1. 司法制度

司法制度に関連する記事

2016年03月03日 (木曜日)

【動画】シンポジウム「裁判所は本当に駆け込み寺か?」、田中哲郎判事の例に見る不自然な裁判官の人事異動

2月28日に、最高裁事務総局の実態を告発している「最高裁をただす会」が、東京の豊島区民センターでシンポジウム「裁判所は本当に駆け込み寺か?」を開催した。講演したのは、次の4氏。

生田暉雄(弁護士):元大阪高裁判事で最高裁事務総局の裏金疑惑を追及している。[2分50秒~]

志岐武彦(市民運動家):小沢一郎検察審査会架空議決疑惑で最高裁事務総局を追及している。[59分50秒~]

吉竹幸則(元朝日新聞記者でフリージャーナリスト):無駄な公共事業・長良川河口堰のウソを暴き、退職後、記事の不掲載や「ぶら勤」などをめぐり朝日新聞社を提訴した。[1時間23分40秒~]

黒薮哲哉(フリーランス記者):スラップ、メディア、電磁波問題などを取材している。[1時間47分50秒~]

このうちわたしは携帯電話の撤去を求める裁判で、第3者から見れば極めて不自然な裁判官の人事異動が行われ、電話会社が勝訴した事実を紹介した。田中哲郎裁判官が、福岡高裁が管轄する3つの裁判所(熊本・福岡・宮崎)を異動しながら、次々と住民を敗訴させていった問題の経過を話した。

なお、田中氏は定年後に、なぜか佐賀簡易裁判所に「再就職」している。

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2016年02月24日 (水曜日)

裁判官の不可解な人事異動-木村元昭・田中哲朗の両氏、対読売の真村裁判・平山裁判・黒薮裁判で

2002年に福岡地裁久留米支部で始まった真村訴訟とそれに関連して派生した2つの裁判-平山裁判、黒薮裁判-でも、裁判長の不可解な人事異動が記録として残っている。

真村訴訟というのは、YC(読売新聞販売店)と読売新聞西部本社との間で争われた地位保全裁判だ。

読売がYCの真村店主に解任を通告したところ、真村氏(厳密には原告は3名)が起こしたものである。読売側の代理人には、喜田村洋一・自由人権協会代表理事らが就いた。

この裁判は真村氏の完全勝訴だった。争点となった「押し紙」政策の存在を裁判所が認定した。これについての詳細は、ここでは言及せず、福岡高裁判決の全文のみをリンクしておこう。

■真村訴訟・福岡高裁判決

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2016年02月22日 (月曜日)

携帯基地局の撤去を求める裁判で裁判官の不可解な人事異動、田中哲郎裁判官の例

 国策を左右しかねない要素をはらむ訴訟を担当する裁判官が恣意的にコントロールされている疑惑がある。具体例を2つ示そう。

まず、携帯電話の基地局撤去を求める裁判である。携帯基地局からは、マイクロ波と呼ばれる高周波電磁波が放射されている。WHOの外郭団体である世界癌研究機構は、2011年にマイクロ派に発癌性の可能性があることを認定している。ドイツやブラジルなどでは、携帯基地局と発癌の関係を調査するための疫学調査も行われている。(詳細は、次の記事で)

■携帯基地局から200メートル以内、発癌リスクが極めて高い、ブラジルの調査でも判明、日本では秘密保護法の施行で情報ブロックも

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2016年01月29日 (金曜日)

やしきさくら氏の代理人に、喜田村洋一・自由人権協会代表理事、曖昧な名誉毀損の賠償額、300万円もあれば10万円も

名誉毀損裁判で敗訴した場合の損害賠償額が、かつてに比べて高額化している。その一方で極めて低額な賠償命令も下っている。わたしの知るケースでは、前者が300万円で、後者が10万円である。

たとえば『スポーツ報知』(2015年10月28日)は、やしきたかじん氏の妻・やしきさくら氏が、たかじん氏の元弟子を提訴した裁判で、大阪地裁が300万円の支払いを命じたことを伝えている。

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2015年12月18日 (金曜日)

