1. 日本の政治

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2015年04月13日 (月曜日)

統一地方選挙、自民党と共産党の対立構造が徐々に鮮明に、新自由主義=構造改革の導入の是非をめぐる対立点

今回の統一地方選の特徴は、自民党と共産党が議席を伸ばしたことである。特に共産党は、全国41の道府県議会選挙で、前回の75議席から111議席へと大きく議席数をのばした。

日本の政治の対抗軸は、新自由主義=構造改革を導入するのか、それともそれを止めるのかという点と、軍事大国化を進めるのか、それともそれを止めるのかという2点に集約される。このような対立構造に、政党の政策を当てはめると、若干の幅はあるものの、前者の政策を提唱しているのは、自民党、民主党、維新の会などである。

特に維新の会は、道州制を提唱するなど、急進的な新自由主義=構造改革の路線を取っている。自民党よりもさらに「右」である。

これに対して後者は、共産党と社民党である。特に共産党は、新自由主義=構造改革と軍事大国化の導入には全面的に反対している。それが政策の中心と言っても過言ではない。

しかし、このような客観的な構図は国民の間でなかなか理解されていない。あたかも自民党と民主党が基本的な政策で対立しているかのような報道が行われてきたからだ。

自民党と民主党の違いは、新自由主義=構造改革の導入と軍事大国化をドラスチックに進めるのか、それともゆるやかに進めるかの違いにすぎない。スピードの違いだけであって、根本的な相違点はない。これが二大政党制のからくりである。

実際、民主党の原点ともいえる1993年に成立した細川政権は、新自由主義=構造改革の遅れにいらだった小沢一郎氏らが、自民党を飛び出して結成したグループである。改革派には違いないが、新自由主義=構造改革の急進的な導入こそが「改革」と考える人々だった。

新自由主義=構造改革と軍事大国化をめぐる政界の対立構造が国民の間で理解されるようになってきたのは、つい最近のことである。共産党は、昨年12月に行われた衆院選でも躍進している。同じ流れが、今回の統一地方選挙でも現れた。

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2015年03月27日 (金曜日)

護憲を訴える野中広務氏、しかし、誰が1999年の国会で周辺事態法、盗聴法、国旗・国家法、改正住民基本台帳法を成立させたのか?

与党協議会で新たな安全保障法制整備の骨格が明らかになった。20日に発表された共同文書には、集団的自衛権の行使容認、多国籍軍への後方支援、自衛隊の任務拡大などが明記されている。

これらの方針を具体化するために、安倍内閣は周辺事態法や自衛隊法の「改正」へ向けて動き始める。

そもそも軍事大国化への分岐点は、いつの時期なのだろうか。長期的な視点で見ると、それはソ連と東側諸国が崩壊して、「先進国」による新市場の獲得競争が始まった時期である。米国が世界の「警察」に名乗りを上げ、その後、「警察」の役割を各国で分担する多国籍軍の方向性が生まれた。

言論の抑圧などソ連にさまざまな問題があったとはいえ、社会主義圏が崩壊して、世界はかならずしも平和と共存の方向へは進まなかった。むしろ先進国による資源の収奪などの問題が発展途上国で起きるようになり、従来とは違ったかたちの紛争が続発している。

日本が軍事大国化に踏み出したのは、橋本内閣の時代であるが、それを急進的に進めたのは、小渕内閣である。1999年の第145通常国会で軍事大国化へつながる法案を次々と成立させたのである。具体的には、

※周辺事態法
※盗聴法
※国旗・国家法
※改正住民基本台帳法

このうち周辺事態法は、2015年の国会で、「改正」されようとしている。

軍事大国化=スパイ国家の原点ともいえるこれらの法律を成立させた小渕内閣で官房長官を務めていたのは、「影の総理」とも言われた野中広務氏である。野中氏は、村山内閣の時代には国家公安委員長も務めている。

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2015年03月20日 (金曜日)

「対日直接投資推進会議」を開催、安倍首相も出席、「世界でいちばんビジネスがしやすい国」とは?

