読売の検索結果

2020年09月01日 (火曜日)

読売の残紙とABC部数、「押し紙」であろうが残紙であろうが不正の温床に

既報したようにYC門前駅前(読売新聞・販売店)の元店主が、8月7日に、「押し紙」の損害賠償を求める裁判を起こした。読売が店舗の残紙が「押し紙」であるとは認めていないので、本稿では単純に残紙という言葉を採用するが、その割合は、搬入部数の約5割にも達していた。

しかも、読者数が変動していたにもかかわらず、搬入(供給)部数は一定にロックされていた。

■訴状

■「押し■訴状紙」一覧

裁判では、当然、これらの残紙が「押し紙」なのか、それとも予備紙なのかという点がひとつの争点になると思われるが、ジャーナリズムの観点からいえば、別の問題もある。仮に店舗に残っていた残紙が予備紙だとすれば、読売新聞社は免責されるのだろうか?

と、言うのも残紙はABC部数に反映される制度になっているので、ABC部数と実配部数に乖離があることを知らない広告主が、紙面広告や新聞折込をPR媒体として採用した場合、PR戦略を誤るリスクが高くなるからだ。広告主との関係で、残紙問題を問題をとらえると、公序良俗に違反する問題なのである。

また、このようなABC部数の実態が公になると、広告媒体としての新聞の信用が失墜して、新聞社も販売店もクライアントを失うことになりかねない。いわば過剰な部数を発生させることは自殺行為に等しい。

◆◆
以下、読売新聞における過去の残紙の実例と実態を紹介しておこう。いずれも訴訟になったケースである。裁判所は、残紙が「押し紙」であると認定していないが、大量の新聞が余っていたことは紛れのない事実である。

《YC大牟田明治》2007年10月ごろ)
搬入部数:約2400部
残紙:920部

《YC大牟田中央》(2007年10月ごろ)
搬入部数:約2520部
残紙:900部

《YC久留米文化センター前》(2007年11月)
搬入部数:2010部
残紙:997部

《YC久留米中央》(1996年の開業時)
搬入部数:2235部
残紙:405部

《YC小笹》(1998年5月の開業時)
搬入部数:2330部
残紙:946部
※半年後に残紙率は10%程度に下がっている。

 ※YC大牟田明治とYC大牟田中央は途中で訴訟を取り下げ、その後、廃業した。

YC久留米中央は和解した。YC久留米文化センター前とYC小笹は、判決を受けたが敗訴した。裁判所は、これらの販売店における残紙の性質が「押し紙」ではないと判断したのである。

◆◆
比較的新しいデータもある。次に示すのは、YC蟹江(愛知県)の実態である。これも極端に残紙が多い例である。

《YC蟹江》2010年3月の開業時
搬入部数:304部
残紙:128部

搬入された部数の42%が残紙になっていた。ただ、この販売店の店主は、その後、営業努力を重ねて、実配部数を大幅に増やしている。
さらに最新の例として、冒頭で紹介したYC大門駅(広島県)の残紙に言及しよう。2017年1月の部数内訳と、その1年後の2018年1月の部数内訳である。

《YC大門駅》2017年1月
搬入部数:2280部
残紙:1106部

《YC大門駅》2018年1月
搬入部数:2280部
残紙:1066部

◆◆◆
参考までに「押し紙」は存在しない主張してきた読売の論法を紹介しておこう。読売の宮本友丘専務(当時)が、「押し紙」裁判(被告・新潮社、黒薮)の法廷で行った証言(2010年11月16日、東京地裁)である。喜田村洋一・自由人権協会代表理事の質問に答えるかたちで、宮本氏は次のように証言した

喜田村弁護士:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村弁護士:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村弁護士:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

◆◆◆◆◆
しかし、真村訴訟の福岡高裁判決は、読売新聞の「押し紙」を認定している。次の判例である。補足として参考文書も紹介しておこう。

真村裁判・福岡高裁判決

読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

 

情報提供窓口:048-464-1413

2020年08月15日 (土曜日)

