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千葉県流山市で広報紙の大幅な水増し、約3万7000の新聞発行部数に対して約5万5000部を供給

千葉県流山市が発行する『広報ながれやま』が大幅に水増しされていることが分かった。同市の市議からの情報提供に基づいて、筆者が調査したところ、新聞の発行部数が全市で36、836部(2020年4月時点)しかないのに、新聞販売店には55,238部の『広報ながれやま』が搬入されていることが分かった。約2万部が水増し状態になっている。

かりに販売店に残紙があれば、水増し部数はさらに増える。「押し紙」が1部たりとも存在しなくても、大幅な水増し状態になっている。ただ、同市によると販売店がポスティングしている部数が約2000部ある。それを差し置いても、大幅な水増しになっている。

新聞販売店に『広報ながれやま』を卸しているのは、京葉広告社である。

同社によると、折込定数(販売店に卸す部数)は、個々の新聞販売店からの申告に基づいて決めているという。つまりもし水増しがあれば、その責任は販売店にあるとする立場である。新聞販売店サイドの言い分は、現時点では分からない。

以下、重要部数の裏付けである。

■流山市のABC部数
『新聞発行社レポート』によると、流山市の全紙の部数は36、836部である。

■流山市が京葉広告社に発注した部数、55,238部の根拠

流山市の広報担当者への電話取材と議員に対する取材で、筆者はこの数字を得た。

※千葉県には千葉日報という地方紙がある。千葉日報の部数は、『新聞発行社レポート』では公開されていない。しかし、千葉日報社に問い合わせたところ、同市の折込定数(各販売店へ卸す折込媒体の部数)は、朝日、読売、毎日、日経、産経、東京の6紙の折込定数に含まれていて、千葉日報を含む流山市全域の折込定数は35,800(6月時点)との説明があった。

 

参考記事

【調査報告】豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い

 

■「押し紙」と「折り込み詐欺」に関する記事

http://www.kokusyo.jp/oshigami/

2020年12月01日 (火曜日)

【臨時ニュース】東京地裁が元店主の請求を棄却、産経新聞「押し紙」裁判

【臨時ニュース】産経新聞「押し紙」で東京地裁は、12月1日、原告の請求を棄却する判決を下した。詳細については、後日報告する。

筆者個人の感想を言えば大きな敗因のひとつは、訴訟をジャーナリズムの土俵に乗せ切れなかったことである。メディア企業を被告とする権力構造の崩壊につながりかねない裁判では、報道により世論を動かさなくては勝ち目がないことがはっきりした。今回、それを痛感した。

原告の主張に一貫した論理と正義があるかどうか以前の問題として、筆者が楽観視していたために報道が消極的になった。今後、「押し紙」報道を強化していきたい。

2020年11月30日 (月曜日)

明日、12月1日に産経新聞「押し紙」裁判の判決、2つの注目点

東京地裁は、明日(12月1日)に、産経新聞を被告とする「押し紙」裁判の判決を言い渡す。判決の日時、場所は次の通りである。

日時:12月1日 13:10分

場所:東京地裁806号法廷

メディア黒書は、判決結果を夕方に速報する。

この裁判には次の2つの注目的がある。

【1】中央紙に対して初めて「押し紙」を認定する判決が下されるかどうか。

※)販売店の地位保全裁判の中では、すでに2007年に福岡高裁が、読売新聞の「押し紙」を認定した例がある。

【2】販売店が敗訴した場合、判決に政治的配慮がなされた可能性がないかどうか。

この裁判所では、裁判所が産経に対して繰り返し和解を提案した。解決金の額も提示していた。これは裁判所が産経を敗訴させる判決を下す方針を持っていることを意味する。裁判所が、産経ではなく、原告を敗訴させる方針であれば、産経に対して和解金の支払いを提案するはずがないからだ。

ところがこの裁判では、結審の直前になって、最高裁事務総局が3人の裁判官のうち2人を交代させた。結審の直前に、あるいは結審の後に裁判官が交代させられた場合、新しい裁判官が判決の方向性をがらりと変えることがままある。

外圧に屈して裁判所が政治判断を行う場合に、最高裁事務総局はこのような人事異動を行う。滋賀医科大が癌患者らをモルモットにしようとした事件の判決が、その典型である可能性が高い。この裁判の判決には、審理のプロセスと判決内容に、整合性のない箇所が数多く見受けられる。