「対日直接投資推進会議」が3月17日に開催され、安倍晋三首相も出席した。これは安倍内閣の下で2014年4月に設置されたものである。この会議の目的を内閣府は次のように定義している。

対日直接投資を推進するため、投資案件の発掘・誘致活動の司令塔機能を担うとともに、外国企業経営者等から直接意見を聴取し、必要な制度改革等の実現に向けた関係大臣や関係会議の取組に資すること

ビジネスが国際化する中で、日本政府は日本企業の多国籍化を全面的にバックアップできるように、国のかたちを「改革」してきた。これに対して、「対日直接投資推進会議」は、海外から日本への投資を活発化させるための政策決定機関である。が、両者は表裏関係にある。同じ構造改革=新自由主義の導入策の中から生まれてきた。

17日に開催された第2回目の会議では、次の5点が決定された。結論を先に言えば、下記の「1」「4」は、枝葉末節の部分で小学生でも提案できることである。「5」は、部分的には本質的な部分に踏み込んでいるが、海外資本の誘致と密接にリンクしている構想改革=新自由主義の導入政策との関係は隠されたままになっている。

1,百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア等で外国語で商品を選んで買い物をいただけるよう、病気になったときも外国語で安心して病院で診療いただけるよう、車や電車・バスで移動する際も外国語表記で移動いただけるようにします。

2,訪日外国人が、街中のいろいろな場所で、我が国通信キャリアとの契約無しに、無料公衆無線LANを簡単に利用することができるようにします。

3,外国企業のビジネス拠点や研究開発拠点の日本への立地を容易にするため、すべての地方空港において、短期間の事前連絡の下、ビジネスジェットを受け入れる環境を整備します。

4,海外から来た子弟の充実した教育環境の整備を図るとともに、日本で教育を受けた者が英語で円滑にコミュニケーションが取れるようにします。

5,日本に大きな投資を実施した企業が政府と相談しやすい体制を整えます。また、日本政府と全国の地方自治体が一体となって、対日投資誘致を行うネットワークを形成します。

「5」は、要するに「日本に大きな投資を実施した企業」は、政府が全面的にバックアップすると断言しているのだ。

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2015年02月26日 (木曜日)

鳩山由紀夫・元首相が沖縄県辺野古を訪問、過去の公約違反を住民に謝罪、米軍による抑止力肯定論を「撤回をいたします」

鳩山由紀夫・元首相が、19日、沖縄県庁で翁長(おなが)雄志知事と会談したあと、名護市の辺野古を訪れ、政権の座にあった2010年当時、対米政策を転換したことに対して、住民に謝罪していたことが分かった。

この日、鳩山氏はスーツにネクタイ姿で、米軍基地の設置に反対する住民たちが集う現場を訪れた。住民たちの「鳩山さんがきたぞ」、「激励にきたぞ」という歓声と手拍子に迎えられ、マイクを手にすると、

「みなさん、連日ご苦労様でございます」

と、挨拶を切り出した。

鳩山氏は、普天間基地を少なくとも県外へ移設する公約をかかげて2009年9月、首相に就任した。翌年1月の名護市長選挙では、基地移設反対派の稲嶺進現市長を支援した。しかし、米国の猛反発にあい、普天間基地の県外移設という公約の実現を断念した経緯がある。

鳩山氏は、首相の時代に公約を反故にしたことについて、

「わたしに対してみなさまが、さまざまなご感情を持っておられることはよく存じております。総理時代に最低でも県外へ、できれば国外へと申し上げたことが、実現できなかったことが本当に悔しいですが、申し訳なく思っています。ただ、この思いは、総理を辞めた後も、実は変わっておりません。それだけに沖縄のみな様方の総意の気持ちに従いながら、反省の中で行動を起こしてまいりたい、そう思っております。」

と、述べた。また、米軍の抑止力を肯定したことについては、次のように謝罪した。

「自分の信念を曲げて、抑止力という言葉を使ってしまいました。申し訳なく思っております。従って撤回をいたします」

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2015年02月16日 (月曜日)

だれが後藤健二氏をイスラム国へ送り込んだのか、調査の前に立ちはだかる特定秘密保護法の壁

イスラム国報道でメディアの自主規制が露骨になっている。それが高じて、タブーになった領域もある。その典型例は、後藤健二氏と湯川遥菜氏をめぐる事件の背景である。真実は何か?

