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2021年03月24日 (水曜日)

広島県府中市における読売のABC部数、4年以上にわたり5697部でロック(固定)、1部の変動もなし

【訂正】
23日付けメディア黒書の記事で、広島県における読売新聞のABC部数について、一部の自治体で、部数がロック(固定)されている旨を報じました。この記事の中で、ロックされていない自治体については、「その大半の自治体でABC部数が増加に転じている」と記しましたが、正しくは、「ABC部数の減少傾向がみられる」です。訂正すると同時に読売新聞大阪本社に謝罪します。

訂正後の23日付け記事は、次の通りです。

広島県全域におけるABC部数の解析、読売の部数、27自治体のうち10自治体で部数をロック、1年半にわたり1部の増減もなし、ノルマ部数設定の疑惑

 

◆◆府中市における読売のABC

さて、ここからが本題である。
広島県における読売新聞のABC部数の解析を進めたところ、府中市のABC部数が不自然なことが分かった。府中市の読売のABC部数を時系列に並べると次のようになる。

2014年4月 :5697部
2014年10月:5697部
2015年4月 :5697部
2015年10月:5697部
2016年4月 :5697部
2016年10月:5697部
2017年4月 :5697部
2017年10月:5697部
2018年4月 :5697部

この数字が示すように、2014年4月から2018年4月まで、まったく部数の変動がないことを意味する。不自然ではないか。ABC公査の信憑性そのものが疑われる。

 

2021年03月23日 (火曜日)

広島県全域におけるABC部数の解析、読売の部数、27自治体のうち10自治体で部数をロック、1年半にわたり1部の増減もなし、ノルマ部数設定の疑惑

広島県福山市の元YC店主が提起した「押し紙」裁判を機に、筆者は原告のYCがあった福山市をふくむ広島県全域を対象に、読売のABC部数の解析を行った。解析の対象期間は、元YC店主が請求対象期間としている2017年1月から2018年6月である。この期間に3回実施されたABC公査で判明したABC部数を解析した。

その結果、定数(販売店への搬入部数)が完全にロックされ、1部の部数変動もない現象が、県下全27の自治体のうち、10の自治体で記録されていたことが分かった。この中には、原告の元店主が店舗を構えていた福山市も含まれる。

福山市のABC部数は、2017年4月時点での公査では、38,194部数だった。2017年10月時点での公査でも、やはり38,194部だった。さらに2018年4月の公査でも、38,194部だった。つまり1年半に渡って、1部の部数増も、部数減もなかったことになっている。普通はあり得ないことである。この38,194部がノルマだった疑惑が浮上する。

言うまでもなく、これは原告店主のYCだけではなく、福山市にある全YCで、ABC部数が少なくとも1年半に渡りロックされていた疑惑を浮上させる。

福山市以外でABC部数がロックされた状態になっていた自治体と、そこでのABC部数は、次のようになっている。期間はやはり1年半である。1年半のあいだ1部の部数減も、部数増も記録されなかった。

広島市(南区):3,578
広島市(安佐南区):4,226
広島市(安佐北区)3,283

尾道市:11,147
福山市:38,194
府中市:5,697

大竹市:2,240
甘日市市:2,475
江田島市:325
安芸郡:1,650
神石郡 :4,77

◆◆
一方、ABC部数が変動していた自治体では、ABC部数の減少傾向がみられる。

ABC部数がロックされた自治体では、YCが一定の最低ラインの「責任部数」を負担していた疑いがある。

以下、裏付け資料である。マーカーで示した部分である。3つの年度のABC部数を比較して、各自治体で数字の変化がないことを確認してほしい。

■ 2017年4月

■2017年10月

■2018年4月

【写真】東京都江戸川区内の新聞販売店

2021年03月19日 (金曜日)

読売新聞の「押し紙」裁判、販売店との取引契約・第7条の問題、原告弁護団の主張、読売には新聞特殊指定を遵守する義務がある(3)

福山市の元YC店主が起こした「押し紙」裁判では、従来の「押し紙」裁判には無かった新しい争点がある。それは原告弁護団が打ち出したのひとつ争点で、販売店と読売新聞社の間で交わされた取引契約の第7条についての論考である。契約書の第7条は、次のように述べている。

「乙(注:販売店をさす)は,本件業務の遂行に関して,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律,不当景品類及び不当表示防止法,新聞業における特定の不公正な取引方法その他の公正取引委員会告示,新聞業における景品類提供の制限に関する公正競争規約等関係法令その他の諸法規を遵守しなければならない。」

この条項は、読売新聞社がYCに対して、新聞販売業務に関連した諸法規や規則を遵守するように求めた内容である。具体的には、独禁法の新聞特殊指定や景品表示法などの遵守である。

原告弁護団の主張は、第7條は形のうえでは、販売店に対する遵守義務として位置付けられているが、読売新聞社の側もやはりそれを遵守する義務があるという内容である。その理由について、原告弁護団は、準備書面(4)の中で次のように述べている。

「(筆者注:この条項は)新聞社である被告が法令を遵守することは当然の前提として,法令に疎い販売店に対し関係法令の遵守義務の存在を明確に認識させるために,条文上,名宛人として販売店だけを記載しているに過ぎない。」

