1. 司法制度

司法制度に関連する記事

2013年08月19日 (月曜日)

「原発フィクサー」訴訟、原告が裁判を取り下げて終結 進む司法の腐敗と劣化?

ジャーナリストの田中稔(『社会新報副編集長』)氏が、白川司郎氏から6700万円の損害賠償を請求されていた「原発フィクサー」裁判は、原告の白川氏が8月12日、東京地裁に対し裁判の取り下げを申し立てたのを受け、田中氏がそれに合意したことで結審した。19日には、白川氏の本人尋問が開かれる予定になっていたが、裁判が終わったことでそれも中止になった。

発端は、『週刊金曜日』誌上に田中氏が執筆した「『最後の大物フィクサー』白川司郎氏 東電原発利権に食い込む」と題する記事。

記事の中で田中氏が使った「フィクサー」、「利権に食い込んだ」などの表現が、白川氏の名誉を毀損したというのが、原告の主張だった。  ちなみに白川氏がターゲットにしたのは田中氏だけで、記事を掲載した『週刊金曜日』は訴外とした。編集部サイドに対する訴訟行為は控えて、記事の制作にかかわった一個人だけに的を絞って高額な賠償金を請求したのである。?? また、白川氏の代理人を務めたのは、第二東京弁護士会に所属する土屋東一弁護士(元検事)である。

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2013年08月01日 (木曜日)

最高裁が受け付ける事件は年間で4000件超、3小法廷で処理できるのか? 

「最高裁判所における訴訟事件の状況」と題する最高裁による報告書によると、2010年度に受け付けた上告事件は2036件、上告受理事件は2485件である。

上告は、高裁の判決内容が日本国憲法の趣旨に合致していないと判断した時などに行うことができる。上告受理申立は、高裁の判決内容が既に存在する判例と乖離していると判断したときに行うことができる。

上告事件と上告受理申立の件数の総計は、2010年度の場合、4521件である。

周知のように最高裁には小法廷と大法廷があり、大半の事件は小法廷で処理される。小法廷は、第1から第3に分かれて、それぞれに4名から5名の判事が配属されている。

最高裁が1年間に受け付ける事件数が4000件を超え、小法廷の数はたったの3つ。読者はこれらの数字を前に、疑問を感じないだろうか。次の計算式で導きだされる数字は興味深い。

 4000件÷3=1333件

単純に計算するとひとつの小法廷が年間に1000件を優に超える事件を処理することになる。それぞれの事件について膨大なファイルが存在し、しかも、裁判はひとの人生を左右するわけだから、「速読」するわけにもいかない。ひとつひとつの記述を慎重に検証していかなければならない。それが最高裁判事という公務員の役割である。

しかし、常識的に考えて、最高裁に上告(あるいは、上告受理)された事件が、綿密に検証されているとは思えない。第一に、物理的に不可能ではないか。大半の事件が、判事の「めくら印」で終結している可能性が高い。

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2013年07月05日 (金曜日)

4日付けMEDIA KOKUSYOの記事補正 三潴裁判と田中哲郎裁判長

4日付け記事で重要な記述を落としていたので補足する。

携帯基地局に関する部分で、三潴(みずま)裁判(福岡地裁)についての記述が抜けていたのである。この裁判にも田中哲郎裁判官がかかわっている。しかも、かなり奇妙なかかわり方をしていることが、関係者らの話で明らかになった。

三潴裁判は、久留米市の三潴地区の住民が、2002年に基地局の操業停止を求めて起こした裁判である。この裁判で不可解なのは、結審の日に裁判長が交代したことである。

三潴裁判に先行する2件の裁判で住民を敗訴させた田中哲郎裁判官が、「わざわざ結審の日に福岡地裁久留米支部へ赴任」(『隠れた携帯基地局公害』緑風出版)し、三潴裁判の裁判長になったのだ。つまり敗訴の判決を書くために人事異動させられたとしか解釈できない。

(上記の記述を、4日付け記事に赤字で加えました)

その後、田中裁判官は2013年4月、福岡地裁を経て、福岡高裁宮崎支部へ赴任し、延岡大貫裁判の裁判長になった。

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2013年07月04日 (木曜日)

裁判官の人事異動で広がる司法制度に対する不信感 田中哲郎裁判官のケース

司法の劣化が顕著になっている。なんらかのかたちで裁判に係った体験がある読者の中には、司法制度に対する不信感を募らせている人が多いのではないだろうか。小泉元首相が委員長に就任してスタートした司法制度改革の結果、三権分立は崩壊した。あるいは元々、三権分立は幻想だった。