判決結果は歓迎も、前近代的な韓国社会を露呈、産経新聞の前ソウル支局長の裁判

虚偽の記事により韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つけたとして起訴された産経新聞の前ソウル支局長(49)の加藤達也氏に対して、ソウル中央裁判所は、17日、無罪の判決を言い渡した。

判決そのものは真っ当で、当然の結果であるが、裁判の中で、韓国の司法制度の未熟さを国際的に露呈する取り返しのつかない珍事が発生した。改めていうまでもなく、韓国外務省が「産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)の裁判に関し、検察を通じて裁判所に対し、日韓関係などを考慮し善処するよう要請した」ことである。

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2015年07月04日 (土曜日)

DHCの吉田嘉明会長が澤藤統一郎弁護士に6000万円を請求した裁判が結審、澤藤弁護士が意見陳述

化粧品会社DHCの吉田嘉明会長が、 澤藤統一郎弁護士に対して6000万円の支払いを求めた名誉毀損裁判の第7回口頭弁論が、1日に東京地裁で開かれた。提出書面の確認が行われた後、被告の澤藤弁護士が意見陳述を行い、裁判は結審した。

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2015年06月18日 (木曜日)

安保法制案の根拠になっている砂川裁判の再審へ向け、18日に弁護団らが記者会見

6月18日、砂川事件の再審を求めている弁護士らが、国会の議員会館で記者会見を行う。

憲法学者らが安保法制案を違憲と解釈しているのに対して、安倍政権は依然として「合憲」を主張している。その根拠となっているのが、砂川事件の判例である。その砂川事件の再審を求める動きが活発になっている。

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2015年04月29日 (水曜日)

「最高裁をただす市民の会」が公式サイトを開設 、記録を永久保存するネット上の資料庫に

 「最高裁をただす市民の会」(志岐武彦代表)が、28日に本格的なウエブサイトを立ち上げた。これは、同会の公式サイトで、小沢一郎議員を起訴相当議決により法廷に立たせた東京第5検察審査会に関する疑惑を検証するための記事や内部資料(PDF)を多量に収録している。

インターネット上の資料庫、あるいは図書館として機能する。無料サイトなのでだれでも資料にアクセスすることができる。

また、小沢事件に関連して、志岐氏と森裕子元参議院議員の間で争われた名誉毀損裁判に関する記事と資料(PDF)も公開している。

ちなみにこの裁判では、志岐氏が勝訴している。森氏が請求した500万円の金銭支払いと、志岐氏の言論活動の制限は棄却された。

さらに同ウエブサイトは、今後、「押し紙」裁判や「志岐VS森」裁判に関連して起きている係争に関する資料についても公開し、記録として永久保存する方針だ。長期にわたる検証の道具となる

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2015年04月07日 (火曜日)

裁判と言論・人権を考える(4)、読売裁判の判例と弁護士懲戒請求、催告書の名義を偽って提訴

高額訴訟ではないが、提訴のプロセスに問題が指摘された裁判の例を紹介しよう。わたし自身が被告にされた著作権裁判である。原告は、読売新聞社(西部)の法務室長・江崎徹志氏だった。江崎氏の代理人は、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士だった。

◇事件の発端
2007年の暮れに江崎氏は、わたしにEメールである催告書を送付してきた。その中で江崎氏は、わたしに対して、新聞販売黒書(メディア黒書の前身)のある記述を削除するように求めたのである。その資料とは、次の通知(記述)だった。YC(読売新聞販売店)に宛てたものだ。

前略

 読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志です。
 2007年(平成19年)12月17日付け内容証明郵便の件で、訪店について回答いたします。
 当社販売局として、通常の訪店です

以上、ご連絡申し上げます。よろしくお願いいたします。

かりにこの文書を「回答書」と呼ぶことにする。

■江崎氏が送付した催告書の全文

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2015年03月23日 (月曜日)

「その言葉、単価でXX万円」、名誉毀損裁判と言論・人権を考える(2)、高額請求と想像力の問題

山崎貴子さん[仮名]が小川紅子・五郎夫婦[仮名]を名誉毀損で訴えた裁判の実態を検証するルポ、連載の第2回目である。裁判の概要は、連載原稿の(1)に記したとおりであるが、ひとことで言えば、小川夫婦のブログに対して、山崎さんが総計で約3200万円を請求し、さらに請求額を増やすことを訴状で公言したことである。

この裁判の取材を通じて、わたしは幾つかの留意すべき事実に遭遇した。もっとも留意点として位置づけた背景には、わたしがあるべき姿と考えている裁判の形があるが、法曹界の人々にとっては、留意に値しない可能性もある。が、少なくともごく普通の「市民」の視線には、この裁判は尋常ではない裁判と映るのではないか?