周知のようにここで例題にあがっている新聞特殊指定は、「押し紙」行為を禁止している。従って読売が「押し紙」をしていれば、そは新聞特殊指定に抵触しており、販売店との商契約を忠実に履行していないことになるというのが、原告弁護団の主張である。

以下、準備書面(4)から、関連個所の全文を引用しておこう。

第5 被告の「押し紙」は新聞販売店契約上の債務不履行か(争点その2)

取引契約の当事者が当該取引に関連する法令の遵守義務を負うことは当然であり,議論の余地はない。新聞業界を規制の対象とする関係法令は,公正な競争の確保と優越的地位の濫用防止を目的とする独禁法新聞業特殊指定,新聞の勧誘行為を規制対象とする景品表示法(景品規制)や特定商取引法(訪問販売規制)等の法令が多数存在する。

本件では,「読売新聞販売店取引契約書」(甲A第1号証)の第7条(法令の遵守)に,「乙(注:販売店をさす)は,本件業務の遂行に関して,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律,不当景品類及び不当表示防止法,新聞業における特定の不公正な取引方法その他の公正取引委員会告示,新聞業における景品類提供の制限に関する公正競争規約等関係法令その他の諸法規を遵守しなければならない。」との定めが置かれている。

この点,被告が作成した上記契約書の第7条には,同条により法令順守義務を負う者として,原告の販売店しか記載されていない。しかし,それは被告が契約書の作成段階において,そもそも被告自らが法令違反を犯すことを想定していないからである。被告が法令を遵守することは当然の前提として本契約書は作成されているのである。

従って,第7条の「法令遵守」の条文に被告の記載がないことを理由に,被告は原告に対し法令順守義務は負わないと解釈することは許されない。

第7条は,原告と被告が相互に当然負うべき法令遵守義務について,新聞社である被告が法令を遵守することは当然の前提として,法令に疎い販売店に対し関係法令の遵守義務の存在を明確に認識させるために,条文上,名宛人として販売店だけを記載しているに過ぎない。法令に疎い販売店に対し,新聞業に携わる者として,関係法令を遵守しない場合は販売店契約上は新聞社に対し債務不履行責任が生じることを確認する条文である。

独禁法新聞業特殊指定の「新聞業における特定の不公正な取引方法」を例にとれば,第2項の定価の割引禁止の名宛人は販売業者であり,第3項の押し紙禁止の名宛人は新聞発行業者であるところ,原告が第2項に違反して定価の割引販売をすれば被告に対する債務不履行責任を負うのに対し,被告が第3項に違反して「押し紙」をしても原告に対する債務不履行責任は負わないでよいというのはあまりにも不合理で身勝手な解釈であり,そのような解釈は,契約当事者として信義に反することはあまりにも明白である。

そのため,被告の原告に対する「押し紙」行為は,独禁法新聞業特殊指定第3項の法令違反であり,第7条の当然解釈・論理解釈の結果,被告は原告に対し法令遵守義務違反の債務不履行責任が認められる。

2021年03月17日 (水曜日)

読売の「押し紙」裁判、第3回口頭弁論、読売、答弁書でYCがもつ注文部数の「自由増減」権の存在を認める、「押し紙」問題のスピード解決へ前進(1)

広島県福山市の元YC店主が大阪地裁へ起こした「押し紙」裁判の第3回口頭弁論が、16日、web会議によるかたちで行われた。原告弁護団は2通の準備書面と、原告の陳述書を提出した。

■原告準備書面(3)

■原告準備書面(4)

これに対して被告・読売弁護団は、5月19日までに反論書を提出することになった。次回の口頭弁論は、6月1日の午後1時半から、やはりweb会議のかたちで行われる。

原告弁護団が提出した準備書面(3)は、原告の元店主が「押し紙」により受けた被害の実態と「押し紙」の定義などについて述べている。同準備書面によると、原告はYCの経営を始めた時点から「押し紙」の買い取りを強制されていた。前経営者から、実配部数だけではなく、「押し紙」も引き継いだのである。スタートの時点で、すでに約760部が不要な部数だった。

この点に関しては、原告陳述書も、克明にその実態を記録している。新聞の搬入部数(定数)を読売新聞社側が決める一方、原告には、その権利がない実態を綴っている。また、原告が新聞業界に入ってのち、自分の眼でみてきたYCの残紙の実態を報告している。読売新聞社が新聞の「注文部数」を決めている実態を浮き彫りにしている。

◆古くて新しい「押し紙」の定義

ちなみに「押し紙」の定義は、広義には新聞社が販売店に「押し売り」した新聞というニュアンスで解釈されているが、独禁法の新聞特殊指定の定義は、広義の解釈とは若干異なる。

新聞特殊指定の定義は、新聞販売店の経営に必要な部数(実配部数+予備紙)を超える部数で次の3類型に当てはまるものを言う。

①販売業者が注文した部数を超えて供給する行為(「注文部数超過行為」)
②販売業者からの減紙の申し出に応じない行為(「減紙拒否行為」)
③販売業者に自己の指示する部数を注文させる行為(「注文部数指示行為」)