「押し紙」で読売新聞を提訴、元販売店主…供給部数の5割が“残紙”、業界の闇が明るみに

《ビジネスジャーナル掲載》元新聞販売店主が読売新聞大阪本社から過剰な部数の新聞の仕入れを強制されたとして、8月7日、約4120万円の損害賠償を求める「押し紙」裁判を起こした。原告の元店主、濱中勇志さんは、広島県福山市で2012年4月から6年あまりYC大門駅前を経営していた。

大阪地裁へ提出された訴状によると、請求の対象期間は17年1月から18年6月までの1年6カ月。この間、供給される新聞の約5割が残紙となっていた。しかも読売新聞社が販売店へ供給していた部数は、読者数の変動とはかかわりなく毎月2280部でロック(固定)されていた。

「押し紙」裁判が多発するなかで、新聞の供給部数が1年以上もロックされ、しかも、約半分が残紙になっていたケースはまれだ。【続きはビジネスジャーナル】

2020年08月08日 (土曜日)

【速報】元販売店主が読売新聞社を提訴、「押し紙」で4120万円を請求、残紙率50%、供給部数を1年6か月のあいだロック

【速報】YC大門駅前(広島県福山市)の元店主・濱中勇志氏は、7日、読売新聞社に対して約4120万円の損害賠償を請求する「押し紙」裁判を大阪地裁へ起こした。訴状によると、請求期間は2017年1月から18年の1年6か月。この間の供給部数は、読者数の変動とはかかわりなく、2280部でロックされていた。「押し紙」率は、49.47%になる。

濱中氏の代理人は、江上武幸弁護士ら「押し紙」弁護団が務める。

詳細は、近々に報告する。

訴状と「押し紙」一覧は次の通りである。

 ■訴状

■「押し紙」一覧 

 

 

2020年07月07日 (火曜日)

7月8日の学習会が延期に、朝日・読売・毎日はいまだに「押し紙」の存在を否定、「『押し紙』と呼ばれる行為は一切ありません」

7月8日に衆議院第2議員会館で予定していました「押し紙」勉強会は、コロナウィルスの感染拡大のために延期になりました。新しい日程が決まり次第に再告知します。

文春オンラインに掲載された『【チラシ激減】新聞販売店“コロナ廃業危機”の叫び「バタバタ閉店」「融資でしのぐしか…」』と題する幸田泉氏のルポによると、朝日、読売、毎日、は2020年6月の段階でも、自社に「押し紙」は1部も存在しないと公言しています。次の通りです。

押し紙については「注文の通りに新聞を届けており、押し紙をしていません」(朝日新聞社広報部)、「『押し紙』はありません」(毎日新聞社社長室)、「『押し紙』と呼ばれる行為は一切ありません」(読売新聞グループ本社広報部)と答えた。

しかし、たとえ「押し紙」はなくても、残紙(積み紙)は存在するわけです。(上写真参照)。新聞折り込みで配布する自治体の広報紙の場合、帳簿上では配達しない残紙にも広報紙を折り込んでいるわけですから、重大な問題があります。新聞社には、販売店を監督・指導する責任があるでしょう。

8日の勉強会では、佐賀新聞社の独禁法を認定した佐賀地裁の歴史的判決(5月)を踏まえて、公正取引委員会に新聞社に対して、公正な対処を求める決議を採択する予定でした。

公正取引委員会がこれまで、「押し紙」問題をほとんど無視してきた背景に、公権力とのどのような人脈があり、どのような独禁法の解釈をしているのかは不明ですが、新聞社に対しても公正に対処すべきです。残紙はだれがみても異常の極みです。

学習会の新しい日程が決まり次第に、再告知いたします。

2020年06月30日 (火曜日)

YC(読売新聞)蟹江の残紙率、42%、元店主が内部資料を提供

残紙に関する情報が次々にメディア黒書に寄せられている。その中から読売新聞のYC蟹江(愛知県)のケースを紹介しよう。情報提供者は、同店の元店主である。

この元店主は、2010年3月に店主に就任した。小規模な販売店で、3月19日付けの「YC蟹江 代償金計算書(本引継時)」と題する書面によると、元店主が前任者から引き継いだ部数は、朝刊が180部だった。他にスポーツ紙が34部。