裁判というものは、一見すると公平にみえるが、それは建前であって、裁判所は基本的には国策に反しない方向性の判断を下す。これは資本主義の国の裁判所であろうが、社会主義の国の裁判所であろうが変わりがない。

裁判所も、メディアと同様に権力構造の一部に組み込まれているのである。

2020年11月29日 (日曜日)

読売は年間で59万部減、朝日は42万部減、2020年10月度のABC部数、「押し紙」についての公取委の見解を紹介、

最新のABC部数(2020年10月度)が明らかになった。それによると前年同月に比べて、朝日新聞は約42万部の減部数、毎日新聞は約26万部の減部数、読売新聞は約59万部の減部数となった。中央紙5紙の前年同月差は、総計で約163万部の減部数となった。

インターネットでニュースを視聴する層と新聞でニュースを読む層の乖離は、ほぼ完了している可能性が高く、ここ数年のABC部数の減部数分は、新聞社と販売店が残紙を排除した結果とみるのが妥当だ。実配部数も減っているが、それよりも政策的に残紙を減らしたことが大幅な部数減につながった可能性高い。

その背景に、「押し紙」を含む新聞の搬入部数に対してセットされる折込広告の需要が落ち込んで、「押し紙」で販売店が被る損害を相殺できなくなっている事情がある。新聞販売網を維持するために、新聞社は残紙を減らさざるをえない事態に追い込まれている。

10月度の部数内訳は次の通りである。

朝日新聞:4,957,117(−422,523)
毎日新聞:2,059,079(−258,443)
読売新聞:7,339,376(−594,220)
日経新聞:2,069,566(−222,552)
産経新聞:1,231,163(−131,847)

【公正取引委員会の見解】

筆者は11月26日、公正取引委員会に対して、広義の「押し紙」についての見解を尋ねた。インタビューの中で公正取引委員会の見解が明らかになった。佐賀新聞社の「押し紙」裁判の判決で認定された同社の独禁法違反についての見解も明らかになった。

2020年11月28日 (土曜日)

楽天の基地局設置をめぐるトラブル相談が急増

 

楽天による基地局設置をめぐって、「電磁波からいのちを守る全国ネット」への相談が急増している。この1週間だけで新規相談が3件あった。

通信基地局が一旦設置されると、基地局周辺に住む住民は、半永久的にマイクロ波に被曝することになる。マンションの最上階に基地局が設置された場合、天井を隔てた基地局直下の住民は、低周波の影響も受けることにもなりかねない。

将来的には、基地局の電磁波の影響が及ぶところでは、物件価値そのものが暴落するリスクもある。新規に住宅を購入した後に基地局が設置された場合は、「一生に1度の買い物が」台無しになる。

楽天をはじめとする電話会社は、総務省の電波防護指針(規制値)を守って操業するから健康被害は発生しないというスタンスを取っているが、総務省の規制値そのものが、電磁波の厳しい規制を望まない産業界の意向を受けて策定されているので、危険性が払拭できない。

次に示すのが電波防護指針の比較である。

日本:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)

カナダ:900 μW/c㎡

パリ:6・6 μW/c㎡

欧州評議会:0.1μW/c㎡、(勧告値)

なお、5Gで使われるミリ波についての安全性の研究はまだ途上の段階だが、これまでの電磁波研究の成果から察して、人体に影響がある可能性が極めて高い。多くの専門家が警鐘を鳴らしている。従って「予防原則」を重視し、基地局を設置させないことが肝心だ。電話会社に自己のビジネスを優先させてはいけない。

 

【参考記事】楽天モバイル基地局、マンション住戸の真上に新規設置で住民が反対…健康への影響を懸念(ビジネスジャーナル)

【情報提供の窓口】 048-464-1413

2020年11月27日 (金曜日)

公正取引委員会を電話取材、「押し紙」問題を調査しない理由は?、「日本経済新聞の販売店主が本社ビル内で自殺した事件を知っているか?」、ユーチューブで音声を公開

公正取引委員会を電話取材した。先方の担当者がわたしに対して、折り返しの確認電話で、身元を調べた上で実施した取材なので、公正取引委員会の公式見解といえる。主要な質問は、次の通りである(ユーチューブの拡散は自由。音声と内容の加工は禁止。)

公取委の命令系統はどうなっているのか?