予備紙は認められているが、適切な予備紙部数がどの程度なのかについては、種々の議論があるが、搬入部数の2%(100部に対して2部)で十分というのが常識的な見方である。事実、「押し紙」制度を導入していない熊本日日新聞の予備紙率は、1・5%である。

かつてASA宮崎大塚の「押し紙」裁判で、裁判所は約1000部の残紙を予備紙と認定し、原告の訴えを棄却したが、古紙回収業者によって、残紙が定期的に回収されていた事実からも、これらの残紙が予備紙として機能していないことは歴然としている。

準備書面(3)では、「押し紙」の定義について、原告弁護団が明快な論考を展開している。搬入部数の2%で十分だというのが結論だ。

◆準備書面(4)

準備書面(4)は、原告弁護団が読売弁護団の主張の一部を高く評価する異例の内容になっている。原告弁護団は、読売の何を評価したのだろうか?

普通、裁判の訴状が提出されると、被告は、その内容についての答弁書を提出する。この裁判の答弁書で読売は、「新聞販売店は独立した自営業者であり、自店の経営に必要な部数を自由に決定する権利・自由があることは認める」との見解を示した。つまり販売店側に新聞の「注文部数」を自由に決める権利、端的に言えば「自由増減」の権利があることを初めて認めたのだ。原告弁護団は、この点を高く評価したのである。

わたしが知る限り、熊本日日新聞を除いて、「自由増減」の権利を認めている新聞社は存在しない。それゆえに「押し紙」裁判になると新聞社は、販売店側にも一定部数を負担する義務があるとする旨の主張を続けてきたのである。たとえば残紙の原因は販売店の営業不振にあるので、相応の残紙負担は義務であるというような主張である。販売店に「自由増減」の権利はないという大前提に立って、延々と主張を展開してきたのである。

ところが今回、読売弁護団は販売店側に「自由増減」の権利、つまり「注文部数」を決定する権利があることを認めたのである。従って、従来の「押し紙」裁判で、争点になった販売店の営業成績と自己責任に関する検証や、販売店主の人格(中身は誹謗中傷の場合が多い)に関する検証が不要になる可能性がある。

販売店に「押し紙」を断った明確な証拠させあれば、販売店が簡単に勝訴できる可能性が開けたのである。

読売が、自社ではなく販売店側に「自由増減」の権利があることを認めたことで、「押し紙」裁判の争点が簡潔化する。その意味において原告弁護団は、読売が答弁書の中で販売店側に「自由増減」の権利があることを認めたことを歓迎したのである。

読売の代理人を務めている喜田村洋一・人権協会代表理事は、過去にも「押し紙」裁判を担当してきたが、販売店に「自由増減」の権利があることを認めたのは今回が初めてである。

◆原告江上弁護士の談話

この点について、原告の江上武幸弁護士は、「押し紙」問題の抜本的解決へ向けた次のような談話を寄せた。

読売新聞大阪本社の答弁書に、「新聞販売店は独立した事業者であり、自店の経営に必要な部数を自由に決定する権利・自由があることは認め」との一文があるのを見て、私は一瞬目を疑った。読売が裁判で販売店に注文部数の自由増減の権利があることを認めたのである。「まさか」と言うのが最初の偽らざる気持ちであった。今でもその思いが完全には抜けきれないでいる。

読売新聞が販売店に「自由増減の権利」を認めていれば、「押し紙」によって廃業・倒産に追い込まれる販売店主はいなかった。

YC広川の真村さん、YC久留米中央の荒木さん、YC久留米文化センター前の平山さん、YC大牟田明治の野中さん、YC大牟田中央の中島さん、YC小笹の塩川さん等々、「押し紙」によって人生設計を台無しにされた多くの相談者の方たちの顔が思い浮かぶ。

今から、十数年前の出来事である。当時は、読売新聞は発行部数1000万部の世界最大の新聞社であることを喧伝していた。しかし、これらの販売店主の方たちの話では、新聞社から届く新聞の30数%から50%近い部数の新聞が配達されずに廃棄されているとの事であった。業界では「押し紙」とか「残紙」と呼ばれており、しかも、読売新聞に限らず殆ど全ての新聞社が同じ問題をかかえているという。

とても信じ難い話しであった。新聞社に対する信頼がガラガラと音を立てて崩れる瞬間であった。

現在、自民党政権下の官僚達が保身や出世のために政治家にすり寄る醜悪な姿を国民の前に曝しているが、本来であれば、新聞社が真っ先にこれらの腐敗をえぐり出して報道すべきところ、「文春砲」と呼ばれる週刊文春の記事を後追いするだけの存在に成り下がってしまった。

新聞社に「押し紙」さえなければ、権力と堂々と対峙できたはずである。「押し紙」が新聞をダメにしたといっても過言ではない。

今回、読売新聞大阪本社は、答弁書で販売店に注文部数の自由増減の権利があることを認めた。読売新聞社の代理人は、あるいは、この裁判を機に「押し紙」を本気で解消しようと考えてくれているのかも知れない。そうであるならば、私達は共通の土俵の上にたって、裁判官を交えて新聞業界全体の「押し紙」の完全撲滅に向けての議論を交わすことができる。