◇金銭請求の方法

まず、第1に感じた異常は、名誉毀損に対する損害賠償額の請求方法である。
連載(1)で手短にふれたように、この裁判では、原告が問題とする表現を、「名誉毀損」、「名誉感情侵害」、「プライバシー権侵害」、それに「肖像権侵害」に分類した上で、それぞれに単価を付け、その総数を基に損害賠償額を計算していることである。こんな請求方法はこれまで見たことがなかった。詳細は次の通りである。

【単価】
① 「名誉毀損」:10万円
② 「名誉感情侵害」:5万円
③ 「プライバシー権侵害」:5万円
④ 「肖像権侵害」:5万円

【指摘件数】
総計:417件

通常は、一括して500万円を請求したり、1000万円を請求してくるが、この裁判では、「単価×件数」で損害賠償額を割り出していたのである。

原告は、上記の額に加えて、請求を追加すると訴状で述べている。

◇3200万円の「お金」の意味

ちなみに3200万円という請求額も、普通の「市民」感覚からすれば尋常ではない。辣腕弁護士であれば、半年で稼ぐことも可能な金額かも知れないが、大半の勤労者の5年から7年分ぐらいの給料に相当する。実際にこの金額を貯蓄するためには、少なくとも15年ぐらいは要する。

他の名誉毀損裁判では、5000万円、あるいは1億円といった大金を請求したケースもある。これは名誉毀損的表現を犯した場合、殺人犯なみに、生涯をかけて賠償することを求めているに等しい。普通の金銭感覚を欠いた措置と感じる。 かりに私人宅に見知らぬ人々がいきなり押しかけてきて、

「ブログで誹謗・中傷されたから3200万円を払え。後からさらに追加請求する」

と、言えば、警察沙汰になるだろう。

ところが裁判という形式を取れば、3200万円の請求もまったっく合法的行為になってしまうのだ。

人間には、感情が宿っている。かりにそれが想像できなくなっている「知識人」が増えているとすれば、その背景に社会病理が横たわっているのではないか。

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2015年02月23日 (月曜日)

あやうくなってきた対等に裁判を受ける権利、1億円の名誉毀損裁判で被告は、着手金だけで800万円、日弁連の重い責任

教育や医療、福祉サービスなど人間としての基本的権利は、本来、憲法で保障されているはずだ。貧乏だから学校で学べないとか、病院や介護施設に入所できないといった実態があってはならない。が、新自由主義=構造改革を導入した結果、これらの最低条件すらも奪い去られようとしている。

裁判を受ける権利についても、すでに経済力の差が判決を決めかねない状態になっている。正義と金が結合しはじめている。かつて日弁連は、弁護士報酬を定めていた。たとえば、一般法律相談料の場合は、「30分ごとに5000円以上2万5000円以下」だった。

ところが、小泉内閣が押し進めた司法制度改革の結果、2004年4月から弁護士報酬が自由化された。その結果、勝率の高い弁護士事務所が設定する弁護士報酬が高騰している。

次に示すのは、「人権派」「無罪請負人」として有名な法律事務所ヒロナカ(弘中 惇一郎弁護士)のウエブサイトに掲載されている費用体系である。

1. 一般民事訴訟
  着手金:(1)原告の代理人となる場合 係争金額の5%
      (2)被告の代理人となる場合 係争金額の8%

    ただし、着手金の最低金額を30万円とする。
  成功報酬:(1)原告の代理人となる場合 獲得金額の10%
      (2)被告の代理人となる場合 防御金額の7%

  を基準とする。
  
   なお、事件がきわめて難解な場合には50%の範囲での増額、訴訟物価格が高額な場合(1億円を超える場合)、及び簡易な場合には50%の範囲で減額があることとし、これについては、協議の上決定する。