ところが翌月(4月)のこの販売店の業務報告書によると、「今月定数」として304部が搬入されている。そして「実配」は、176部になっている。

つまり304部が搬入されたが、実際に配達された部数は176部である。差異の128部が残紙になっていたことになる。

■裏付け資料

◆◆
読売新聞の代理人を務めてきた喜田村洋一・自由人権協会代表理事は、読売には1部の「押し紙」も存在しないと主張してきたわけだから、喜田村氏の論理からすれば、この128部は「積み紙」ということになる。

残紙の性質が「押し紙」なのか、それとも「積み紙」なのかは、今後、取材するが、304部の新聞が搬入され、そのうちの128部が残紙になっていたことは紛れもない客観的事実である。

現時点で明らかになった問題は、「今月定数」がABC部数に含まれている高い可能性である。この販売店の残紙の性質が「押し紙」であろうが、「積み紙」でろうが、ABC部数が実配部数を反映していないことになる。

 

【参考記事】新聞の総発行部数が2年間で400万部減、朝日と読売は年間で約40万部減 、新聞業界の没落が明白に

2020年06月17日 (水曜日)

初めて読売の新聞拡張員の景品置き場にメディアのカメラが入った

次に紹介する動画は、読売新聞の新聞セールスを仕事にしていたAさんの自宅にある拡材(新聞拡販に使う景品)置き場の様子である。はじめてメディアのカメラが、拡材置き場に入った。

景品表示法は、拡材の上限額を定めている。上限は、6カ月分の新聞購読料の8%である。この額を超えると独禁法の景品表示法に抵触する。

中央紙の購読料は、「朝刊・夕刊」のセット版で約4000円である。従って景品の上限額は、次の計算で導きだせる。

4000円×6月×8%=1920円

「朝刊」のみの購読料は、約3000円である。従って景品の上限額は、次の計算で導きだせる。

3000円×6カ月×8%=1440円

以上を前提として、ビデオを見ながら、景品表示法が遵守されているかどうかを推測してほしい。わたしは景品表示法に違反していると思う。(2020年1月18日に取材・収録)

2020年06月15日 (月曜日)

【独占スクープ】これが新聞残紙の実態だ!! 読売センター成東実録レポート

執筆者:鈴木まさや(山武ジャーナル)

 

【目次】

1. 荷降ろしした新聞の一部が作業場に運ばれず、店先に積み上がる

2. 読売センター成東・齋藤ニュースサービスで朝刊として配達されていない部数は、少なくとも600部。実売部数は公称の半数程度か?

3. 齋藤ニュースサービスだけで山武市が年間に被る損害は最低40万円?

4. 配達しない部数の折込料金を取る「折り込め詐欺」を許すな!! 山武市は本格的に対応を

5. 内部告発受付

 

山武市広報の折込事業を取り仕切る「山武市新聞折込組合」の代表で、読売センター成東を運営する(有)齋藤ニュースサービス(代表:齋藤逸朗)が、大量の配達されない新聞を古紙回収車に積み込む現場を山武ジャーナルが公開し、山武市から広報誌の折込料が過大に支払われ、一部が市民に届かず古紙として処分されている可能性を指摘してちょうど1年が経過したが、これまで山武市はこの問題について何ら調査・検証を行ってこなかった。

平成30年4月に齋藤ニュースサービスが山武市に対して申告していた広報折込数は、山武市全体の世帯数の85.5%に当たる19,015部。日本新聞協会による全国平均の新聞の世帯購読率65%に対して、山武市の新聞購読率が20%以上と言うのは、明らかに不自然な状態である。しかも、この中に宗教団体や政党の機関紙は含まれない。

実際の山武市の新聞購読率が全国平均並だったとした場合、広報誌の印刷費用が1部あたり約22円、折込料金が約20円とすれば、広報さんむと議会だより年16回発行で、山武市の1年間の損害は約300万円と試算された。