両氏が巻き込まれたテロ行為に対する批判と追悼とは別に、どのような経緯で事件に巻き込まれたのか、事実を明らかにしなければならないが、多くのメディアがこの作業に尻込みしている。

その背景に最高罰・禁固10年の特定秘密保護法の存在があるのではないか?同法は、基本的には軍事立法であるから、軍事に関連する情報の大半は特定秘密に指定されている可能性が高い。したがって日本政府が「人道支援」を行った紛争地帯で起きた誘拐・殺人事件を検証すると、日本政府や有志連合との接点が浮上してくる可能性がある。

まして湯川氏の場合は、(株)民間軍事会社の設立者である。単なる戦争マニアではない。同社の顧問には、自民党の元茨城県議が就任しているありさまだ。湯川氏と元航空幕僚長・田母神俊雄氏の懇意な関係を示す写真も多数存在する。

 参考:湯川氏と田母神氏の写真

ちなみに安部内閣は、昨年の4月に閣議決定により、武器輸出を原則禁止から、条件付きで認めることを取り決めた。こうした軍事大国化の流れの中で、民間企業が海外の紛争地帯で、戦争ビジネスを展開できる温床ができあがったのである。

したがって湯川氏に関する真実に迫ると、特定秘密保護法に抵触する可能性が出てくる。メディアが報道を自粛して、湯川氏を単なるテロの被害者としてしか報じないゆえんではないか。

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2015年02月10日 (火曜日)

「シリアにおける邦人へのテロ行為に対する非難決議」、国際関係の中での憲法9条という認識の欠落 、唯一の例外は山本太郎議員

衆議院の議員数は475人 。 参議院は242人。「シリアにおける邦人へのテロ行為に対する非難決議」が、山本太郎議員を除く、716名の議員による賛成で可決された。決議日は、衆議院が2月5日で参議院が6日である。

非難決議の内容は、次のようなものである。

今般、シリアにおいて、ISILにより二名の邦人に対し非道、卑劣極まりないテロ行為が行われた。本院は、この許しがたい暴挙を、断固非難する。また、御家族の御心痛を思えば言葉もなく、誠に無念、痛恨の極みであり、深い同情の念を表明する。

このようなテロ行為は、いかなる理由や目的によっても正当化されるものではない。我が国及び我が国国民はテロリズムを断固として非難するとともに、決してテロを許さない姿勢を今後も堅持することを本院はここに表明する。

我が国は、中東・アフリカ諸国に対する人道支援を拡充することにより国際社会の平和に寄与するとともに、国連安保理決議に基づいて、テロの脅威に直面する国際社会との連携と取組を一層強化するよう、政府に要請する。

さらに、政府に対し、国内はもとより、海外の在留邦人の安全確保に万全の対策を講ずるよう要請する。

最後に、本院は、我が国国民を代表し、本件事案への対応に際し、ヨルダンを始めとする関係各国、国際機関及び関係者によって示された強い連帯と、解放に向けてなされた協力に対し、深い感謝の意を表明する。

右決議する

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2015年02月02日 (月曜日)

イスラム国報道で隠された石油利権、救出作戦の真実、そして武器輸出解禁と民間軍事会社の関係

イスラム国が2人の日本人を拘束した事件は、「処刑」という最悪の結末を迎えた。この事件では、新聞・テレビが報じなかった重要な点が幾つかある。ジャーナリズムの役割は感情に流されずに、事実を伝えることであるから、事件を正しく理解する上で必要な情報をすべて明らかにするのが原則だ。

まず、イスラム国報道で隠された最大の情報は、有志連合による空爆の背景に石油利権が絡んでいる事実である。それは単に欧米諸国だけではなくて、中国などについても言える。

中東調査会の「中東かわら版」によると、「『イスラーム国』がイラクで占拠した油田の数はおよそ80カ所」だという。この80カ所を先進工業国が役割分担して取り戻そうというのが、イスラム国をターゲットにした空爆である。

新聞・テレビが積極的に報じなかったふたつめの重要な情報は、湯川遥菜氏が活動の拠点として設立した会社が、民間の軍事会社である点だ。その背景に安倍政権が進めている新自由主義と軍事大国化の中で武器の輸出を原則解禁にした事情がある。

「戦争業務」を民間にゆだねる戦略は、公的な仕事を民間に丸投げすることで、「小さな政府」を実現する新自由主義の思想から派生していることは間違いない。が、紛争地帯で射撃などの軍事訓練をすれば、軍事行動と受け止められても仕方がない。カーキ色の衣類を身に着けているだけで、ターゲットになることもある。