私共は去る2月22日付で、長崎県佐世保市で廃業した元読売新聞販売店主の川口さんを原告、読売新聞西部本社を被告とする損害賠償請求訴訟を福岡地方裁判所に提起した。東京地裁では読売新聞東京本社を被告とする「押し紙損害賠償請求訴訟」が別の弁護士らによって進行中である。

紙媒体を中心とする新聞は、何れ時代の流れに飲み込まれて消えゆく運命にあるかも知れない。しかし、「押し紙」によってこれまであまたの新聞販売店主が人生を台無しにされてきており、その責任を曖昧にしたまま舞台から消え去ることは許されない。現在の経営陣がその責任をきちんと果すのが、経営者としての本来の姿である。

読売新聞社の現在の経営陣が、この裁判を機に抜本的な「押し紙撲滅」のための措置を講じることを期待している。

◆◆
なお、福山市の元YC店主のケースでは、「押し紙」を断った明白な証拠が残っている。(続)

2021年02月26日 (金曜日)

2021年1月度のABC部数、政府よりの右派2紙・読売と産経は前月差でABC部数増加、

2021年1月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日は、前年同月差でマイナス43万部、読売新聞はマイナス58万部、毎日新聞はマイナス28万部と大幅な部数減となった。

しかし、前月差でみると右派で政府よりの2紙、読売と産経は、12月から1月にかけてABC部数を増やしている。新聞離れの時代にもかかわらず好調だ。新聞販売店向けの部数の場合、読売は約1万部、産経は約1500部ほどABC部数を増やしている。

1月部数の詳細は次の通りである。

朝日:4,818,332(−431,432)
毎日:2,025,962(−277,821)
読売:7,310,734(−576.252)
日経:1,946,825(−281,066)
産経:1,223,328(−125,236)

◆読売、「押し紙をしたことは1回もございません」

なお、このところ「押し紙」問題が大問題になっているが、読売は自社の販売店(YC)には1部の「押し紙」も存在しないと公言してきた。

参考までに、宮本友丘専務(当時)が、「押し紙」裁判(読売VS黒薮・新潮社)の法廷で行った証言(2010年11月16日、東京地裁)を紹介しておこう。代理人である喜田村洋一・自由人権協会代表理事の質問に答えるかたちで、次のように証言した。

※自由人権協会:日本を代表する人権擁護団体のひとつ

喜田村弁護士:この裁判では、読売新聞の押し紙が全国的に見ると30パーセントから40パーセントあるんだという週刊新潮の記事が問題になっております。この点は陳述書でも書いていただいていることですけれども、大切なことですのでもう1度お尋ねいたしますけれども、読売新聞社にとって不要な新聞を販売店に強要するという意味での押し紙政策があるのかどうか、この点について裁判所にご説明ください。

宮本:読売新聞の販売局、あと読売新聞社として押し紙をしたことは1回もございません。

喜田村弁護士:それは、昔からそういう状況が続いているというふうにお聞きしてよろしいですか。

宮本:はい。

喜田村弁護士:新聞の注文の仕方について改めて確認をさせていただきますけれども、販売店が自分のお店に何部配達してほしいのか、搬入してほしいのかということを読売新聞社に注文するわけですね。

宮本:はい。

2021年01月14日 (木曜日)

読売、年間で約60万部の減部数、対前月差はコロナ禍の中でも約1万2500部の増加、2020年11月度のABC部数

2020年11月度のABC部数が明らかになった。それによると読売新聞は年間で約60万部の減部数、朝日新聞は約40万部の減部数となった。毎日新聞は、約26万部の減部数である。

全国の日刊紙の年間減部数は、約226万部である。東京新聞社が5社消えたに等しい。

新聞離れに歯止めはかかっていない。

減部数の原因は、新聞社が残紙(広義の「押し紙」)を減らした結果だと推測される。

折込広告の需要が高ければ残紙が多くても、販売店はある程度まで残紙による損害を相殺できるが、折込広告の受注が少なければ、残紙の損害を相殺できないので、新聞社は残紙を減らさざるを得ない。さもなければ新聞の戸別配達制度そのものが崩壊する。

ちなみに、紙媒体の読者と電子新聞の読者の分離は、ほぼ完了しているとみるのが妥当だ。

2020年11月度(最新)の部数は次の通りである。()内は前年同月差である。

朝日:4,892,411(−407,561)
毎日:2,045,652(−263,999)
読売:7,351,854(−602,272)
日経:2,048,943(−178,941)
産経:1,228,940(−122,302)

なお読売は年間では約60万部の減部数を招いたが、対前月差は約1万2500部の増加となっている。コロナ禍の中でも増加に転じた。

■「地方自治体が発行する広報紙の水増し問題」 全記事

東京都、『広報東京都』の折込み部数を「非開示」に、広報紙の水増し実態調査、仲介業者は読売系、印刷会社は共産党系

全国の地方自治体が税金で発行している広報紙の水増し実態を調査している筆者らの取材チームは、東京都が制作する『広報東京都』の調査に入った。しかし、東京都は、新聞折り込み部数データを「非公表」とした。これまでに実施した都道府県を対象とした調査では、全自治体が広報紙に関する情報を開示しているが、東京都だけが拒否するかたちになった。