山武市新聞折込組合は、山武ジャーナルの指摘以降折込の申告数を急激に減らし、令和2年6月には15,726部と、1年前と比較して約2,000部、2年前との比較では3,000部以上の大幅減となっているが、これで新聞販売店が実際に配達されない部数を水増しして仕入れ、その分の折込料を不当に得ている疑惑は、これで解消されたのだろうか。

山武ジャーナルでは、新型コロナウイルス感染防止の緊急事態宣言が解除されて程ない令和2年6月のある日、読売センター成東・齋藤ニュースサービスでどの様に朝刊配達業務が行われているのか観察してみることにした。【続きは山武ジャーナル】

「押し紙」認定の判例、2007年の対読売新聞裁判、PC上に架空の配達区

新聞販売店が起こした訴訟の中で、「押し紙」が認定されたケースは、これまでに3件ある。2006年の福岡地裁、2011年の岡山地裁、そして2020年の佐賀地裁である。

このうち福岡地裁のケースは、その後、2007年12月に最高裁で判決が確定した。福岡高裁の判決は有名で判例タイムズ(2008年6月1日)にも掲載されている。

真村裁判・福岡高裁判決

◆◆◆
しかし、真村裁判は「押し紙」の損害を求めた裁判ではなく、店主の地位保全を求めた裁判である。YC広川(福岡県)の真村久三さんが、2002年に読売新聞・西部本社を訴えた裁判である。

発端は、真村さんが読売本社から自店の営業地区の一部を、隣接するYCへ譲渡するように求められたことである。真村さんは理不尽な要求を断った。これに対して読売は、真村さんの店主としての地位を解任しようとした。そこで真村さんが地位保全を求めて提訴したのである。

読売が提示した解任理由のひとつに、真村さんが新聞の部数内訳を虚偽報告していたというものがあった。具体的に言えば、残紙が存在するのに、それを実配部数に加算して報告し、残紙の存在を隠していたというものである。読売は、これらの残紙が「積み紙」だと主張し、それを改廃理由のひとつにしてきたのである。

「積み紙」とは、販売店が折込広告の水増し手数料を稼ぐためにみずから注文した残紙である。 「積み紙」は、折込詐欺の温床であり、当然、公序良俗に違反し、正当な改廃理由になる。それゆえに読売は、真村さんが虚偽報告していた残紙が「積み紙」だと主張したのだ。

これに対して、真村さんの弁護団は、残紙は「押し紙」だったと主張した。虚偽報告を認めたうえで、そうせざるを得なかった背景に、「押し紙」政策があったと主張したのである。

地位保全裁判にもかかわらず争点が、真村さんが虚偽報告していた残紙は、「押し紙」か、それとも「積み紙」かが争点になった。

福岡地裁と福岡高裁は、読売による「押し紙」を認定した。そして2007年12月に最高裁で判決が確定した。

この判決で興味深いのは、残紙の存在を隠すために、真村さんがコンピュータ上に「26区」と呼ばれる架空の配達区を設置して、架空の読者を登録していた事実が認定されていることだ。そうせざるを得なかった背景に、読売の販売政策があったと認定したのだ。

この裁判には、読売の代理人として、日本を代表する人権擁護団体であり護憲派である自由人権協会の代表理事を務める喜田村洋一弁護士が、読売支援のために東京から福岡へ駆けつけていた。判決が確定した後も別の係争が続いたこともあり、喜田村弁護士は東京と福岡を何度も往復されたようだ。

わたしも1年半の間に被告として3件の裁判に巻き込まれ、約8000万円を請求された。

◆◆◆
『月間HANADA』(2016年7月)に掲載した記事の中で、わたしは真村裁判の福岡高裁判決にふれ、「押し紙」政策が認定された旨を記載した。すると読売東京本社の滝鼻広報部長が版元に抗議文を送付した。

これに対して、わたしはメディア黒書上で反論した。この反論は、福岡高裁判決がどのような性質のものであるかを、一般読者にも分かりやすいように解説している。参考までに下記にリンクを張っておく。

 