公取委が「押し紙」問題に対処しない理由はなにか?

公取委は、過去に「押し紙」の調査をしたことがあるか?

日本経済新聞の販売店主が本社ビル内で自殺した事件を知っているか?

残紙が大問題になっているのを把握しているか?

なぜ、「押し紙」の調査をしないのか?

販売店サイドに、公取委についての不信感が広がっているのを知っているか?

佐賀新聞「押し紙」裁判の判決を知っているか?

新聞の「学割」(割引販売)についての見解を教えてほしい。新聞特殊指定に違反しているのではないか?

東京12区における広報紙の水増し問題は公取委の管轄か?

新潟日報の新聞の「学割」問題、新潟日報と公取委の見解、「新聞特殊指定に抵触しない」、新聞協会は見解を回避、再販制度は実質的に崩壊②

新潟日報が実施している学生を対象とした新聞の割引販売は、独禁法の新聞特殊指定に違反しているのか?この問題について、新潟日報、日本新聞協会、公正取引委員会の見解を得たので紹介する。

◆◆
25日付けのメディア黒書では、わたしは自分の見解を表明した。明らかに新聞特殊指定に違反しているというのがわたしの見解だ。念のために新聞特殊指定の該当箇所を引用しておこう。

1 日刊新聞(以下「新聞」という。)の発行を業とする者(以下「発行業者」という。)が、直接であると間接であるとを問わず、地域又は相手方により、異なる定価を付し、又は定価を割り引いて新聞を販売すること。ただし、学校教育教材用であること、大量一括購読者向けであることその他正当かつ合理的な理由をもってするこれらの行為については、この限りでない。

なお、25日付け記事に誤りがあったので訂正した。「学割」のチラシに、「ご家族さまの口座・クレジットカードでのお支払いもOKです」という記述があったので、筆者は、家庭内に学生がいれば、「学割」の対象になると記述したが、これは誤りだった。「学割」は一人暮らしの学生に限定されている。

◆◆
【新潟日報の見解の要旨】特殊指定のなかに、例外的に新聞の定価販売の対象外になる項目として、「その他正当かつ合理的な理由をもってする」割引販売は認められる旨が記されており、「学割」はこの類型に属すると判断した。「学割」は新潟日報以外の社も実施している。「押し紙」については、知らない。

【新聞協会の見解の要旨】 新聞特殊指定は公正取引委員会の管轄なので、日本新聞協会は関知しない。(事実上の取材拒否である)

【公正取引委員会の見解の要旨】「学割」については公正取引委員会も把握している。それが独禁法に抵触しているとは考えていない。

 

特殊指定にある 「他正当かつ合理的な理由」という箇所を根拠にすれば、新聞の値引き販売は認められていることになる。再販制度は、実質的に崩壊している。
公正取引委員会に対する電話取材では、「学割」だけではなく、「押し紙」問題や、佐賀新聞「押し紙」裁判についても質問したので、27日(金曜日)付けのメディア黒書で公開(ユーチューブ)します。

新潟日報が公然と新聞の割引販売、購読料3400円が2000円に、独禁法の新聞特殊指定に抵触の可能性①

新潟日報が独禁法の新聞特殊指定で禁止されている新聞の割引販売を公然と行っていることが判明した。購読料3400円の「朝刊単体」を2000円に、4300円の「朝夕刊のセット版」を2500円に割り引きする「学割」制度を導入して、運用している。

しかし、新聞特殊指定は、次のように新聞の割引販売を厳密に禁止している。

  1 日刊新聞(以下「新聞」という。)の発行を業とする者(以下「発行業者」という。)が、直接であると間接であるとを問わず、地域又は相手方により、異なる定価を付し、又は定価を割り引いて新聞を販売すること。ただし、学校教育教材用であること、大量一括購読者向けであることその他正当かつ合理的な理由をもってするこれらの行為については、この限りでない。

◆◆
上の写真は、新潟日報が割引販売を目的に制作した宣伝チラシである。

ちなみに新聞特殊指定によると、例外的に割引販売を認めるケースとしては、学校の授業で教材として新聞を使う場合の一括購入である。さらに、「その他正当かつ合理的な理由」があれば、割引販売は認められる。しかし、新潟日報のケースでは、何が合理的な理由なのか分からない。

