1. 携帯電話の基地局問題

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2014年11月11日 (火曜日)

マイクロ波の規制値を大幅に厳しくできる決定的証拠、ソフトバンクが測定した電力密度は国の規制値の5204万分の1

次のPDF書面は、ソフトバンクが2003年2月7日に神戸市鈴蘭台にある携帯基地局の周辺で測定した電力密度である。

電波測定結果報告書PDF

この地区では、ソフトバンクの携帯基地局を撤去させる住民運動がある。ソフトバンクは、住民に安全性をPRするために、電力密度の測定を行い、公表したのだが、その数値は驚くべきものだった。何に驚いたのかといえば、数値の異常な低さである。

その「異常な数値」に言及するまえに、比較の基準にする代表的な規制値を紹介しておこう。

日本の総務省が定めている規制値は:1000μW/c㎡

 EUの提言値:0.1μW/m2 (室内は0.01μW/c㎡  )

  ザルツブルク市の目標値:0.0001μW/c㎡

これに対してソフトバンクが神戸市で測定した数値は、たとえば、③の地点では、次のようになっている。

0.000019215808μW/c㎡

(電波測定結果報告書では、[mW/c㎡]の単位が使われているので、規制値の単位と同様に[μW/c㎡]に換算した)

この数字を見て、読者は違和感を感じないだろうか?まず、世界一厳しいザルツブルク市の目標値である0.0001μW/c㎡よりも、はるかに安全な数値になっていることである。

ザルツブルク市の場合、目標値であるから、実際には目標値よりも高い数値が観測される可能性が高い。しかし、そのザルツブルク市の目標値を、ソフトバンクは軽々とクリアーしているのだ。

総務省が定めている規制値1000μW/c㎡と、ソフトバンク測定の0.00001921580μW/c㎡を比較すると、約5204万分の1になる。

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2014年11月06日 (木曜日)

携帯基地局のマイクロ波の規制値は世界的に緩い傾向、背景に人的被害よりも産業優先の国策

携帯基地局から発せられるマイクロ波の規制値には、グレーゾーンが多い。それゆえに誤解を招きやすい。

次に示すのは、2011年に総務省が発表した「平成22年度 電波防護に関する国外の基準・規制動向調査」と題する文書に記された国別の規制値である。1800メガヘルツの基地局を対象とした換算値である。

米国:1000μW/c㎡

カナダ:1000μW/c㎡

スウェーデン:900μW/c㎡

ノルウェー:900μW/c㎡

デンマーク:900μW/c㎡

ベルギー:225μW/c㎡

フランス:900μW/c㎡

英国:900μW/c㎡

ドイツ:900μW/c㎡

オーストリア:900μW/c㎡

スイス:6.6μW/c㎡

イタリア:100μW/c㎡(被曝限界) 、10μW/c㎡(注意値)

ギリシャ:441μW/c㎡

ロシア:100μW/c㎡

ポーランド:10μW/c㎡

この資料によって、わたし自身、マイクロ波の規制値に関する事実認識を改めなければならないことを自覚した。

これまでわたしは日本の規制値(日本:1000μW/c㎡ )だけが特別に緩やかで、欧米では規制値が厳しい傾向があると考えてきた。「黒書」にもそれを前提とした記述がある。

しかし、客観的に見ると、世界的に規制値が緩やかな傾向があり、例外的にスイスやポーランドなど低い国があると考えるのが、より事実に近いようだ。

あるいは、欧米では国とは別に、自治体や機関が独自にマイクロ波の規制値(厳密には、提言値や目標値)を定めているケースがあり、これらの数値は、国が定めている数値よりも極めて厳しいというのが事実である。

たとえばオーストリアの規制値は、900μW/c㎡ であるが、同国のザルツブルグ市の目標値は次に示すように極めて低い。

ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡

また、EUの提言値は次の値になっている。

EU:0.1μW/c㎡ (室内0.01)

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2014年10月28日 (火曜日)

視覚障害者にも容赦しないソフトバンク、今年4月から多摩市で携帯基地局の設置をめぐるトラブル

巨大ビジネスを展開するソフトバンクが、住民との間で次々とトラブルを起こしている。今年になってわたしが把握したものだけでも、3件。そのうちのひとつ、東京都多摩市のケースを紹介しよう。人権問題の側面が顕著に現れている。

