1. 政治献金で左右される自民党政治、トヨタから自民の政治資金団体・国民政治協会へ6400万円、伊藤忠から1800万円、パナソニックから1400万円

日本の政治に関連する記事

2015年06月09日 (火曜日)

政治献金で左右される自民党政治、トヨタから自民の政治資金団体・国民政治協会へ6400万円、伊藤忠から1800万円、パナソニックから1400万円

政府が打ち出す政策の方向性を決定づける大きな条件のひとつは、政治献金の提供である。そのことは古くから指摘され、問題視されてきた。実行は伴わないものの、政治献金は禁止すべきとの議論も断続的に行われてきた。

政治献金の提供は半ば慣行化していて、改まる気配がない。金銭感覚がおかしくなり、政治家に罪悪感もないようだ。

次に示すのは、自民党の政治資金団体である国民政治協会への政治献金のうち、企業からの提供実態を示す部分である。企業名や金額などが明記されている。(政治資金収支報告書2014年度公開の13年度分)

■国民政治協会に対する企業からの政治献金①

■国民政治協会に対する企業からの政治献金②

献金額が多い企業(1000万円超)は次の通りである。

トヨタ自動車・・・6440万円
伊藤忠商事・・・・1800万円
日本生命保険・・・1700万円
パナソニック・・・1400万円
スズキ・・・・・・1285万円
(このほか業界団体からの大口献金もある)

◇政治献金と軍事大国化

財界から多額の献金を受けている自民党が打ち出している政策を検証してみよう。財界の要望は、経団連や経済同友会などが発表する提言というかたちで、政府に突きつけられるわけだが、結果的に財界の面々が要望している内容がそのまま政策として浮上していると言っても過言ではない。

金で政治を動かす。これが政治献金の目的である。

たとえばいま話題になっている安保法制や改憲に関する政策。これについて経済同友会などは、1990年代から集団的自衛権の行使を可能にする方向性を提言している。1999年3月9日に発表した緊急提言「早急に取り組むべき緊急提言-我が国の安全保障上の四つの課題」は、集団的自衛権の行使について、次のように述べている。

我が国の防衛と国際安全保障への貢献を考える上で、もはや避けて通ることのできない重要課題の一つとして、「集団的自衛権の行使」にかかわる政府見解がある。

 我が国政府は、国際法上いかなる国も保持しているとされているのに、憲法上許されないとする「集団的自衛権の行使」にかかわるこれまでの見解を維持するとの方針である。しかし、このままでは、現実と遊離して無理が生じるのは明白であり、この政府見解の見直しは必要不可欠である。改めて「集団的自衛権の行使」にかかわる政府の憲法解釈の早期見直しを強く求めたい。

 しかしながら、本来的には、我が国の憲法について国民的論議を行い、改正すべきところは改正すべきであると考える。その意味で、先送りされている憲法問題に関わる常任委員会を早急に国会に設置すべきである。

■緊急提言「早急に取り組むべき緊急提言-我が国の安全保障上の四つの課題」

引用文でも述べているように、自民党はもともと集団的自衛権の行使は「違憲」の立場を取ってきた。その意味では、先日、3人の憲法学者が、安部内閣が国会に提出している安保法制案に苦言を呈したのは、番狂わせではない。あり得ることだった。

政府といえども、集団的自衛権の行使に関しては、「違憲」の立場を取ってきたのである。もちろんその背景には、日本企業が多国籍企業化していなかったために、そうした要望が提言されなかった事情があるのだが。

が、今世紀に入ってから、この壁に挑戦しているのが、財界と米国である。それに政権党が協力している。

多国籍企業にしてみれば、海外へ進出した企業を政変から防衛する必要がある。それゆえにピンポイントで世界のあらゆる地域へ、軍隊を投入して、政変や革命を鎮圧するシステムの構築を目指しているのである。国際貢献というのは、表向きの口実にすぎない。

ちなみに安部政権は、旧日本軍の「侵略→占領型」の軍事大国を目指しているわけではない。オスプレイなどを使って軍隊を緊急に派兵して、政変を鎮圧した後、ただちに引き上げる21世紀型の軍事大国を目指しているのだ。

こうした軍事大国を実現するための大前提となる条件が、財界からの政治献金である。