読売の滝鼻広報部長からの抗議文に対する反論、真村訴訟の福岡高裁判決が「押し紙」を認定したと判例解釈した理由

2020年02月28日 (金曜日)

【最新のABC】年間の減部数は朝日が41万部、読売が39万部、毎日30万部・・・地方紙2社分が消えた、「押し紙」を大黒柱としたビジネスモデルの破綻

2020年度1月度のABC部数が明になった。それによると前年同月比較で、朝日が約41万部減、読売が約39万部減、毎日が約23万部減となった。これら3社についていえば、依然として年間で20万部から40万部の部数を失っている。そのかなりの部分はもともと読者がいない残紙だと推測される。

これら3社だけでも、年間で東京新聞2社分に相当する新聞が減っていることを意味する。その背景には、大量の「押し紙」を折込広告の水増し収入で相殺するビジネスモデルが機能不全に陥っている事情がある。原因は折込広告の需要が少なくなっていることだ。

新聞社のビジネスモデルは、「押し紙」を折込広告の水増しで相殺して、販売店の赤字を防ぐ形だ。そのために新聞購読者から集金した購読料は、ほぼ100%が新聞社へ入る仕組みになっている。従って折込広告の需要がなくなれば、このビジネスモデルは破綻するしかない。このような詐取の仕組みを構築した新聞人の罪は重い。

1月度のABC部数は次の通りである。

朝日:5,249,764(-406,729)
毎日:2,303,783(-198,515)
読売:7,886,986(-390,619)
日経:2,227,891(-121,802)
産経:1,348,564(-52,877)

 

【参考記事】2020年5月度のABC部数、朝日新聞は「500万部切れ」へカウントダウン、止まらぬ新聞発行部数の急落

2020年02月01日 (土曜日)

景品はバイアグラに女性紹介、半年契約で現金2万円提供…読売の元セールス員が語る違法な拡販実態

昨年2回、産経新聞と毎日新聞が、新聞拡販の際に使う景品が法律で決められた上限額を超えているとして、大阪府消費生活センターより処置命令を出された。偽装部数(押し紙)と強引な新聞拡販で巨大化してきた新聞社にとっては、将来展望を閉ざす行政指導であった。

そこで筆者が、昨年まで現役だった読売の元セールス員とYC元従業員を直接取材したところ、読者サービスとして「バイアグラをあげたり、女性を紹介した」との証言を得た。景品の代わりに2万円程度の現金(6カ月契約の場合)を分割で渡した、とも述べた。

2020年の賀詞交換会で読売・渡邉恒雄主筆は「今年中に1000万部を挽回しようじゃないですか」と語ったが、販売現場からは失笑が漏れている。新聞拡販の現場はどうなっているのか。初めてセールス員の景品置き場に、ジャーナリズムのビデオカメラが入った(会員限定で視聴可)。【続きはMyNewsJapan】

2020年01月24日 (金曜日)

新聞の総発行部数が2年間で400万部減、朝日と読売は年間で約40万部減 、新聞業界の没落が明白に

全国の新聞の総発行部数を示す日本新聞協会の最新データによると、2019年度の新聞の総発行部数が大幅に落ち込んで37,801,249部となった。18年が39,901,576。17年度が42,128,189。

つまりこの2年間で400万部を超える新聞が消えた計算になる。19年度の減部数率は、過去最高だった18年度に並ぶ5.3%だった。新聞業界の没落が明白になった。

こうした状況の下で新聞各社も大幅にABC部数を落としている。最新のABC部数(19年12月)によると、朝日新聞と読売新聞は、年間で約40万部の減部数となった。中央紙の部数の詳細は次の通りである。

朝日:5,284,173(-396,682)
毎日:2,304,726(-222,809)
読売:7,901,136(-382,197)
日経:2,236,437(-121,851)
産経:1,348,058(-53,694)

◆◆
ちなみにABC部数には、残紙(押し紙、あるいは積み紙)が含まれており、実配部数を反映していない。従って実際に配達されている部数は、ABC部数の5割から2割ぐらい少ないと推測される。新聞社によって残紙の差はあるが、残紙がない新聞社の方が少数になっているのが実情だ。