取材チームは、東京都に対して、メールで次の点を問い合わせた。

1、発行している広報紙の名称……広報東京都
2、総発行部数(2020年6月の時点)
3、ポスティング枚数とポスティング業者
4、新聞折込枚数
5、広告代理店
6、印刷会社

東京都からは次の回答があった。

このたびは、「広報東京都」へのご質問をいただき、ありがとうございます。ご照会のあった事項につき、下記の通り回答いたしますので、ご確認いただければ幸いです。
 今後とも「広報東京都」をよろしくお願い致します。
  
 東京都 生活文化局 広報広聴部
 広報課出版担当
 電話:03-5388-3093

 1、発行している広報紙の名称
  広報東京都

(以下2020年6月の時点)
 2、総発行部数
 約303万部
 
 3、ポスティング枚数とポスティング業者
  ポスティングは実施しておりません。

 4、新聞折込枚数
 非公表とさせていただいております。

 5、広告代理店
(新聞折込み等)株式会社読売PR
 
 6、印刷会社
 あかつき印刷株式会社

 黒薮注:読売PRは読売新聞社系の広告代理店である。
 黒薮注:あかつき印刷は、共産党の印刷会社である。

◆◆
東京都が公表した『広報東京都』の総発行部数は、303万部である。これに対して2020年4月時点でのABC部数(公式の新聞発行部数)は、2,777 ,430部である。

約25万部が過剰になっているが、東京都の場合も他の大半の自治体と同様に、新聞折込のほかに、「都の施設、区市町村の窓口・出張所・区民センター、公立図書館、公立文化施設、郵便局、金融機関、都営地下鉄・JR・私鉄線の駅、公衆浴場、生活協同組合の店舗、医療機関、警察署、保健所、4年制大学など」にも置いているので、この約25万部が廃棄されているとは限らない。

今後の調査を要する。

ただ、次の3点を指摘しておきたい。

1、たとえ『広報東京都』の卸部数が、ABC部数を超えていなくても、新聞社の残紙問題は全国的に深刻になっており、依然として『広報東京都』が廃棄されている可能性がある。

2、筆者が東京23区を対象として、それぞれ23区が発行する広報紙の水増し実態を調査したところ、23区のうち12区で水増しが明らかになった。この調査は、情報公開請求で入手したデータに基づいており、裏付けがある。調査結果を『紙の爆弾』(2020年5月)で公表したので、読者にはその記事の概要を次のリンク先で確認していただきたい。

【調査報告】豊島区など東京都の12区で広報紙の水増しが発覚、新聞折込の不正と「押し紙」で税金の無駄遣い

 

3、東京都のケースでは、仲介業者が読売系の広告代理店になっている。読売新聞は多数の新聞販売店と権益関係を持っている。従って、透明な取引という観点からすると、東京都は新聞社系ではない広告代理店を使うべきではないか。

4、『広報東京都』を印刷しているのが、日本共産党の組織であることも問題だ。共産党は、国会の場で残紙問題を追及してきた経緯がある。従って、東京都と権益関係を持っていると、『報告東京都』が水増しになっていた場合、残紙問題の追及がしずらくなる可能性がある。

◆◆
肝心なデータを非公開とした東京都に対して、今後、どのように対処するかは未定だが、おそらく過去10年に渡るデータの開示を、情報公開請求制度を通じて行うことになる。

読売の「押し紙」裁判、原告が準備書面を公開(全文を掲載)、「押し紙」の定義、残紙と渡邉恒雄の関係にも言及

YC大門駅前の元店主が読売新聞大阪本社に対して起こした「押し紙」裁判(大阪地裁)の審理が、12月17日、コロナウィルスの感染拡大をうけて、ウエブ会議のかたちで行われた。原告は準備書面(1)を提出(PDFで全文公開)した。次回期日は、3月16日に決まった。

準備書面の中で原告は、「押し紙」の定義を明らかにすると同時に、読売新聞に残紙が存在する背景を、渡邉恒雄会長による過去の発言などを引用しながら歴史的に分析している。

◆新聞の「注文部数」をめぐる原告の主張

改めて言うまでもなく、「押し紙」裁判では、審理の大前提として「押し紙」の定義を明確にする必要がある。一般的に「押し紙」とは、新聞社が販売店に対して買い取りを強制した新聞と解されてきた。筆者の古い著書においても、そのような説明をしている。従ってこの定義を採用すると、新聞販売店が折込媒体の水増しを目的として、自主的に注文した部数は「押し紙」に該当しない。「積み紙」という解釈になる。

しかし、独禁法の新聞特殊指定でいう厳密な「押し紙」行為とは、次の2点である。

①販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること(販売業者からの減紙の申出に応じない方法による場合を含む。)。

②販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給すること。

実は、この定義には抜け穴がある。注文部数の定義があいまいなのだ。

一般に商取引においては、商店の側が卸問屋に対して、注文部数を決めて発注書を発行する。これはあたりまえの慣行で、全ての商取引に共通している。新聞の商取引も例外ではない。形式的には販売店が新聞社に対して新聞の注文部数を決め、それを伝票に記入する。

ところが販売店は発注の際に実配部数だけではなく、残紙部数を含めた部数を伝票に記入する。「押し紙」が独禁法に抵触するから、「押し紙」を隠すためにそのような慣行になっているのだ。しかし、形式的にはこれが新聞の注文部数ということになる。