◇携帯基地局と癌のリスク

初老にさしかかったころ両眼の視力を失った吉田綾子(仮名)さんは、今年の春から電磁波問題に巻き込まれている。吉田さんの自宅は、屋上に携帯基地局が設置された低層マンションの真向かいにある。窓を開けると、目と鼻の先に基地局が聳えているが、吉田さんはそれを自分の眼で確かめることができない。

ソフトバンクがこの基地局を設けたのは、半年前の4月だった。今のところ同社は、住民の抗議を受けて基地局を稼働させていないが、稼働が始まると、光が遮断された吉田さんの世界に容赦なくマイクロ波が忍び寄ってくる。

携帯基地局から放射されるマイクロ波による人体影響は、日本ではあまり報じられないが、世界的な問題になっている。二〇一一年にWHOの外郭団体である国際癌研究機関が発がん性の可能性を認定するなど、マイクロ波は健康リスクを高めると考えるのが常識になっている。世界各地で行われてきた疫学調査でも、危険を示す結果が導き出されている。

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2014年10月14日 (火曜日)

NTTドコモが茅ヶ崎市で、住民の反対を押し切って携帯基地局を稼働、隣接するマンション住民らの怒り心頭に

マンションやオフィースビルの屋上に携帯基地局が設置された場合、マイクロ波の影響を直に受けやすいのは、隣接するビルに住む人々である。

もっとも実際に電磁波密度を測定すると、基地局の真下で高い数値が測定されることもあり、厳密にはどの位置が高リスクであるかは一概に断定できないが、少なくとも理論上は、基地局があるビルの住民よりも、むしろ隣接するビルの住人の方が被害を受けやすい。マイクロ波に直撃されるからだ。

◇工事のペンディングを申し入れ

神奈川県茅ケ崎市は、人口24万人。湘南海岸に面した首都圏のベットダウンである。

茅ヶ崎市の○○地区で携帯基地局の設置をめぐる問題が勃発したのは、2012年の10月だった。住民の鈴木直人(仮名)さんが、自らが住むマンション群と境界を接する6階建てマンションの屋上に、工事用の足場が組まれているのを発見し、作業員に事情を尋ねたところ、NTTドコモが基地局を設置する計画が判明したのである。鈴木さんが言う。

「常識的に考えて強い電波を発するものを、住居のすぐ近くに設置するのは、危険ではないかと思い、工事を一旦ストップするようにお願いしました」

鈴木さんが住むマンションは、1棟を除いてすべて5階建てである。このうち基地局が設置されたマンションと通路や庭を挟んで向き合っている棟は、基地局からのマイクロ波を直射される可能性が高い。それにもかかわらずNTTドコモは、基地局設置についての何の通知もしなかったことに、鈴木さんらは納得できなかった。

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2014年09月19日 (金曜日)

携帯基地局のマイクロ波による健康被害を問う延岡大貫訴訟が結審、不自然な裁判長交代劇の背景に何が?

日本の裁判所は、良心に誓って公正・中立な判決を下しているのだろうか?
隣人同士のささいな争いの仲裁であればともかくも、国策にかかわる問題をはらむ事件となれば、最高裁事務総局が審理の進行に目を光らせているのではないか?法廷を重ねるにつれて、そんな懸念を浮上させた裁判が9月5日に結審した。

舞台は、宮崎市にある福岡高裁宮崎支部である。3階建てアパートの屋上にKDDIが設置した携帯電話基地局の操業差し止めを求めて、延岡市大貫の住民30名が、宮崎地裁延岡支部へ提訴したのは2009年12月。敗訴。そして控訴。裁判は開始からまもなく5年になる。

延岡大貫訴訟は、基地局からのマイクロ波により、実際に発生した健康被害を理由に、基地局の操業停止を求めた全国ではじめての裁判だった。携帯電話の通信に使われるマイクロ波が将来的に人体に影響を及ぼすことを懸念して、予防原則の立場から裁判が提起された例は、それまでに数件起きていた。

しかし、延岡大貫訴訟は、マイクロ波による人体影響が世界的な共通認識になり始め、実際に被害が多発し始めた時期に起こされたのである。ちなみに2011年5月、WHO傘下の国際癌研究機関は、マイクロ波に発癌性がある可能性を認定している。