従来は残紙で発生する損害を折込広告の水増しで相殺するビジネスモデルが機能していた。これ自体が違法な不正行為であるが、それを前提にして新聞社経営の歯車がかみ合ってきた長い歴史がある。

ところがこのところ折込広告の需要が大幅に減っていて、従来の経営の歯車がかみ合わなくなってきたのだ。その結果、残紙を整理せざるを得なくなり、その結果、大幅にABC部数が減っていると考えるのが妥当だろう。

 

【参考記事】2020年5月度のABC部数、朝日新聞は「500万部切れ」へカウントダウン、止まらぬ新聞発行部数の急落

 

■新聞発行部数・偽装部数・「押し紙」に関する全記事

 

 

 

 

 

2020年01月20日 (月曜日)

横浜副流煙裁判の何が悪質なのか、提訴直後の警察による「恫喝」と原告による4500万円請求、読売裁判との共通点と決定的な違いは?

この10年間に類似した2つの裁判にかかわった。とはいえ、焦点の当て方によっては、2つの裁判は性質が異なるとも言える。両者の違いを明確にすると横浜副流煙裁判の悪質度が鮮明になる。

最初の裁判は、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士らが、わたしを被告として起こした著作権裁判である。概要は次の通りである。

発端は、読売新聞西部本社の江崎徹志法務室長がメディア黒書に対して1通の催告書を送付したことである。メディア黒書に掲載した読売新聞の文書を削除するように求めた内容だ。わたしは削除を拒否して、今度は江崎氏が送付した催告書をメディア黒書で公表した。内容が怪文書めいていたからだ。

 これに対して読売の江崎氏は、その催告書を削除するように求めてわたしを提訴したのである。(厳密にいえば、提訴の前段で仮処分の申し立てを行った)催告書は江崎氏の著作物なので、わたしには公表権がないので削除すべきだというのが江崎氏の主張だった。

 ところが裁判の中で、催告書を作成したのは江崎氏ではなくて、喜田村弁護士である疑惑が浮上したのだ。つまり催告書の著作権者は喜田村弁護士であって江崎氏ではない可能性が浮上したのである。

 催告書の名義は、「江崎」となっているが、著作権は譲渡できない法体系(注:著作者財産権に関しては譲渡できる)なので、江崎氏が催告書の著作権者という読売側の主張自体がウソということになる。

裁判所は、当然、読売を敗訴させた。しかし、読売がわたしに要求したのは、催告書の削除だけで、金銭要求はしていなかった。心から催告書が公衆の目に触れる事態を避けるために裁判を起こしたのだろう。

◆提訴直後に警察を動かした事実

第2の裁判は横浜副流煙裁判である。この裁判には、おもに取材者として関係してきた。わたしは裁判の当事者ではない。

周知のように横浜副流煙裁判は、不正な診断書を根拠として、藤井将登さん一家に室内での喫煙禁止と、4500万円の金銭請求を行ったものである。

読者は、読売裁判と横浜副流煙裁判の共通点と決定的な違いを推測できるだろうか?

まず、共通している点は、提訴の前提となる事実がウソだったという点である。前者は催告書の名義人を「江崎」に偽り、後者は医師法20条(診察せずに診断書を作成する行為)に違反して作成した不正な診断書を根拠に、裁判を起こしたのである。

二つの裁判の決定的な違いは、読売裁判では金銭要求がなかったのに対して、横浜副流煙裁判では金銭要求が行われたのだ。しかも、その金額は4500万円である。尋常な額ではない。

しかも、提訴直後に原告の山田義雄弁護士の要請により、当時の斎藤実・神奈川県警本部長(現、警視総監)が刑事2名を出動させた事実がある。刑事2名は、午後3時30分から6時にかけて藤井家で事情を聴取した。藤井さんは、提訴された直後だったこともあり、恫喝されたと感じたのではないだろうか。