従って、実際には「押し紙」が存在していても、新聞特殊指定の①②をすり抜けてしまう。新聞社は、「押し紙」行為はしていないと強弁することも一応はできる。実際、読売新聞社は「押し紙」をしたことは一度もないと主張してきた。

この点を前提として、原告準備書面(1)は、新聞特殊指定でいう注文部数の定義が別に存在していることを、歴史的に証明している。それは独禁法の中で、新聞が一般指定ではなく、特殊指定に分類されている事実とも整合している。特殊指定であるから別の定義があるのだ。

1964年に公正取引委員会は「新聞業界における特定の不公正な取引方法」を交付した。その中で日本新聞協会が定めた「注文部数」の解釈基準が引用されている。以下、引用してみよう。

①「注文部数」とは、新聞販売業者が新聞社に注文する部数であって新聞購読部数(有代)に地区新聞公正取引協議会で定めた予備紙等(有代)を加えたものをいう。
(黒薮注:当時の予備紙率は2%である)

①を前提として、次の行為を禁止している。

②新聞社は新聞販売業者に対し、「注文部数」を超えて新聞を供給してはならない。

③新聞販売業者は、新聞社に対し、「注文部数」を超えて新聞を注文しないものとする。

つまり新聞特殊指定でいう「注文部数」とは、一般の商取引でいう「注文部数」とは定義が異なり、新聞の実配部数に予備紙を加えた部数を意味する。従って、「実配部数+予備紙」を超えた部数は、「押し紙」ということになる。このようにして、公取委は種類のいかんを問わず全ての残紙を排除する方向性を打ち出しているのである。

ちなみに公正取引委員会が新聞特殊指定でいう「注文部数」の定義を根拠に新聞社を指導した例としては、1997年の北國新聞がある。その際、公取委は、北國新聞とは別の新聞社でも同様の「押し紙」行為があることに苦言を呈している。

◆渡邉恒雄と残紙問題

また、原告準備書面(1)は、読売で残紙が発生している理由として、1991年に渡邉恒雄社長(当時)が打ち出した「販売第一主義」をあげている。同準備書面は、渡邉氏の次の発言を引用している。

「戦いはこれからである。再来年(94年)11月の創刊百二十周年までには是非とも1千万部の大台を達成して、読売新聞のイメージをさらに高め、広告の増収に貢献、経営体質を不動のものにしたい。現在、本社の全国部数は約980万部だが、今後2年余で30万部の増紙をしたい。1千万部を達成といっても、少し手を抜けば990万部になる。一度1000万部を達成したら、2度と1000万部を切らぬようにするためには、押し紙、積み紙、無代紙を完全に排除したうえで、1000万部以上を確保しておかなければならない。それにはどうしても30万部の増紙が必要だ。戦いは容易ではない。皆さんの指導力、経営力に頼るほかない」

渡邉氏は、「押し紙、積み紙、無代紙を完全に排除したうえで、1000万部以上を確保しておかなければならない。」と述べており、押し紙、積み紙、無代紙(新聞特殊指定の定義では、すべて「押し紙」)の存在を認めているのである。

原告は準備書面(1)全文

 

【資料】

■訴状

■「押し紙」一覧

真村訴訟福岡高裁判決

■読売新聞に関する全記事

前最高裁事務総局長の今崎幸彦氏と元読売新聞論説委員の桝井成夫氏、新聞人と裁判官の関係はどうあるべきなのか?

10年ほど前から注視しているテーマのひとつに、新聞社と裁判所の関係がある。両者は、特別な関係にあるのか、それとも独立した関係にあるのかというテーマである。かりに事件や人を裁くただならぬ特権を付与された裁判官が、特定の組織や個人と特別な関係を持った場合、人脈が幅を利かせている日本社会では、裁判の公平性が保てなくなる可能性が高い。それゆえにわたしは、これを重大なテーマと考えたのである。

2009年2月、読売新聞がわたしを名誉毀損で提訴した。メディア黒書の記事で社会的な評価を低下させられたという理由で2200万円の「金銭」を請求してきたのだ。読売の代理人として登場したのは、喜田村洋一・自由人権協会理事だった。

◆◆
この裁判で筆者と弁護団は、第1審のさいたま地裁、第2審の東京高裁で勝訴した。いずれの裁判所も読売の請求を棄却したのである。しかし、読売は最高裁に上告(厳密には、判例を根拠とした上告受理申立て)した。【続きはウエブマガジン】

2020年11月29日 (日曜日)

読売は年間で59万部減、朝日は42万部減、2020年10月度のABC部数、「押し紙」についての公取委の見解を紹介、

最新のABC部数(2020年10月度)が明らかになった。それによると前年同月に比べて、朝日新聞は約42万部の減部数、毎日新聞は約26万部の減部数、読売新聞は約59万部の減部数となった。中央紙5紙の前年同月差は、総計で約163万部の減部数となった。

インターネットでニュースを視聴する層と新聞でニュースを読む層の乖離は、ほぼ完了している可能性が高く、ここ数年のABC部数の減部数分は、新聞社と販売店が残紙を排除した結果とみるのが妥当だ。実配部数も減っているが、それよりも政策的に残紙を減らしたことが大幅な部数減につながった可能性高い。