さらに、湯川氏を救出する作戦を、第3者が後藤氏に依頼した可能性である。
「ブログ・世に倦む日日」によると、2泊3日の行程で、救出計画が練られていた足跡が、生前の後藤氏の発言から裏付けられるという。

昨夜(1/20)のテレビ報道を見ていると、後藤健二は、湯川遥菜が8月にシリアでイスラム国に拘束された件について、自身が責任を感じており、イスラム国に潜入して身柄を救出する準備を進め、10月下旬にそれを実行している。10月22日にトルコに向かい、23日にトルコのコーディネーターに電話をかけ、24日に国境の町で接触し、25日に国境を越えてイスラム国の首都であるラッカに向かっている。

帰国予定は10月29日だった。29日に帰国ということは、28日にイスタンブールから飛行機に乗らなくてはいけない。テレビ報道でのトルコのコーディネーターの証言だと、27日になっても帰らなかった場合、家族を含めた5件の連絡先に電話を入れてくれと後藤健二に頼まれ、本人の携帯電話を直に渡されたと言っていた。ここから察知できることは、後藤健二による湯川遥菜救出の行動がきわめて短期の計画だったということだ。

25日に国境を越えてシリアに潜入し、27日には再び国境を超えてトルコに戻っていなくてはいけない。2泊3日の行程。つまり、後藤健二は何も事前に情報のないままイスラム国(ラッカ)に入ったのではなくて、イスラム国側のコーディネーターの手引きに従い、イスラム国側との打ち合わせに従って、本人の主観からすれば、湯川遥菜の身柄を引き取りに行ったのだ。現地で時間をかけて捜索するのではなく、調整した約束どおりに素早く身柄を引き取って戻ってくる予定だったのだ。

救出作戦に第3者がかかわっていたことを前提に考えれば、一部の週刊誌が報じた保険金に関する事実-後藤氏が加入していた保険が、1日10万円の保険料だった-との整合性も見えてくる。フリージャーナリストが1日に10万円の保険料を自腹で支払うことは、まず不可能。

ちなみにわたしは、「ブログ・世に倦む日日」の内容を全面的に是認しているわけではない。が、少なくとも救出の日程に関する考察は、参考にすべきものがある。救出計画の全容を、検証すべきではないか?

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2015年01月28日 (水曜日)

私設の軍事会社と戦争の民営化の関係、現地リクルートの兵士で日本兵の輸送費などの大幅削減が可能に

イスラム国で戦死した湯川遥菜氏が設立した(株)民間軍事会社(PMC)のようなビジネスが、浮上してきた背景には、新自由主義、武器輸出の原則解禁、それに軍事大国化など安部内閣が押し進めている政策がある。

民間の軍事会社は、今後、その数を増していくと思われる。事実、湯川氏の会社も、シリア、イラク、トルコ、アフリカに支社(OVERSEAS BRANCH)を持っている。

改めて言うまでもなく、戦争に関する業務は、伝統的に国家が管轄してきた。そこに民間企業が参入してきたわけだから、戦争そのものの民営化にほかならない。

◇新自由主義とは?

ちなみに新自由主義の基本的な政策は、国家の財政を縮小することで、大企業の税負担を軽減し、国際競争力を高めることである。また、同じ目的で、弱小企業を淘汰する。さらに労働条件を国際水準に引き下げたり、司法制度を海外の基準に修正することで、海外からの投資を呼び込む。すなわち「世界一、企業が活動しやすい国」の条件を整備するのだ。

が、単に「小さな政府」をつくって、市場原理に経済をゆだねるだけではない。

公的なサービスを縮小し、それによって出現する需要を民間企業に提供することで、新市場を生み出す。その典型的例が、郵政民営化である。また、医療の公的部分を縮小して、質の高い医療は私費で行う体制である。これにより経費を削減すると同時に医療市場を生み出す。

さらに大学をはじめとした教育機関を少数のエリート育成の機関にして、その目的に合致しない学校は、補助金をカットするなどして切り捨て、公的な負担を縮小する。現在の企業には、少数エリートしか必要ないとする考え方が新自由主義者の中にあるからだ。こうした安倍政権の政策をあげると際限がない。

わたしはどこまで民営化が進むのか、暗い好奇心を抱いてきたが、結果的に軍事部門までが、民営化の方向へ向かっているとは想像もしなかった。

◇なぜ、戦争の民営化なのか?