同社の事業部に「学割」の根拠を問い合わせてみたが、25日午前の時点で回答はない。

◆◆
新聞関係者に限って違法行為が免責されてきた行為の典型としては、「押し紙」と折込広告の水増しがある。公正取引委員会と司法関係者は、これらの違法行為を少なくとも40年以上にわたって放置してきた。新聞の割引販売も昔から問題になってきたが、割引販売を公然と告知するチラシの存在が判明したのは今回が初めてである。

今後、公正取引委員会の動きを注視する必要がある。

【新潟日報、新聞協会、公取委の見解は、続報する】

2020年11月23日 (月曜日)

「押し紙」にメスが入らない理由、権力構造の歯車としての新聞・テレビ

「押し紙」問題の取材をはじめて23年。しかし、取材歴が長いことを逆説的にみると、23年も告発を続けて、ほとんど何の成果も得られていないことは大問題だ。新聞関係者は、「押し紙」を指摘されようが、折込チラシを水増しを指摘されようが、違法な新聞販売を指摘されようが、外国籍の配達員を酷使しようが、なんのお咎めも受けない。

佐賀地裁の「押し紙」裁判で、裁判所が「押し紙」政策を認定しても、新聞業界は相変わらず「押し紙」を続けている。この厚顔ぶりには恐れいる。こうした状況が延々と続いている背景に、新聞社・テレビ局が権力構造の歯車に組み込まれている事情がある。

リベラルをよそいながら世論誘導により、現在の権力構造を維持する「役割」を果たしているのだ。この実態にメスを入れようにも、学者や評論家は、自己PRの巨大媒体を失いたくないので絶対に動かない。唯一の例外として、評論家による新聞紙面の批判があるが、こんなものに彼らは何の痛痒も感じていない。「見解の相違」で逃げられるからだ。

わたしは、新聞・テレビが健全な社会進歩を著しく妨害していると思う。公権力もマスコミの利用価値が分かっているから、本気でメスを入れない。新聞が適度な権力批判を行っても、結局は、「ガス抜き」の役割を果たしているだけなのだ。麻薬かアヘンと同じ役割を果たしている。諸悪の根源と言っても過言ではない。

これ以上、解決を遅らせないために「押し紙」問題の新戦略を考案する必要あるだろう。妙案があれば、黒薮までお知らせください。

【写真】(左:水増しされた江戸川区の広報紙。右:残紙)

地方自治体が発行する広報紙の水増し、新聞部数をこえる折込部数を提供、各地で発覚

地方自治体が発行する広報紙は、新聞折込、ポスティング、郵送などで住民に配布される。このうち最も多くの自治体が採用している配布方法は、新聞折込とポスティングである。東京23区の場合、16区が新聞折込を採用している。わたしが在住する埼玉県朝霞市はポスティングだ。

広報紙の配布をめぐり、このところ水面下で問題になっているのが、新聞販売店に卸す広報紙の水増し行為である。たとえば配達する新聞部数が1000部の販売店であれば、それに相応した広報紙の折込部数は1000部である。厳密に言えば、これに若干に予備部数が加算される程度だ。

ところが、実際に広告代理店が販売店に卸している折込部数が、新聞部数を遙かに超えている例が、あちこちの自治体で明らかになってきた。

企業が依頼した折込広告の場合は、このところ広告代理店が間に入って、新聞の実配部数に合致するように調整するようになったが、なぜか広報紙に関しては、まったくこの作業を行わない。それどころか、水増しの規模が拡大する傾向があるのだ。折込部数が新聞部数(ABC部数)をはるかに超えるケースすら次々と発覚している。

公式のABC部数に準じて、折込枚数を割り当てるのであれば、水増しされる量は、「押し紙」分だけということになるが、ABC部数を超えているとなれば、水増しの規模が際限なく拡大する。【続きはウエブマガジン】

2020年11月21日 (土曜日)

原告弁護士に責任はないのか?提訴を思いとどまらせるべきだった、横浜副流煙裁判

横浜副流煙裁判で、被告の藤井将登さんの勝訴が確定した。提訴が2017年11月で、高裁判決が20年10月。翌11月に原告が上告を断念して、東京高裁の判決が確定した。裁判の提訴から、終了までがちょうど3年だった。