日本の裁判のずさんな実態が次々と浮上している。裁判官の人事をコントロールしている者が、影で判決をあやつっている可能性もある。

ここ数年の間、わたしは新聞販売問題に関する裁判と、携帯基地局に関する裁判を取材してきた。その中で、具体的に「不自然」と感じたことを記してみよう。

◆田中哲郎裁判官のケース

携帯基地局からは、マイクロ派と呼ばれる電磁波が放出されている。これは放射線の仲間で、最近になって遺伝子毒性が指摘されるようになってきた。マイクロ波が遺伝子を破壊して、癌などのリスクを高めるというのだ。実際、海外で行われた疫学調査では、携帯基地局の周辺に住む住民の癌発症率が、その他の地域よりも高いという結果が出ている。(ドイツ、イスラエル、ブラジルなど)

携帯基地局の撤去を求める住民訴訟はたびたび起こされてきた。

2004年6月25日に熊本地裁で、2つの訴訟の判決が下された。沼山津裁判と御領裁判である。いずれの裁判でも、田中哲郎判事が裁判長を務めた。

判決は住民の敗訴だった。??田中哲郎裁判官は、三潴裁判にもかかわっている。

三潴裁判

 三潴裁判は、久留米市の三潴地区の住民が、2002年に基地局の操業停止を求めて起こした裁判である。この裁判で不可解なのは、結審の日に裁判長が交代したことである。

 三潴裁判に先行する2件の裁判で住民を敗訴させた田中哲郎裁判官が、「わざわざ結審の日に福岡地裁久留米支部へ赴任」(『隠れた携帯基地局公害』緑風出版)し、三潴裁判の裁判長になったのだ。つまり敗訴の判決を書くために人事異動させられたとしか解釈できない。

田中判事に対する不信感は、その後、次に紹介する延岡裁判とのかかわりの中で深まっていく。裁判官の人事そのものが不自然なのだ。

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2013年06月28日 (金曜日)

最高裁に対する情報公開 回答期限を60日延長 構造改革の中で劣化する司法

最高裁に対して「朝日、読売、日経が上告人か被上告人になった裁判の判決結果を示す文書を2000年度に遡って公開するように請求」した件について、6月26日付けの文書が最高裁から届いた。次のような内容だった。

「文書の探索及び精査に時間を要しているため、30日以内に回答することができません。なお、回答予定時期につきましては、本日から2か月程度かかる見込みですので御了解願います」

(通知の全文=ここをクリック)

◇「2230万円支払え裁判」

わたしが上記の情報公開を請求している理由は、朝日、読売、日経は裁判ではめったに敗訴しないという話を耳にしたからだ。それが事実であるかを調査するために、情報公開に踏み切ったのである。

わたし自身も、明らかにおかしいと感じた裁判がある。たとえば2008年に読売が、わたしの記事に対して、名誉毀損で2230万円のお金を支払うように求めた裁判。この裁判は地裁と高裁は、わたしの勝訴だった。刑事裁判ではともかくも、民事裁判では地裁と高裁で勝訴した場合、最高裁で判決が覆ることはめったにない。

しかし、「2230万円支払え裁判」では、最高裁が読売を逆転勝訴させることを小法廷の判事全員が合意して、判決を高裁を差し戻したのである。そして読売新聞に複数回登場したことがある加藤新太郎裁判官が110万円の支払いを命じたのである。わたしはこの件について、多くの法曹関係者に問い合わせをしているが、「明らかに不自然」という声が大半を占めている。

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2013年05月30日 (木曜日)

兄弟で司法制度改革に参加、最高裁判事・大谷剛彦氏とジャーナリスト大谷昭宏氏

最高裁が主宰した「明日の裁判所を考える懇談会」に、読売の元記者・大谷昭宏氏と、大谷剛彦最高裁判事(当時、経理局長)が兄弟参加していたことが分かった。

同懇談会は、2002年2月から2007年5月までの期間、17回にわたって開催された。

兄弟そろって委員会に参加することを、無条件に悪と決めつけることはできないが、社会通念からして、兄が最高裁の幹部で、弟が委員として召集されていたら、縁故関係が人事を決定したと疑われても仕方がないのではないか。

次に紹介するPDFに注目してほしい。「委員」として大谷昭宏という名が明記されている。また、オブザーバーとして、大谷剛彦氏の名前も明記されている。(赤の下線)

(PDF 懇談会(第12回)協議内容=ここをクリック)?