軍事部門における民営化の典型例は、傭兵の派遣会社である。この方式は、「小さな政府」を目指す国家にとっては、さまざまなメリットがある。具体的には、

①傭兵を現地でリクルートするので、兵隊の派遣費用がゼロ円になる。

②戦死者に対して国が責任を負わないので、補償問題が生じない。

③先進工業国よりも、第3世界の方が傭兵のリクルートが簡単。

④地理的な感がない日本兵では戦力にならないゲリラ戦にも、現地傭兵で対応できる。

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2015年01月27日 (火曜日)

国際紛争の地でばらまかれた人道支援金は本当に戦争被害者に届くのか?

安倍内閣が、エジプトで約束したイスラム国難民に対する2億ドルの人道支援をどう解釈すべきだろうか。イスラム国からの難民救済が主要な目的らしいが、民主主義が深く根付いていない地域や紛争地帯における資金援助は、使途が不明になることがままある。極めて慎重に実施するのが常識だが、安倍首相は軽々しく外遊中に資金援助を約束した。

資金援助の使途に疑義が生じた例を紹介しよう。典型例として紹介するのは、米国の要請で日本も「資金援助」に加わった1980年代の中米紛争のケースである。

当時、中米はニカラグア内戦とエルサルバドル内戦という2つの大きな紛争が進行していた。紛争の構図は、左派と右派の武力による政権争いである。中東のように宗教戦争の側面はない。

このうちにニカラグアでは、1979年にFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)が首都を制圧して、左翼政権を樹立した。これに刺激されたかのように、エルサルバドルでも左派系のFMLN(ファラブンド・マルチ民族解放戦線)が、
首都へ向けて大攻勢をかけた。首都の陥落は免れないと言われたが、米国のレーガン政権が介入し、泥沼化したのである。

ふたつの内戦という状況の下で、米国が注目したのは、ホンジュラスの地理的な位置だった。この国は、ニカラグアともエルサルバドルとも国境を接している。

ホンジュラスを基地の国にかえ、そこをプラット・ホームとして、ニカラグアのFSLN政権とエルサルバドルのFMLNを撲滅する作戦が現実味を帯びてきたのである。(以下、拙著『バイクに乗ったコロンブス』からの抜粋である。)

こうした状況の下で1983年、ホンジュラス軍のアルバレス将軍が米国を公式訪問した。その時、レーガン政権に対して3年間で最低4億ドルの軍事援助を要望する旨を明言している。

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2015年01月26日 (月曜日)

安倍政権下の新自由主義と軍事大国化が生んだ最初の戦死者、(株)民間軍事会社(PMC)の顧問は自民党の元茨城県議

ニュースを読み解く際の視点は、メディアが「ある事実をどのように報道しているか、を見るとともに、どのようなニュースについて伝えていないか、を見ることが重要になってくる」(故新井直之創価大学教授)。

イスラム国に関する報道で、日本の新聞・テレビがほとんど報じなかった事実のひとつに、湯川遥菜氏の職業がある。(ただし死後は、職業を公にしている)

湯川氏は、(株)民間軍事会社(PMC)という企業の設立者である。通常、軍隊に関する業務は、国家の管轄になるが、それを私企業として代行するのが、この種の会社の役割である。つまり戦争関連業務の民営化である。

公的なものを民間へゆだねることで、市場を創出する新自由主義政策の中で、PMCは誕生したと言っても過言ではない。いわば橋本内閣(1996年成立)以後の自民党が押し進めてきた新自由主義と軍事大国化の中で生まれた会社である。

安部内閣は、昨年の4月に閣議決定により、武器輸出を原則禁止から、条件付きで認めることを取り決めた。こうした軍事大国化の流れの中で、民間企業が海外の紛争地帯で、戦争ビジネスを展開できる温床ができあがったのである。

湯川氏が設立したPMCの顧問は、自民党の元茨城県議・木本信男氏である。 この民間企業が紛争地帯でどのようなビジネスを展開しようとしていたのかについての詳細は、不明だが、いつくかのヒントがある。

たとえば湯川氏がみずからのFACEBOOKで公開している射撃訓練の様子である。

■射撃の動画

ちなみに湯川氏は元•航空幕僚長の田母神俊雄氏とも関係があったらしく、両氏が撮影された数多くの写真が存在する。

■湯川氏と田母神氏の写真

◇恣意的に客観性を欠いた報道

新聞・テレビが積極的に報じない2つ目の事実は、米国とその同盟国がイスラム国に対して激しい空爆を行っている事実である。たとえば、1月23日付け「ロイター」の報道によると、米国の同盟国は、前日に25回に渡ってイスラム国を空爆している。