取材してきたわたしは、裁判の記録作業に入った。事件を想起しながら、わたしは改めて事件の異様さを痛感している。

まず、奇妙なのは、社会通念からして、即座に棄却されてもおかしくない裁判を、裁判所が3年も継続したことである。繰り返し述べてきたように、訴因は将登さんの喫煙である。自宅の密封された音楽室で将登さんが吸った1日に2本か3本の煙草が原因で、隣人が受動喫煙症に罹患(りかん)したとして、将登さんに対して裁判を起こしたのである。準備書面の中で原告は、癌の原因が将登さんの副流煙だという主張も展開した。

提訴の前段、つまり副流煙をめぐる隣人トラブルが浮上した段階で、将登さんの妻・敦子さんは弁護士に相談した。弁護士は、事件の中身があまりにもばかばかしいので、心配しないようにアドバイスした。箸にも棒にも掛からない案件と判断したのである。

実際、裁判所も当初は重大事件という認識が薄かったのか、合議制(裁判官が3人)を採用しなかった。裁判官は1人だけだった。

ところがいざ審理に入ると、作田学医師や宮田幹夫医師ら、著名な人々が原告のために次々と意見書を提出した。それにつれて裁判所の態度も変わった。結審の気配がなくなってしまったのだ。

藤井さんの代理人弁護士は、審理の中で喫煙する権利を重視して、科学論には深入りしようとはしなかった。それはひとつの戦略である。が、それに納得できなかった敦子さんは、弁護士を解任した。そして支援者が知恵を結集して共同で取材し、共同で書面を準備したのである。

◆◆
藤井さん側が、科学論に踏み込んだとたんに、裁判所の体制が変わった。合議制(裁判官が3人)になったのである。しかし、本来は合議制にするような内容ではない。自宅で喫煙することは、法的に認められているからだ。

驚いたことに、控訴審になってからは、作田氏ら医師に交じって、複数の建築士が意見書を提出した。建物の構造から考えて、将登さんの副流煙が、原告宅へ達する可能性があるというのであった。ほとんど言いがかりに近い主張だとわたしは思った。

このように審理のプロセスそのものに不自然な部分があるのだ。わたしは、自宅でも喫煙を禁止する判例を作ろうという原告らの意図を露骨に感じた。そのための判例が欲しかったのでは。

作田医師らは、自宅内での喫煙に対して4500万円のお金を請求することで、日本中の喫煙者に暗黙の警告を発したのではないか。

わたしはそんな疑惑を持った。そのためにフリーランスの将登さんを、「みせしめ」にしたとすれば人権問題である。裁判制度を悪用した行為で、厳重に「処罰」されなければならない。

◆◆
わたしは、原告の代理人を引き受けた山田義雄・山田雄太の両弁護士にも重い責任があると考えている。2人は、原告に提訴を思いとどまるようにアドバイスすべきだった。根拠のない裁判を起こさないようにアドバイスすべきだったのではないか。

『弁護士業務基本規程』の第75条に次のような条文がある。

【75条】弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。

横浜地裁判決は、作田医師による医師法20条違反を認定した。医師法20条は、医師が患者を診断することなく診断書を交付することを禁止している。診断書が証明書の類であるからにほかならない。ところが作田医師は、原告のひとりを診断することなく、診断書を交付したのである。

しかも、この問題の診断書は、提訴の有力な根拠になった。だた、それは医師法20条違反だけではなく、他にも複数の問題を孕んいる。たとえば1通しか存在ないはずの診断書が、2通存在するうえ、病名も部分的に間違えている。おそらくはワードで作成したものである。

さらにこの診断書には、医学上の記述とは別の問題もある。診断書の中で、作田医師は、将登さんが副流煙の発生源であると事実摘示しているのだ。とはいえ、将登さんにそれを確認したわけではない。事件現場を取材したわけでもない。何の根拠もないのに、はっきりと副流煙の発生源は将登さんであると断定しているのである。

山田義雄・山田雄太の両弁護士は、これらの事実を知らなかったのだろうか?