  ただし、報道名誉毀損事件 原告側については
  着手金:実費以外なし
  成功報酬:実費を加えて獲得金額の50%とすることもある。

さらに、日当は、「片道2時間以上の地方へ出張の場合 1日5~10万円」
で、相談料は、1時間3万円である。詳細は、次の通りである。

■法律事務所ヒロナカの弁護士費用

■(旧)日本弁護士連合会報酬等基準

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2014年12月19日 (金曜日)

裁判に圧倒的に強い読売新聞、最高裁も読売裁判の関連情報開示に配慮

読売ジャイアンツが、同球団の元代表・清武英利氏(64)に対して損害賠償などを求めた裁判の判決が、18日、東京地裁であった。大竹昭彦裁判長は、清武氏に対して160万円の賠償を命じた。清武氏の反訴は棄却した。

判決を読んでいないので、論評は避けるが、読売がらみの裁判には、ある著しい特徴がある。読売の勝訴率が圧倒的に高いことである。

読売弁護団には、護憲派の喜田村洋一・自由人権協会代表理事ら、有能な弁護士が含まれていることも、勝率が高いひとつの要因だと思われるが、社会通念からして不自然な判決があることも否定できない。

その典型は、読売新聞販売店(YC)が2001年7月に、地位保全を求めて起こした裁判(仮処分申立て、後に本訴)だった。この裁判は、2007年12月に、YC側の勝訴判決が最高裁で確定した。ぞくに「真村裁判」と呼ばれる訴訟である。

判決の中で、はじめて読売の「押し紙」が認定されたこともあって関心を集めた。

ところが判決確定から半年後に、読売が再びYCに対して改廃を通告し、一方的に新聞の供給を止めた。その結果、YCの店主は、再び裁判を起こしたのである。それ以外に抵抗する方法がなかったのだ。これが第2次真村裁判である。

しかし、YC店主も弁護団も、勝訴の自信をみせていた。と、いうのも前訴で最高裁が店主の地位を保全していたからだ。実際、仮処分を申し立てたところ、すんなりと地位が保全された。仮処分の2審、3審、4審(特別抗告)も店主の勝ちだった。

ところが仮処分の審理と並行して進めていた本訴では、店主が全敗したのである。このうち控訴審(福岡高裁)で店主を敗訴させた裁判官は、なんと仮処分の2審で、店主を勝訴させた木村元昭氏裁判官だった。

木村裁判官は、仮処分の2審で店主を勝訴させた後、那覇地裁に異動になった。ところが第2次真村裁判が始まると、福岡高裁へ異動になり、第2次真村裁判を担当したのである。そして店主を敗訴させた。

わたしの手元に木村氏が書いた2つの判決があるが、読み比べてみると、同じ人物が書いたとは思えない。(拙著『新聞の危機と偽装部数』)

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2014年11月24日 (月曜日)

これだけある裁判所の問題、「日本は三権分立の国」は幻想

たとえば裁判所の強権的な姿勢を報告した次のレポートがある。特定秘密保護法に対する違憲訴訟(静岡地裁、原告:藤森克美弁護士、被告:国)の第2回口頭弁論で、村野裕二裁判長が早々と結審をほのめかした場面である。

一つは民事第2部の村野裕二裁判長がきわめて強権的な指揮をしていること。藤森弁護士が提出した準備書面(2)から(7)の確認をしたあと、進行に言及し「そろそろ終り」にと結審をほのめかす発言。しかしその少し前に国の代理人から「原告に反論したい」と申し出たことと、藤森弁護士から主張を補充したいとの申し出があり、いったん退廷して合議。その結果、あと1回弁論は認めるがこれを最終とする旨を伝えられました。

日本の裁判所は公平な裁判を行ってきたのだろうか?あるいは最高裁事務総局は、本当に政府や官庁、それに大企業といった巨大権力を持つ者と一定の距離を置いて、独立性を保っているのだろうか?

かりに裁判所が権力構造の歯車に組み込まれているとすれば、戦後日本の「民主主義」を根本から再検証しなければならない。日本は三権分立の国ではない。これは受け入れたくないが、紛れもない真実である。

具体的に、日本の裁判所には、どのような問題があるのか、手短に抜き出してみた。

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