2014年10月28日 (火曜日)
視覚障害者にも容赦しないソフトバンク、今年4月から多摩市で携帯基地局の設置をめぐるトラブル
巨大ビジネスを展開するソフトバンクが、住民との間で次々とトラブルを起こしている。今年になってわたしが把握したものだけでも、3件。そのうちのひとつ、東京都多摩市のケースを紹介しよう。人権問題の側面が顕著に現れている。
◇携帯基地局と癌のリスク
初老にさしかかったころ両眼の視力を失った吉田綾子(仮名)さんは、今年の春から電磁波問題に巻き込まれている。吉田さんの自宅は、屋上に携帯基地局が設置された低層マンションの真向かいにある。窓を開けると、目と鼻の先に基地局が聳えているが、吉田さんはそれを自分の眼で確かめることができない。
ソフトバンクがこの基地局を設けたのは、半年前の4月だった。今のところ同社は、住民の抗議を受けて基地局を稼働させていないが、稼働が始まると、光が遮断された吉田さんの世界に容赦なくマイクロ波が忍び寄ってくる。
携帯基地局から放射されるマイクロ波による人体影響は、日本ではあまり報じられないが、世界的な問題になっている。二〇一一年にWHOの外郭団体である国際癌研究機関が発がん性の可能性を認定するなど、マイクロ波は健康リスクを高めると考えるのが常識になっている。世界各地で行われてきた疫学調査でも、危険を示す結果が導き出されている。