さらに問題なのは、原告のひとりに約25年の喫煙歴があった事実が発覚した後も、山田弁護士親子が裁判を続けた事実である。そのための主張の裏付けとしたのが、作田医師の意見書である。作田医師は、過去の喫煙歴と受動喫煙症は、あまり関係がないとする意見を述べたのだ。

◆◆
異常づくめの横浜副流煙裁判である。不自然極まりない提訴だっただけに、今後、藤井さんと支援者は、厳密に「戦犯」の責任を問うべきだろう。このような裁判が繰り返されることがあってはならない。

 

■「反訴」損害賠償裁判の費用のカンパは、次のURLからお願いします。

【支援カンパ】

5Gの時代、隠されているマイクロ波のリスク、電話会社の常套句、「総務省の基準を守って操業しますから絶対に安全です」

環境問題でいう規制値とは、環境に放出される汚染物の許容範囲を定めた数値である。それは通常、総務省が設定する。無線通信で使うマイクロ波の場合、1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・センチメートル)が、規制値である。

規制値が1000μW/c㎡ と言っても、ほとんどの人は、どの程度の許容範囲なのかをイメージすることができない。結論を先に言えば、この数値では、規制になっていない。

許容範囲の程度をメージ化するためには、他の地域における規制値と比較することが有効だ。

たとえば欧州機構が定めているマイクロ波の規制値(勧告値)は、0.1μW/c㎡ である。近い将来には、この数値を、0.01μW/c㎡ へ引き上げると言われている。

日本の総務省が定めている1000 μW/c㎡と欧州機構が定めている0.1μW/c㎡には、天地の差がある。なぜ、これだけ大きな差があるのか、その理由も明らかになっている。

欧州機構が、マイクロ波には遺伝子毒性があるという説を前提にして規制値を決めたのに対して、日本の総務省は、マイクロ波には、遺伝子毒性がないという説に基づいて規制値を決めたからである。従って、総務省の見解が誤っていれば、日本国民は将来的に計り知れない被害を受ける可能性が高い。癌や神経系の病気が、激増すると予測される。

原発による被害の比ではないだろう。

特に、スマホやタブレットなどのヘビーユーザーの間で、健康被害が広がる可能性が高い。30代、40代での癌発症も珍しくなくなるだろう。

国別にマイクロ波の規制値を比較してみると、日本と米国の規制値が1000 μW/c㎡で、世界一高い。その他の国々も、中国(40μW/c㎡)などの例外を除いて、相対的に高い。900μW/c㎡に設定している国が大多数を占める。

しかし、ここからが肝心な点で、欧州では、国とは別に地方自治体が独自の規制値や勧告値を設けているケースがあることだ。マイクロ波の使用に、一定の厳しい規制をかけているのだ。

その典型は、前出の欧州機構の0.1μW/c㎡である。なぜ、独自の規制値を設けたのか?答えは簡単で、マイクロ波による遺伝子毒性などが、科学者の力で解明されてきたからにほかならない。研究の結果が規制値の強化をもたらしたのである。基地局の撤去を命じる裁判判例も生まれている。ジャーナリズムの働きもあり、マイクロ波にはリスクがあるという認識が生まれているのである。

参考記事:アメリカの国立環境衛生科学研究所のNTP(米国国家毒性プログラム)の最終報告、心臓の腫瘍、マイクロ波と癌の関係は明白と結論

ところが日本の電話会社は、総務省が定めた規制値を上段にかざして、事業を進めている。携帯電話の基地局設置を巡って、住民との間でトラブルが発生すると、電話会社は必ず、「総務省の基準を守っていますから、絶対に安全です」と公言する。

「総務省の基準の50分の1でやります」

と、自慢している社もある。

もちろん、総務省の規制値を守っているから、健康被害が発覚しても責任を取らないという立場である。

メディアも電磁波問題の報道は回避する傾向がある。携帯ビジネスに関係している企業が、彼らの大口広告主である上に、無線通信網の普及が国策になっているからだ。日本のメディアが、国策に著しく反するスタンスで報道することはほとんどない。

◆◆

先日、筆者のもとに基地局設置問題に関して、読者から相談があった。相談者は、基地局設置問題に巻き込まれている方である。電話会社が自分の住むマンションの管理組合に対して、屋上に携帯基地局を設置する計画を打診してきたという。設置場所は天井を隔てた自宅の真上である。

相談の主旨は、電話会社が1000 μW/c㎡を限度内とする電力密度で、基地局を操業した場合に、人的被害が生じるリスクが高いことを
立証できる資料を教えてほしいというものだった。資料そのものは、多数存在するが、電話会社は、総務省が定めた規制値を理由に、まったく聞く耳を持たないだろう、というのがわたしの回答である。

