1. あやうくなってきた対等に裁判を受ける権利、1億円の名誉毀損裁判で被告は、着手金だけで800万円、日弁連の重い責任

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2015年02月23日 (月曜日)

あやうくなってきた対等に裁判を受ける権利、1億円の名誉毀損裁判で被告は、着手金だけで800万円、日弁連の重い責任

教育や医療、福祉サービスなど人間としての基本的権利は、本来、憲法で保障されているはずだ。貧乏だから学校で学べないとか、病院や介護施設に入所できないといった実態があってはならない。が、新自由主義=構造改革を導入した結果、これらの最低条件すらも奪い去られようとしている。

裁判を受ける権利についても、すでに経済力の差が判決を決めかねない状態になっている。正義と金が結合しはじめている。かつて日弁連は、弁護士報酬を定めていた。たとえば、一般法律相談料の場合は、「30分ごとに5000円以上2万5000円以下」だった。

ところが、小泉内閣が押し進めた司法制度改革の結果、2004年4月から弁護士報酬が自由化された。その結果、勝率の高い弁護士事務所が設定する弁護士報酬が高騰している。

次に示すのは、「人権派」「無罪請負人」として有名な法律事務所ヒロナカ(弘中 惇一郎弁護士)のウエブサイトに掲載されている費用体系である。

1. 一般民事訴訟
   着手金:(1)原告の代理人となる場合 係争金額の5%
       (2)被告の代理人となる場合 係争金額の8%

    ただし、着手金の最低金額を30万円とする。
  成功報酬:(1)原告の代理人となる場合 獲得金額の10%
       (2)被告の代理人となる場合 防御金額の7%

    を基準とする。
   
   なお、事件がきわめて難解な場合には50%の範囲での増額、訴訟物価格が高額な場合(1億円を超える場合)、及び簡易な場合には50%の範囲で減額があることとし、これについては、協議の上決定する。

  ただし、報道名誉毀損事件 原告側については
  着手金:実費以外なし
  成功報酬:実費を加えて獲得金額の50%とすることもある。

さらに、日当は、「片道2時間以上の地方へ出張の場合 1日5~10万円」で、相談料は、1時間3万円である。尋常な額といえるだろうか?。詳細は、次の通りである。

 ■法律事務所ヒロナカの弁護士費用

 ■(旧)日本弁護士連合会報酬等基準

◇日弁連の政治団体から政治献金

わたしが興味を惹かれたのは、報道関連の名誉毀損事件では原告側の着手金が「実費以外なし」で、成功報酬が「実費を加えて獲得金額の50%とすることもある」と記されていることである。つまり名誉毀損裁判を起こしやすい環境を準備しているのだ。

高額の名誉毀損裁判が増えている背景ではないだろうか?

また、被告の弁護を引き受ける時の着手金については、「被告の代理人となる場合 係争金額の8%」と明記されている。この基準にそくして、たとえば1億円の名誉毀損裁判を起こされた被告の場合を想定してみると、着手金だけで800万円にもなる。これでは被告は、勝訴しても多大な損害を被る。

このところSLAPP(高額の恫喝訴訟)が増えている背景に、新自由主義=構造改革の中で行われた司法制度改革があるようだ。政治家と日弁連の責任は重い。

なお、日弁連の政治団体・日本弁護士政治連盟から、国会議員に政治献金が支出されている。2013年度は次の通りである。

◇献金先の議員と政党

藤田幸久(民主):5万円
北神圭朗(民主):5万円
世耕弘成(自民):10万円

溝手顕正(自民):5万円
衛藤晟一(自民):5万円
川上義博(民主):5万円

小川勝也(民主):10万円
鈴木寛(民主):10万円
米山隆一 (維新):10万円

林芳正(自民):10万円
いそざき陽輔(自民):5万円
松野信夫(民主):10万円

岡崎トミ子(民主):10万円
吉田はるみ(民主):5万円
大河原雅子(民主):10万円

島村宜伸(自民):10万円
古川俊治(自民):10万円
水野けんいち(みんな):10万円

谷ひろゆき(民主):5万円
山本一太(自民):10万円
辻泰弘(民主):10万円

宇田こうせい(減税日本):10万円
愛知治郎(自民):10万円
森まさこ(自民):10万円

公明党東京都本部:10万円
公明党埼玉県本部:10万円
公明党大阪府本部:5万円
公明党京都府本部:5万円
公明党神奈川県本部:10万円
公明党愛知県本部:10万
公明党香川県本部:5万円円

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