1. 「反自民」よりも「反共」で共闘か? 民主党と維新の党が統一会派

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2015年12月09日 (水曜日)

「反自民」よりも「反共」で共闘か? 民主党と維新の党が統一会派

民主党と維新の党が統一会派を結成することで合意した。このニュースを聞いた時、わたしは1990年代から2大政党制を前提として繰り返されてきた野党の再編劇を連想した。正直、「またか?」と思った。

野党再編劇の構図は、複雑なようで実は極めて単純だ。自民党政治に対する不満を、自民党とあまり変わらないもう一つの保守勢力が受け皿になって、財界が望む新自由主義=構造改革を持続する騙(だま)しの構図である。

これまでの野党再編と同様に、今回の民主・維新の統一会派結成も「反自民」よりも、むしろ「反共」という意思統一があるようだ。事実、民主党の岡田党首は、共産党とは連立政権を組めないと言っている。この発言を突き詰めると、自民党とならば場合によっては連立政権を組んでもいいが、共産党とは絶対に組めないということになりそうだ。

おそらく民主・維新は、共産党とは選挙協力もしないのではないかと思う。むしろ共産党を抜きにして、野党の選挙協力を目指しているのではないか。

もし、その推測が正しいとすれば、両党は自民党政治によって国民の生活が危機的に置かれている状況下でも、選挙で自民党を助けることになりそうだ。

◇小沢から岡田まで

もともと野党再編劇が始まったのは、1993年に小沢一郎氏が新自由主義=構造改革を高らかに叫んで自民党を飛び出したのが引き金だった。財界は新自由主義=構造改革の導入を求めていたので、小沢氏もこうした行動が可能だったのである。

財界と小沢氏らの動きに焦った自民党も、橋下内閣の時代から本格的に新自由主義=構造改革へ舵を切った。そして小泉政権でドラスチックな「改革」をやってのけた。これに反発した世論は民主党に新自由主義=構造改革からの軌道修正を期待した。そして民主党政権が生まれた。世論に敏感な民主党は、一旦は、鳩山政権にみられるように、新自由主義=構造改革から距離を置く政策を取った。

しかし、それもつかの間、鳩山氏が挫折すると、菅政権が再び新自由主義=構造改革に舵を切り、野田政権を経て安倍政権へバトンタッチした。そして今、安倍政権に対する国民の不満が噴出している。

ここで台頭してきたのが共産党である。野党再編の欺瞞(ぎまん)にこりごりした層が共産党を支持するようになってきたのである。そこに現れたのが、「反共」で一致している民主・維新の統一会派である。

◇グローバリゼーションと軍事大国化

意外に気づいていないひとが多いが、民主・維新は安保関連法案には反対したが、新自由主義=構造改革の導入では、安倍政権の方向性とあまり変わらない。共産党との連立が難しい最大の理由も、安保関連法案に対するスタンスでは一時的に一致しても、新自由主義=構造改革の導入については、むしろ推進派であり、自民党の政策に近いからである。

しかし、実のところ、新自由主義=構造改革の導入は、必然的に軍事大国化の方向性を持っていることも忘れてはならない。新自由主義=構造改革には、賛成だが、軍事大国化には反対というスタンスは実はありえない。

と、いうのも新自由主義=構造改革は、もとをただせばグローバリゼーションの中で必然的に浮上してくる国際競争を勝ち抜く体制づくりそのものであるからだ。事実、英国も米国も新自由主義の導入と並行して軍事大国になっていった。日本も同じ方向性を示しはじめている。もともと軍隊の海外派兵は、多国籍企業の利権を守るために行われるものなのだ。「国際貢献」は口実にすぎない。

わたしは安保関連法案の問題でも、民主・維新は、本気で反対することはないと見ている。どこかで安倍政権側に寝返る可能性が極めて高い。