また、欧米だけではなく、ロシアや中国もからんでいる石油利権についても、故意に報じていない。資源の収奪という問題が隠されているのだ。民族自決権を蹂躙(じゅうりん)しているのは、「先進工業国」の側であるという重い事実がある。

なお、報道用語について言えば、日本の新聞は、イスラム国の軍隊に対して「イスラム過激派」という言葉を使っている。海外の報道は、単なるIslamic State militants(イスラム州戦士)である。

改めて言うまでもなく、イスラム国は現在、戦時下である。戦時下では、戦闘に参加する者は、敵味方を問わず、すべて「過激派」である。米国主導の空爆も、イスラム国による捕虜殺害も、同じ蛮行である。

ところが日本の新聞は、イスラム国は過激派で、米国とその同盟国は過激派ではないという間違った前提で報道を続けている。その姿勢が、「過激派」という言葉の選択にも現れている。

なお、テレビ画像の解析に関して、注意しなければならない点がある。それはイスラム国側の軍隊が、黒い覆面をしている映像が、視聴者に恐怖感を与えている点である。覆面をしている理由は単純で、敵対国側のブラックリストに顔写真が登録されるリスクを避けるためである。従って、この点を考慮して、公正中立の立場から画像を読み解かなければならない。

◇湯川氏と後藤氏の質的な違い

戦争報道では、こうした基本的な解釈を踏まえなければならないはずだが、日本の新聞・テレビは、今回の事件の舞台が戦時下にある点をきれいさっぱりと忘れている。故意にさけているのではなく、おそらく認識できていないのではないかと思う。これが安倍首相ら「戦争を知らない人々」の実態だ。

政府の対応も同じ初歩的な問題をはらんでいる。他国に乗り込んで戦争ビジネスの準備をしていた湯川氏と、ジャーナリストとして正当な活動をしていた後藤健二氏を、同一に捉えて対処しているわけだから、救出できるはずがない。

湯川氏に関しては、最初から釈放の意思など毛頭なかったはずだ。「捕虜」として認識していた可能性が高い。それゆえに裁判(後述)を予定していたのである。

イスラム国にしてみれば、湯川氏と行動を共にしていた後藤氏を湯川氏の仲間と勘違いするのは当然である。激しい空襲の下で、スパイ行為に対しては極めて敏感になっていることが推測される。これがしばしば内ゲバの引き金になったりする。それゆえにスパイ活動に対しては、極めて厳しい。

と、なれば政府は、湯川氏と後藤氏の質的な違いをはっきりとイスラム国に伝えたうえで、湯川氏の助命と後藤氏の釈放を求めるべきだった。

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2015年01月05日 (月曜日)

安倍首相と報道関係者との会食、山本太郎議員が質問主意書、小林秀雄ら戦前にも風に靡く文化人

第2次安倍政権が発足してから2年になる。この間の安倍首相と報道機関の親密な関係が批判の的になってきたが、昨年の12月24日、山本太郎議員が、公式に質問主意書のかたちで、この問題を指摘した。

質問主意書は8ページからなり、冒頭で安倍首相がこの2年間で報道関係者との会食を40回以上も重ねている事実を指摘して、「政権のトップとメディア関係者の親密な関係、メディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない」と述べている。

さらに飲食に関しては、報道関係者だけではなくて、企業や団体の関係者とも会食を重ねていることを指摘している。

一連の会食のうち、質問主意書では、具体的にいくつかの会食を指摘して、会計に関する明細を明らかにするように求めている。たとえば次の会食である。

特定秘密保護法が成立した10日後の2013年12月16日に、東京・赤坂の中国料理店で行われた会食。

安倍首相が初めて靖国神社を参拝した2013年12月26日に、東京・赤坂の日本料理店で行った会食。

消費増税が施行された2014年4月2日と翌3日に、行った会食。(料亭名は記されていない)。

2014年12月14日に行われた衆議院議員総選挙の2日後にあたる12月16に、東京・西新橋のすし店で行った会食。

会食に関する経理問題に加えて、山本議員は政府見解を求めている。

◇「アメと鞭」の政策

戦前から現代にいたるまで、国策を進めるうえで報道関係者(特に新聞)や文化人が果たしてきた負の役割は重大だ。しかし、両者が癒着する原因は、単に情交関係だけではなくて、利権がからんでいる。この点を見落としてはならない。