◆恐るべき人権感覚の欠落

読売裁判の後、わたしは日弁連(最初は第2東京弁護士会)に対して、喜田村弁護士の懲戒請求を行った。しかし、排斥期間などを理由に棄却された。つまり読売裁判程度のことであれば、懲罰するに値しないというのが日弁連の立場である。恐るべき人権感覚の欠落である。

横浜副流煙裁判の「戦後処理」として、当然、弁護士懲戒請求も考慮されるだろうが、日弁連は基本的には弁護士の利益を守る組織であるから、何の処分も下さないのではないかと思う。

 

2019年12月23日 (月曜日)

大阪府の消費生活センターが産経新聞に続き毎日新聞にも措置命令を下す、予想される朝日新聞と読売新聞の読者争奪戦

大阪府の消費生活センターは、12月10日、毎日新聞の販売店を経営する中野宅視氏に対して、吉村洋文知事の名前で景品表示法に基づく措置命令を下した。景品表示法とは、新聞の拡販活動の際に販売店が購読契約者に提供する景品類に制限を課す法律である。景品価値を金銭に換算したときに6ヶ月分の新聞購読料の8%が最高限度額となる。したがって毎日新聞の場合は1937円が上限で、それを超えると景品表示法に違反したことになる。

中野氏は、大阪府内で3店の毎日新聞販売店を経営している。消費生活センターが措置命令を下したことで、今後、1937円を超える景品を使った新聞拡販活動ができなくなった。

措置命令は次のように違反の事実を認定している。

本件販売店は、一般消費者との毎日新聞の購読契約の締結に際し、クレジットカード会社が発行するギフトカードや、スーパーマーケットが発行するお買物券などの商品券(額面3千円から1万円)を提供していたほか、スポーツ紙の無料提供や毎日新聞の購読料の割引、毎日新聞の購読料を無料とする月の設定などを行っていた。

◆3月には産経新聞販売店に対して措置命令

実は今年3月にも大阪府の消費生活センターが新聞販売店に対して措置命令を下した。対象としたのは産経新聞の3店である。これについての参考記事も紹介しておこう。

終末期迎えた産経新聞 新聞拡販の景品にテレビ月50台、ニセの購読契約書で350万円の不正…「公序良俗」に背く手口のオンパレード

江上武幸弁護士が、産経新聞による景品表示表違反事件の顛末を『消費者法ニュース』でレポート、産経新聞が訴訟を取り下げた深刻な理由

◆何が日本の新聞社を巨大化させたのか?

改めていうまでもなく、日本の新聞社が世界に類を見ないほど巨大化した背景には高価景品を使った新聞拡販活動があった。 新聞拡販活動と「押し紙」政策が車の両輪として噛み合い、新聞を売り物にしたジャーナリズム企業を急成長させたのだ。

残念ながら欧米の新聞社のようにジャーナリズムの質を高める努力をすることでメディアとしての影響力とステータスを得たのではない。企業の柱は新聞販売であってジャーナリズムは枝葉末節に過ぎない。これが紛れもない事実である。

産経新聞の販売店に続いて毎日新聞の販売店にも消費生活センターのメスが入った事実は、従来の新聞のビジネスモデルに公権力が疑義を唱え始めたことを意味する。新聞がいよいよ崩壊する前兆と考えるべきだろう。少なくとも近々に大きな変化が起きるだろう。

ちなみに読者の中には、なぜ消費生活センターも公正取引委員会もこれまで景品表示表違反を摘発しなかったのかという疑問も残る。高価な景品を使った新聞拡販は、産経新聞と毎日新聞だけではなかったはずだ。ビール券や洗剤の大量提供と引き替えに新聞の購読契約を取り付けるのが、新聞業界の慣行となってきたことは周知の事実である。

景品表示表違反を黙認してきた。

今回、産経新聞と毎日新聞が処置命令を受けたことで、朝日新聞と読売新聞は逆に拡販活動に拍車がかかるのではないか。産経新聞と毎日新聞が新聞社の「任務」を終えたあとに予想される朝日新聞と読売新聞による読者争奪戦に消費生活センターが「審判」として介入するかどうかにも注目すべきだろう。