当時、大谷剛彦氏は、最高裁の経理を監督する経理局長の立場にあった。問題は、「明日の裁判所を考える懇談会」の委員に対して謝礼が支払われてきた事実である。。

たとえば次のPDFは、2007年5月24日に開かれた「明日の裁判所を考える懇談会」に参加した委員に対して支払われた報酬を示す資料である。この時期、大谷昭宏氏はすでに委員を辞職していたので、支払リストに名前はないが、委員に対して報酬を支払うルールがあったことは間違いない。

(PDF 「明日の裁判所を考える懇談会」謝金=ここをクリック)

ちなみに、オブザーバーの中には、後に大手弁護士事務所へ再就職(広義の天下り)した元最高裁判事・泉徳治氏と才口千春氏(青の下線)も含まれている。そもそもオブザーバーの資質があったのだろうか?

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2013年05月28日 (火曜日)

黒塗りにされた最高裁判事の給料明細200枚、情報公開制度は機能しているか?

このところ情報公開制度を利用することが増えている。総務省によると情報公開制度は次のような法的根拠に基づいて実施されている。

「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成13年 4月1日施行)及び「独立行政法人の保有する情報の公開に関する法律」(平成14年10月1日施行)は、国民に対し政府の説明責任を全うする観点から、行政機関及び独立行政法人等(すべての独立行政法人及び政府の一部を構成するとみられる特殊法人・認可法人等)が保有する文書についての開示請求権等を定めており、国民に開かれた行政の実現を図るために重要な法律です。

わたしは昨年から情報公開制度を利用するようになった。これまで開示してもらった情報には次のようなものがある。

政府広告(新聞広告)の支出額と掲載紙

裁判員制度のPR広告(新聞広告)の支出額と掲載紙

最高裁の各種委員会の構成メンバー

裁判員制度に出費した経費

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2013年04月05日 (金曜日)

司法制度改革がもたらした高額訴訟の波、人権派の看板で「訴訟ビジネス」も

小泉構造改革の一環である司法制度改革の中で浮上したのは、裁判の迅速化により冤罪を生みかねない裁判員制度の導入だけではない。高額訴訟も意図的に導入された。

名誉毀損裁判の賠償請求額や賠償額が高額化していることは周知の事実である。たとえば最近では、ユニクロが文春に請求した2億2000万円の訴訟、レコード会社31社が作曲家・穂口雄介氏に請求した2億3000万円の訴訟などが起きている。その他、武富士、オリコン、読売といった企業が個人に対して5000万円、1億円といった規模の高額訴訟を起こしてきた。

わたしの場合は、読売(渡邊恒雄主筆)から総額で約8000万円を請求された。

このような実態になった原因は、新自由主義=構造改革から生まれてきた司法制度改革だった。

2001年6月に発表された司法制度改革審議会意見書にも、賠償額の高額化の必要性を述べた記述がある。

損害賠償の額の認定については、全体的に見れば低額に過ぎるとの批判があることから、必要な制度上の検討を行うとともに、過去のいわゆる相場にとらわれることなく、引き続き事案に即した認定の在り方が望まれる(なお、この点に関連し、新民事訴訟法において、損害額を立証することが極めて困難であるときには、裁判所の裁量により相当な損害額を認定することができるとして、当事者の立証負担の軽減を図ったところである。)。

 ところで、米国など一部の国においては、特に悪性の強い行為をした加害者に対しては、将来における同様の行為を抑止する趣旨で、被害者の損害の補てんを超える賠償金の支払を命ずることができるとする懲罰的損害賠償制度を認めている。しかしながら、懲罰的損害賠償制度については、民事責任と刑事責任を峻別する我が国の法体系と適合しない等の指摘もあることから、将来の課題として引き続き検討すべきである。

このような流れの中で、公明党の漆原良夫議員が国会で次のような発言をするに至った。

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2013年04月02日 (火曜日)

密室で争点整理、素人の主観で死刑判決も、裁判員を断れば罰金も、裁判員制度の恐怖、

司法の劣化の象徴が裁判員制度の導入である。この制度は、冤罪を生みかねない恐ろしい制度である。

2007年に内閣府が発表した「裁判員制度に関する特別世論調査」によると、「あまり参加したくないが,義務であるなら参加せざるをえない」と回答した人が44・5%、「義務であっても参加したくない」が33・6%だった。つまり裁判員制度を歓迎しない人が約8割にも達してるのである。と、なれば導入を目指している政府や最高裁は、裁判員制度をPRしなければならない。こうした状況の中で新聞が世論誘導の装置と化したのである。

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2013年03月29日 (金曜日)

裁判員制度の危険な側面 主観と偏見で人を裁く恐るべき制度

2009年5月に始まった裁判員制度は、どのような位置づけで解釈すべきなのだろうか。

司法関連の社会問題としては、スラップや高額訴訟がある。また、読売の渡邊恒雄氏のように、「法廷なら我が方の最も得意とするところだ。俺は法廷闘争で負けたことがない」と公言して、反対言論に対して徹底して裁判で戦う新聞社主筆の出現にも注視する必要がある。

