から守るために海外派兵が繰り返されてきた。安倍政権は財界の要求に応じて、海外派兵の体制を構築しようとしているのである。それは同時に米国の要求でもある。

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2015年06月15日 (月曜日)

イラク特措法制定時に自民党幹事長だった山崎拓氏が安保法制の改悪に反対

かつて自民党の幹部として、国政の先頭に立った4人の政治家が、12日、安保法制の改悪に反対する声明を発表し、日本記者クラブで記者会見した。

わたしはこれら4人の政治家の軌跡を詳しくは知らないが、一般的な常識の範囲で考えても、違和感を感じる。自民党議員=改憲派といった短絡的な解釈をしているわけではないが、歴代の自民党政権が基本的に米国に追随する路線の上を暴走してきたのは紛れもない事実である。

そして、最後に行き着こうとしているゴールが、米軍と共同で多国籍企業の権益を防衛するための派兵体制である。

もちろん政治家が路線変更することは自由だ。しかし、その場合、自分が過去に行った政治のどこが誤りだったのかを、明らかにするのが前提になるはずだ。政治家はただならぬ影響力を持っているからだ。ひとりの市民が支持政党を変えるのとはわけが違う。

その意味で4氏の行動は、政治家が踏むべき当然のプロセスを経ていないのではないか。また、それを抵抗なく受け入れる民意にも問題がある。

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