1. 国策としての携帯電話ビジネス優遇の裏舞台で天下りと政治献金、田島要議員へは800万円

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2014年07月08日 (火曜日)

国策としての携帯電話ビジネス優遇の裏舞台で天下りと政治献金、田島要議員へは800万円

天下りや政治献金の問題を考えるときには、政治家や官僚になにを期待して金銭提供や再就職のあっせんが行われたのかを推論しなければならない。MEDIA KOKUSYOでも繰り返し報じてきたように、電話会社の労組から政界への献金が行われたり、官僚たちが電話会社に天下っている客観的な事実がある。その実態については、後述するとして、まず、電話会社が特別に恩恵を受けている国策を明らかにしておこう。

携帯電話の基地局を設置する電話会社の事業を国が支援している実態は意外に知られていない。たとえば総務省は携帯電話などの通信網を整備する事業に対して、補助金を支給している。これについて、総務省のウエブサイトは、次のように説明している。

地理的に条件不利な地域(過疎地、辺地、離島、半島など)において、市町村が携帯電話等の基地局施設(鉄塔、無線設備等)を整備する場合や、無線通信事業者が基地局の開設に必要な伝送路施設(光ファイバ等)を整備する場合に、当該基地局施設や伝送路の整備費用に対して補助金を交付する。

この事業に割り当てられた経費(一般会計)は、2011年度が58億円で、2012年度が47億1400万円である。補助金を受けて設置された基地局の数は、2009年から2011年の間で、1105局にも及ぶ。

■裏付け資料①PDF

■裏付け資料②PDF

その一方で携帯基地局から発せられるマイクロ波の人体影響は、ほとんど顧みられることがない。それは日本の電波防護指針を外国と比較してみるとはっきりと分かる。

日本の基準:1000μW/c㎡

EUの提言値:0.1μW/c㎡

ザルツブルグ市の目標値:0.0001μW/c㎡

日本の基準はEUの10万倍のあまさである。実質的には規制になっていない。   日本の場合、この基準を守っている限りは、自由に基地局を設置しても違法行為にはならない。住民が撤去を求めて提訴しても敗訴に終わる。これは電話会社にとっては、大変なメリットである。

ちなみにWHOは、2011年5月に、携帯電話の通信に使われるマイクロ波に発癌性がある可能性を認定している。通常であれば、認定された段階で、安全基準を全面的に見直さなければならないが、総務省はまったく手を付けていない。国がしっかりと電話会社の権益を守っているのだ。

その他、電話会社が受けるメリットは、公共事業の発注がある。詳細については、日を改めて報告したい。

◇政治献金 ーたじま要議員へ800万円

一方、政治家や官僚は、携帯電話ビジネスを優遇する国策に対して、電話会社やその関係者から、どのような「見返り」を受けているのだろうか。次に示すのは、2012年度に、NTTグループ労組の政治団体「アピール21」から流れた献金を自主申告した政治資金収支報告書の記録である。

セミナー料など①:10、768、889円

セミナー料など②:15、512、051円

推薦料    10、800,000円

寄附      : 2、795、350円

 合計      :39,876,290円

大口献金を受けた著名な政治家は、次の通りである。

菅直人   :300万円

横路孝弘   :300万円

石橋みちひろ:300万円

吉川さおり :300万円

たじま要  :800万円

■出典:政治資金収支報告書

電話会社などが受け受け取る年間約50億円の補助金と、電話会社の労組が支出する約4000万円の政治献金を秤にかけると、どちらの側がメリットを得ているかは一目瞭然である。約4000万円は、NTT労組(アピール21)の支出とはいえ、それにより業界全体が恩恵を受けているのだ。

◇NTTグループへの天下りのリスト

天下りの実態については、ソフトバンクが公開したデータと、『週刊現代』が暴露したデータがある。このうちソフトバンクのデータは、わたしの友人が偶然に見つけたものである。

■出典:(87ページ)PDF   

貝沼孝二(政策統括官) NTTコム監査役

野欣司(郵政大学校長) NTTドコモ監査役

高橋幸男(郵政省郵務局長) NTT 常勤監査役

杉山栄亮(通信政策局情報管理課長) NTTドコモ取締役

西井烈(簡易保険局長) NTTデータ取締役副社長

小野沢知之(放送行政局長) NTTドコモ代表取締役副社長

村瀬龍児(郵政大学校長) NTTドコモ代表取締役副社長

舘野忠男(関東電気通信監理局長) NTT都市開発常勤監査役

志村伸彦(東海郵政監察局長) NTTドコモ東北代表取締役社長

白井太(事務次官) NTTデータフロンティア会長

磯井正義(関東電気通信監理局長) NTTデータ常務取締役

高木繁俊(前郵政省簡易保険局長) NTTデータ代表取締役副社長

松野春樹(事務次官) NTT 代表取締役副社長

松本利太郎(郵政大学校校長兼中央郵政研修所所長)NTTデータ監査役

加藤豊太郎(郵務局長) NTTドコモ代表取締役副社長

結城淳一(大臣官房首席監察官) NTT西日本代表取締役副社長

阿部邦人(局長)NTTドコモ取締役

中野礼一(郵政省東京郵政局長) NTT都市開発常勤監査役

寺西英機(局長) NTTデータ副社長執行役員

有村正意(通信政策局長) NTTドコモ関西代表取締役社長

品川萬里(郵政審議官)NTTデータ代表取締役副社長

井上陽二郎(東海郵政局長) NTTドコモ取締役

中西冨美夫(東京簡易保険事務センター所長) NTTドコモ取締役DIG推進室長

中山治英(東京郵政局長) NTTドコモ中国代表取締役社長

柳衛寛重(大臣官房首席監察官) NTTデータ取締役

栗谷川和夫(局長) NTT東日本監査役

田中征治(技術総括審議官) NTTドコモ取締役

足立盛二郎(郵政事業庁長官) NTTドコモ代表取締役副社長

金澤薫(総務事務次官) NTT 代表取締役副社長

新保智(郵政公社郵政総合研究所長) NTTデータ常勤監査役

関口純一(総務省郵政研究所次長)NTT東日本監査役

庄司一郎(簡易保険事業本部副本部長) NTT東日本取締役

蝶野光(東海総合通信局長) NTT東日本監査役

松井浩(総務審議官)NTTドコモ代表取締役副社長

須田和博(郵政行政局長) NTTデータ常務執行役員内部監査担当

◇業界団体への天下り

『週刊現代』(2009年4月18日)が暴露した業界団体への天下りリスト。

(社)デジタル放送推進協会

(社)電波産業界

(社)デジタルラジオ推進協会

(社)日本民間放送連盟

(社)日本CATV技術協会

(社)電気通信事業者協会

(社)日本ケーブルテレビ連盟

(社)情報通信技術委員会

(社)移動通信基盤委員会

(社)衛星放送協会

(財)マルチメディア振興センター

(財)テレコムエンジニアリングセンター

(財)海外通信・放送コンサルティング協力

(財)テレコム先端技術支援センター

(財)日本データ通信協会

(財)日本無線協会

(財)放送セキュリティセンター

(財)電波技術協会

(財)移動無線センター

(財)全国地域情報化推進協会

(財)東京ケーブルビジョン