その背景に、「押し紙」を含む新聞の搬入部数に対してセットされる折込広告の需要が落ち込んで、「押し紙」で販売店が被る損害を相殺できなくなっている事情がある。新聞販売網を維持するために、新聞社は残紙を減らさざるをえない事態に追い込まれている。

10月度の部数内訳は次の通りである。

朝日新聞:4,957,117(−422,523)
毎日新聞:2,059,079(−258,443)
読売新聞:7,339,376(−594,220)
日経新聞:2,069,566(−222,552)
産経新聞:1,231,163(−131,847)

【公正取引委員会の見解】

筆者は11月26日、公正取引委員会に対して、広義の「押し紙」についての見解を尋ねた。インタビューの中で公正取引委員会の見解が明らかになった。佐賀新聞社の「押し紙」裁判の判決で認定された同社の独禁法違反についての見解も明らかになった。

2020年10月23日 (金曜日)

裁判所が「押し紙」の定義の明確化を求める、読売の代理人は喜田村洋一・自由人権協会代表理事、残紙率50%の読売・濱中裁判の第1回口頭弁論

読売新聞・YC門前駅前店の元店主・濱中勇志さんが8月に、読売新聞大阪本社に対して起こした「押し紙」裁判の第1回口頭弁論が、10月22日の午後、大阪地裁で開かれた。

原告の訴状、それに対する被告・読売新聞の答弁書の提出を確認した後、池上尚子裁判長は原告に対して、「押し紙」の定義をより具体的に示すように求めた。これは読売側が、答弁書の中で釈明を求めている事柄でもある。

今後の裁判の進行については、口頭弁論(公開)の形式で行われることになった。

「押し紙」裁判は、これまで弁論準備(非公開)のかたちで行われることがよくあったが、マスコミが注目している裁判なので公開での審理を希望すると原告が表明したのを受けて、読売もそれに同意した。

読売の代理人は、喜田村洋一・自由人権協会代表理事ら5人の弁護士が務める。喜田村弁護士は、かねてから読売には「押し紙」は1部も存在しないと主張してきた経緯がある。読売新聞も日本新聞協会も同じ見解である。

読売は、濱中裁判でも基本的に同じ主張を展開する可能性が高い。

原告の代理人は、江上武幸弁護士ら6人が務める。江上弁護士は、「押し紙」を水面下の問題から、表舞台に出した2度に渡る真村裁判の弁護団長を務めた。第1次訴訟では、福岡高裁が、読売による「押し紙」政策を認定(2007年)した経緯がある。この判決を受けて、『週刊ダイヤモンド』などの雑誌が次々と「押し紙」問題を提起した。

しかし、読売が『週刊新潮』とわたしに対して名誉毀損裁判を起こしたあと、「押し紙」報道は下火になった。

第2回の口頭弁論は12月17日の11:45分から行われる。

◆読売の「求釈明」

読売は答弁書の「求釈明」の節で中で、「押し紙」の定義と具体的な「押し紙」の証拠を示すように釈明を求めている。次のくだりである。

原告の主張する「必要部数」、「押し紙」、「仕入れ単価」などの根拠及びその証拠を示すよう(黒薮注:原告に)求めるとともに、被告が上記①(黒薮注:下記参考)ないし③の行為(黒薮注:下記参考)を行ったことについて、だれが、いつ、どこで、なにを、どのように行ったのかという詳細についての具体的な主張及び証拠を示すように求める」

①と②は以下と通りである。

①原告がその経営上真に必要であるとして実際に販売している部数にいわゆる予備紙等(被告代理人註:この「予備紙等」との表現の「等」に何が含まれているのかは不明である。)を加えた部数(必要部数)を超えて供給する方法(注文部数超過行為)

③2280部という定数を定めて当該部数を仕入れるように指示する方法(注文部数指示行為)

【「押し紙」裁判の解説】
従来の「押し紙」は、今年の5月に販売店勝訴の判決が下りた佐賀地裁のケースを除いて、販売店で残紙になってた部数が、「押し紙」なのか、それとも「積み紙」なのかが最大の争点になってきた。

「押し紙」というは、簡単に言えば、新聞社が押し売りした部数のことである。これに対して「積み紙」というのは、販売店がみずから注文した部数のことである。販売店がみずから過剰な部数を注文する場合がある背景には、新聞の搬入部数に対して折込広告の搬入枚数が決まる基本原則があることや、残紙を含む搬入部数に対して新聞社が補助金の額を決めるなどの事情がある。

しかし、最近は広告主が自主的に折込広告の発注部数を減らすことが多く、「新聞の搬入部数=折込広告の搬入部数」の原則が崩れているというのが、常識的な見方である。PR手段が多様化する中で、折込広告の需要は大幅に下落している。

ただし、地方自治体の広報紙については、この不正な商慣行が依然として維持されている。

「押し紙」の定義は、裁判所が残紙の性質を判断するための前提条件になる。過去の判例では、残紙の性質が「押し紙」なのか、それとも「積み紙」なのかの判断で、判決の明暗も分かれてきた。残紙の存在は認定するが、その中身は「積み紙」と判断した判例が多い。