それだけに裁判は注目を集めた。NHKを除く多くのメディアが、新聞は地方版で、テレビはローカル放送で裁判の進行を報じてきた。本来は全国紙で報じなければならない大問題であるが、現場の記者の努力により、かろうじて地元では報じられてきたのである。

宮崎地裁延岡支部の太田敦司裁判長は、判決の中でKDDI基地局の周辺に住む人々の間に、耳鳴り、頭痛、不眠、鼻血などの症状が現れた事実を認定した。と、なれば当然、KDDIに対して操業の中止を命じる判決を下すのが道理である。

が、無線通信網の整備という利権がらみの国策が介在すると、そうはならなかった。住民たちが訴える種々の症状は、「ノセボ効果」が引き起こしたものであると認定したのだ。「ノセボ効果」とは、端的に言えば、「思い込み」のことである。地裁の太田氏は、判決の中で次のように述べている。

原告らその他の住民の中には、反対運動などを通じて電磁波の危険性についていの情報を得たことにより、電磁波の健康被害の不安を意識したことや、被告の対応に対して憤りを感じたことなどにより、もともとあった何らかの持病に基づく症状を明確に意識するようになったり、症状に関する意識が主観的に増幅されていき、重くとらえるようになった者がいる可能性がある。

太田氏がどの程度、「ノセボ効果」について理解しているのかは不明だが、少なくとも健康被害と「ノセボ効果」の因果関係を司法認定するのであれば、両者を論理的に関連づけなければならない。たとえば住民の間で見られる鼻血と「ノセボ効果」の関係である。医学的な論考が難しければ、鼻血と「ノセボ効果」の関係を示す疫学調査の事例を判決の中で提示すべきだろう。

が、判決を読む限りでは、そのような考察はどこにも見られない。こうした基本的な点を無視しているために、判決文は論理が極端に飛躍している印象をまぬがれない。結論先にありきの判決なのだ。

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2014年09月18日 (木曜日)

携帯基地局から200メートル以内、発癌リスクが極めて高い、ブラジルの調査でも判明、日本では秘密保護法の施行で情報ブロックも

ブラジルのベロオリゾンテ市は、ブラジル南東部、標高約 800 メートルに建設された計画都市である。人口は約240万人。

この市をモデルとして携帯電話の通信に使われるマイクロ波と癌の関係を調べる調査が行われたことがある。結果が公表されたのは、2011年5月。おりしもWHO傘下のIARC(国際がん研究機関)が、マイクロ波に発癌性(遺伝子毒性)がある可能性を認定した時期である。

調査は役所が保管している携帯基地局の位置を示すデータ、市当局が管理している癌による死亡データ、それに国勢調査のデータを横断的に解析したものである。対象データは、1996年から2006年のもの(一部に欠落がある)である。

結論を先に言えば、基地局から半径500メートルの円周内で、癌のリスクが高くなることが分かった。1万人あたりの癌による死亡数と、基地局からの距離は、次のようになっている。明らかな相関関係が浮上する。

距離 100mまで:43.42人
距離 200 mまで:40.22 人
距離 300 mまで:37.12 人
距離 400 mまで:35.80 人
距離 500 mまで:34.76 人
距離 600 mまで:33.83 人
距離 700 mまで:33.80 人
距離 800 mまで:33.49 人
距離 900 mまで:33.21人
距離 1000mまで: 32.78人
全市        :32.12 人

検証対象のエリアに複数の基地局がある場合は、最初に設置された基地局からの距離を採用した。そのために汚染源の基地局を厳密に特定できない弱点はあるが、大まかな傾向を把握していることはほぼ間違いない。

基地局から200メートル以内は極めて危険性が高い。

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2014年09月16日 (火曜日)

世界の科学者が高周波電磁波をめぐるカナダ保健省の方針を批判する声明、ガン増加、異常精子、学習・記憶障害などを指摘

携帯電話の通信などで使われる高周波電磁波の安全性についての研究に携わっている世界の科学者らが、カナダ保健省が定めている「安全コード6指針」に苦言を呈する声明を、今年の7月9日に、発表していたことが分かった。声明のタイトルは、「科学者は高周波数の放射曝露からの防護を求めます」。声明はカナダ保健省のずさんな方針を批判する内容となっている。