まず、新聞社についていえば、政府により新聞社の経営上の弱点を握られている事情がある。弱点を握ることで、政府は「アメと鞭」の政策を進める。たとえば次の「アメ」である。

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2014年12月17日 (水曜日)

衆議院選挙の投票結果で明確になった自民VS共産の対決構造の浮上、新自由主義VS反新自由主義

第47回衆議院選の投票結果は、日本の政治のゆくえを予測する顕著な特徴を示した。自民党と共産党の対立構造が明確になったのである。

次に示すのは、過去4回の総選挙で記録された比例区における自民党と共産党の得票数と得票率の比較である。比較対象として比例区を採用したのは、小選挙区制の下での投票は、「なるべく当選の可能性がある候補者へ」という選択肢をする人が多く、支持政党を調査する上では、適切ではないからだ。

比例区における得票数と得票率が、より正確に国民の支持政党の傾向を示している。

【自民党】
2009年衆議院選 1881万 (26.7%)自民→民主へ政権交代
2012年衆議院選  1662万 (27.6%)  民主→自民へ政権交代
2013年参議院選 1846万 (34.7%)
2014年衆議院選  1765万 (33.1%)

【共産党】
2009年衆議院選 494万(7.03%)
2012年衆議院選  369万(6.1%)
2013年参議院選 515万(9.9%)
2014年衆議院選  606万(11.4%)

数字を見ると、2013年の参院選を境に、自民党と共産党が得票率をのばしてることが分かる。両党とも支持者を増やしている客観的な事実が確認できる。自民党が議席を維持してきた背景には、小選挙区制のメリットもあるが、それだけではなく、実質的に支持層を増やしているのである。

今回、2014年の衆議院選は、投票率が50.9%だったこともあって、得票数に関しては、自民党は2013年の参議院選よりも81万票減らしている。これに対して共産党は、低投票率の下でも、87万票増やしている。共産党が台頭してきた事実が数字から読み取れる。

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2014年12月02日 (火曜日)

数字で見る小選挙区制のカラクリ、前回の衆院選で自民は27%の得票率で294議席を獲得

衆院選がスタートする。わたしは衆院選のたびに小選挙区制の理不尽さを痛感する。

小選挙区制についての論文は多いが、その中でも際だって説得力があるのは、渡辺治著『安倍政権と日本政治の新段階』(旬報社)の劈頭(へきとう)に掲載された「総選挙の結果が示した日本政治の新たな段階」と題する論考である。

この論文は小選挙区制の矛盾をずばり指摘している。とても明快に論じられている。

渡辺氏が例として引き合いにだしているのは、2012年12月16日に投票が行われた衆院選である。周知のように、これは第2次安部内閣を成立させた選挙である。客観的な事実(数字)をもとに小選挙区制のカラクリを説明している。

この選挙で自民党は、294議席を獲得した。このうちの237議席が小選挙区の議席である。民主党が大勝した2009年の衆院選における自民党の獲得議席数は、119議席だったから、議席を約2.5倍に増やしたのである。

この数字だけを見れば、自民党は国民から圧倒的な支持を受けたような印象を受ける。ところが2009年の衆院選と2012年の衆院選における自民党の得票率(比例区を採用)を比較してみると、それが幻想であったことが分かる。小選挙区制のカラクリが一目瞭然になる。

【自民党の得票率の変化】
2009年の衆院選:26.72% (119議席)
2012年の衆院選:27.62%  (294議席)

つまり自民党の得票率は0.9%しかアップしていないのに、議席数は2.5倍に増えているのだ。それどころか、「得票数においては投票率が下がったことも影響して、およそ219万票も減少している」(同書)のである。

このような現象が起こった原因は、民主党の大敗である。渡辺氏は次のように述べている。

では、小選挙区において自民党はなぜ議席の独占を果たすことができたのだろうか。その最大の理由は、定数一という小選挙区制の条件のもとで、自民党に対抗して議席を争ってきた民主党が激減し、維新の会はじめ新党も、小選挙区では知名度、浸透の点で、自民党に遠く及ばなかったからである。民主党票の歴史的激減、これが自民党大勝の第一の理由である。

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