しかし、2010年ごろから、残紙の性質を「押し紙」と認定した上で、販売店が和解勝訴するケースが増えている。

佐賀新聞の「押し紙」裁判では、裁判所は、新聞の実配部数に予備紙を加えたものを新聞販売店が真に必要な部数とした上で、それを超える部数は理由のいかんを問わず、「押し紙」と認定した。残紙は、「積み紙」ではないと判断したのだ。

「押し紙」の定義を明らかにして、それを前提に残紙の性質を検証しようというのが、これまでの裁判の共通した争点である。「押し紙」裁判は、販売店が損害賠償を求める裁判であるから、損害の有無の検証は当然である。

しかし、ジャーナリズムの視点からすると、それ以前の問題がある。残紙の性質が「押し紙」であろうが、「積み紙」であろうが、大量の残紙そのものが社会通念からして、公共の秩序を乱しているとする視点である。濱中裁判のケースでは、搬入されていた新聞の約50%が残紙になっていた。なぜ、このようなビジネスモデルが放置されきたのか?

新聞のビジネスモデルそのものが公序良俗違反に該当する可能性が高い。公序良俗違反について、民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と明記している。

原告は、裁判の中で公序良俗違反を主張するものと見られる。

この裁判を通じて、日本の新聞社のビジネスモデルを考える必要があるだろう。

 

【資料】

■訴状

■「押し紙」一覧

真村訴訟福岡高裁判決

■読売新聞に関する全記事

 

 

 

2020年10月13日 (火曜日)

読売は740万部、年間で52万部減、朝日は490万部、43万部減、8月のABC部数、販売店の経営悪化と人手不足、外国人の技能研修生の雇用へ

2020年8月のABC部数が明らかになった。朝日新聞は500万部を割った。前年同月差は、-43万部である。

読売新聞は、約740万部。前年同月差は-52万部となった。

ブロック紙では、中日新聞の前年同月差が約-10万部となった。裁判所が独禁法違反を認定した佐賀新聞は-3700部である。

全国の主要な新聞社のABC部数は次の通りである。

朝日新聞:4,991,642  (-430,340)
毎日新聞:2,097,843  (-233,650)
読売新聞:7,423,536  (-521,601)
日経新聞:2,065,973  (-227,832)
産経新聞:1,243,536  (-118,311)

北海道新聞:907,718(-35,248)
河北新報:409,918(-17,107)
東京新聞:414,145(-18,056)
中日新聞:2,084,519(-104,371)

京都新聞:393,603(-24,725)
神戸新聞:450,064(-28,957)
山陽新聞:319,680(-25,635)
西日本新聞:493,395(-53,325)

佐賀新聞:121,829(-3,721)
熊本日日新聞:257,003(-10,169)

次に示すPDF資料は、全国の新聞社の部数一覧である。

■8月のABC部数(全国一覧表)

◆◆
全国の日刊紙のABC部数の総計は、31,185,049部である。この1年間で2,234,758部が減った。東京新聞が5社倒産したに等しい。

折込広告の需要が急激に減っており、販売店に課せられている残紙の負担が増えている。こうした状況の下で新聞発行社は、残紙を減らす方向性を打ち出している。その結果、ABC部数が急落している可能性が高い。

販売店の経営悪化で労務問題は深刻になり、新聞業界は外国人の技能研修生を雇用する方向で動いている。政界もこれに連動する動きを見せている。

 

【参考記事2020年5月度のABC部数、朝日新聞は「500万部切れ」へカウントダウン、止まらぬ新聞発行部数の急落

2020年10月05日 (月曜日)

10月22日に第1回口頭弁論、残紙率50%の読売新聞「押し紙」裁判、裁判所は「押し紙」の定義をどう判断するか?

読売新聞・YC門前駅前店の元店主・濱中勇志さんが8月に、読売新聞大阪本社に対して起こした「押し紙」裁判の第1回口頭弁論が10月22日に行われる。日時と場所は次の通りである。

日時:10月22日(木) 13時10分~ 

場所:大阪地裁 本館10階 1007号法廷にて

この裁判で予測される主要な争点としては、次のようなものがある。

1、YC門前駅前店で確認された残紙(供給部数の約50%)の性質について、裁判所が「押し紙」と判断するのか、それとも「積み紙」と判断するのか。これは従来の「押し紙」裁判の争点である。

2、「押し紙」の定義を裁判所がどう判断するか。独禁法を認定した佐賀地裁判決(被告・佐賀新聞社)は、新聞販売店が真に経営に必要な部数に予備紙を加えた部数を「必要部数」とした上で、それを超える残紙は、理由のいかんを問わずすべて「押し紙」と認定した。

3,YC門前駅前店では読者数が変動していたにもかかわらず、1年6ヶ月に渡って搬入(供給)部数が常に2280部に固定されていた事実を、裁判所がどう評価するか。

4、裁判所が、読売新聞社の公序良俗違反を認定するか。

【参考記事】「押し紙」で読売新聞を提訴、元販売店主…供給部数の5割が“残紙”、業界の闇が明るみに(ビジネスジャーナル)
  

■訴状

■「押し■訴状紙」一覧