声明の内容は、そのまま日本にもあてはまる。

◇愚民政策と電磁波問題

携帯電話やスマートフォンの普及により高周波電磁波に被曝する機会が増えている。ところが電磁波が人体に及ぼす影響については、ほとんど認識されていない。そのために膝の上に抱きかかえた乳幼児の頭上で、スマートフォンを操作している女性の姿をみかけることも少なくない。

電磁波のリスクが常識として定着しない背景には、次のような事情が考え得る。

電話会社や電力会社の大口広告主になっている新聞とテレビが、電磁波問題をほとんど報じないこと。

無線通信網の整備が国策となっている関係で、国や地方自治体が電磁波の危険性を知らせる活動をしないこと。むしろ人体影響はないと「宣伝」している。

「②」の背景には、巨額の政治献金が電話会社の労組から政界へ流れている事情がある。また、電話会社などへの天下りの事実もある。

国民の側に、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の感覚があること。

電磁波が視覚できない上に、被曝の影響がただちに現れることが少ないこと。

ここにあげた①から⑤は、「愚民政策」の結果である。

7月に発表された科学者の声明は、高周波電磁波の被曝と疾患の関係について、次のように指摘している。

疫学研究によつて、このRF曝露と、ガン、神経疾患、ホルモン変化、電気的過敏症(electrical hypersensitivity EHS)その他の症候とのあいだに、関連があることが示されてゐます。研究室における研究でも、ガン増加、異常精子、学習・記憶障害、および心臓の不規則疾患があきらかにされてゐます。

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2014年08月27日 (水曜日)

小学校周辺における携帯基地局設置の状況、4局設置の例も、埼玉県朝霞市を対象に調査

若い女性が電車に揺られながら、膝の上に抱きかかえた幼児の頭の上でスマートフォンを操作している。慌ただしい指の動き。「熟練工」なみの指使いである。

こうしてマイクロ波を浴び続けた幼児の脳が、あるいは女性の指が、これから5年後、10年後、あるいは20年後にどのような影響を受けるのかは、まだ、よく分かってない。海外ではマイクロ波の危険性を指摘する見解が年々増えているが、日本にあまり情報が入ってこない。

マスコミによって、ほとんどが遮断されているからだ。

フランス政府は法律で、幼稚園、小学校、中学校で携帯電話を使用することや、14歳以下の子供を対象に携帯電話を広告宣伝することを禁止している。

また、イギリス政府は、16歳以下の子供の携帯電話使用を控えるように勧告を出している。8歳以下の子供については、使用禁止を勧告している。マイクロ波は、特に年少者に危険という常識が定着しているからだ。

ところが日本では規制がないどころか、学校や児童施設の近くに当たり前のように基地局が立ってる。子供のために設置したわけではないが、マイクロ波に配慮しない日本の風潮が露呈している。

わたしは、自分が在住する埼玉県朝霞市をモデルに、小学校の近隣にどの程度、基地局が設置されているかを調べてみた。

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2014年07月08日 (火曜日)

国策としての携帯電話ビジネス優遇の裏舞台で天下りと政治献金、田島要議員へは800万円

天下りや政治献金の問題を考えるときには、政治家や官僚になにを期待して金銭提供や再就職のあっせんが行われたのかを推論しなければならない。MEDIA KOKUSYOでも繰り返し報じてきたように、電話会社の労組から政界への献金が行われたり、官僚たちが電話会社に天下っている客観的な事実がある。その実態については、後述するとして、まず、電話会社が特別に恩恵を受けている国策を明らかにしておこう。

携帯電話の基地局を設置する電話会社の事業を国が支援している実態は意外に知られていない。たとえば総務省は携帯電話などの通信網を整備する事業に対して、補助金を支給している。これについて、総務省のウエブサイトは、次のように説明している。

地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において、市町村が携帯電話等の基地局施設(鉄塔、無線設備等)を整備する場合や、無線通信事業者が基地局の開設に必要な伝送路施設(光ファイバ等)を整備する場合に、当該基地局施設や伝送路の整備費用に対して補助金を交付する。

この事業に割り当てられた経費(一般会計)は、2011年度が58億円で、2012年度が47億1400万円である。補助金を受けて設置された基地局の数は、2009年から2011年の間で、1105局にも及ぶ。