最高裁の元判事が大手弁護士事務所へ再就職(広義の天下り)する例も後を絶たない。裁判員制度のPRをめぐる電通との契約で、「不適正行為」を行った最高裁の経理部長が、最高裁判事に「出世」している例もある。

弁護士会サイドの問題点としては、有名弁護士に対する懲戒請求に対しては、2年も3年も処分決定を遅らせ続けているケースがある。第2東京弁護士会である。

これらの事柄は社会問題として認識しやすい。しかし、日本の司法界には、もっと重大な社会問題がある。日弁連も導入に奔走してきた裁判員制度である。 マスコミは一致団結して裁判員制度をPRしてきたが、この制度を詳しく検証してみると、危険極まりない前近代的な制度であることが分かる。(非会員も途中まで読めます)

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2013年03月26日 (火曜日)

電通との契約をめぐり「不適正行為」を認めた人物が最高裁判事に就任していた

先日、最高裁で棄却された名誉毀損裁判(原告・読売VS被告・黒薮)にかかわった最高裁判事について調査したところ、過去に電通との契約を巡って不適正行為を働いた人物が最高裁判事に就任していることが分かった。

大谷剛彦判事である。(ここをクリック)

大谷剛彦判事は、最高裁経理局長や事務総長を経て、2000年6月に最高裁判事に就任した。著名な読売出身のジャーナリスト大谷昭宏氏の実の兄にあたる。

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2013年03月07日 (木曜日)

公取委の前委員長・竹島一彦氏が、大手弁護士事務所へ天下り

公正取引委員会の前委員長・竹島一彦氏が退官後、日本の4大法律事務所のひとつである森・濱田松本法律事務所に、顧問として再就職(広義の天下り)していることが分かった。

竹島氏は2006年に公取委が新聞特殊指定の撤廃を打ち出した際に、新聞紙面で激しくバッシングされた。特殊指定撤廃は免れないというのが、大方の予想だったが、自民党の山本一太議員、高市早苗議員らが、特殊指定を扱う権限を公取委から取り上げるための議員立法を提出した結果、撤廃を断念した経緯がある。

実は公取委の関係者が、大手法律事務所へ再就職したケースはほかにもある。たとえば七つ森裁判、清武裁判、黒薮裁判と、次々と裁判を起こしてきた読売(渡邊恒夫会長)の代理人・TMI総合法律事務所へ、公取委の元事務総長・松山隆英氏が、やはり顧問として再就職している。

また、同事務所の顧問弁護士である三谷紘氏も、元公取委の委員である。

森・濱田松本法律事務所やTMI総合法律事務所は、主に企業法務の専門家の集まりである。特にグローバリゼーションの中で、バイリンガルの弁護士をそろえるなど、国際企業法務に力を入れている。

当然、独禁法を考慮に入れて活動しなければならない企業がクライアントになっている可能性が極めて強い。

こうした性質を持つ弁護士事務所が、公的機関の退官者と特別な関係を構築することは、民主主義を後退させる行為にほかならない。癒着の温床になる。ちなみにTMI総合法律事務所には、最高裁の元判事が3名も再就職している。

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2013年02月11日 (月曜日)

ネット上に株主らが東京地裁民事8部監視委員会を設置

ソーシャルメディアがジャーナリズムの有力な道具として浮上するなか、株主訴訟を起こしている人々が東京地裁の民事8部を監視するためのサイトを2件、設置した。名称はいずれも東京地裁民事8部監視委員会。TWITTERのサイトとFacebookのサイトである。アドレスは次の通り。

■Twitterの東京地裁民事8部監視委員会

https://twitter.com/minji8bu

■Facebookの東京地裁民事8部監視委員会

http://www.facebook.com/minji8bu

民事8部は、商事を扱う部で、主に株主訴訟などを担当している。読売が清武利則氏に対して起している高額訴訟も民事8部で進行している。

ところがこれまで株主訴訟を起こした多くの人々が、民事8部の判事について「極めて企業より」との評価を下している。日本の裁判所がより強い権力を持つ側に有利な判決を下す傾向があることは、真村久三氏やわたしの対読売裁判で明白になったが、民事8部の場合、昔からこのような傾向があったという。

裁判の進行方法そのものに問題があるとの指摘もある。たとえば民事8部の元判事・?山崇彦氏がTMI法律事務所へ再就職し、今度は弁護士として民事8部の法廷に立つという珍事も発生している。この弁護士は民事8部に人脈があるわけだから、裁判そのものが公平性を欠いている。

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