実際、総務省の規制値を守って基地局を操業している限り、住民に健康被害が出ても、責任を取らないというのが電話会社の基本方針である。

◆◆
電磁波問題は、新聞社の「押し紙」問題と同様に、やっかいな問題のひとつである。「押し紙」問題と同様に、メディアはほとんど報道しない。さらに幸か不幸か、健康被害は長い歳月を経て浮上することが多い。癌がその典型例である。

健康被害は、大規模な疫学調査を実施してはじめて判明する。たとえば、次のケースのように。

【参考記事】基地局の周辺ほど癌が多いことを示すブラジルの疫学調査、癌による死亡7191例と基地局の距離の関係を検証 疫学調査①

マイクロ波による人体影響はないと勘違いしている人は少なくない。ほとんどの人がスマホを使っており、しかも、急性の症状が現れることが少ないから、リスクについての認識が希薄になるのだ。

しかし、希望的な観測と客観的な事実は異なる。それを混同するメンタリティーが浸透していることが、大きな問題なのである。危険を知らせるのが、メディアの役割ではないか?

2020年11月18日 (水曜日)

近々に日本禁煙学会・作田理事長を提訴、横浜副流煙裁判の判決確定を受けて藤井さんが「反訴」を表明、「支援する会」がカンパを呼びかけ

横浜副流煙裁判の東京高裁判決が確定した。原告が最高裁に上告しなかったので、裁判は終了し、自動的に藤井将登さんの勝訴が確定した。これを受けて藤井さん夫妻は、「戦後処理」に入る。裁判に深く関与した作田学医師に対して、損害賠償の裁判を起こすことを既に決めており、代理人弁護士も選任した。

わたしを含めて4人の支援者が、藤井さん夫妻を支援する会を立ち上げた。そして裁判費用と活動資金のカンパを呼びかけることになった。メディア黒書の読者には、次の告知を確認した上で協力をお願いします。資金の用途については報告します。

■支援カンパのお願い

◆◆
周知のようにこの裁判は、Aさん一家が同じマンションの下階に住む藤井さん宅から発生する副流煙が原因で、受動喫煙症に罹患(りかん)したとして、藤井将登さんに対して4500万円の現金を払うように求めたものである。

将登さんは喫煙者であるが、喫煙のマナーを守っていた。喫煙量も1日に、2,3本のうえ、喫煙場所も密封状態の音楽室((防音装置の付いた部屋)にほぼ限られていた。ミュジシャンという仕事柄、外出することが多く、副流煙の発生源自体が存在しない時間帯が大半を占めた。

ところがA家の3人は、裁判の中で将登さんの副流煙で、受動喫煙症などになったとする主張を展開したのである。その主張の重要な根拠になったのが、日本禁煙学会の作田学理事長が交付した3通の診断書だった。ところがこのうちの1通、A娘のものは、本人を診察しないまま交付されていた。

これは医師法20条に違反している。横浜地裁は、判決の中でそれを明確に断罪した。東京高裁は、この点には言及しなかったが、判決の脈絡からすると横浜地裁の認定を追認している。

と、なれば将登さんは、民事でも刑事でも作田理事長の責任を問うことができる。

作田医師が理事長を務める日本禁煙学会が定めている受動喫煙症の判断基準は、患者による症状の自己申告と問診を重視している。ところがこのような診断方法は、客観性に欠けていると裁判所は判断した。

◆◆
通常、訴権の濫用で提訴する場合、裁判の被告は、「不当裁判」を起こした元原告になる。しかし、作田医師は、元原告ではない。元原告ではないが、5通の意見書を提出するなど、裁判に深くかかわった事実がある。横浜地裁の判決が下された際には、法廷に姿を現すほどの熱の入れようだった。

診断書の持つ重みは、ただならぬものがある。医療の専門家の見解を示した証明書であるからだ。患者による自己申告と問診を重視して診断したのでは、客観性に欠け、「冤罪」が生まれ可能性がある。事実、将登さんは「冤罪」だった。

また、訴訟や争議を起こしては、解決金を徴収するとんでもない手口が横行しかねない。

4500万円の請求に根拠はあったのか?これから再検証がはじまる。

情報提供窓口(048-464-1413メディア黒書)

筆者は、喫煙者でも愛煙家でもありません。