■裏付け資料①PDF

■裏付け資料②PDF

その一方で携帯基地局から発せられるマイクロ波の人体影響は、ほとんど顧みられることがない。それは日本の電波防護指針を外国と比較してみるとはっきりと分かる。

日本の基準:1000μW/c㎡

EUの提言値:0.1μW/c㎡

ザルツブルグ市の目標値:0.0001μW/c㎡

日本の基準はEUの10万倍のあまさである。実質的には規制になっていない。   日本の場合、この基準を守っている限りは、自由に基地局を設置しても違法行為にはならない。住民が撤去を求めて提訴しても敗訴に終わる。これは電話会社にとっては、大変なメリットである。

ちなみにWHOは、2011年5月に、携帯電話の通信に使われるマイクロ波に発癌性がある可能性を認定している。通常であれば、認定された段階で、安全基準を全面的に見直さなければならないが、総務省はまったく手を付けていない。国がしっかりと電話会社の権益を守っているのだ。

その他、電話会社が受けるメリットは、公共事業の発注がある。詳細については、日を改めて報告したい。

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2014年05月22日 (木曜日)

携帯基地局のアンテナ1本につき6万円の賃料、基地局設置をめぐる交渉場面の録音を公開

電話会社が携帯電話の基地局を設置するための場所を提供する者を地権者という。都市部の場合、地権者の大半はビルのオーナーである。通常は屋上に基地局を設置する契約を電話会社と交わして、賃貸料を徴収する。

その賃貸料の相場はほとんど知られていないが、このほどそれを推察するヒントになる情報(録音)を入手した。電話会社の社名と、録音場所を明かさないことを条件に、情報提供者から会話を公表する承諾を得た。

結論を先に言えば、基地局のアンテナ1本に対して6万円/月。ポールにアンテナ3本を取り付けると18万円になる。近隣住民にマイクロ波による健康被害を及ぼし、それが司法認定された場合、ひとりあたり少なくとも5000万円ぐらいの賠償金を請求されるリスクを考えると、決して高いとはいえない。

会話は次の通りである。

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2014年05月19日 (月曜日)

NTTドコモとソフトバンクが住居から20メートルの低層・至近距離に携帯基地局を設置――緊急対策としての電磁波遮断法とは

新聞・テレビは巨大広告主を恐れてほとんど報じないが、生活防衛を図る住民の間では既知の事実となっている基地局の健康被害。住居のすぐそばに携帯基地局が設置され、住民との間でトラブルになるケースが目立ってきた。

今年1月、東京・調布市でソフトバンクが三階建て低層マンションの屋上に基地局を設置したところ、道路を挟んだマンションに住む住民らが怒りの声を上げた。基地局と住居の距離は最短で約20メートルと目と鼻の先だ。東京・練馬区でも昨夏、NTTドコモがやはり三階建て低層マンションの屋上に基地局を設置し、住民が反発している。

背景には、大容量化・高速化など通信の質を高めて競争を勝ち抜きたい電話会社の思惑と政治・行政の不作為があるが、電磁波から逃れるために自宅を奪われかねず、資産価格が下落するリスクもある。最新の状況に加え、緊急対策として電磁波を遮るノウハウを、筆者が実践しているものも含め3つ紹介する。

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【Digest】?

◇寝室の窓外に基地局が?

◇電磁波でアルツハイマーのリスクも?

◇強引な基地局の設置

◇背景に電話会社の市場競走?

◇深刻な不動産価値の低下?

◇マイクロ波を遮断する方法?

◇NTTドコモとソフトバンクの見解

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ポールに取り付けられた3個の円筒形の物体。アンテナというよりも、牙をむきだした灰色のロボットに近い。そのロボットが直立不動の姿勢で視線を一点に据え、部屋の中をじっと覗き込んでいるような印象があった。

なによりも異様なのは、アンテナの高さと視線が並行な位置関係にあることである。基地局はこれまでの取材でたくさん見てきたが、ここまで視線と並行に至近距離なのははじめてである。

「これはひどいですね。こんなケースは見たことがありません」

わたしは居間のガラス戸を開けて、設置されたばかりのソフトバンクの携帯基地局を見つめた。距離は、約20メートル。幅の狭い道路を隔てた向かいにある3階建て賃貸マンション『コーポ静』の屋上に取り付けられている。

基地局の設置が始まったのは今年2014年1月15日。そして、暗がりの中でも作業が続き、28日に現在の姿になった。・・・・・・【続きは、MyNewsJapan】

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2014年04月11日 (金曜日)

