これだけある裁判所の問題、「日本は三権分立の国」は幻想
たとえば裁判所の強権的な姿勢を報告した次のレポートがある。特定秘密保護法に対する違憲訴訟(静岡地裁、原告:藤森克美弁護士、被告:国)の第2回口頭弁論で、村野裕二裁判長が早々と結審をほのめかした場面である。
一つは民事第2部の村野裕二裁判長がきわめて強権的な指揮をしていること。藤森弁護士が提出した準備書面(2)から(7)の確認をしたあと、進行に言及し「そろそろ終り」にと結審をほのめかす発言。しかしその少し前に国の代理人から「原告に反論したい」と申し出たことと、藤森弁護士から主張を補充したいとの申し出があり、いったん退廷して合議。その結果、あと1回弁論は認めるがこれを最終とする旨を伝えられました。
日本の裁判所は公平な裁判を行ってきたのだろうか?あるいは最高裁事務総局は、本当に政府や官庁、それに大企業といった巨大権力を持つ者と一定の距離を置いて、独立性を保っているのだろうか?
かりに裁判所が権力構造の歯車に組み込まれているとすれば、戦後日本の「民主主義」を根本から再検証しなければならない。日本は三権分立の国ではない。これは受け入れたくないが、紛れもない真実である。
具体的に、日本の裁判所には、どのような問題があるのか、手短に抜き出してみた。
■権力者に対して圧倒的に有利な判決を出す傾向がある
例1、読売VS真村(販売店)
販売店の地位保全裁判。真村が第1次裁判で完全勝訴(最高裁で判決が確定)した後、7ヶ月後に読売が第2次裁判を起こした。(読売の代理人は、いずれも喜田村洋一・自由人権協会代表理事ら)。第2次裁判で裁判所は、読売を勝訴させた。詳細については、『新聞の危機と偽装部数』(花伝社、黒薮哲哉著)に詳しい。
例2、「KDDI」VS延岡住民
携帯基地局の撤去を求めた裁判。裁判所は、住民が受けている健康被害を認定しながら、「ノセボ(思い過ごし)」が原因として、KDDIに賠償を命じなかった。論理が完全に破綻した判決の典型。
■裁判所と検察の癒着
家宅捜索は、検察官か検察事務官、あるいは司法警察職員からの請求により、裁判官が発する令状により行われる。つまり裁判所が独立していれば、不当な家宅捜査や不当な逮捕といった警察権力の暴走に歯止めをかけることができる。
しかし、実際には、裁判所は簡単に令状を出している。先日、イスラム国の問題に連座して、ジャーナリストの常岡浩介氏の自宅が家宅捜査された。
裁判所が許可するから、このような事態になるのだ。
この様子では、特定秘密保護法が施行された後、警察の暴走を止めるのは難しいだろう。両者は情交関係を解消しなければならない。完全に独立するのが常識だ。
特定秘密保護法に対する違憲訴訟にしても、最初から国を勝たせる方針が固まってる可能性が高い。
■検察審査会の裏金疑惑
「メディア黒書」でも指摘したように、最高裁事務総局が管轄する検察審査会制度を利用して、小沢検審と鳩山検審で、裏金づくりが行われたことを示唆する裏付け資料が存在する。検察審査会制度そのものがいかさまで、刑事裁判を恣意的にコントロールするための「道具」になっている。
小沢一郎と鳩山由紀夫の排除にも、検察審査会が一役かったようだ。
■司法制度改革の闇
司法制度改革そのものが、政権党の手で行われてきた事実がある。次に示すのは、小泉構造改革の中で、結成された司法制度改革推進本部の人事である。裁判所と自民党の癒着を示す決定的な証拠である。
本部長:小泉純一郎 内閣総理大臣
副本部長:細田博之 内閣官房長官・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
:南野知惠子 法務大臣・内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策)
本部員:麻生太郎 総務大臣
町村信孝 外務大臣
谷垣禎一 財務大臣
中山成彬 文部科学大臣
尾辻秀久 厚生労働大臣
島村宜伸 農林水産大臣
中川昭一 経済産業大臣
北側一雄 国土交通大臣
小池百合子 環境大臣・内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)
村田吉隆 国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災)
大野功統 防衛庁長官
伊藤達也 内閣府特命担当大臣(金融)
竹中平蔵 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
村上誠一郎 内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構)
棚橋泰文 内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全)