同じ脈絡の携帯基地局問題と原発問題、チェルノブイリの被害報告から察する電磁波の影響

原発には反対だが、携帯電話の基地局設置には反対しないという人が少なからずいる。その典型的な人物は、ソフトバンクの孫正義氏である。孫氏は「3・11」のあと、はやばやと原発に見切りをつけて、それを代用する新しいエネルギーの開発へ、第一歩を踏み出した。

しかし、「原発には反対だが、携帯電話の基地局設置には反対しない」という孫氏の立場は、電磁波による人体影響という観点からすると論理が破綻している。携帯基地局が発生源となるマイクロ波も、原発が発生源となるガンマ線も、同じ電磁波(放射線)の仲間である。前者のエネルギーが低く、後者のエネルギーが高いという違いはあっても、電磁波による人体影響という観点からすれば、いずれも電磁波問題である。

その電磁波が誘発する人体影響として、とかく癌がクローズアップされる傾向があるが、癌は数ある病変のひとつに過ぎない。電磁波によりどのような人体影響が現れるのかは、チェルノブイリの原発事故の後に報告されている被曝者の体調変化が参考になる。

 『チェルノブイリ被害の全貌』(アレクセイ・V・ヤブロコフ他 岩波書店)には、原発事故の後、確認されているがん以外の疾患につて次のように要約している。

(略)脳の損傷がリクビダートル(事故処理作業員)や汚染地域の住民とその子どもたちなど、放射線に直接さらされた人びとに見られた。若年性白内障、歯と口の異常、血液、リンパ、心臓、肺、消化器、泌尿器、骨および皮膚の疾患によって、人々は老若を問わず苦しめられ、健康を損なわれている。内分泌系の機能障害、とりわけ甲状腺疾患の広がりは予想をはるかに超え、甲状腺がんが1例あれば甲状腺の機能障害は約1000例あるというほど、大惨事後に著しく増加している。

? 遺伝的損傷と先天性異常が、特にリクビダートルの子どもや、放射性同位体によって高濃度に汚染された地域で生まれた子どもに認められる。免疫異常と、ウィルス、細菌、および寄生虫による疾患が、重度汚染地域に蔓延している。チェルノブイリ事故によって放出された放射線に被曝した人びとの総罹患率は、20年以上にわたり依然として高い。???

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2014年04月10日 (木曜日)

携帯電話の電磁波問題で何が危険視されているのか?欧州と日本の見解の違いとは

携帯電話やスマートフォンの普及が進むにつれて、携帯電話の基地局が増えている。会社から帰宅すると、自宅の隣ビルに携帯基地局が立っていたといった話があとを絶たない。笑うに笑えないブラックユーモアである。

それに伴いMEDIA KOKUSYOにも携帯電話の電磁波(マイクロ波)とは何かという問い合わせが寄せられようになった。

電磁波とは、ごく簡単に言えば電波のことである。その電波とは、電気を空間に飛ばしたものである。電波はアンテナから発せられて、アンテナで受信される。アンテナがなければ、利用価値はない。

固定電話では、ケーブルを通じて情報が送られてくるが、携帯電話では、電波を通じて情報が送られてくる。

ちなみに電磁波の「電」とは、電気のことで、「磁」とは磁気を意味する。「波」は文字通り波。つまり電磁波とは、磁気を帯びている電波の性質をより正確に定義したものである。それゆえに単純に電磁波=電波と考えても、許容範囲といえる。

しかし、電磁波の存在はなかなか認識するのがむずかしい。肉眼で知覚することができないからだ。色もなければ、音も匂いもない。ビルの屋上から街を見下ろして、目の前の空間を電波が飛び交っているイメージを描くひとは、ほとんどいない。

これに対して、たとえば風は目には見えないが、街路樹が揺れたり、桜が花吹雪となって散る光景をまえにすると、風が客観的存在であることを認識できる。

が、認識の壁が、客観的存在を否定することにはならない。マイクロ波が携帯基地局と「電話器」の間に介在しなければ、携帯電話で通話できない事実は、情報を運ぶマイクロ波が客観的存在であることを物語っている。そのマイクロ波を生物、特に人間が被曝した際に現れる負の人体影響が、新世代公害?電磁波問題としてクローズアップされているのだ。

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